平成30年度 択一式問題 過去問題 安全管理

I-1-25 リスクマネジメント 原則及び指針

「JIS Q 31000 リスクマネジメント-原則及び指針」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① リスクは、被害の大きさと発生確率により定義されるものである。
② リスク対応には、「リスク回避」、「ある機会の追求のためのリスクの増加」,「リスク源の除去」、「起こりやすさの変更」、「結果の変更」、「他者とリスクの共有」、「リスク保有」を含むことがある。
③ リスク対応が、新たなリスクを生み出したり、既存のリスクを修正したりすることがある。
④ リスクアセスメントとは、「リスク特定」,「リスク分析」及び「リスク評価」のプロセス全体である。
⑤ リスクマネジメントとは、リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動である。

正解と解説

【正解①】

リスクは「目的に対する不確かさの影響」で定義されます。

「被害の大きさと発生確率」は、リスクの大きさの定義です。

I-1-26 農薬使用

住宅地内の公園、街路樹等(農地を除く。)における農薬使用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 病害虫被害が発見された場合は、農薬使用を控え、被害を受けた部分の努定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応した。
② 病害虫の発生を予防するため、いくつかの異なる農薬を現地で混合して使用した。
③ 農薬を使用した年月日、場所及び対象植物、使用した農薬の種類等を記録し、それを一定期間保管した。
④ 農薬散布に当たっては事前に近隣住民等に十分な時間的余裕をもって周知するとともに、立て看板の表示や立入制限範囲の設定等の措置を行った。
⑤ 農薬の散布後に、周辺住民から体調不良の相談があったので、農薬中毒症状に詳しい病院等の相談窓口等を紹介した。

正解と解説

【正解②】

複数の薬剤を混ぜて使うことを「混用」と言います。薬剤の相性によっては混用できない組み合わせもあり、環境省・農林水産省によって現地混用は推奨されていません。

I-1-27 消防法で定める防火管理者

消防法で定める防火管理者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ここでいう「所轄消防署長等」とは、所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。)又は消防署長のことである。

① 防火対象物等の管理権原者が防火管理者を定めたときは、遅滞なく所轄消防署長等に届け出なければならない。
② 防火管理者は権原を有するものの指示を受けて、防火管理に係る消防計画を作成しなければならないが、所轄消防署長等への届け出の必要はない。
③ 防火管理者の責務は火災に関する消防活動であり、地震等の自然災害は対象外である。
④ 大学又は高等専門学校卒業生であれば、特段の資格がなくとも、防火管理者になることができる。
⑤ 多数の人が利用し、管理権原者が複数となっている大規模・高層の防火対象物では統括防火管理者の選任が好ましい。

正解と解説

【正解①】

②消防計画を作成すると、所轄消防署長等に届けなければなりません。
③地震などの自然災害も防火管理者の管理対象内です。
④「大学又は高等専門学校卒業生」であっても、公衆無しに防火管理者になることはできません。
防火管理者として選任されるには,各事業所の管理的又は監督的な地位にある人で、防火管 理に関する知識及び技能を有していることが必要です。 一般的には「防火管理講習」を受講し て資格を取得する必要があり、2日間の講習を受けて取得する「甲種防火管理者」と1日の講 習を受けて取得する「乙種防火管理者」の資格があります。
⑤統括防火管理者の専任は義務です。「好ましい」は誤りです。

I-1-28 未熟練労働者の安全衛生管理

製造業における経験3 年未満の未熟練労働者の安全衛生管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお記述は、厚生労働省調べによる平成26 年までのデータを基にしている。

① 休業4 日以上の死傷災害における未熟練労働者の占める割合は、増加傾向にある。
② 未熟練労働者の労働災害を事故の型別で見ると約3 割が挟まれ、巻き込まれである。
③ 労働安全衛生法では雇い入れ時の安全衛生教育が推奨されている。
④ 安全衛生教育は繰り返し実施し、身に付けさせることが重要である。
⑤ 未熟練労働者に対する安全の第一歩は、職場にはさまざまな危険があるということをよく理解させ、危険に対する意識を高めることである。

正解と解説

【正解③】

雇い入れ時の安全衛生教育は「義務」です。「推奨されている」は誤りです。

I -1 -29 労働災害指標

厚生労働省:平成28 年労働災害動向調査及び労働災害統計における全産業の労働災害発生状況は、度数率1.6、強度率0.10、年千人率2.2 である。ある事業所は、従業員数200 名、年間平均労働時間は1,700 時間であるが、労働災害による死傷者数は2 名、労働災害のために失われた労働損失日数は20 日であった。この事業所の労働災害の状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 度数率、強度率、年千人率のすべてにおいて全産業の値を上回っている。
② 度数率、強度率は全産業の値を上回っているが、年千人率は下回っている。
③ 度数率、年千人率は全産業の値を上回っているが、強度率は下回っている。
④ 度数率、強度率は全産業の値を下回っているが、年千人率は上回っている。
⑤ 度数率、年千人率は全産業の値を下回っているが、強度卒は上回っている。

正解と解説

【正解③】

度数率、強度率、年千人率の定義に従って計算します。

度数率=労災死傷者数÷延実労働時間数×1 000 000
           =2÷(200×1 700)×1 000 000
           =5.88 >1.66
強度率=延労働損失日数÷延実労働時間数×1 000
           =20÷(200×1 700)×1 000
           =0.059 < 0.10
年千人率=年間死傷者数÷年間平均労働者数×1,000
              =2÷200×1 000
              =10 < 2.2

I-1-30 安全やコンブライアンスに関わる制度

以下の安全やコンブライアンスに関わる制度等と、その設立や制定に先立って発生した関連する事故・不祥事等の組合せのうち、最も不適切なものはどれか。なお、制度等の名称は通称が含まれている。また、事故・不祥事等の括弧内は、その案件が発生あるいは公表されるなどして明らかとなった時期である。
① 制度等:製造物責任法、事故不祥事等:自動車会社におけるリコール隠し(2000 年)
② 制度等:業務の適性を確保するための体制(いわゆる内部統制システム)、事故不祥事等:銀行海外支店における巨額損失事件(1995 年)
③ 制度等:食品安全委員会、事故不祥事等:BSE の発生(2001 年)
④ 制度等:官製談合防止法、事故不祥事等:自治体における農業土木談合事件(2000 年)
⑤ 制度等:医療事故調査制度、事故不祥事等:大学付属病院における患者取り違え(1999 年)

正解と解説

【正解①】

製造物責任法の制定は1994年で、「自動車会社におけるリコール隠し」(2000年)より前に制定されているため①は誤りです。

I-1-31 自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン

テストドライバーが運転者席に乗車して実施する自動走行システムの公道実証実験について、警察庁より「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」が示されている。次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 一定の条件を満たせば、場所や時間にかかわらず、公道実証実験を行うことは現行法上でも可能である。
② テストドライバーは、運転免許は要求されないが、緊急時等に安全を確保できるよう実験車両の操作に習熟する必要がある。
③ テストドライバーは、自動走行システムを用いて走行している間、常に、ハンドル等の操作装置を把持している必要がある。
④ 自動走行システムの自動車は、通常のものに比べ事故を起こす可能性がかなり小さいと見込まれるため、実施主体は自動車損害賠償保険や任意保険に加入する必要はない。
⑤ 交通事故又は交通違反が発生した場合には、テストドライバーではなく、実施主体が運転者としての責任を負う。

正解と解説

【正解①】

「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」からの出題です。

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I-1-32 防災情報や避難行動

防災情報や避難行動に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 災害時にとるべき避難行動については、市町村長は地域の居住者等に避難勧告や避難指示をすることができるが、避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている。
② 平成28 年の台風10 号による岩手県岩泉町の高齢者施設における被災を踏まえて、「避難準備情報」の名称が「避難準備・高齢者等避難開始」に変更された。
③ 災害対策基本法においては、1 つの市町村の区域を越えて住民が避難する場合の市町村聞の協議の手続は定められていない。
④ 記録的短時間大雨情報は、大雨警報発表の有無にかかわらず、その地域にとって災害の発生に繋がる、数年に一度しか発生しないような短時間の大雨が今後予測される場合に発表される。
⑤ 土砂災害の危険性の理解を深め、土砂災害警戒区域の指定を促進するため、都道府県により基礎調査が実施されているが、その結果の公表の要否は市町村長によって判断されている。

正解と解説

【正解②】

①「避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている」は誤りです。あらかじめ指定されています。
③市町村間の協議の手続は定められています。
④記録的短時間大雨情報は「数年に1度しか降らないような危険な雨が降っていて、災害の危険性が高まっているよ!」と警戒を呼び掛ける情報です。発表される基準となる雨量は県ごとにことなりますが、だいたい100ミリ前後の猛烈な雨です。雨量基準を満たし、かつ、大雨警報発表中に発表されます。

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