寿命特性曲線(バスタブカーブ)|製品や機械の故障率と時間の関係

寿命特性曲線、またはバスタブカーブ(Bathtub Curve)は、製品や機械の故障率を時間の経過とともに示した曲線で、製品寿命の全体を3つの異なるフェーズに分けて表現します。この曲線の形がバスタブの形に似ていることから、バスタブカーブと呼ばれています。

バスタブカーブは、製品の故障率が時間と共に変化する様子を示し、製品の設計、製造、保守、廃棄までの期間における品質や信頼性を評価する際に使われます。以下にそれぞれのフェーズを説明します。

目次

バスタブカーブの構造と3つのフェーズ

初期故障期(Infant Mortality Period)

  • 特徴: 最初の段階で、故障率が高いが徐々に減少していく時期。
  • 原因: 製造不良、設計ミス、材料不良、組み立てミスなどが原因で、初期に不具合が発生する可能性が高い。
  • 対策: 初期故障を減らすために「バーンインテスト」や厳しい品質管理が行われることが多い。これにより、初期不良を市場に出る前に検出・排除する。
  • 期間: 製品が市場に出た直後の短期間(数週間から数ヶ月)。

偶発故障期(Useful Life Period)

  • 特徴: 故障率が安定して低く、製品が正常に動作している期間。この期間は製品が最も信頼性の高い状態であり、寿命の大部分を占めます。
  • 原因: 突発的な外部要因(環境の変化や誤操作)やランダムな要因で偶発的な故障が発生するが、全体的な故障率は低く安定している。
  • 対策: 定期的な保守や点検を行うことで、故障率をさらに低減し、信頼性を確保する。
  • 期間: 製品の使用可能な寿命の大部分を占める(数年から十数年)。

摩耗故障期(Wear-Out Period)

  • 特徴: 時間の経過とともに故障率が急激に上昇し、製品が物理的な限界に達し、劣化が進行する時期です。
  • 原因: 部品の摩耗、材料の劣化、疲労、腐食、潤滑の劣化などが原因で、故障が頻発する。
  • 対策: 予防保守(部品の交換やメンテナンス)や製品の廃棄・リプレースが行われる。寿命の予測を基に、計画的な更新が必要になる。
  • 期間: 使用後数年から十数年後に始まり、製品の終わりまで続く。

バスタブカーブのグラフ

  • 横軸: 時間(製品の使用期間)
  • 縦軸: 故障率

バスタブカーブは、以下のように3つの異なる故障率の変化を示す形になります:

  • 初期故障期: 高→低(故障率が減少)
  • 偶発故障期: 低く安定
  • 摩耗故障期: 低→高(故障率が増加)

バスタブカーブの活用

  • 品質保証: 製品の初期不良率を管理し、製品寿命を最大化するために活用されます。特に、初期故障を削減し、偶発故障期を長く維持するための施策が重要です。
  • 保守計画: 機械設備などでは、摩耗故障期に入る前に部品の交換や修理を行うことで、予防的に故障を回避することが可能です。
  • 信頼性設計: 製品寿命を延ばすために、製品設計時にこのカーブを考慮し、摩耗故障期を遅らせる設計や材料選定が行われます。

まとめ

バスタブカーブは、製品の寿命における故障率の変化を理解するための重要なツールであり、初期故障、偶発故障、摩耗故障の各段階に適切な対応をすることで、製品の信頼性を向上させることができます。特に、製品開発や保守の計画において、バスタブカーブを意識することが製品の品質を高める鍵となります。

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