I-1-33 SDGs 実施指針改定版
SDGs 実施指針改定版(令和元年に改定された我が国の持続可能な開発目標(SDGs) 実施指針)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① SDGs 実施指針改定版は、 SDGs 推進の中長期的な国家戦略として、 SDGs に係る国内外における最新の動向を踏まえ日本の取組の方向性を示すものである。
② 我が国では、 SDGs を浸透させるため、「ジャパンSDGs アワード」や「SDGs 未来都市」の選定を通じた活動の「見える化」など、広報・啓発に努めている。
③ SDGs を達成するための取組を実施するに際しては、 SDGs が経済、社会、環境の三側面を含むものであること、及びこれらの相互関連性を意識することが重要である。
④ 主なステークホルダーの1 つとして取り上げられている「新しい公共」とは、共通の地域課題の解決を目指す複数の地方公共団体の連携組織の総称である。
⑤ SDGs の認知度は年々向上しており、特に10 代・20 代での向上が顕著である。
正解と解説
【正解④】
新しい公共とは、地域の住民やNPOが主体となり公共サービスを提供する社会、現象、または考え方のことです。
I-1-34 国内エネルギー動向
エネルギー白書2020 (令和元年度エネルギーに関する年次報告)における国内エネルギー動向に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ここでは、エネルギー自給率とは一次エネルギーの国内供給に対する国内産出の割合をいい、原子力は国内産出のエネルギーとする。
① 産業部門のうち製造業におけるエネルギー消費については、第一次石油ショック当時と比べ、経済成長に伴う生産量の増加により、 2018 年度では大きく増加している。
② 家庭部門・運輸部門におけるエネルギー消費については、第一次石油ショック当時と比べ、エネルギー利用機器や自動車などの省エネルギー化が進んだことから、 2018 年度も同程度の水準にとどまっている。
③ 1990 年から2017 年までの実質GDP 当たりのエネルギー消費については、 日本はOECD 加盟国の平均を上回る水準で推移している。
④ 2017 年の一次エネルギー国内供給の化石エネルギーヘの依存度については、 日本はアメリカ、中国、フランスに比べ低い水準にある。
⑤ 2018 年度の我が国のエネルギー自給率は概ね1 割程度であり、主に石炭や水力など国内の天然資源に依存していた1960 年度より大幅に低下した。
正解と解説
【正解⑤】
「エネルギー白書2020」からの出題です (概要版には網羅されておらず、本文からの出題)。
① 経済成 長する中でも製造業を中心に省エネルギー化が進んでいます (P103)
② 家庭部門・運輸部門ともに、エネルギー消費は増加しています。
③ 平均を下回る水準で推移しています。
④ 原子力を中心としたフランスや風力、太陽光の導入を積極的に進めているドイツなどと比べると依然として高い水準です。
I-1-35 生物多様性の保全
生物多様性の保全に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、法律名、条約名、議定書名は、略称を用いている場合がある。
① 生物多様性国家戦略は、生物多様性条約及び生物多様性基本法に基づく、生物多様性保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な計画である。
② 生物の多様性の保全及び持続可能な利用は、地球温暖化が生物の多様性に深刻な影響を及ぼすおそれがあるとともに、生物の多様性の保全及び持続可能な利用は地球温暖化の防止等に資するとの認識の下に行われなければならない。
③ 生物多様性条約は生物の多様性を包括的に保全するための国際的な枠組みであり、その締結後それを補完するために、希少種や特定の地域の生物種の保護を目的としたワシントン条約や国際的に重要な湿地に関するラムサール条約などが締結された。
④ 名古屋議定書は、遺伝資源の取得の機会とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分の着実な実施を確保するための手続を定めている。
⑤ カルタヘナ議定書は、遺伝子組換え生物等が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するための措置を規定している。
正解と解説
【正解③】
生物多様性条約の発効は1993年、ラムサール条約は1971 年制定、1975年発効、ワシントン条約は1973 年に採択されました。生物多様性条約発効前にラムサール条約とワシントン条約は発効されており、補完するために発効されたわけではありません。
I-1-36 第四次循環型社会形成推進基本計画
第四次循環型社会形成推進基本計画に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 物質フローの3 つの断面である「入口」、「循環」、「出口」のそれぞれを代表する指標とそれらの数値目標が設定されている。
② 大規模災害時に発生する災害廃棄物の処理が大きな課題となっていることなどから、万全な災害廃棄物処理体制の構築に関する取組指標として、地方公共団体の災害廃棄物処理計画の策定率が代表指標とされた。
③ 国民は、自らも廃棄物等の排出者であり、環境負荷を与えその責任を有している一方で、循環型社会づくりの担い手でもあることを自覚して行動することが求められる。
④ 金融機関や投資家には、循環型社会づくりに取り組む企業・NPO や、循環型社会づくりにつながるプロジェクト等に対して、的確に資金供給することなどが期待される。
⑤ リデュース、リユース、リサイクルのうち、リサイクルは、リデュース、リユースに比べて優先順位が高いものの、取組が遅れている。
正解と解説
【正解⑤】
3Rの優先順位は、リデュース、リユース、リサイクルの順番です。最も優先度が低いリサイクルの取り組みが進んでいます。
I-1-37 公害関連法
公害関連法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 大気汚染防止法による規制の対象には、工場から大気中への水銀の排出も含まれる。
② 騒音規制法の対象には、新幹線鉄道騒音も含まれる。
③ 水質汚濁防止法による規制の対象には、工場から地下への水の浸透も含まれる。
④ 土壌汚染対策法の対象となる土壌の特定有害物質には、自然由来のものも含まれる。
⑤ ダイオキシン類対策特別措置法による規制の対象には、工場から公共用水域へ排出される水も含まれる。
正解と解説
【正解②】
騒音規制法に、航空機騒音、新幹線鉄道騒音は含まれません。
I-1-38 環境政策の実施に係る7 つの手法
第五次環境基本計画では、環境政策の実施に係る7 つの手法が示されている。そのうちの5 つの手法と各々の適用事例との組合せとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
① 直接規制的手法:大気汚染防止法によるばい煙の総量規制
② 枠組規制的手法:化学物質に関するPRTR 制度
③ 経済的手法 :税制優遇による財政的支援
④ 情報的手法 :エコマークなどの環境ラベル
⑤ 手続的手法 :再生可能エネルギーの固定価格買取制度
正解と解説
【正解⑤】
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」は経済的手法です。手続き的手法には、ISO14001などの環境マネジメントシステム、環境影響評価、戦略的環境影響評価などがあります。
I-1-39 環境アセスメント
環境影響評価法に基づく環境アセスメントにおいて、次の(ア) ~ (ウ)に該当する施設の組合せとして、最も適切なものはどれか。ただし、ここで事業とは、施設を新たに設置するものに限り、設置された施設の一部を改良するものは含めないものとする。
(ア)事業の規模に関わらず対象となるもの
(イ)事業の規模に応じて対象となる場合とならない場合があるもの
(ウ)事業の規模に関わらず対象とならないもの
ア | イ | ウ | |
---|---|---|---|
① | 高速自動車国道 | 林道 | 下水処理場 |
② | ダム | 放水路 | 堤防 |
③ | 新幹線鉄道 | 軌道 | 廃棄物最終処分場 |
④ | 飛行場 | 一般国道 | ゴルフ場 |
⑤ | 原子力発電所 | 風力発電所 | 太陽電池発電所 |
正解と解説
【正解①】
環境アセスメントの対象となる事業は、このように定められています。
対象事業 | 第一種事業 | 第二種事業 | |
(必ず環境アセスメントを行う事業) | (環境アセスメントが必要かどうかを個別に判断する事業) | ||
1 道路 | |||
高速自動車国道 | すべて | - | |
首都高速道路など | 4車線以上のもの | - | |
一般国道 | 4車線以上・10km以上 | 4車線以上・7.5km~10km | |
林道 | 幅員6.5m以上・20km以上 | 幅員6.5m以上・15km~20km | |
2 河川 | |||
ダム、堰 | 湛水面積100ha以上 | 湛水面積75ha~100ha | |
放水路、湖沼開発 | 土地改変面積100ha以上 | 土地改変面積75ha~100ha | |
3 鉄道 | |||
新幹線鉄道 | すべて | - | |
鉄道、軌道 | 長さ10km以上 | 長さ7.5km~10km | |
4 飛行場 | 滑走路長2,500m以上 | 滑走路長1,875m~2,500m | |
5 発電所 | |||
水力発電所 | 出力3万kW以上 | 出力2.25万kW~3万kW | |
火力発電所 | 出力15万kW以上 | 出力11.25万kW~15万kW | |
地熱発電所 | 出力1万kW以上 | 出力7,500kW~1万kW | |
原子力発電所 | すべて | - | |
太陽電池発電所 | 出力4万kW以上 | 出力3万kW~4万kW | |
風力発電所 | 出力5万kW 以上 | 出力3.75万kW~5万kW | |
6 廃棄物最終処分場 | 面積30ha以上 | 面積25ha~30ha | |
7 埋立て、干拓 | 面積50ha超 | 面積40ha~50ha | |
8 土地区画整理事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
9 新住宅市街地開発事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
10 工業団地造成事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
11 新都市基盤整備事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
12 流通業務団地造成事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
13 宅地の造成の事業(「宅地」には、住宅地、工場用地も含まれる) | |||
住宅・都市基盤整備機構 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
地域振興整備公団 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
○港湾計画 | 埋立・掘込み面積の合計300ha以上 | ||
港湾計画については、港湾環境アセスメントの対象になる。 |
I-1-40 環境教育
環境教育に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、以下において、 ESD とは「持続可能な開発のための教育」のことをいう。
① 環境基本法では、国は、環境の保全に関する教育及び学習の振興などのため、必要な措置を講ずるものとされている。
② 教育基本法では、生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うことが、教育の目標の1 つとして掲げられている。
③ いわゆる環境教育等促進法は、持続可能な社会の担い手育成の重要性に鑑み、様々な環境教育の場や機会のうち、専ら学校における環境教育を促進させることを目的とした法律である。
④ 高等学校における環境教育は、「地理歴史」、「公民」、「理科」、「保健体育」等の各教科や「総合的な学習の時間」などにおいて行われている。
⑤ ESD を国際的な立場から推進することを提唱したのは日本であり、現在では国際的な実施枠組みである「ESD for 2030」がユネスコで採択されている。
正解と解説
【正解③】
ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。
学校教育に限定されるものではありません。