安全性|賃貸借照表の分析

安全性指標は、企業の財務状態がどれだけ安定しているか、特に債務に対する支払い能力や資金繰りの健全性を評価するために使用されます。以下では、主要な安全性指標である流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合率、自己資本比率、負債比率について説明し、それぞれの具体例を示します。

目次

流動比率・当座比率

流動比率(Current Ratio)

  • 定義:流動比率は、企業が短期的な負債(流動負債)をどれだけ流動資産でカバーできるかを示す指標です。一般に、流動比率が100%以上であれば、短期的な支払い能力があるとされます。
  • 計算式
    流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100(%)

具体例

ある企業が流動資産1億円、流動負債6,000万円の場合、流動比率は次のように計算されます:

  • 流動比率 = 1億円 / 6,000万円 × 100 = 166.67%
  • 解釈:流動比率が166.67%であるため、企業は短期負債の支払いに対し十分な流動資産を持っていることになります。

当座比率(Quick Ratio)

  • 定義:当座比率は、流動資産のうち、最も換金性が高い資産(現金や売掛金など)で流動負債をどれだけカバーできるかを示す指標です。棚卸資産はすぐには現金化できないため、当座資産に含まれません。当座比率は、短期的な支払い能力をより厳密に測る指標です。
  • 計算式
    当座比率 = 当座資産(現金+売掛金など)/ 流動負債 × 100(%)

具体例

流動資産1億円のうち、現金が4,000万円、売掛金が3,000万円、流動負債が6,000万円の場合:

  • 当座比率 = (4,000万円 + 3,000万円)/ 6,000万円 × 100 = 116.67%
  • 解釈:当座比率が116.67%であるため、即座に現金化できる資産で流動負債を十分にカバーできることを示しています。

固定比率・固定長期適合率

固定比率(Fixed Ratio)

  • 定義:固定比率は、企業の固定資産を自己資本でどれだけ賄っているかを示す指標です。固定比率が100%未満であれば、自己資本で固定資産を全額賄っていることになります。固定資産への過剰投資を抑えるために、固定比率は低い方が望ましいとされます。
  • 計算式
    固定比率 = 固定資産 / 自己資本 × 100(%)

具体例

固定資産が5,000万円、自己資本が1億円の場合:

  • 固定比率 = 5,000万円 / 1億円 × 100 = 50%
  • 解釈:固定比率が50%であるため、自己資本で固定資産を十分にカバーできていることを示しています。

固定長期適合率(Fixed Long-term Asset Coverage Ratio)

  • 定義:固定長期適合率は、固定資産が自己資本と長期負債の合計でどれだけ賄われているかを示す指標です。長期負債を含めることで、固定資産が長期の安定資金で賄われているかを評価します。
  • 計算式
    固定長期適合率 = 固定資産 / (自己資本+長期負債) × 100(%)

具体例

固定資産が5,000万円、自己資本が7,000万円、長期負債が3,000万円の場合:

  • 固定長期適合率 = 5,000万円 / (7,000万円 + 3,000万円)× 100 = 50%
  • 解釈:固定長期適合率が50%であるため、固定資産は十分に自己資本と長期資金で賄われていることを示します。

自己資本比率・負債比率

自己資本比率(Equity Ratio)

  • 定義:自己資本比率は、企業が全体の資産のうちどれだけ自己資本で賄っているかを示す指標です。この比率が高いほど財務の安定性が高いとされます。
  • 計算式
    自己資本比率 = 自己資本 / 総資産 × 100(%)

具体例

自己資本が7,000万円、総資産が1億円の場合:

  • 自己資本比率 = 7,000万円 / 1億円 × 100 = 70%
  • 解釈:自己資本比率が70%であるため、企業の資産の大部分が自己資本で賄われており、財務の安定性が高いことを示しています。

負債比率(Debt to Equity Ratio)

  • 定義:負債比率は、企業がどれだけ自己資本に対して負債を抱えているかを示す指標です。この比率が低いほど、借入金に依存せず、財務の健全性が高いとされます。
  • 計算式
    負債比率 = 負債 / 自己資本 × 100(%)

具体例

負債が5,000万円、自己資本が1億円の場合:

  • 負債比率 = 5,000万円 / 1億円 × 100 = 50%
  • 解釈:負債比率が50%であるため、自己資本に対して負債が少なく、財務の安定性が高いことを示します。

まとめ

安全性指標は、企業が健全に経営されているかを評価する重要な指標です。特に短期的な支払い能力や固定資産の安定した資金源、自己資本の割合などを見極めることで、企業の財務体質を客観的に評価できます。

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