I-1-25 労働災害 度数率
下表は、A~E の5 つの事業所における過去1 年間の労働災害に関するデー夕を示したものである。
労働災害の発生状況を評価する指標である度数率が0.50 未満となる事業所は、次のうちどれか。
表 事業所別の労働災害データ
事業所 | 労働災害による死傷者数 | 延べ実労働時間数 | 延べ労働損失日数 | 1 年間の平均労働者数 |
---|---|---|---|---|
A | 1 名 | 1,000,000 時間 | 80日 | 600名 |
B | 5名 | 11,000,000 時間 | 1,000日 | 4,800 名 |
C | 10名 | 18,000,000 時間 | 1,500 日 | 10,600 名 |
D | 20名 | 24,000,000 時間 | 3,800 日 | 11,000 名 |
E | 40名 | 54,000,000 時間 | 11,200 日 | 30,000 名 |
① A 事業所
②B 事業所
③C 事業所
④D 事業所
⑤E 事業所
正解と解説
【正解②】
労働災害指数には、度数率、強度率、年千人率という指標が使われます。
度数率 = (労働災害による死傷者数) ÷ (延べ実労働時間数) x 1,000,000
で定義されます。この式に基づいて、度数率を求めます。
事業所 | 労働災害による死傷者数 | 延べ実労働時間数 | 延べ労働損失日数 | 1 年間の平均労働者数 | 度数率 |
A | 1 名 | 1,000,000 時間 | 80日 | 600名 | 1.0 |
B | 5名 | 11,000,000 時間 | 1,000日 | 4,800 名 | 0.45 |
C | 10名 | 18,000,000 時間 | 1,500 日 | 10,600 名 | 0.56 |
D | 20名 | 24,000,000 時間 | 3,800 日 | 11,000 名 | 0.83 |
E | 40名 | 54,000,000 時間 | 11,200 日 | 30,000 名 | 0.74 |
I-1-26 労働災害
労働災害に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 不安全行動は、作業者の意図とは別に安全な作業ができなかったものと、意識的に手順等を守らず安全に作業をしなかったものとの2 つに大別できる。
② 労働災害が発生する原因には、労働者の不安全行動のほか、作業環境の欠陥等、機械や物の不安全状態があると考えられている。
③ 労働災害は、不安全行動と不安全状態が重なった場合に発生するケースが大部分を占める。
④ 稼働している設備・機械等が完全に自動化され、作業者がその場にいない場合でも、不安全状態が生じる可能性がある。
⑤ 労働災害は、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
正解と解説
【正解④】
作業者がいなければ不安全状態が生じることはありません。
I-1-27 国土強靭化基本法
いわゆる国土強靭化基本法(強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法)及び国土強靭化地域計画策定ガイドラインに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。ここでいう国土強靭化とは、大規模自然災害等に備えるため、事前防災・減災と迅速な復旧復興に資する施策を、まちづくり政策や産業政策も含めた総合的な取組として計画的に実施し、強靭な国づくり・地域づくりを推進するものである。
① 国土強靭化基本計画では、国民生活・国民経済に影響を及ぼすリスクとして、自然災害のほかに、原子力災害などの大規模事故等も含めたあらゆる事象を対象としている。
② 国土強靭化基本計画では、計画の対象とする国土強籾化に関する施策の分野と施策の策定に係る基本的な指針等の事項について定めている。
③ 国土強靭化においては、自助、共助、公助を適切に組み合わせることが求められる。
④ 国土強靭化においては、非常時に効果を発揮するのはもちろん、平時からの国土・土地利用や経済活動にも資する取組を推進する。
⑤ 国土強靭化型計画とは、地方公共団体の策定する国土強靭化計画であり、地方公共団体が策定する国土強靭化に係る他の計画等の指針となるべきものとされている。
正解と解説
【正解①】
国土強靱化基本計画(平成26年6月3日閣議決定)において、想定するリスクを次のように定義しています。
(1)想定するリスク
国民生活・国民経済に影響を及ぼすリスクとしては、自然災害の他に、原子力災害などの大規模事故やテロ等も含めたあらゆる事象が想定され得るが、南海トラフ地震、首都直下地震等が遠くない将来に発生する可能性があると予測されていること、大規模自然災害は一度発生すれば、国土の広域な範囲に甚大な被害をもたらすものとなることから、本計画においては、当面大規模自然災害を想定した評価を実施した。
I-1-28 システム安全工学手法
システム安全工学手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、FMEA、VTA、ETA、HAZOP、THERP は、それぞれ、Failure Mode And Effects Analysis、Variation Tree Analysis、Event Tree Analysis、Hazard and Operability Studies、Technique for Human Error Rate Prediction の略である。
① FMEA は、システムの構成要素に故障が生じるとしたらどのような故障が生じるか、そしてその故障によりシステム全体にどのような影響が生じるかを評価し、重点的にケアすべき要素を見出す手法である。
② VTA は、作業がすべて通常通りに進行していても事故は起こるという考え方を基礎とし、通常行われた操作や判断の妥当性を評価する手法である。
③ ETA は、二分樹で業務手順を表現することで、その業務手順で誤りが生じると、どのような事態が生じるかを整理する手法である。
④ HAZOP は、なし(no) ・多い(more) ・少ない(less) ・逆に(reverse) ・他の(other than)など、複数のガイドワードを用いて設計意図からの逸脱を同定していく手法である。
⑤ THERP は、タスク解析による作業ステップの分解、基本過誤率のあてはめや調整等の手順を経て、人間が起こすエラーの確率を予測する手法である。
正解と解説
【正解②】
「作業がすべて通常通りに進行していても事故は起こるという考え方を基礎とし」という説明が不適切です。
正しくは、「作業がすべて通常通りに進行していたら事故は起こらないという考え方」です。
I -1 -29 AI 利活用ガイドライン
AI ネットワーク社会推進会議によって示された「AI 利活用ガイドライン」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① AI は、利活用の過程でデータの学習等により自らの出力やプログラムを継続的に変化させる可能性があることから、開発者が留意することが期待される事項のみならず、利用者がAI の利活用において留意することが期待される事項も想定される。
② AI によりなされる判断は、事後的に精度が損なわれたり、低下することが想定され、それに伴う権利侵害の規模や頻度が予測困難であることから、精度に関する基準はあらかじめ定めず、権利侵害発生後速やかに定めることが期待される。
③ AI が連携することによって便益が増進することが期待されるが、AI がインターネッ卜等を通じて他のAI 等と接続・連携することにより制御不能となる等、AI がネットワーク化することによってリスクが惹起・増幅される可能性がある。
④ AI サービスプロバイダ等は、消費者的利用者にはAI により意思決定や感情が操作される可能性や、AI に過度に依存するリスクが存在することを踏まえ、必要な対策を講じることが期待される。
⑤ AI に用いられる学習アルゴリズムにより、AI の判断にバイアスが生じる可能性がある。特に、機械学習においては、一般的に、多数派がより尊重され、少数派が反映されにくい傾向にあり、この課題を回避するための方法が検討されている。
I-1-30 民法の一部を改正する法律
「民法の一部を改正する法律」が2020 年4 月に施行されたことにより、売主が引き渡した目的物が種類や品質の点で契約内容と異なっていたり、数量が不足していた場合(契約内容に適合していなかった場合)に、売主が負う責任に関するルールの見直し等がなされた。
買主は、下表のとおり、売主と買主のいずれに帰責事由があるかに応じて、売主に対し、損害賠償請求や契約の解除のほか、修補や代替物の引き渡しなど履行の追完を請求することや、代金の減額を請求することができることとなった。ただし、買主がこれらの請求をするためには、引き渡された商品が契約に適合していないことを知ってから1 年以内に、売主にその旨を通知する必要がある。
下表の(ア)~ (ウ)にあてはまる、「できる」「できない」の組合せとして、最も適切なものはどれか。
買主の救済方法 | 買主に帰責事由あり | 双方とも帰責事由なし | 売主に帰責事由あり |
---|---|---|---|
損害賠償 | できない | ア | できる |
解除 | できない | イ | できる |
追完請求 | できない | ウ | できる |
代金減額 | できない | できる | できる |
ア | イ | ウ | |
---|---|---|---|
① | できない | できる | できる |
② | できる | できる | できない |
③ | できない | できない | できる |
④ | できる | できない | できない |
⑤ | できない | できる | できない |
正解と解説
【正解①】
法務省パンフレットに、この件の記載があります。
ページ3参照
改正後の民法では、買主は、下の表のとおり、売主と買主のいずれに帰責事由があるかに応じて、売主に対し、損害賠償請求や解除のほか、修補や代替物の引渡しなど完全 な履行を請求することや、代金の減額を請求することができるようになりました。ただし、買主がこれらの請求をするためには、引き渡された商品が契約に適合していないことを知ってから一年以内に、売主にその旨を通知する必要があります。
改正後の民法は下表のとおりで、改正された箇所は赤色の部分です。
買主の救済方法 | 買主に帰責事由あり | 双方とも帰責事由なし | 売主に帰責事由あり |
---|---|---|---|
損害賠償 | できない | できない | できる |
解除 | できない | できる | できる |
追完請求 | できない | できる | できる |
代金減額 | できない | できる | できる |
I-1-31 労働安全衛生法
労働安全衛生法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。
② 機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者は、これらの物の設計、製造、輸入に際して、これらの物を使用するすべての事業所の労働者に対し、定期的に安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
③ 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。
④ 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るだけでなく、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
⑤ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画を策定しなければならない。
正解と解説
【正解②】
労働安全衛生法には「これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。」とありますが、教育に関する要求はありません。
I-1-32 JIS Q 31000:2019 リスクマネジメント指針
以下の文章は、「JIS Q 31000:2019 リスクマネジメント-指針」の序文の一部である。[ ]に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。
あらゆる業態及び規模の組織は、自らの目的達成の成否を不確かにする外部及び内部の要素並びに影響力に直面している。
リスクマネジメントは、反復して行うものであり、[ ア ]の決定、目的の達成及び十分な情報に基づいた決定に当たって組織を支援する。
リスクマネジメントは、組織統治及び[ イ ]の一部であり、あらゆるレベルで組織のマネジメントを行うことの基礎となる。リスクマネジメントは、[ ウ ]の改善に寄与する。
リスクマネジメントは、組織に関連する全ての活動の一部であり、[ エ ]とのやり取りを含む。
リスクマジメントは、人間の行動及び文化的要素を含めた組織の外部及び内部の状況を考慮するものである。
ア | イ | ウ | エ | |
---|---|---|---|---|
① | リーダーシップ | 戦略 | ステークホルダ | マネジメント システム |
② | 戦略 | マネジメント システム | リーダーシップ | ステークホルダ |
③ | マネジメント システム | ステークホルダ | 戦略 | リーダーシップ |
④ | 戦略 | リーダーシップ | マネジメント システム | ステークホルダ |
⑤ | リーダーシップ | ステークホルダ | 戦略 | マネジメント システム |
正解と解説
【正解④】
JIS Q 31000 の序文を引用した出題です。読んだことが無くても、文脈から正答を導き出せます。
他に、ISOに基づいたマネジメントシステムは ISO 9001などがあり、序文はほぼ同じ内容です。