選択科目 IIIでは、
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
に関する問題が出題されます。
これだけでは試験内容の想像がつきにくいので、
この記事では、
概念、出題内容、評価項目を説明します。
選択科目 IIIの内容
令和元年度からは概念と出題内容、評価項目が公表され、出題意図が理解しやすくなりました。
概念 | 社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力 |
出題内容 | 社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として、「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い、多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して、その遂行方策について提示できるかを問う。 |
評価項目 | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各項目 |
平成30年度までの試験と同様の問題が出題されています。
「選択科目」に関するトピックス、時事問題などに日ごろからアンテナを張り巡らせていれば、おのずと出題される問題を予測できるはずです。
そのためにも、過去問題を使って、出題されたテーマを分析しておきましょう。
また、キーワードを通して周辺知識を整理すれば、どのような問題が出題されるのかが見えてくると思います。
予測したテーマに対して、自分の意見を準備する癖をつけておくと、試験本番で焦ることも少なくなるでしょう。
各設問で問われている内容
各設問で問われている内容は、技術部門によらずパターン化されています。
ここでは、そのパターンついて説明いたします。
設問1: 課題抽出
出題されたテーマに対して、
- 技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ
- 技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ
この設問を言い換えると、
- 多面的な観点
- 課題抽出
- 分析 or 観点とともに内容を示す
という3点を記述することが求められています。
多面的と問われている場合、3つの観点以上から挙げるべきでしょう。
4つ以上となると内容が薄くなる、もしくは紙面が足りなくなる可能性があります。
全体のバランスをみて個数を決めましょう。
設問2 : 解決策
設問1で挙げた課題の中からもっとも重要と考える課題を挙げ、その課題に対する複数の解決策を提示します。
解決策数は、具体的に「3つ示せ」と指定していることもああります。
設問に「複数」とあれば解決策を3つ挙げるのが無難でしょう。
設問3 : 新たに生じるリスク、波及効果への対応策
設問2で挙げた解決策を全て実施した結果、どのような影響が生じるのかが問われます。
- 新たに生じるリスクとそれへの対策
- 生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策
設問3で問われているポイントは、新たに生じるリスク、波及効果、懸念事項です。
プロジェクト・マネジメントに含まれるリスク・マネジメント分野の残留リスク (または、残存リスク、残余リスク、リスクエクスポージャーとも呼ぶ)に相当します。
設問のまとめと考え方
選択問題III では、3つの設問が出題されます。
その流れをまとめると次のようになります。
設問3の解答を意識して設問1の解答を考えることで、スムーズな論文作成につなげられます。
つまり、自信をもって設問3に解答できるよう、設問1のリスク・課題を選択することが合格には欠かせません。
各設問の記述配分
必須科目(I)の解答は、解答用紙3枚が割り当てられています。各設問につき1枚で解答すればよいでしょう。
問題 Iから設問4の技術者倫理問題がなくなったわけです。
問題 Iは技術部門全体から、一方、問題III は選択科目全体から出題されます。
受験生の専門性が高い分野に関する問いであるため、設問III のみで解答用紙1枚を埋めることは難しくないでしょう。
評価項目の資質能力 (コンピテンシー)
評価項目とされている資質能力の定義と、対応する設問番号を記載いたします。
資質能力と設問を1対1で理解することで、設問が求めている意味をより簡単に理解できると思います。
専門的学識 (全設問)
・技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な,技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
・技術士の業務に必要な,我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
問題解決 (設問 1, 2)
・業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,調査し,これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。(設問 1)
・複合的な問題に関して,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで,複数の選択肢を提起し,これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。(設問 2)
評価 (設問 3)
・業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。
コミュニケーション (全設問)
・業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
・海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り強調すること。
まとめ
この記事では、技術士二次試験 筆記試験、選択科目IIIの問題と設問の考え方について説明しました。
この考えをもとに論文作成のトレーニングを重ねましょう。
論文作成上達の道は、「書いて添削」しかありません。
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