令和4年度 択一式問題 過去問題 人的資源管理

I-1-9 労務管理

労務管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 常時10 人以上の労働者を使用する事業場においては、使用者は、労働時間や賃金等の労働条件に関する事項などを定めた就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
② 使用者は、10 日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、その年次有給休暇の日数のうち5日について、基準日から1 年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
③ 対象期間を1 年間とする変形労働時間制を導入した場合、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、対象期間における各日の始業及び終業の時刻や休日について、労働者が自らの判断で自由に決定や変更をすることができる。
④ 事業主は、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間の確保に努めなければならない。
⑤ 使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法により、労働者に周知させなければならない。

正解と解説

【正解③】

「始業及び終業の時刻や休日」は就業規則で定めます。

I-1-10 パートタイム・有期雇用労働法

いわゆるパートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口を文書の交付などにより明示しなければならない。
② 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならない。
③ 事業主は、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、基本給、賞与、その他の待遇のそれぞれについて、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理と認められる相違がないように努めなければならない。
④ 事業主は、福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室について、通常の労働者が利用可能なものについては、短時間・有期雇用労働者に対しても利用の機会を与えなければならない。
⑤ 都道府県労働局長は、紛争の当事者である短時間・有期雇用労働者と事業主の双方又は一方から調停の申請があった場合において、紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会に調停を行わせる。

正解と解説

【正解③】

「事業主は、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、基本給、賞与、その他の待遇のそれぞれについて、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理と認められる相違がないようにする」義務があります

I-1-11 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

厚生労働省が策定したテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 使用者が、テレワークにおける労働者の労働時間を把握する際には、労働者がテレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等を用いる方法がある。
② 労働基準法に定められた労働時間制度の中で、通常の労働時間制度、変形労働時間制、フレックスタイム制では、テレワークを行うことが可能であるが、事業場外みなし労働時間制、裁量労働制では、テレワークを行うことができない。
③ テレワーク中に一定程度労働者が業務から離れる中抜け時間は、労働基準法上、使用者は把握することとしても、把握せずに始業及び終業の時刻のみを把握することとしても、いずれでもよい。
④ 労働者に適用される最低賃金は、テレワークを行う場所の如何に関わらず、テレワークを行う労働者の属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用される。
⑤ 現にテレワーク中の労働者に対して、使用者が労働者に対し業務に従事するために必要な就業場所間の移動を命じ、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は、労働時間に該当する。

正解と解説

【正解②】

事業場外みなし労働時間制、裁量労働制であってもテレワーク可能です。

I-1-12 労働安全衛生法の健康管理

労働安全衛生法の健康管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 事業者は、事業場における定期健康診断を行った場合、使用する労働者数に関わらず、定期健康診断結果報告書を行政官庁に提出しなければならない。
② 事業者は、時間外・休日労働時間が月80 時間を超えたすべての労働者に対し、医師による面接指導を行わなければならない。
③ 事業者は、使用する労働者数に関わらず、労働者に対し、定期に医師等によるストレスチェックを行わなければならない。
④ ストレスチェックを実施した事業者は、労働者を検査した医師等から検査結果を入手し、ストレスの程度を記録後、遅滞なく、労働者に検査結果を通知しなければならない。
⑤ ストレスチェックを受けた労働者のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があるとされた労働者から申出があった場合、事業者は、医師による面接指導を行わなければならない。

正解と解説

【正解⑤】

① 定期健康診断結果報告書の報告義務があるのは常時50人以上使用する事業所です。

② 面接指導は従業員からの申出制です

③ 50人未満の事業所では、ストレスチェックは努力義務です。

④ 第三者である事業者への開示は守秘義務違反にあたります。

I-1-13 組織構造の特性

組織構造の特性に関する(ア)~ (エ)の説明と、これに対応する組織構造の名称の組合せとして、最も適切なものはどれか。

(ア)特定の目的を共有しつつ、水平的かつ緩やかに結びついた組織であり、従来の部門や組織の壁を越えて自律的に協働を行うことによって、環境の変化に対して自ら柔軟な構造変革を行う。
(イ)社長や管理職からの指揮命令系統はなく、組織の進化する目的を実現するために、メンバー全員が相互の信頼に基づき、独自のルールや仕組みを工夫しながら、組織運営を行う。
(ウ)上意下達の指揮命令系統をはっきりさせ、それぞれの役割に専念できる専門化と分業により、効率を高めた合理的な組織運営を行う。
(エ)製品や市場についての責任者と、効率追求や共通資源の企業内での蓄積に責任を負う職能部門の責任者の2 つの指揮命令系統を設定することにより、市場競争と企業内蓄積のバランスのとれた事業運営を行う。

ティール組織vネットワーク組織ピラミッド組織マトリクス組織
ネットワーク組織マトリクス組織ティール組織ピラミッド組織
マトリクス組織ティール組織ピラミッド組織ネットワーク組織
ティール組織ネットワーク組織マトリクス組織ピラミッド組織
ネットワーク組織ティール組織ピラミッド組織マトリクス組織
正解と解説

【正解⑤】

組織構造の基本特性です。それぞれの組織構造のキーワードは次の通りです。

  • ティール組織:独自のルール 相互信頼
  • ネットワーク組織:結びついた 柔軟な構造変革
  • ピラミッド組織:上意下達 施文かと分業
  • マトリクス組織:2つの指揮命令系統

I-1-14 組織コミットメント

テレワークが普及する中で、「会社と従業員の結びつき」が改めて注目されている。従業員の転職や離職につながる組織に対する姿勢としての「組織コミットメント」は、情緒的、功利的、規範的という3 つの要素で構成されるとされている。組織コミットメントに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、功利的コミットメン卜は、継続的若しくは存続的コミットメントと呼ばれるこもある。

① 組織の目標や価値観が自分と同じだから、との理由で組織に居続けるのは、情緒的コミットメントによるものである。
② この会社に毎月給与をもらっているから、この会社での業務のために培った技能の価値を失いたくないから、との理由で組織に居続けるのは、功利的コミットメントによるものである。
③ この会社に育ててもらったというような恩を感じて組織に居続けるのは、規範的コミットメントによるものである。
④ 組織コミットメントの3 つの要素のうち、一般に入社後一旦低下したのち上昇していく傾向にあるのは功利的コミットメントである。
⑤ 組織にとって有益な従業員を定着させるためには、情緒的コミットメントと規範的コミットメントを高めつつ、功利的コミットメントをいかに抑えるかが重要と言われている。

正解と解説

【正解⑤】

功利的コミットメントではなく、正しくは情緒的コミットメントです。

I-1-15 ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 専門性の高い業務におけるジョブ型雇用では、人の出入りがあるために会社が外部労働市場にさらされ、一般的にメンバーシップ型雇用より報酬が高く設定されやすい。
② 新卒一括採用を継続する日本の企業でジョブ型雇用を導入する場合は、下位等級をメンバーシップ型雇用とし、上位等級にジョブ型雇用を適用するなど、雇用区分を組み合わせて活用する場合が多い。
③ メンバーシップ型雇用では、内部育成による人材確保を進めることから、ジョブ型雇用に比べ、ビジネスモデルの変革やグローバル化の推進など事業の変化が激しい場合でも対応が容易である。
④ ジョブ型雇用では、社員が専門性を指向して、経営層が育ちにくくなるため、仕事や役割の計画的な割り当てと選抜教育により次世代のリーダーを育成する施策が必要になる。
⑤ メンバーシップ型雇用では、適材適所による生産性向上、ローパフォーマーの活用促進、セクショナリズムの軽減などが期待できる。

正解と解説

【正解③】

環境の変化が激しい場合は、人材調整が容易であるジョブ型雇用のほうが対応が容易です。

I-1-16 人事考課管理

人事考課管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、成績考課については業績考課と呼ぶこともある。

① 成績考課は、たまたま業績に結び付きにくい職務を担うことになった社員が低く評価されてしまうことなどがあるため、主として賞与に反映されることが多い。
② 相対評価には、全員が同じぐらいの能カ・成果でも無理矢理に差を付けなければならない、優秀な人がいると他の人は頑張っても評価が上がらない、などの運用上の問題がある。
③ 評価者の主観や好き嫌いが評価に入り込まないよう、評価基準や手続を定め、事実に基づいて実施することを客観性の原則と呼ぶ。
④ 一般的に、評価対象社員の職位が上位ランクであるほど、成績考課や情意考課より、能力考課が重視される。
⑤ インプットの大きさを評価する能力考課が行われることにより、社員は長期的な視野に立って業績に貢献する能力を高めようとするインセンティブが働く。

正解と解説

【正解④】

上位職位ほど、行動の結果が成績に結び付いていることが評価につながります。

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