この記事だけでわかる、PEライセンス取得までの全プロセス

“PE”は、プロフェッショナル・エンジニア (Professional Engineer)の略語で、
アメリカの各州が州ごとに設けているエンジニアの公的免許です。

詳細はこちらの記事で紹介しました

この記事では、プロフェッショナル・エンジニアになるため (PEライセンス取得) の流れを説明します。

目次

取得の流れ

PEライセンスは、2つの試験に合格する必要があります。

  • 一次試験:ファンダメンタル・オブ・エンジニアリング試験(FE試験)
  • 二次試験:プリンシプル・アンド・プラクティス・オブ・エンジニアリング試験 (PE試験)

試験問題は、全米試験協議会(NCEES)が作成します。
州が問題作成に関与しないことで、州間での公平性、平等性を保持しています。

NCEESが試験を実施し、日本では内閣府認定の特別非営利活動法人JPEC(日本PE・FE試験協議会)が試験を行ってきました。

PE試験を受験するためにはFE試験に合格する必要があります。
現在では、FE試験、PE試験すべての科目がCBT(コンピューター試験)となりました。

JPECとは

まずJPECについて説明しておきます。
JPECは,

・日本語では、”日本PE・FE試験協議会”
・JPEC = Japan PE/FE Examiners Council

を意味しています。
全米試験協議会(NCEES/ National Council of Examiners for Engineering and Surveying)との協定に基づき、日本在住者向けに米国PE/FE試験を実施しています。

具体的には、アメリカ本国のNCEESに受験申込前のスクリーン作業として、
日本在住のPE・FE試験受験希望者が、試験の受験資格を満たしているか否か
を行っています。

FE試験の仕組み

ここでは、FE試験の要領と受験申し込みプロセスを紹介します。

受験要領

受験資格日本、若しくは米国の4年制工学系大学卒業者(卒業見込み者も含む)
取得学位の英文名称がBachelor of EngineeringまたはBachelor of Science in Engineeringであること 日本または米国の年金番号を持っていること
試験方式・2014年以降は、CBT(コンピューター試験)
・選択問題 110問
科目以下の7科目から選択する。
・Chemical
・Civil
・Electrical & Computer
・Environmental
・Industrial & Systems
・Mechanical
・Other Disciplines
試験時間・5時間55分(ガイダンスがあるため実質5時間20分)
・問題半分といたところで各自で休憩。休憩をとると、前の問題には戻れないので注意すること
試験日年間を通じて任意の日
試験地Pearson VUEテストセンター 東京と大阪
受験料出願料 一般22,000円, 学生17,000円 受験料 200 USD
申込方法郵送(JPECへの受験許可申請) ⇒ WEB(NCEESへの受験申請)
合格基準およそ、60%以上の正答率
(試験の難易度により変化)

受験までのプロセス

STEP
My NCEESのアカウント作成

アカウント作成は無料なので、受験を検討した段階で作成してしまいましょう。

STEP
JPECへの出願
STEP
My NCEESから登録
STEP
Pearson VUE から試験会場予約
STEP
受験!!
STEP
合否確認

受験後1週間前後、My NCEESから結果を確認できます。

My NCEES登録

必ず願書を提出した後に発行される受験許可書を受け取ってから、Web登録を行うようお願い致します。

引用: JPEC ホームぺージ

と、JPECのホームページに記載されていますが、事前にアカウント作成しても全く問題ありません

NCEES
NCEESホームページ

むしろ、アカウント作成までは受験を検討したらすぐに完了させておくべきです。
なぜならアカウント作成することで、公式カンニング本”FE Reference Handbook”もダウンロードできるようになります。
この本は、実際の試験中も参照可能です。
素早く参照できるように構成、章立てを把握しておきましょう。

ただし、試験会場の予約は受験許可書を受領してからにしましょう。

JPECから受験許可が下りなかったら、支払った受験料は無効になってしまいます。
そして、FE試験の受験許可書を受け取った方は、速やかに試験会場の予約しましょう。
受験可能な期間は、FE試験受験要領に示されている受験予定期間にかかわらず、My NCEESから受験料を支払ってから1年間です。
受験料の支払いから1年が経過すると、受験料が無効になってしまいます。

Pearson VUE受験申込

FE試験はコンピューターによる試験ですので、会場が空いていればいつでも受験できます。
NCEESのサイトからPearson VUEへのリンクを通じて申し込みます。

CBT(ComputerBased Test)の試験場 (PearsonVUE)での 注意事項

下記のリンクから、Pearson VUE での注意事項動画を確認できます。
[Computer Based Test Experience] Youtube

PE試験

受験要領

受験資格FE試験合格者
試験方式2021年から全部門CBT(コンピューター試験)
試験時間9 or 9.5時間 (実質8 or 8.5時間) 80 or 85問
試験日部門によって、頻度・時期は異なる。
最低でも、年に1度は開催される。
試験地Pearson VUEテストセンター 東京、大阪
受験料出願料 35,000円 受験料 400 USD
申込方法郵送+WEB
合格基準およそ、60%以上の正答率
(試験の難易度により変化)

2017年11月より、PE試験の受験資格としての4年間の実務経験が不要となりました。
よって、FE試験合格後すぐにでも受験可能です。

ただし、州へのPE登録には実務経験が要求されるので、PE試験合格しても実経験がなければ登録のステップには進めません。

受験までのプロセス

STEP
JPECへの出願
STEP
My NCEESから登録
STEP
Pearson VUE から試験会場予約
STEP
受験!!
STEP
合否確認

受験後1週間程度後、My NCEESから結果を確認できます。
メールでも連絡があります。

CBT受験要領とPearson VUE受験申込

FE試験合格者ですので、すでにMy NCEESのアカウントはありますよね。
My NCEESからの試験登録、Pearson VUE受験申込はFE試験と同じです。

注意事項も同じです。

JPECから受験許可が下りなかったら、支払った受験料は無効になってしまいます!!

試験場で使用できる電卓

試験会場で使用できる電卓は種類が制限されています。

試験場で使用できる電卓

  • Hewlett Packard:HP33s,HP35s
  • Texas Instruments:TI‐30X,TI-36Xの表記のある機種
  • Casio:fx-115,fx‐991表記のある機種

カシオは日本メーカーですが、上記の電卓型番は輸出仕様のため日本での入手は困難です。
Amazonから並行輸入品として購入できますが、割高のためオススメしません。
日本での試験では、次のカシオ製品の使用がNCEESから認められています。

日本の試験会場で特別使用できる電卓

Casio
fx‐570, fx‐912, fx‐915, fx‐993, fx‐995の表記のある機種
fx-JP700,fx-JP900

使用できる電卓は予告なしに変更されるため、必ず、NCEESのサイトを確認してください。

電卓を忘れてしまってもPC上で操作可能な電卓ソフトを使えます。
しかし、使用方法が慣れていなければ操作に手間取ってしまうため、絶対に忘れないようにしましょう。

私が使用した電卓

使わない機能も多いので、こだわりが無い方はもっと安い電卓でも問題ありません。

試験用でしたら、こちらもオススメです!!

PEライセンスの登録

PE試験合格後、米国の州にPE登録ステップに進めます。

NCEES はPE登録のための最低3要件(3E = Education, Experience, Exams)を示しています。

PE登録 最低3要件

・Education: EAC/ABET-accredited program に沿った教育課程卒業

・Experience: 4年以上の実務経験

・Exams: PE試験合格

PE登録の手引き

PE登録までのプロセスは次の通りです。
PEライセンス登録の最大の難関はこのプロセスです!
これに比べると、FE試験・PE試験合格は、とても低いハードルです。

STEP
PE試験に合格する
STEP
登録希望する州の候補先を決める
STEP
州資格登録局が求める登録要件を確認する
STEP
登録申請を行う

業務経験、学歴、PEによる推薦状の審査などが行われます。
要件は州ごとに異なります。
そもそも、米国在住者しか登録を認めない州もあります。

STEP
登録完了!!

Professional Engineer(PE)として認められ、国際便で登録証が届きます。

STEP

注意

PEライセンス登録時の注意点

州資格登録局では、申請者の学歴、業務経験、推薦状などの審査を行います。
このため、

PE試験に合格しても、学歴不的確 (出身大学の課程が米国ABETの基準を満たしていない。単位不足) などの要件不足から登録拒否されることがあります。

そして、PE試験と、各州へのPE登録は全く別物です。
日本でのPE試験の受験要件は緩やかになっています。
(昔は、日本で受験するためにも、PEによる推薦状が必要でした)

PE試験合格 = PE登録、ではありません

学生時代に受講した科目のシラバスを英訳してNCEESに送付し、単位数と授業内容がABETの基準を満たしていることをNCEESが審査します。

登録後、推薦状の注意点

  • PE試験合格者は、米国のいずれかの州に登録して初めて「PE」を名乗ることができます。合格しただけでPEと名乗って業務を行うことは州法違反になる場合があります。
  • 実務経験内容等を評価するため、通常 5人の推薦状が必要です。
    推薦状は誰でもよいわけではなく、PEによる推薦状の数が決まっています。
    州によっては米国PEに加えて日本の技術士の推薦状で代替可能な場合もあります。

まとめ

この記事の要点

  • 一次試験としてFE試験、二次試験としてPE試験がある
  • PE試験受験資格はFE試験合格者、とみなしてよい
    (FE試験合格者=工学系大学出身であるため)
  • PE登録要件は3つ。州によって細かい規定がある
  • PE登録作業は、PE試験合格よりも大変!!
  • PE試験合格しても、登録できないこともある

PEライセンス取得までは、集中して取り組めば短期間で完了します。
しかし、PE登録が最大の難関ということもあり、PE試験合格から10年経ってもライセンス取得に至らないこともあります。

合格しても気を抜かず、PE登録まで走り抜けましょう!!

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