PE試験は大きく16分野、さらに土木は5分野、電気・コンピューターは3分野、機械は3分野に細分化され、合計24分野に分けられています。
この記事では部門ごとにオススメ参考書を紹介したいのですが、
- 分野が細分化されている
- 2021年に全部門がCBT(コンピューター試験)となったばかり
という状況です。なので、
- 全分野共通の参考図書
- 全分野共通の勉強方法
- Civil, Mechanical, Electricalは、追加のオススメ参考図書
について説明いたします。
- PE試験受験を考えている方
- PE試験用の参考書を探している方
全分野共通の参考図書
分野に問わず、必須参考図書が2つあります
- NCEES PE Reference Handbook
- NCEES PE Practice Exam
(注) NCEESとは全米試験協議会(NCEES/ National Council of Examiners for Engineering and Surveying)で、FE・PE試験問題の作成、管理を行っている機関です。
NCEES PE Reference Handbook
NCEESのアカウントがあれば、NCEESホームページから無料でダウンロード可能です。
Reference Handbookの電子ファイルは、試験中も参照可能です。
大改定はあまりありませんが、高頻度で改定されているので、こまめに最新版を確認しましょう。
ただし、次の3分野のReference Handbookは無料配布しておらず、それぞれの技術協会か米国アマゾンから購入する必要があります。
- PE Mining and Mineral Processing Reference Handbook 0.0 – refer to the SME Mining Reference Handbook, 2nd edition (available from SME)
- PE Naval Architecture and Marine Engineering Reference Handbook 1.0 (available from SNAME)
- PE Petroleum Reference Handbook 0.0 SPE Petroleum Engineering Certification and PE License Exam Reference Guide (available from SPE)
NCEES PE Practice Exam
NCEESが発行している公式問題集です。
NCEESからはPDF形式のみ販売されており、米国Amazonでは紙で購入可能です。
過去問題集ではないし、全く同じ問題は出題されません
次の2分野の公式問題集は販売されていません。
- Naval Architecture and Marine Engineering 船舶・海洋工学
- Petroleum 石油
習熟レベル・分野問わず、Reference Handbook とPE Practice Examは全受験生にとって必須の2冊です。
制限時間内にミスなく回答できるまで繰り返し解きましょう。
PPI社出版の参考図書
PPI社は1975年に Michael R. Lindeburg, PEによって設立された会社です。
FE・PE試験対策の参考図書を多数出版しています。
全分野はカバーされておらず、出版されている分野は次のリストの通りです。
分野名(英語) | 分野 (日本語) | 有無 |
---|---|---|
Agricultural and Biological Engineering | 農業・生物工学 | 無し |
Architectural Engineering | 建築 | 無し |
Chemical | 化学 | 有り |
Civil | 土木(建設、地盤、構造、交通、水資源) | 有り |
Control Systems | 計装制御 | 有り |
Electrical and Computer | 電気・コンピューター (計算機工学、電気電子通信、電力) | 有り |
Environmental | 環境 | 有り |
Fire Protection | 防火 | 有り |
Industrial and Systems | 生産工学 | 有り |
Mechanical | 機械(空調、機械設計・材料、熱・流体) | 有り |
Metallurgical and Materials | 金属・材料 | 有り |
Mining and Mineral Processing | 鉱山 | 無し |
Naval Architecture and Marine Engineering | 船舶・海洋工学 | 無し |
Nuclear | 原子力 | 有り |
Petroleum | 石油 | 無し |
Structural | 構造 *2023年現在、日本では試験が実施されていません。 | 有り |
Reference Manualは網羅性があるため試験後も活用できるでしょう。
ただし、使用には注意が必要です。
- CBT移行後に改定が無い図書は難易度が高すぎることがある。
特にマイナー部門 (Civil, Mechanical以外)は注意が必要 - メジャー部門であっても、本試験よりも難易度が高い。
- 「完璧の完璧」を目指す方にはオススメ
という理由から、購入しても使いこなせない受験生が多いです。
ただ、威圧感のある厚さと英語の背表紙から、本棚や会社の机に並べると「できる奴」感を演出できます。
シビル、電気、機械分野の追加参考図書
シビル、電気、機械分野の追加参考図書を紹介します。
Civil
アマゾンでも購入可能な、PE Prepared LLCシリーズがおすすめです。
- Civil PE Practice Exam: Breadth Exam Version A
- Civil PE Practice Exam: Breadth Exam Version B
- Civil PE Practice Exam: Breadth Exam Version C
- Civil PE Practice Exam: Water Resources Depth Exam Version A
- Civil PE Practice Exam: Water Resources Depth Exam Version B
- Civil PE Practice Exam: Construction Depth Exam Version A
- Civil PE Practice Exam: Geotechnical Depth Exam Version A
- Civil PE Practice Exam: California Civil Seismic Principles Version A
- Civil PE Practice Exam: Transportation Depth Version A
本試験と同レベルの問題で構成され、ほぼ同じ問題も出題されるため、問題演習には最適です。
共通 (Breadth:①~③) と、建設、地盤、構造、交通、水資源 (④以降)の全5分野販売されています。
2023年の合格者が教えてくれました。「ちょうどよい難しさ」と評判
Mechanical
Engineering Pro Guidesの書籍がオススメです。
テキスト、模擬試験(Full Exam)が出版されています。この2冊で、基本知識は身につくと思います。
Electrical-Power
Mechanical 同様、Engineering Pro Guidesの書籍がオススメです。
テキストと模擬試験(Full Exam)が出版されています。
特徴的な問題集が” Electrical PE Power Exam 3 – Codes Exam”です。
これは、NEC, NESC といったコードを参照する問題に特化した問題集です。
使い方をマスターしたいコードブック
- NEC NFPA70
必須のコードブックです。繰り返し問題を解くと、参照する表のパターンがわかってきます。
問題文のキーワード⇒ テーブル番号
を覚えたほうが効率的です。 - NESC 2017
準必須のコードブックです。
分野共通アドバイス
- PE 試験は SI 単位ではなく USC単位での出題問題が多いです。
練習問題は US 単位を使って解くことで、US単位に慣れるようにしておきましょう。
いちいち SI 単位に換算すると時間を取られるのでお勧めしません。
US⇔SI 単位の換算を暗記できるとベストです。 - よく使う重要な公式は、試験中に探さなくてもよいよう、ある程度は暗記しましょう。
- 練習問題を繰り返し解くことで、US単位の換算は早くなり、重要な公式は覚えてしまうでしょう。
- 試験問題を解くうえで、参照しなければならない資料(Reference Book以外でも)があれば、試験中も電子形式で参照できます。
使いこなせるよう、練習問題を繰り返し解きましょう(特に、電気、Fire protection) - CBT(コンピュータ試験)対策として、普段の勉強でも使用する参考書は Reference Hand Book のみを使用して問題を解き、どこに、何が書いてあり、どのようなワードで検索したら良いかを意識しましょう。
勉強方法は繰り返し問題を解くこと
受験者の英語レベルと基礎レベルによって、必要な勉強時間や力を入れて強化すべき箇所が変わってきます。
英語のままスラスラ試験問題を読んで内容を理解できなければ合格は難しいでしょう。
「日本語なら簡単に解けるのに」という問題も出題されますが、専門用語を理解できないだけで正答から遠のいてしまいます。また、時間が足りなくなる可能性も高くなります。
一方、それなりの英語力と理科系大学レベルの基礎学力があれば、
この準備だけで合格できます。
Civil、Mechanical、Electricalといったメジャー部門を受験する方は、学生時代にその分野の勉強をし、入社した会社でも専攻分野に近い業務に従事している方がほとんどでしょう。
そのような方は、「大学4年間以上(院なら6年、博士なら9年)かけて築いた系統立てた知識」がベースにあり、その知識を実務で応用していることで「課題を解決する」ノウハウが蓄積されているはずです。
(PE試験は、実務に近い問題が出題されます)
Civil, Chemical, Mechanical, Fire Protection, Electrical, Control Systemの友人は、上記の2冊だけで合格しました
難しいのはマイナー部門です
例えば、”Industrial and Systems”は、日本では「経営工学」に近い分野の試験です。
「学生時代に経営工学を専攻してPEを志す」という方は少ないでしょう。
一方、「専攻は機械だが、実務で”Industrial and Systems”に近い業務に従事している」と、いうような方も多いでしょう。
そのような場合、「系統立てた知識体系を学ぶところからスタート」しなければなりません。
また、そのような部門に限って、参考書や問題集の発行数が少ないのです。
繰り返し問題を解くだけでは合格は難しいので、基礎学力・知識をつけるところから始めましょう。
PE試験準備用の講習が、アメリカの様々なサイトで開催されていますが、いずれもそれなりのお値段(10万円前後)です。
まとめ
FE試験よりもPE 試験の方が勉強する範囲が狭いため、取り組みやすいという意見もあります。
「PE試験はFE試験よりも難しい」と思い込まず、FE試験に合格したらすぐにPE試験の受験に取り組みましょう。
大事なことは、
です。
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