特性要因図(Cause and Effect Diagram)、または魚の骨図(Fishbone Diagram)とも呼ばれる手法は、問題や結果に対して影響を与える要因を整理し、原因を分析するためのツールです。主に品質管理や問題解決の場面で使用され、問題の根本原因を探る際に非常に有効です。この図は、問題(結果)を魚の頭に、要因を魚の骨のように見える形で表すことから「魚の骨図」とも呼ばれます。
目次
特性要因図の目的
- 問題の原因を視覚的に整理するための手法。
- 問題や不具合の根本原因を明確にし、解決策の検討を行う際に役立つ。
- チームでブレインストーミングを行い、問題の複数の要因を特定する助けとなる。
特性要因図の構造
図の中心には「問題」や「結果」が書かれ、それに向かって様々な要因が枝分かれしていく形で描かれます。主な要因としては、「5M」と呼ばれる5つのカテゴリを使って分類することが多いです。
5Mのカテゴリ(製造業でよく使われる要因)
- Man(人): 作業者、従業員のスキルや訓練不足、コミュニケーション不足など
- Machine(設備): 機械や設備の不具合、メンテナンス不足、機器の選定ミスなど
- Material(材料): 使用している材料の品質問題、不適切な材料の使用など
- Method(方法): 作業手順やプロセスの不備、標準作業手順の欠如など
- Measurement(測定): 測定機器の誤差、計測方法の不正確さなど
また、サービス業やソフトウェア開発などの他の分野では、以下の要因を追加することもあります。
- Environment(環境): 作業環境、天候、外部環境の影響
- Management(管理): マネジメントのサポート不足、方針の不備など
特性要因図の作成手順
- 問題の明確化: 最初に、解決したい「問題」や「結果」を図の右側に明確に記載します。
- 主な原因の特定: 5Mや適切な要因をカテゴリとして左側に配置し、それぞれのカテゴリからの主な原因を大きな枝として描きます。
- 要因の詳細化: それぞれの原因について、さらに詳細な要因をブレインストーミングで洗い出し、枝分かれさせます。
- 原因の分析: 図に描かれた要因を分析し、どの要因が問題に最も大きな影響を与えているかを特定します。
- 解決策の検討: 根本原因が特定できたら、その解決策を考えます。
特性要因図の例
例: 製品の不良率が高い場合の特性要因図
- 問題: 製品不良率の増加
- 要因の例
- Man(人): 作業者のスキル不足、訓練が不十分、新人作業員のミス
- Machine(設備): 設備の老朽化、定期メンテナンス不足、設定ミス
- Material(材料): 材料の品質低下、不良材料の混入、材料の選定ミス
- Method(方法): 標準作業手順書が不明確、不適切な作業手順
- Measurement(測定): 測定機器の精度不足、誤差が大きい、校正ミス
- Environment(環境): 温度や湿度が影響、作業環境が過酷
特性要因図の留意点
- 多くの視点から原因を検討することが重要です。一部の要因だけに注目すると根本的な原因を見落とす可能性があるため、幅広く要因を考えることが必要です。
- 原因を深掘りするためには、単なる表面的な要因に留まらず、原因の原因を探る「なぜなぜ分析」などの手法を併用することも有効です。
- 定量的なデータも活用し、特定した要因が実際に問題にどれだけの影響を与えているかを検証します。
まとめ
特性要因図は、問題の原因を整理し、根本的な解決策を導き出すための強力なツールです。特に品質管理や製造業で頻繁に使用されますが、サービス業やプロジェクトマネジメントでも応用が可能です。問題が複雑な場合でも、視覚的に要因を整理することで、効果的な解決策を見つける手助けになります。
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