マーケティング分析

マーケティングから得られたデータを適切に分析し、その結果を経営指標などと比較・評価・改善することで、より戦略的にマーケティングを実施できます。
ここでは、代表的な分析手法として、SWOT分析、3C分析、4P分析と7P分析、4C分析、5フォース分析、PPM、STP分析、RFM分析を紹介します。

目次

SWOT分析

組織の外的環境に潜むOpportunity(機会)、Threat(脅威)を検討・考慮したうえで、組織が内部に持つStrengths(強み)とWeakness(弱み)を分析し、経営戦略、マーケティングの意思決定に活用する手法です。外的要因と内的要因には、次のようなポイントがあります。

外的要因: 競合,法律、市場トレンド
内的要因: 自社の経営資源が他社と比べて優れているか否か

留意点は、「強み」と「弱み」のどちらかに内部環境を分類するのが難しい場合があることです。また、相対的に分析するため、時間の推移とともに内容が変化することもあります。評価者の主観によるため、SWOT分析の結果は、定性的な分析の一つと捉える必要があります。

3C分析

Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの「C」について分析する方法で、事業計画やマーケティング戦略決定に活用する手法です。

それぞれの分析ポイントは次の通りです。

市場分析のポイント
自社の製品やサービスを、購買する意志や能力のある潜在顧客を把握する。具体的には、市場規模(潜在顧客の数、地域構成など)や市場の成長性、ニーズ、購買決定プロセス、購買決定者といった観点で分析する。
競合分析のポイント
競争状況や競争相手について把握する。特に、競争相手からいかに市場を奪うか(守るか)という視点を持ち、寡占度(競合の数)、参入障壁、競合の戦略、経営資源や構造上の強みと弱み(営業人員数、生産能力など)、競合のパフォーマンス(売上高、市場シェア、利益、顧客数など)に着目する。競合との比較は、自社の相対的な強みや弱みの抽出にも役立つ。
自社分析のポイント
自社の経営資源や企業活動について、定性的・定量的に把握する。具体的には、売上高、市場シェア、収益性、ブランドイメージ、技術力、組織スキル、人的資源などを分析する。また、付加価値を生み出す機能や、コスト・ドライバーにも着目する。自社の現状への理解を深めるためにSWOT分析も有用。

4P分析 & 7P分析

自社で販売する製品やサービスの販売を拡大するために使用する分析手法です。4P分析は販売戦略のための分析手法で、どのような商品・サービスを、いくらで、どの市場で、どのような販売方法で売るのかを組み合わせたものです。
新商品を市場にローンチする際、既存製品の売れ行きが怪しいとき、販売促進するために使われます。
さらにサービスの視点を考慮した3Pもあり、併せて7P分析と呼びます。


4PのProduct、Price、Place、Promotion の分析着眼ポイントは次の通りです。

Product(商品・製品)
自社の商品や製品について、顧客ニーズを満たしているか、競合他社と比較してデザインや機能は魅力的かを分析します。製品技術の棚卸やオプション機能追加の検討、商品のサポート体制の強化など、競争力が高まるようアイデアを出します。

Price(価格)
顧客ニーズや商品の機能などに合わせた適切な価格になっているか分析が必要。競合他社が少ないマーケットにおいて強気な価格設定をしたとしても、製品・サービスと見合っていれば受け入れられるかもしれないが、大手企業がシェア率の多くを占める場合同じ価格では参入が難しいことがあります。その場合、追加オプションやサポート体制の強化、ポイント付与など付加価値をつけた価格で販売する必要があります。製品の質に釣り合わない値段設定は、顧客の満足度や信頼の低下にもつながるので注意が必要となります。

Place(立地・流通)
顧客が商品を購入する場所や流通を分析します。顧客層によって立地や流通方法が大きく変わります。若い世代向けの商品なら、スマホで注文できるインターネット販売が要となり、シニア世代ならアクセスのいい場所にある店舗での販売が重要となります。

Promotion(広告・宣伝)
消費者の購買行動を促すかが鍵です。顧客のニーズに訴え、認知度を上げて購買欲求を高める必要があります。現代では、企業がSNSを運用して顧客とコミュニケーションを取りながら販売するスタイルが広まっています。会社のブランドや商品イメージを崩さないよう、顧客層に合わせた広告・宣伝の手法を検討することが重要。


続いて、サービスの3PであるPersonnel、Process、Physical Evidenceの分析着眼ポイントは次の通りです。

Personnel
自社のビジネス環境において、従業員、関係者、協力会社等までを含めた顧客にサービスを提供する全ての要員を指します。顧客にとってサービスの提供者が自社の社員なのか協力会社の従業員かは関係ありません。よって、どの人員においても自社の管理下において顧客に満足されるようなサービスを提供しなければなりません。

Process
顧客にサービスを提供する様々な方法を指します。ハイクオリティーなサービスを提供するためには、カスタマーセンター等ではCRMの改善や効率化が求められます。また、支払い方法の改善のためには販売プロセスを見直していく必要があるといった例があります。

Physical Evidence
建物、備 品、設備、景観、音、臭い、ユニフォーム、パ ンフレットといった、物的・物理的な要因が作り出すサービス生産の「場」の条件にあてはまるものを指します。

4C分析

4Pに相当する着眼ポイントを、顧客側の視点に立って分析する手法です。
顧客のニーズから購買行動が始まるマーケットインの考え方と言えます。
4Pと4Cの対応関係は、次の通りです。

•Customer value:顧客価値                        Product

•Cost:顧客が支払う金額                           Price

•Communication:関係性を構築する         Promotion

•Convenience:利便性                               Place

5Forces分析

市場・顧客(Customer)の分析手法で、業界内での自社の優位性を分析する手法です。5つの「力」は、次の表のとおりです。

買い手の交渉力
購入してくれる顧客。買い手が独占的な状態にあるか、他社製品に乗り換えしやすいか

売り手の交渉力
仕入れ先。仕入れ先の企業や業界が自社に及ぼす影響を整理する

業界内の競争
どのような競合が存在しているか、競合にはどんな工夫や戦略があるか

新規参入の脅威
参入障壁の高さ、新規参入者の存在を整理する。

代替品の脅威
既存商品、サービスと同様のニーズをさらに高いコスパで満たせるモデルを創出可能か分析。

5つの力関係について分析し、市場での競争力を高めるための手段を見出します。
例えば、3C分析で明らかになった競合他社と自社との力関係を分析し(業界内の競争)、4P分析で検討した代替品が出てこないかを分析する(代替品の脅威)というように活用します。

PPM プロダクトポートフォリオマネジメント

戦略的観点から経営資源の配分が最も効率的・効果的となる製品・事業の組み合わせを決定するための経営分析手法です。
経営資源の制約条件下での活用が前提となるため、キャッシュフローの観点よりも資金を生む事業への資金投入計画に活用します。
成長率(高 or低)と占有率(高 or低)の観点から4象限に自社の商品を分類し、それぞれの象限に応じたマーケティング戦略を立てます。4象限とその戦略は次の通りです。

  • 花形:成長期事業、シェアが高い。市場成長に合わせた投資
  • 金の生る木:投資不要。他事業の資金源
  • 問題児:シェアが小さいため収益性が低い。シェア拡大のための資金投資が必要
  • 負け犬:早期の撤退

STP分析

セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の頭文字をとって名付けられました。

S 市場を特定の変数でセグメンテーション
T: セグメンテーションされた市場から魅力的な市場をターゲティング
P: ターゲットとした市場での自社の立ち位置を明確にする

Industry2.0で活用された顧客志向の分析手法です。

RFM分析

RFM分析は、「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」これら3つの指標を用いて顧客をグループに分け、それぞれの顧客層に対してマーケティングを行う手法です。「R・F・M」は、3つの指標の頭文字から取られています。

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