I-1-33 気候変動適応法や気候変動適応計画
気候変動適応法や気候変動適応計画に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 政府には、気候変動適応計画を策定する義務があり、都道府県には、その区域における地域気候変動適応計画を策定する努力義務がある。
② 気候変動適応に関する施策を推進するため、国及び地方公共団体の責務が定められるとともに、事業者及び国民に対して、国及び地方公共団体が進める施策に協力することが求められている。
③ 気候変動適応計画は、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画であり、主な内容として、国内の温室効果ガスの排出削減目標と目標達成のための対策が取りまとめられている。
④ 国立研究開発法人国立環境研究所が果たすべき役割として、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析などを行うことが定められている。
⑤ 気候変動適応に関する施策の効果の把握・評価については、適切な指標設定の困難さや効果の評価に長期間を要することもあり、諸外国においても具体的な手法は確立されていない
正解と解説
【正解③】
問題文は、地球温暖化対策計画の内容です。
地域気候変動適応計画:
– 都道府県や市町村等が主体となって、その区域における自然的、経済的、社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策を推進するための計画
I-1-34 生物多様性の保全
生物多様性の保全に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① いわゆる種の保存法による個体の取扱い規制や生息地の保護など、保全に必要な措置の対象となる圏内希少野生動植物種は、環境省のレッドリストに掲載された野生動植物種と一致している。
② いわゆるラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を対象としており、人工のものや一時的なものは含まれない。
③ いわゆるワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を目的としているが、絶滅のおそれの程度に応じて、条件が整えば学術目的や商業目的のための国際取引 は可能である。
④ 産業構造の変化等に伴う里山林などの資源利用の減少は、我が国全体として、里地里山における生物多様性の質と量の両面での向上につながるものと期待されている。
⑤ いわゆる外来生物法における特定外来生物には、生きている個体及びその器官に限らず、死んだ個体も含まれる。
正解と解説
【正解③】
①「圏内希少野生動植物種は、環境省のレッドリストに掲載された野生動植物種と一致」が誤り。一致していない。
②ラムサール条約では、「湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む」と定義しています。
④里山林などの資源利用の減少は、地盤がもろくなったり、野生動物の侵入が発生したりなどの問題が増加につながります。
⑤外来生物法における特定外来生物には、「死んだ個体」は含まれません。
I-1-35 プラスチック資源循環戦略
第四次循環型社会形成推進基本計画を踏まえ、令和元年5 月に策定されたプラスチック資源循環戦略に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 可燃ごみ指定収集袋など、焼却せざるを得ないプラスチックには、カーボンニュートラルであるバイオマスプラスチックを最大限使用し、かっ確実に熱回収する。
② 一度使用した後にその役目を終えるプラスチック製容器包装・製品が不必要に使用・廃棄されないよう、レジ袋の有料化を義務化することなどにより、消費者のライフスタイルの変革を促す。
③ 分別・選別されるプラスチック資源の品質 ・性状等に応じて、材料リサイクル、ケミカルリサイクル、熱回収を最適に組み合わせることで、 資源有効利用率の最大化を図る。
④ 海洋プラスチック対策としては、マイクロプラスチックの海洋への流出の抑制に加え、海洋生分解性プラスチックなど海で分解される素材の開発・利用を進める。
⑤ 廃プラスチックについては、我が国のリサイクルや熱回収の技術を導入したアジア各国と連携して処理するなど、グローバル戦略により対応する。
正解と解説
【正解⑤】
廃プラスチックは、国内で適正処理することを方針としています。また、3Rについては以下のようなマイルストーンを設定しました。
<リデュース>
①2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
<リユース・リサイクル>
②2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
③2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
④2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用
I-1-36 リサイクル関連法
リサイクル関連法に関する次の記述のうち最も適切なものはどれか。
① いわゆる容器包装リサイクル法には、消費者の分別排出、市町村の分別収集、及び特定の容器を製造する事業者に対する一定量の再商品化についての定めがある。
② いわゆる家電リサイクル法ではエアコン、冷蔵庫、パソコン、カメラなどの家電について、小売業者による消費者からの引取りと製造業者等への引渡しを義務付けている。
③ いわゆる食品リサイクル法に基づき策定された基本方針では、事業系の食品ロスを2030 年度までにゼロとする目標を掲げている。
④ いわゆる建設リサイクル法で、定める特定建設資材には、コンクリー卜、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、建設機械で、使用済みとなった廃油などが含まれる。
⑤ いわゆる自動車リサイクル法では自動車破砕残さ、フロン類、エアバッグの3 品目については、自動車メーカーが引き取り、リサイクルすることを定めている。
正解と解説
【正解①】
②:パソコンとカメラは2012年に制定された小型家電リサイクル法に従って処理されます。
③:サプライチェーン全体で2000年度の半減が目標です。その目標達成に向け、2024年度までに、食品製造業95%、食品卸売業75%、食品小売業60%、外食産業50%という、再生利用など実施率目標が設定されています。上工程の再生利用の取組は進んでいますが、下工程にいくほど削減率は幾位という傾向があります。
④:対象となる建設廃棄物は次の4点で、廃油は含まれません。
- 建設発生木材 – 木質ボード、木材チップ等
- コンクリート塊 – 路盤材、骨材、プレキャスト板等
- アスファルト・コンクリート塊 – 再生加熱アスファルト混合物、路盤材等
- コンクリート及び鉄から成る建設資材
⑤:内装材料を中心としたシュレッダーダスト、爆発性のあるエアバッグ、オゾン層破壊の原因となるエアコンのフロン類が対象です。自動車破砕残さは含まれません。
I-1-37 影響評価統合レポート2018
気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 による我が国の気候の長期的傾向に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
なお、猛暑日とは日最高気温が 35℃以上の日、冬日とは日最低気温が0℃未満の日、短時間強雨とは1 時間降水量80mm 以上の降雨無降水日とは日降水量が1mm 未満の日のことをいう。また、統計期間は、年平均気温、猛暑日、冬日、無降水日については概ね100 年間、短時間強雨については概ね40年間である。
① 年平均気温は上昇しており、その上昇速度は世界の平均より大きい。
② 猛暑日の年間日数は増加している。
③ 冬日の年間日数は減少している。
④ 短時間強雨の年開発生回数は増加している。
⑤ 無降水日の年間日数は減少している。
正解と解説
【正解⑤】
無降水日、連続無降水日数は増加しています。
I-1-38 第五次環境基本計画
第五次環境基本計画等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 環境基本計画は、環境基本法に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものである。
② 第五次環境基本計画は、持続可能な開発のための2030 アジェンダや、温室効果ガスの排出等に係るパリ協定なども踏まえ、定められた。
③ 第五次環境基本計画では、各地域が自立・分散型の社会を形成しつつ、地域資源を補完し支え合いながら農山漁村も都市も活かす「地域循環共生圏」の創造を目指している。
④ 第五次環境基本計画では、様々な環境分野におけるそれぞれの特定課題を直接的に解決することに比重を置いた分野別の重点戦略を設定している。
⑤ 第五次環境基本計画では、東日本大震災からの復興・創生とともに、南海卜ラフ地震等における災害廃棄物の処理等今後の大規模災害発災時の対応を、重点戦略を支える環境政策の根幹の 1 つと位置付けている。
正解と解説
【正解④】
環境基本計画は約6年ごとに見直します。第五次環境基本計画はSDG、パリ協定採択後に初めて採択された環境基本計画で、平成30年に閣議決定されました。本計画では、複合的な課題の解決に向け、特定の環境施策が複数の異なる経済・社会的課題をも統合的に解決することを目指す、分野横断的な6つの重点戦略(経済、国土、地域、暮らし、技術、国際)を設定しています
よって、④の「特定課題を直接的に解決する」という点が誤りです。
I-1-39 環境影響評価法
環境影響評価法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 計画段階環境配慮書では、第一種事業に係る計画の立案段階において、環境の保全及び費用対効果の観点から配慮すべき事項を検討した結果をとりまとめることが義務付けられている。
② 環境影響評価方法書をもとにして、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法などをとりまとめるための手続をスクリーニングという。
③ 環境影響評価準備書では、環境影響評価の結果のうち、環境影響評価の項目ごとの調査結果の概要並びに予測及び評価の結果とともに、環境の保全のための措置及び環境影響の総合的な評価についても記載することが義務付けられている。
④ 環境影響評価書は、環境影響評価準備書に対する国民、市町村長、都道府県知事及び環境大臣等からの意見を聴取した結果を踏まえて作成することが義務付けられている。
⑤ 環境影響評価書に記載された全ての環境の保全のための措置については、事業実施後にその結果の報告が義務付けられている。
正解と解説
【正解③】
①:計画立案において、費用対効果についての検討は義務付けられていません。
環境配慮書:事業の早期段階における環境配慮を図るため、第1種事業を実施しようとする者が、事業の位置・規模等の計画の立案段階において、その事業の実施が想定される区域において、環境の保全について適正な配慮をするべき事項について検討を行い、その結果をまとめたものです。また、対象事業が周辺の自然環境、地域生活環境などに与える影響については、一般の方々や地域の特性を良く知っている住民、専門家の方々、地方公共団体などの意見を取り入れるよう努めることとされています。第2種事業を実施しようとする者は、配慮書手続は任意です。
②:問題文はスコーピングの説明です。スクリーニングは第2 種事業のみが実施する、アセス要否を検討する作業です。
④:準備書に、国民、市町村長、都道府県知事の意見が入り評価書になります。評価書に環境大臣の意見が入り、補正後の評価書となります。
⑤:事業を実施し、事中に実施した事後調査やそれにより判明した環境状況に応じて講ずる環境保全対策、重要な環境に対して行う効果の不確実な環境保全対策の状況について、工事終了後に図書にまとめ、報告・公表を行います
I-1-40 組織の社会的責任と環境管理活動
様々な組織の社会的責任と環境管理活動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① ISO 26000 は、企業だけでなく様々な組織の社会的責任に関する国際規格であり、我が国ではJIS化されている。
② エコアクション21 は、中小事業者にも取組みやすい環境マネジメントシステムとして策定されたものであり、近年、建設業者や食品関連事業者向けのガイドラインも公表されている。
③ トリプルボトムラインとは、企業の持続可能性についての考え方であり、企業活動を経済の観点のみならず環境と人的資源の観点からも評価しようとするものである。
④ ESG 投資とは、環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことをいい、国際連合が提唱した責任投資原則の基本となる考え方である。
⑤ 環境会計とは、企業等が、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的に測定し伝達する仕組のことである。
正解と解説
【正解③】
トリプルボトムラインは企業活動の、
- 環境的側面
- 社会的側面
- 経済的側面
の3つの観点から企業を評価する考え方です。人的資源の観からの評価は含みません。
よって、「人的資源」という箇所が誤りです。