持続可能な開発
国連人間環境会議
1972年国際連合が主催し、ストックホルムで開催された、世界で最初の環境問題に関する国際的対策会議といわれている(ストックホルム会議とも呼ばれている)。
114か国が参加し「かけがえのない地球」をスローガンに掲げ「人間環境宣言」を採択しました。人間の増加と人間の生存環境の悪化が取り上げられ、世界的な合意の形成に大きな影響をもたらした。
ローマクラブ
1970年、正式発足した地球の未来に関する民間研究組織。最初の会合をローマで開催したことにちなみ、この名が付けられた。
政治に関与しない各国の科学者、経済学者、プランナー、実業家、教育者等で構成されるシンクタンクであり、人類が直面する危機を世界的規模で研究、その成果を発表し、政策的な提言を行っている。1972年発表の報告書「成長の限界」は世界的に注目された。
環境と開発に関する世界委員会 (WCED)
ノルウェーのブルントラントを委員長とする環境と開発の関係について討議した委員会。1984~1987年の活動を通し「我ら共有の未来」との報告書を国連に提出した。
「持続可能な開発」の概念を打ち出した。
国連環境開発会議(地球サミット:UNCED)
1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された首脳レベルでの国際会議。人類の共通課題である「地球環境の保全」と「持統可能な開発のための具体的な方策」が話し合われた。「環境と開発に関するリオ宣言」や宣言の諸原則を実施するための「アジェンダ21」が採択された。
環境と開発に関するリオ宣言
前述した、1992年の地球サミットで採択された宣言であり、27原則で構成されている。また、この宣言を確実に履行するため、その場で「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」、「森林原則声明」、「アジェンダ21」が採択された
アジェンダ21
21世紀に向けた持続可能な開発を実現するために、各国及び各国際機関が実行すべき行動計画を具体的に規定するもので、大気、水、廃棄物等の具体的な問題について、そのプログラムとともにこの行動を実践する主要グループの役割強化財源等の実施手段のあり方が規定されている。
エコロジカル・フットプリント
人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法の1つで、人間1人が、持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積で表される。
人間開発指数(HDI: Human Development Index)
平均余命・教育・所得の側面から人間開発の達成度を示す指数で、パキスタンの経済学者マプーブル・ハックが1990年に考案したもの。国連開発計画(UNDP)が毎年発表している。
ミレニアム開発目標(MDGs)
2000年9月、国連で採択された「国連ミレニアム宣言」に基づき、主に発展途上目をターゲットにし、2015年を期限とした開発目標をMDGs(Millennium Development Goals)と呼び、極度の貧困と飢餓の撲滅や初等教育の普及などを8つの目標(ゴール)、 21のターゲット、60の指標を掲げた。
持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月国連で採択された、先進国を含む2030年を期限とす国際社会全体をターゲットにした「持続可能な開発目標」をSDGs (Sustainable Development Goals) と呼び、貧困の撲滅や格差の解消。環境保護等、17の目標(ゴール)とその下位目標である169のターゲットで構成されている。
オゾン層保護
地球を取り巻く成層圏に多くが存在するオゾン層は、太陽光に含まれる有害紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を保護する役目を果たしている。
日本では1988年に「オゾン層保護法」を制定し、国際的協力を念頭にオゾン層の保護を目的として、ウイーン条約・モントリオール議定書を的確かつ円滑に実施するための措置をした。
ウィーン条約・モントリオール議定書
ウィーン条約は、1985年採択されたオゾン層の保護のための国際的対策の枠組みを定めた条約である。
一方、モントリオール議定書は、1987年採択されたオゾン層保護対策推進のためオゾン層破壊物質の生産削減等の規制措置を定めた議定書である。日本は、いずれも1988年に締結している。
酸性雨
二酸化硫黄、NOx等の大気汚染物質は、大気中で硫酸、硝酸等に変化し、再び地上に戻ってくる(沈着)。これには2種類ある。
湿性沈着:雲を作っている水滴に溶け込んで雨や雪等の形で沈着する場合
乾性沈着:ガスや粒子の形で沈着する場合
当初は酸性の強い(pH5。6以下)雨にのみ関心が集まったが現在では、酸性雨は、湿性沈着及び乾性沈着を併せたものとして幅広く捉えられている。
気候変動・エネルギー問題
地球温暖化が原因とされる気候変動により、近年、極端な気象現象が起こり、多大な災害が起こり、多大な災害が起きている。
温暖化への寄与は、温室効果ガスを多く発生する化石燃料によるエネルギー利用によるところが大きい。気候変動問題は、これからのエネルギー利用の抜本的見直しを求めている。
温室効果ガス(GHG: Green House Gas)
大気を構成する気体で、赤外線を吸収して大気温度上昇の熱源となり再放出して地表に吸収され、その温度を高める気体を指す。京都議定書では次の6物質が温室効果ガスとして排出削減対象となっている。
・二酸化炭素(CO2)
・メタンガス(CH4)
・一酸化二窒素(N2O)
・ハイドロフルオロカーポン(RFC)
・パーフルオロカーポン(PFC)
・六フッ化硫黄(SF6)
エルニーニョ現象/ラニーニャ現象
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象である。
逆に、同じ悔域で、海面水温が平年より低い状態が続く現象は、ラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生する。
これらの現象は、日本を含め世界中の異常な天候の要因になり得ると考えられている。
気候変動枠組条約
正式には「気候変動に関する国際連合枠組条約」という。
1992年の地球サミットで、地球温暖化対策に関する取り組みを国際的に協調して行っていくため採択され、1994年発効した。
本条約は、大気中の温室効果ガスの程度を安定化させることを究極の目的とし、締約国に温室効果ガスの排出・吸収目録の作成、地球温暖化対策のための国家計画の策定とその実施等の各種義務を課している。
IPCC (気候変動に関する政府問パネル)
1988年、国連環境計画(UNEP)と世界気候機関(WMO)により設立され、世界の政策決定者に対し、正確でバランスのとれた科学的知見を提供し、気候変動枠組条約の活動を支援している。
5~7年ごとに地球温暖化について網羅的に評饉報告書を発表するとともに適宜、特別報告書や技術報告書方法論報告書を発表している。
京都議定書
1997年12月、京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において採択された議定書(Protocol)をいう。
ここでは、先進国のみに温室効果ガスの排出量について拘束力のある数値目標が決定された。それとともに、排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム等の新たな仕組みが合意された。
2005年2月に発効したが、アメリカは批准しておらず、中国・インドは参加していない。
バリ協定
2015年12月、パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択された協定(Agreement)をいう。
地球温暖化対策に先進国、発展途上国を問わずすべての国が参加し、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2℃未満(努力目標1.5℃)に抑え、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標とした。
締約国は削減目標を立てて5年ごとに見直し、国連に実施状況を報告することが義務付けられた。また、先進国は途上国への資金支援を引き続き行うことも定められた。
2050年長期戦略
2019年6月、政府は閣議を経て、2050年に向けた日本の地球温暖化対策に関する「長期計画」(パリ協定に基づくもの)を国連に提出した、いわゆる、2050年長期戦略である。
基本は最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げ、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに、2050年までに80%の削減に取り組むとしている。
その後、2020年10月、菅義偉首相の所信表明で、温室効果ガスの排出量を2050年に実質ゼロ)100%削減)にする新目標が打ち出された。
グリーントランスフォーメーション (GX)
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じた、経済社会システム全体の変革です。
2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取り組みを経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けた、経済社会システム全体の変革がGXです。
GXが注目されている背景には次の3点があります。
・地球温暖化による気候変動
・カーボンニュートラル宣言
・ESG投資の市場拡大
脱炭素社会・低炭素社会
脱炭素社会とは、気候変動や地球温暖化の原因となる温室効果ガス、その中でも二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする社会とされ、発生源である石袖や石炭などの化石燃料を使わない、再生可能エネルギーを柱にした脱化石燃料の社会を指している。
また、低炭素社会は、二酸化炭素(CO2)の排出量を自然が吸収できる量以内に最小化する「カーポンニュートラル」の状態を目指した社会であって、基本的な考え方や目的は、脱炭素社会と同じと考えて良い。
地球温暖化対策推進法
1998年に法規制された地球温暖化対策を推進するための法律で、温暖化対策計画の制定や地球協議会の設置など、国民の取り組みを強化するための措置、温室効果ガスを一定量以上排出するものに排出量を算定して国に報告することを義務付け、国が報告されたデータを集計・公表する「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」等について定めたものである。
気候変動適応法
2018年6月交付、同年12月施行の法律であり、同法により気候変動に関する適応策の法的位置付けが初めて明確化され、国、地方公共団体、事業者、国民が連携・協力して適応策を推進するための法的仕組みが整備された。
気候変動対策の緩和策・適応策
気侯変動対策には緩和策と適応策がある。
緩和策:地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガスの排出削減対策
適応策:気候変動適応法に基づく気候変動の影響による被害の回避・軽減対策
緩和策は根本的な解決へ向けた対策を、適応策は対処療法的な取り組みを指している。
排出量取引制度
環境汚染物質の排出量を抑制するために用いられる政策手法の1つであり、京都議定書に排出量取引が規定されたこともあって、温室効果ガスを対象にした例が多い。
排出総量に上限を設け、過不足分を取引する方式はキャップ&トレードと呼ばれ、削減の取り組みを確実に担保するとともに、柔軟性のある義務履行を可能としている。
カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※から、植林・森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
カーボンフットブリント
商品の一生(原料調達から廃棄・リサイクルまで)に排出されたCO2量を商品に表示する仕組みをいう。
最近では商品だけでなく、航空運賃やホテル宿泊費等、サービス全般に導入の動きがある。
カーボンオフセット
カーボンオフセットは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)による削減活動によって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動のことです。取り組みの流れは次の通りです。
- 家庭やオフィス、移動での温室効果ガス排出量を把握する。
- 排出される二酸化炭素の量を削減する努力をする。
- 削除困難な排出量を把握し、他の場所で実現した排出権(クレジット)の購入。または排出削減活動実施することで埋め合わせ(オフセット)する。
ギガトンギャップ
現在各国が提出した削減目標をすべて足し合わせても、長期目標達成に必要な削減量にはまったく足りておらず、2020年での削減不足量はCO2換算で100億トン、2030年では150億トンに達するという試算があります。
この削減不足量をギガ(=10億)トン・ギャップ或いはエミッション・ギャップと呼んでいます。
カーボンバジェット (炭素予算)
「他の人為的気候変動要因の影響を考慮に入れた上で、地球温暖化をある一定の確率下で、特定の気温上昇レベル以内に抑えることができる、累積CO2排出量((過去の排出量と将来の排出量の合計))の最大量」を指します。
炭素収支は、排出収支、排出割当、または許容排出量とも呼ばれます。
1861-1880年平均と比べて人間活動を起源とする全気温上昇を、66%以上の確率で2℃未満に抑えるためには、1870年以降の全ての人為起源の発生源からの二酸化炭素累積排出量を約2,900ギガトンCO2(2.9兆トン)未満に留めることが必要です。
2011年までに既に累積で約1,900ギガトンCO2(1.9兆トン)が排出されているため、2012年以降の世界全体での累積排出量を約1,000ギガトン(1兆トン)に抑える必要があります。
CCS
Carbon Capture and Storage (二酸化炭素回収・貯留)とは、通常、セメント工場やバイオマス発電所などの大規模な二酸化炭素を回収し、貯留場所に輸送し、大気の影響のない場所、通常は地下の地層に堆積させるプロセスのことです。
BECCS
BECCS (Bio-energy CCS)は、CCS(CO2回収・貯留)とバイオマスエネルギーの組み合わせた技術のことです。
大気中のCO2を吸収した植物を燃焼させるバイオマス発電と、その燃焼によって発生するCO2を地中に貯留するCCSを組み合わせることで、大気中のCO2を削減するネガティブエミッションを実現します。
エネルギー政策基本法
2002年6月公布、施行されたエネルギー需給政策に関する法律で、基本方針は「安全供給の確保」「環境への適合」、及びこれらを十分考慮したうえでの「市場原理の活用」の3項目であり国・地方公共団体、事業者、エネルギーの需要施策の基本事項を定めている。
エネルギー基本計画
法に基づき、政府が策定する基本的な方向性を示す計画をいう。
計画は、長期エネルギー需要見通しと密接な関連があり、再生可能エネルギーの普及目標なども定められる。
3E+S
E:エネルギーの安定供給(Energy Security)
E:経済効率性の向上 (Economic Efficiency)
E:環境への適合(Environment)
S:安全性 (Safety)
からなり、日本のエネルギー政策の基本となる概念である。
再生可能エネルギー
エネルギー源として、一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり、資源が枯渇しない源を利用して生ずるエネルギーの総称をいう。
具体的には、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマス等をエネルギー源として利用する。
再生可能エネルギー特別措置法
再生可能エネルギーか作った電気を、国が定めた単価で一定期間電力会社が買い取ることを義務付けた法律で、再生可能エネルギーによる発電ビジネスの推進・拡大が目的。
固定価格買取制度(FIT: Feed-in Tariff)
再生可能エネルギーにより発電された電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。
対象となる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つで、国が定める要件を満たす必要がある。
再生可能エネルギー賦課金
固定価格買取制度で、電力会社が買い取る費用の一部を電気の利用者から毎月の電気料金と合わせて徴収しており、この料金を再生可能エネルギー賦課金という。
省エネ法
1979年制定、2018年改正で、式名を「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」という。
省エネ法では、場等の設置者や輸送事業者・荷主に対し、省エネの取り組みを実施する際の目安となるべき判断基準を示し、一定規模以上の業者には、エネルギーの使用の状況等の報告を求めたり、必要に応じて指導等を実施したりしている。
省エネ法におけるエネルギーは、化石エネルギー(燃料、熱、電気)を対象としており、廃棄物からの回収エネルギーや風力、太陽光等の非化石エネルギーは対象としていない。
トップランナー制度
自動車の燃費基準や電気機器等の性能向上に関する製造業者などの判断基準を、現在商品化されている製品のうちエネルギー消費効率が最も優れているもの(トップランナー)の性能を勘案して定める制度をいう。
製品のエネルギー消費効率のさらなる改善の推進を行うことを目的とする。
建築物省エネ法
2015年制定、正式名を「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」という。
情勢の変化により、建築物のエネルギーの消費量が他部門に比べ著しく増加し、対処のため、住宅以外の一定規模以上の建築物に対し、エネルギー消費性能基準への適合義務の創設、エネルギー性能向上計画の創設等の法的措置がなされた。
エコまち法
2012年制定、正式名を「都市の低炭素化の促進に関する法律」という。
社会経済活動に伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市において発生しており、都市の低炭素化促進に関する基本方針の策定、市町村の低炭素まちづくり計画の策定、及び民間等の低炭素建築物の認定等を定めた法律である。
コンバクトシティ
急激な人口減少・高齢化に直面する中、生活の質を向上させ、持続的な成長が求められる。その実現のためには。社会インフラを賢く使える都市空間の形成が必要で、その1つとして考えられる集約型の都市構造をコンパクトシティという。
一般的に、高密度で近接した開発形態公共交通でつながった市街地、地域のサービスや職場までの移動の容易さ、という特徴を持った都市構造を指す。
コージェネレーション
天然ガス、石油、LPガス等を燃料として、エンジン、タービン、燃料電池等の方式により発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステムをいう。
回収した廃熱は。蒸気や温水として工場の熱源冷暖房・給湯等に利用でき、熱と電気を無駄なく利用できれば、燃料が本来持っているエネルギーの約75~ 80% と、高い総合エネルギー効率が実現可能といわれている。
ESCO事業
Energy Service Company事業の略で、ESCOが省エネに関する包括的なサービス(技術、設備、人材、資金等)を客に提供し、客の利益と地球環境の保全に貢献するビジネスで、省エネ効果の保証等による客の省エネ効果の一部を報酬として受け取る仕組みとなっている。
スマートグリッド
次世代送電網のことで、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し最適化できる送電網といわれ、専用の機器やソフトウェア送電網の一部に組み込まれている。
従来の送電線は大規模な発電所から一方的に電力を送り出す方式で、需要のピーク時を基準とした要領設定に無駄が多く、自然災害に弱く復旧にも手間取っていた。
そのため、送電の拠点を分散し、需要家と供給側との双方から電力のやり取りができる送電網が望まれている。
生物多様性
地球上の生命な個性と命のつながりその中には多様な姿の生物が含まれており、この生物たちの豊かな個性と命のつながりを生物多様性と呼んでいる。条約では、次の3つのレベルで多様性があるとしている。
- 生態系の多様性
- 種の多様性
- 遺伝子の多様性
生物多様性基本法
2008年制定、生物多様性の保全及び持続可能な利用について基本原則を定め、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間の団体の責務を明らかにするとともに、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策の基本となる事項を規定した法律である。
生物多様性に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、生物多様性から得られる恵沢を享受できる、事前と共生する社会の実現を図り、合わせて地球環境の保全に寄与することを目的としている。
生物多様性条約
生物の多様性の保全やその構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とした条約である。1992年に採択され、1993年発行した。日本は1993年に締結し、条約に基づき生物多様性国家戦略を策定し、各種施策を実施している。
生物多様性国家戦略
生物多様性条約第6条に基づき、条約締約国が作成する生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な計画である。
2012年9月には「生物多様性国家戦略2012-2020」が閣議決定された。
ミレニアム生態系評価
国連の主導により、2001 ~ 2005年にかけて行われた地球規模の生態系に属する総合的評価である。
95か国から1360人の専門家が参加、生態系が提供するサービスに着目して、それが人間の豊かな暮らしにどのように関係しているか、生物多様性の損失がどのような影響を及ぼすかを明らかにした。これにより、これまであまり関連が明確でなかった生物多様性と人間生活との関係がわかりやすく示された。
生物多様性に関連する国際条約、各国政府、NGO、一般市民などに対し政策・意思決定に役立つ総合的な情報を提供するとともに、生態系サービスの価値への考慮、保護区設定の強化、横断的取り組みや普及広報活動の充実、損なわれた生態系の回復などによる思い切った施策の転換を促している。
生態系サービス
人々が生態系から得ることのできる便益のこと。
- 供給サービス:食糧・水・木材・繊維・燃料などの供給
- 調整サービス:気候の安定や水質の浄化などの調整
- 文化的サービス:レクリエーションや精神的な恩恵を与える文化的サービス
- 基盤サービス:栄養塩の循環や土壌形成、光合成
などがある。
SATOYAMAイニシアティブ
人と自然との共生を目指し、世界的な規模で生物多様性の保全と持続可能な利用・管理を促進するための取り組みである。
日本の里地里山のような人間の営みにより形成・維持されてきた農地や人工林、二次林などの二次的な自然地域を対象とし、保全と持続可能な利用を進めるもので、環境省が国連大学などの国際機関とともに提唱している。
名古屋議定書
正式名称を「生物の多様性に関すから生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」という。
2010年10月、名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会合(COP10)において採択され、2014年10月発効した。
生物多様性条約の目的である「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分 (ABS)」を達成するため、各締約国が具体的に実施すべき措置を規定している。日本は2017年5月に批准し、同年8月に効力を生ずるに至った。
レッドリスト
日本における絶滅の恐れのる野性生物種のリスト。
日本に生息または生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶減の危険度を評価し、絶滅の恐れのある種を選定してリストにまとめたもの。
ラムサール条約
正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」という。1971年に採択、1975年に発効し、日本は1980年に加入した。
国際的に重要な湿地及びそこに生息、生育する動植物の保全と賢明な利用を推進することを目的としている。2019年時、日本では50か所の湿地が登録されている。
ワシントン条約
正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」という。1973年に採択、1975年に発効し、日本は1980年に加入した。
野生動植物の国際取引の規制を輸入国と輸出国が協力して実施することにより、絶滅の恐れのある野生動植物の種の保護を図ることを目的としている。
条約の付属書に掲載された野生動植物の国際取引は禁止または制限され、輸出入の許可書などが必要となっている。
パイオセーフティ
細菌・ウイルスなどの微生物や、微生物が作り出す毒素(病原体)などが原因となって、人やほかの生物体にもたらされる危害(リスク)であるバイオハザード(生物災害)の防止のために行う対策の総称。
病原体の危険性に応じた4段階の取り扱いレベル(バイオセーフティレベルBSL1~4)が定められている。
2020年4月、世界保健機構(WHO)は、新型コロナウイルス感染症に関連した検査室のバイオセーフティに関するガイダンスを出し、対策を図った。
カルタヘナ議定書
正式名称を「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」という。
遺伝子組み換え生物などの利用などによる生物多様化保全などへの影響を防止するために、特に国境を越える移動に焦点を合わせた国際的な枠組みである。
自然環境保全法
1972年制定、自然環境を保全することが特に必要な区域等の適正な保全を総合的に推進することを目的とする法律。
自然環境保全基本方針の策定、自然環境保全基礎調査の実施、優れた自然環境を有する地域を原生自然現境保全地域等として保全すること等を規定している。
自然公園法
1957年制定、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保険、休養及び教化に資することと相まって、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする法律である。
自然再生椎進法
自然再生に関する施策を総合的に推進するための法律。
自然再生についての基本理念、実施者等の責務及び自然再生基本方針の策定、その他の自然再生を推進するために必要な事項を定めている。
鳥獣保護管理法
2002年制定。正式名を「烏獣の保設及ぴ管理並ぴに狩猟の適正化に関する法律」という。
鳥獣の保護を測るために事業を実施するとともに鳥獣による被害を防止し、合わせて猟具の使用に関わる危険を予防することにより、鳥獣の保護と狩猟の適正化を図ることを目的とした法律である。
自然共生圏
「生物多様性国家戦略2012-2020」で、「自然共生圏」という新しい考え方が示された。
生態系サービスの需要につながる地域や人々を一体として捉え、その中で連携や交流を深めていき、相互に支え合っていくという考え方であり、そのペースにある圏域を自然共生圏という。
特定外来生物
日本に入り込んだ外来生物のうち、農林水産業人の生命・身体、生態系へ被害を及ぼすものまたは及ぼすおそれがあるものの中から、外来生物法に基づき指定された生物(生きているものに限られ、卵、種子、再生可能な器官も含まれる)であり、同法によって、輸入、飼育や遅搬、野外に放つことが原則として禁止されている(特定の目的のため許可を受けた場合は可能)。
森里川海プロジェクト
自然資源を象徴する「森」「里」「川」「海」を保全してつなげること、それぞれに関わる人をつなげること、都市部に住む人たちも含めて国民全体で「森里川海」の保全とそれに関わる人たちを支える、一連の取組を森里川海プロジェクトと呼んでいます。具体例として、以下のようなアクションがあります。
- 日本の原風景である棚田の景観を継承していく
- お魚殖やす植樹運動 100年前の浜の再生
- 被害対策から資源活用へ ジビエで地域活性化
- 海と森の賢い利用で高品質化 震災からの復興をきっかけとして
- 未来につなげる保護と利用の両立 国立公園の利用調整地区
- マガンもシナイモツゴも安心 共に生きる米づくり
- 里山を活かしたエコツーリズム 地域の人が、地域の言葉で、地域をご案内