平成30年度 択一式問題 過去問題 人的資源管理

I-1-9 育児・介護休業法

いわゆる育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)においては、育児のために次に示す5 つの制度が定められている。このうち、2 歳の子を養育する労働者が一定の要件を満たす場合に利用できる制度の数はどれか。

(ア)育児休業:労働者は、事業主に申し出ることにより、子1 人につき原則として1 回、育児休業をすることができる。
(イ)子の看護休暇:労働者は、事業主に申し出ることにより、病気やけがをした子の看護を行うなど、のために、年間一定日数の休暇を取得することができる。
(ウ)所定労働時間短縮の措置:事業主は、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度( 1 日の所定労働時間を原則として6 時間とする措置を必ず含む。)を設けるなどの措置を講じなければならない。
(エ)深夜業の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を午後10 時から午前5 時までの聞において労働させてはならない。
(オ)所定外労働の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を、所定労働時間を超えて労働させてはならない。

① 1
② 2
③ 3
④ 4
⑤ 5

正解と解説

【正解④】

下表は、各種制度とポイントをまとめたものです。

育児休業1歳になるまで事前申請により1歳6カ月から2歳まで延長可能2回までの分割取得可能
子の看護休暇小学校就学の始期に達するまでの子労働者1人につき年5日
所定労働時間短縮の措置1日の所定労働時間を原則として6時間にする子どもが3歳になるまで
深夜業の制限深夜業とは、午後10時から午前 5 時まで小学校就学の始期に達するまでの子要介護状態の家族がいる従業員  
所定外労働の制限子どもが3歳になるまで

これより、(ア)のみが2歳の子に対しては適用不可です。
(ア)以外の4制度は適用可能なので④が正解です。

I-1-10 ジョブ型とメンバーシップ型

企業の人事管理、賃金管理等に対する考え方は、欧米諸国に代表される「仕事」に「人」を当てはめるいわゆる「ジョブ型」(職務主義)と、日本に代表される「人」を中心に管理し「人」と「仕事」の結びつきはできるだけ自由に変えられるようにしておくいわゆる「メンバーシップ型」(属人主義)がある。次の記述のうち、それぞれの型とその特徴の組合せとして最も不適切なものはどれか。

① 「ジョブ型」:採用は、欠員の補充などの必要な時に、必要な数だけ行う。
② 「ジョブ型」:職務への配置に当たって重要なのは、個々の仕事の能力より、仕事の中でスキルが上がっていく潜在能力である。
③ 「ジョブ型」:職種別に賃金が決まっており、年齢、家族構成などは賃金に反映されない。
④ 「メンバーシップ型」:定期的な人事異動があり、勤務地が変わる転勤も広範に行われる。
⑤ 「メンバーシップ型」:仕事に関する教育訓練は、公的教育訓練よりOJT などの社内教育訓練が中心である。

正解と解説

【正解②】

「ジョブ型」は顕在能力が求められます。

I-1-11 教育訓練の方法

教育訓練の方法には、基本的にOJT、OFF-JT、自己啓発の3 つがある。次の記述のうち、OFFJTに関するものとして最も適切なものはどれか。

① 社員が自ら設定した目標を達成するための方法等を計画し、実行するもので、企業の支援方法として金銭的援助、情報提供などがある。
② 社員の能力や必要性に応じて教えることができるが、知識の体系的取得が難しい。
③ 実施方法には、社員が自主的に参加する研究会やインターネットによる自学・自習などがある。
④ 社内外の専門家から知識や情報を得ることができるだけでなく、社員の一体感の醸成にも効果的である。
⑤ 他の企業でも広く使える一般能力に対して、その企業でのみ使える特殊能力を、社員が身につけるために最も有効な教育訓練方法である。

正解と解説

【正解④】

OFF-JTは業務時間内における、業務外(OJT)の教育訓練方法です。

①自己啓発
②OJT
③自己啓発
⑤OJT

I-1-12 ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に関する法律や制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 次世代育成支援対策推進法では、行動計画を策定した企業のうち、一定の基準を満たした企業は、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けることができる。
② いわゆる育児・介護休業法では3 要介護状態にある家族を労働者が介護するため、対象家族l 人につき一定日数までの介護休業を、分割して取得することができる。
③ いわゆる若者雇用促進法では、若者の雇用管理の状況などが優良な、一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣の認定を受けることができる。
④ いわゆる男女雇用機会均等法では、職場に事実上生じている男女間の格差を是正するために、募集・採用や配置・昇進で男性又は女性を有利に取り扱う措置を講じることができる。
⑤ いわゆる女性活躍推進法では、行動計画を策定した企業のうち、一定の基準を満たした優良な企業は、厚生労働大臣の認定を受けることができる。

正解と解説

【正解④】

特例として女性の優遇が認められる場合があります(法第8条)

職場に事実上生じている男女間の格差を是正して、男女の均等な機会・待遇を実質的に確保するために、事業主が、女性のみを対象とするまたは女性を有利に取り扱う措置(ポジティブ・アクション)は法違反とはなりません。

④中の「男性又は」は誤りです。

I-1-13 リーダーシップ理論

リーダーシップに関する理論として、リーダーシップを指示的行動と協労的行動という2 つの軸で論じ、最適な効果を生むリーダーシップは部下の成熟度によって異なるという考え方がある。部下の成熟度を「未成熟」、「やや未成熟」、「やや成熟」、「成熟」という4 段階に分類したときに、第2 段階である「やや未成熟」な部下に対するリーダーの対応として、最も適切なものはどれか。

① 仕事に関してこちらの考えを説明し、疑問があればそれに答えるなど双方向のコミュニケーションを行う。
② 仕事遂行の責任は部下に委ね、ゆるやかに監督する。
③ 仕事上での自由裁量や自律性を高め、意思決定を部下とともに行う。
④ 仕事の手順や進め方などをOJT も含め指導し、監督する。
⑤ 早く仕事を覚えさせて自信を持たせ、仕事仲間であるという安心感を与える。

正解と解説

【正解①】

SL理論に関する出題です。

「やや未成熟」な部下に対しては、説得型リーダーシップを採用します。

②成熟⇒委任型リーダーシップを採用する
③やや成熟⇒参加型リーダーシップを採用する
④⑤未成熟⇒教示型リーダーシップを採用する

I-1-14 就労状況

「平成29 年版労働経済の分析」(労働経済白書)における我が国の就労状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 平成28 年の正規雇用労働者数は、前年に比べ減少している。
② 平成28 年の男女別就業率をリーマンショック前の平成19 年と比較すると、55 歳以上では男女とも就業率が上昇している。一方、25~54 歳の就業率は男性では上昇し、女性では低下している。
③ 65 歳以上の高齢者の就業状況に着目すると、平成28 年の非正規雇用者数は前年に比べ増加しているものの正規雇用者数は減少している。
④ 日本で働く外国人の労働者については、これまで増加傾向がみられていたが、平成27 年以降は減少傾向に転じている。
⑤ 障害者の雇用者数は、平成28 年まで10 年以上連続で前年を上回り過去最高を更新している。

正解と解説

【正解⑤】

「労働経済の分析」を引用した就労状況に関する問題は、たびたび出題されています。

①正規雇用労働者数は増加しています。
②22~54歳の就業率は、男女ともに増加しています。

③正規雇用者数も増加しています。

④外国人労働者数は増加しています。

I-1-15 人事評価の制度設計

人事評価の制度設計に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 人事評価を絶対評価で行う場合、評価要素が本来従業員の働きぶりを示すものとしては不適切な内容を含んでいたり、評価要素が細分化され評価項目数が多くなり過ぎてしまったりして、正確な評価ができないことがある。
② 人事評価を相対評価で行う場合、グループ内での相対的順位や位置づけを考慮するため、評価対象者の評価に他者の結果が影響する。また比較対象となるグループのメンバー次第で、評価対象者の相対的位置が上下してしまうことがある。
③ 評価の信頼性を高めるためには評価者訓練が効果的である。評価者訓練においては、評価を行う意義と目的をしっかりと説明する必要があり、また、評価の際に介入しやすいバイアスの存在を知らせることも大切である。
④ 人事評価の評価分野には、能力評価、情意評価、成果評価などがあり、それぞれ従業員のランク別に評価基準を設定する。一般的に、上位ランクになるほど能力評価や情意評価が、成果評価より重視される。
⑤ 目標管理による評価制度では、一般的に、会社の経営戦略や経営方針が示された後、各部門の管理者が部門ごとの方針、目標などを決定し、その後に個人の目標を設定する、というように上位組織から順に目標が決定される。

正解と解説

【正解④】

上位ランクほど、成果評価が重視されます。

I-1-16 労働基準法

労働基準法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、ここでいう労使協定とは「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」である。

① 使用者は、労働時間が6 時間を超える場合は45 分以上、8 時間を超える場合は1 時間以上の休憩を与えなければならない。また、少なくとも毎週1 日の休日か、4 週間を通じて4 日以上の休日を与えなければならない。
② 労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められる。なお、時間外労働時間には限度が設けられている。
③ 変形労働時間制は、労使協定又は就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1 週間当たりの労働時聞が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度である。
④ フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労使協定により、一定期間を平均し1 週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業、終業時刻を労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度である。
⑤ 使用者は、雇入れ日から起算して、6 ヶ月継続勤務し全労働日の8 割以上出動した労働者に対して、継続し、又は分割した10 労働日の有給休暇を与えなければならない。なお、いわゆる育児・介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間は出動したものとはみなさない。

正解と解説

【正解⑤】

「育児・介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間は出動したものとはみなさない。」は誤りです。出勤したものとみなします。

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