マクレランドの欲求理論は、アメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドが1976年に提唱したモチベーション理論の一つです。
働いている従業員には、「達成欲求(動機)」「親和欲求(動機)」「権力欲求(動機)」の三つの動機・欲求が存在しているという理論です。これらの欲求は個人的体験から後天的に獲得し、人によって欲求の強さに差があり、各欲求の強さによって、仕事への適性が以下のようになるとされています。
1.達成欲求(nAch : need for achievement)
ある一定の標準に対して、達成し成功しようと努力する
2.権力欲求(nPow : need for power)
他の人々に、何らかの働きかけがなければ起こらない行動をさせたいという欲求
3.親和欲求(nAff : need for affiliation)
友好的かつ密接な対人関係を結びたい、という欲求
達成欲求
達成要求が強い人は自分の力で目標を達成することを好みます。成功の報酬よりも、自身がそれを成し遂げたいという欲求から努力をします。マクレランドは、達成動機(欲求)の高い人は、より良い成績を上げたいという願望の点で他の欲求とは異なっていることを発見し、これは後にコンピテンシー理論として大きく発展していきます。
高い達成動機(欲求)をもつ人の特徴
- 個人の成長に最大の関心があるため、何事も自分の手でやることを望む
- 中程度のリスクを好む
- 自分が行ったことの結果へに対し、迅速なフィードバックを欲しがる
一般的に、仕事の評価が高く昇進しやすいですが、部下の教育に対して興味は低く、仕事を任せることも苦手なため、管理職にはあまり向いていないと言えます。
権力欲求
権力欲求が強い人は強力な権限を持ち、人をコントロールすることを好みます。
権力欲求が強い人の特徴
- 責任を与えられることを楽しむ
- 他者から働きかけられるよりも、他者をコントロールしすることを好む
- リスクを好み、地位や身分を重視する状況を好む
親和欲求
親和欲求が強い人は競争よりも協力を好みます。
強い親和欲求をもつ人の特徴
- 他者からよく見てもらいたい、好かれたいという願望が強い
- 心理的な緊張状況には一人では耐えられなくなる傾向がある
管理職としては部下との関係を良好に保つことが得意で比較的向いていると言えますが、関係が壊れることを恐れて批判的な評価を伝えることを苦手としています。
さいごに
自分がリーダーの場合、組織メンバーの欲求が3つのどれに当てはまるのかを理解した上で業務を割り振ることで、チームの生産性を上げ、メンバーのモチベーションを維持することができます。
後に、マクレランドは4番目の動機(欲求)として、失敗や困難な状況を回避しようという回避動機(欲求)という概念も追加し、4種類の動機説を提唱しました。
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