サービス産業のGDPと就業者数| アメリカ・イギリスと比べる

言葉が一般的になりすぎて、「サービスの意味を明確に答えることは難しいのではないでしょうか。

こんな理解の方、多くないですか?

  • サービスって、「無料」って意味ですよね?
  • サービスって、サービス業。つまり接客業のことですよね?

まずは、Wikipediaの「サービス」の記事を掲載いたします。

サービス(英: service)あるいは用役(ようえき)、役務(えきむ)とは、経済用語において、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である。

また、サービスの概念に含まれる公共サービスは社会(国家、自治体や組合)がその費用を負担する役務のことである。資源やスキル、創意、経験などを活かし、提供者が消費者、市民などに提供する。

Wikipedia の説明

この説明から、
接客業に限定されないことがわかります。
また、「サービス」=「無料」という意味はありません。

実はサービス産業は第3次産業とも呼ばれ、日本のGDP、従業者の7割以上を占めています
日本はモノづくり国家、と思われていますが、実は製造業である第二次産業はGDPの30%以下にすぎません。

この記事で説明する内容!

  • 生産活動の分類
  • サービス産業の分類と概要
目次

産業(業種)は分類されている

まず、「産業」について説明します。

生活に必要な物的財貨および用役を生産する活動。 農林漁業、鉱業、製造業、建設業、運輸・通信、商業、金融・保険・不動産業などの総称。 2 生活していくための仕事。

webioから引用

つまり「産業」は、「業種」と理解して問題ありません。
総務省が、あらゆる生産活動を業種によって分類しています。
分類した産業・業種ごとに、定期的にGDP・就業者数、それらの推移を把握しています。

業種は20に分類されている

業種は次の20種類に分類され、近しい業種をまとめて、第一次産業、第二次産業、第三次産業と呼んでいます。

こんな20種類です

  1. A.農業,林業
  2. B.漁業
  3. C.鉱業,採石業,砂利採取業
  4. D,建設業
  5. E.製造業
  6. F.電気・ガス・熱供給・水道業
  7. G.情報通信業
  8. H.運輸業,郵便業
  9. I.卸売業,小売業
  10. J.金融業,保険業
  11. K.不動産業,物品賃貸業
  12. L.学術研究,専門・技術サービス業
  13. M.宿泊業,飲食サービス業
  14. N.生活関連サービス業,娯楽業
  15. O.教育,学習支援業
  16. P.医療,福祉
  17. Q.複合サービス事業
  18. R.サービス業(他に分類されないもの)
  19. S.公務(他に分類されるものを除く)
  20. T.分類不能の産業

産業分類はこんなの

産業名大分類業種
第一次産業  A、B 「農業」,「林業」,「漁業」
第二次産業C~F「鉱業」,「建設業」,「製造業」
第三次産業    G~R第一次産業、第二次産業に当てはまらない産業

サービス産業は12種類ある

ここでは、サービス産業の全12種類を説明します。

F.電気・ガス・熱供給・水道業

生活に必要なライフラインを供給する業種です。
東京電力、大阪ガス、といった企業があてはまります。

G.情報通信業

情報の伝達や処理、提供を行う業種です。
インターネットサービス企業、アニメーション制作会社、テレビ放送局、レコード会社などが当てはまります。
一般的に「メディア」と呼ばれる業種があてはまります。

H.運輸業,郵便業

ヒトやモノを運ぶことを生業としている業種です。
また、倉庫業や梱包業といった、運輸に関するサービスを提供している業種も含まれます。
タクシー会社、航空会社、鉄道会社、船会社があてはまります。

I.卸売業,小売業

卸売業は商品を業者に販売し、小売業は商品を消費者(エンドユーザー)に直接販売する業種です。
コンビニ、スーパー、ホームセンター、ウェブショップ、服屋などがあてはまります。

J.金融業,保険業

お金や保険に関するサービスを提供する業種です。
銀行、クレジットカード会社、質屋、保険会社、保険代理店などがあてはまります。

K.不動産業,物品賃貸業

不動産の売買・交換・賃貸・管理を行う業種、産業機械・事務用機器・自動車などの動産を賃貸する業種です。
不動産会社、リース会社、レンタカー会社、レンタルビデオショップなどがあてはまります。

L.学術研究,専門・技術サービス業

学術・開発研究を行う業種、専門知識・技術によって顧客のニーズを満たす業種です。
研究所、法律事務所、経営コンサルタント、建築設計事務所などがあてはまります。

M.宿泊業,飲食サービス業

宿泊を提供する業種、飲食を提供する業種です。
旅館、ホテル、リゾートクラブ、食堂、ファミリーレストラン、居酒屋などが当てはまります。
ナイトクラブ、持ち帰り・配達サービス業も含まれます。

N.生活関連サービス業,娯楽業

生活に関連するサービスを提供する業種、娯楽サービスを提供する業種です。
クリーニング店、美容院、銭湯、エステ、結婚相談所、映画館、劇場などがあてはまります。
どれも身近が業種ばかりです。

O.教育,学習支援業

教育・学習に関するサービスを提供する業種です。
幼稚園、高等学校といった学校教育、公民館、図書館、博物館、学習塾、習い事教室などがあてはまります。

P. 医療,福祉

医療、保健衛生、社会福祉、介護に関するサービスを提供する業種です。
病院、保育所、保健所、老人ホームなどがあてはまります。

保育所は「医療, 福祉」、幼稚園 は「教育,学習支援業」なんすね~

Q.複合サービス事業

郵便局、協同組合があてはまります。
協同組合には、農業協同組合、漁業協同組合、森林組合などがあります。

R.サービス業(他に分類されないもの)

廃棄物処理業、自動車整備業、機械修理業、職業紹介、派遣業、神社仏閣、経済団体、外国公館、などがあてはまります。
G~Qに含まれない業種なので多岐にわたります。

サービス産業の数字

ここでは、サービス産業に関する数字、つまりGDPと就業者数の推移を紹介します。
さらに、欧米諸国のGDPを紹介し、日本のGDPと比較します。

サービス業のGDPと就業者数の推移

GDPと就業者数のシェアの推移を、内閣府の資料から抜粋しました。

データが2010年までと古い資料ですが、大きなトレンドを見るには十分な資料です。

サービス産業が占めるGDPと就業者割合の推移を抜き出しました

 1970年1980年1990年2000年2010年
GDP割合47%56%58%66%71%
就業者数割合41%49%56%63%68%

GDP、就業者が占める割合は、年々増加しています。
ともに、70%を占めるほどです。

他国のサービス産業のシェア

欧米諸国の2010年におけるサービス産業のシェアを紹介します。
メリカ、イギリスにおいては80%に迫る勢いです。

 アメリカイギリスカナダスウェーデン
GDP割合79%78%71%71%

サービスの4つの特性

サービスの特徴についても簡単に触れておきます。

サービスには四つの特性があるとされています。
それが、
「無形性」「同時性」「消滅性」「異質性」
です。
それぞれの特性を病院(P. 医療、福祉)を例にして説明します。

無形性

「形がない」
医療行為自体には形がありません。

同時性

「生産と消費が同時に行われる」
問診や手術は、行われたと(生産)同時に、患者に提供(消費)されます。

消滅性

「サービスは提供されると、形に残らない」
治療された「結果」は残りますが、手術という行為は提供されると形には残りません。

異質性

「サービスを提供する人によって、質が異なる」
手術の巧拙、患者への説明の巧拙によって、患者が受ける印象は変わります。
つまり、医者(病院)によって、サービスの質が異なります。

まとめ

この記事では、業種の分類、サービス産業の種類と数字について解説しました。
日本経済を盛り上げるためには、

GDP・就業者数が約70%を占めるサービス産業の質を上げることが欠かせない

ということが理解できたのではないでしょうか。

あなたの身の回りにも「サービス」は溢れています。
ここで紹介した、「サービスの4特性」を考えてみると面白いですよ!

興味を持った初心者には、こちらがオススメです

縦書きで、サービスマネジメントの基本的な内容がわかりやすく解説されてますよ~

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