セグメント別会計でセグメント別に業績評価を行う手順は、企業が異なる事業部門や地域ごとのパフォーマンスを正確に把握し、それに基づいて意思決定を行うためのプロセスです。この手順は、複数の事業を展開する企業にとって、リソース配分や戦略策定に欠かせない重要なプロセスです。以下に具体的な手順と具体例を基に説明します。
目次
手順1:セグメントの特定
まず、企業は自社の事業をいくつかのセグメントに分けます。このセグメントは、一般的に「事業部門」または「地域」に基づいて設定されます。
具体例:
ソニーの場合、主な事業セグメントとして以下が挙げられます。
- ゲーム事業(PlayStationなどの製品)
- エレクトロニクス事業(テレビ、カメラなど)
- 音楽・映画事業(音楽配信、映画制作)
手順2:セグメントごとの財務データの収集
各セグメントごとに、売上、営業利益、資産などの主要な財務指標を収集します。これにより、各セグメントのパフォーマンスを測定できるようになります。
具体例:
- ゲーム事業:売上高2兆円、営業利益3,000億円、資産5000億円
- エレクトロニクス事業:売上高3兆円、営業利益1,000億円、資産6000億円
- 音楽・映画事業:売上高1兆円、営業利益500億円、資産2000億円
手順3:セグメントごとのパフォーマンス評価
次に、各セグメントのパフォーマンスを評価するために、さまざまな指標を使用します。代表的な指標には、売上成長率、営業利益率、ROA(総資産利益率)などがあります。
具体例:
- ゲーム事業:営業利益率 = (3,000億円 ÷ 2兆円) = 15%
- エレクトロニクス事業:営業利益率 = (1,000億円 ÷ 3兆円) = 3.33%
- 音楽・映画事業:営業利益率 = (500億円 ÷ 1兆円) = 5%
また、ROA(総資産利益率)も重要な指標です。
- ゲーム事業:ROA = (3,000億円 ÷ 5,000億円) = 60%
- エレクトロニクス事業:ROA = (1,000億円 ÷ 6,000億円) = 16.7%
- 音楽・映画事業:ROA = (500億円 ÷ 2,000億円) = 25%
手順4:セグメントごとのリスク評価
パフォーマンス指標だけでなく、各セグメントにおけるリスクも評価します。市場の競争状況、技術革新の影響、規制リスクなどを考慮し、各セグメントの将来的な不確実性を評価します。
具体例:
- ゲーム事業:市場競争が激しく、ハードウェア販売の影響を受けやすい。
- エレクトロニクス事業:技術革新が早く、製品寿命が短い。
- 音楽・映画事業:デジタル配信の急速な成長により、新たな収益モデルが登場。
手順5:セグメントごとの戦略立案
各セグメントの業績評価とリスク評価を基に、企業はどのセグメントにリソースを投資すべきか、またどのセグメントで効率改善が必要かを決定します。
具体例:
- ゲーム事業:高い収益性を持つため、さらなる投資を行い、ゲームソフトの開発を強化する。
- エレクトロニクス事業:利益率が低いため、コスト削減や効率化のための施策を検討する。
- 音楽・映画事業:デジタル配信へのシフトを加速し、新たな収益源を拡大する。
手順6:パフォーマンスのフィードバックと改善
セグメントごとのパフォーマンスを定期的に見直し、改善が必要な部分に対して具体的なアクションを行います。たとえば、低パフォーマンスのセグメントには、組織変更や戦略の変更を適用します。
具体例:
- エレクトロニクス事業:利益率向上のため、製品ラインナップの見直しや新興市場への進出を進める。
- ゲーム事業:高パフォーマンスを維持するために、開発チームの強化やマーケティング活動を拡充。
このように、セグメント別会計によって企業は事業ごとの詳細なパフォーマンスを評価し、戦略的な意思決定を行うことができます。
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