インプット指標、アウトプット指標、アウトカム指標は、政策・施策の評価に用いる指標です。
- インプット:事業活動などを行うために使う資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のことです。
- アウトプット:事業を実施した(プロセス)結果、数字や記述で表される状態のことです。
- アウトカム:アウトプットが生じたことで、その因果の連鎖の結果、事業対象(受益者等) やその周囲にもたらされる便益や変化です。これらには知識・行動・態度・スキルなどの変化(短期あるいは直接アウトカム)から個人の行動変容、周囲・社会の変化 (長期あるいは最終アウトカム)までが含まれます。つまり、アウトカムには複数の項目が考えられます。
指標を用いる理由
指標とは、原則として数値で設定・測定する定量的なものです。
数値指標を使う理由は、次の3つがあげられます。
- 客観的な表現可能
- 比較、加工が容易
- 明確でわかりやすい
政策・施策の評価は,客観的かつ公平である必要があります。
言葉やイメージだけで的確な評価を行うことはできないため、各施策の目的,意図を明確にはっきりと表現し,成果をとらえられる「指標」と「目標値」を「数値」で設定することで、過去実績・他組織と比較し、適正な評価を可能とします。
この一連の流れは次のように表せます。
インプット指標:投入した資源
計画していた事業を実施する
アウトプット指標:事業活動の結果を表す指標
アウトカム指標:事業活動の成果を表す指標
アウトプットとアウトカムを混同しないようにしましょう。
指標例
インプット指標 | プロセス (施策) | アウトプット指標 | アウトカム指標 |
---|---|---|---|
看板費用 職員投入費用 | 公園での喫煙者ゼロ | 看板設置率 (%) | 違反者数 (人) |
警察官投入費用 | 引ったくりゼロ | パトロール回数 (回) | 犯罪発生件数 (件) |
事業費用 保育士確保費用 | 待機児童ゼロ | 受け入れ可能数 (人) | 待機児童数 (人) |
あなたの自治体の政策をこの観点で見直してみてはどうでしょうか?
本来、アウトカム指標まで評価すべきところを”アウトプット指標”までの評価で終わっている場合がほとんどではないでしょうか。
「なぜ公園での喫煙者をゼロにしたいのか」という検討が欠けています。
公園から一歩外から出ると喫煙可能ですし、歩道でも喫煙できます。
本来のあるべき施策は、「公共の場所での子供の受動喫煙ゼロ」としてはどうでしょうか。
それぞれの指標が変わってきます。
「アウトカム指標」=「待機児童数」ですが、「待機児童」の定義次第では評価は違ってきます。
- 住んでいる地域の保育所に入れなかったが、隣の保育所には入れた
- 無認可保育所には入れた
- 入園可能保育園がないため、祖父母が面倒を見てくれることになった
- 両親は外で働き、子供が家で一人で生活している
1~4では状況が全く異なります。
その施策の本当の目的を明確にし、それをアウトカム指標として設定して実施計画を立てて実施・評価・改善しなければ、本来の目的達成が蔑ろにされてしまいます。
ISO 9001における「顧客満足度」の計測、そしてマネジメント•システムへのフィードバックが無ければ改善は望めません。組織が良いと思い込んでいる、独りよがりのアウトプットしか生み出されません。
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