総監キーワード|人的資源管理(4/4) 人材開発

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人事考課管理

人事考課は、ただ「社員を評価する」だけではなく、「企業の業績向上」、「個人の潜在能力を最大限に引き出す」、「企業の理念やビジョンの共有」を果たす役割があります。人事考課の主な目的は、社員の「昇給や昇進を判断する」ことです。

しかし、人事考課の目的は昇給・昇進だけでなく、「昇給や昇進」を目標に社員の意欲やモチベーションを向上させ、組織を活性化させることが重要であり、企業の成長につなげることが真の目的といえます。

情意考課

情意考課とは、日々の業務の取り組み方や姿勢、勤務態度など社員のもつ規律性・責任性・協調性などに対する評価です。社員の意欲や態度は、組織風土を高めるために必要な要素であり、情意考課では社員のもつ規律性・責任性・協調性のほか、経営意識や安全意識、コスト意識なども評価要素として考慮されます。

業績考課(成績考課)

業績考課とは、業務を遂行するうえで、企業の業績に貢献したことに対する評価です。

業績考課では業務の「結果」を評価するため、中間目標や最終目標を設定し、目指すべき目標(結果)を明確にしておくと適切に評価がおこなえます。

「結果」をもとに判断・査定することで誰が見てもわかりやすい「客観性」があり、「公平性」もあるため、評価される社員側も納得しやすいというメリットがあります。

能力考課

能力考課とは、業務を遂行するうえで身につけた能力や、社員のもつ潜在的な能力に対する評価です。

能力考課では「業績向上につながるハイレベルな業務を達成した社員に対し、適切な評価を与えるべきである」という視点にもとづいています。

また、目標を達成した「結果」ではなく、「過程」を評価するため、中長期間は視点をもった評価が必要です。

そのため、上司(評価者)は一時的に部下(評価対象者)の行動を観察・判断するのではなく、日常的・計画的に行動を観察する必要があります。

多面評価(360度評価)

多面評価とは上司だけでなく、同僚や部下、他部署など複数の関係者から評価を行う手法をさします。また、周囲のあらゆる方向からの評価であるため360度評価もよばれます。一般的に組織における評価は、上司が部下を見る形で行われますが、その上司の先入観や価値観、業務内容に対する知識量などで偏りが避けられません。
上司が見えないところでの行動や潜在能力などの評価が加わることにより、非評価者にとっても「みんな」から評価されることで、納得度も高いものとなり、上司の顔色だけをうかがって仕事をするのではなく、周りから常に見られているという緊張感の中で業務を遂行することにより、質の向上、組織力の向上にも繋がるというメリットがあります。

目標管理制度(MBO)

MBO(目標管理制度)とは、会社の方針と社員自身が目指したい方向性を擦り合わせることで一人ひとりに目標を設定し、成果までの道のりを管理するマネジメントの概念です。社員自らが目標到達までを管理することで、業務効率の向上やモチベーション向上につながります。

加点主義・減点主義

加点主義は、成果に対してプラスの面に着目して評価する。従業員は失敗を恐れずに挑戦使用する意欲が生まれます。

減点主義は、失敗に対してマイナスの面を評価する。従業員は失敗することを恐れて無難に行動しようとする傾向になります。

人事考課の三原則

次の3点をまとめて、「人事考査の三原則」と呼びます。

  • 透明性:評価基準や評価方法等を被評価者に対してオープンにすること
  • 公平性:特定の被評価者を有利または不利に扱うことなく、評価が公平・公正に行われること
  • 納得性:評価結果や処遇に対する従業員の納得を確保すること

相対評価

相対評価とは、ある従業員の能力やパフォーマンスをほかの従業員と比較し、その序列に応じて評価する手法です。

絶対評価

絶対評価とは、集団内での順位にかかわらず、個人の能力に応じてそれぞれ評価する手法です。予め定められている目標の基準に応じ、その基準を満たすかどうかによって個人ごとのレベルを評価します。

評価基準が明確な上に自分の業績を直接的に評価してもらえるため、目標達成に向けて高いモチベーションを維持しやすくなることが特徴です。ただし、評価者ごとに評価のバラつきが発生しやすく、また評価者にかかる責任が重くなるという課題もあります。

バイアス

バイアスとは、評価者の能力や価値観と比較して過大・過小な評価をしてしまうことです。

評価誤差(ハロー効果等)

被評価者のある一点が優れているとほかの点も優れていると考えてしまうことにより生じる評価誤差。

人的資源開発(HRD)

HRDとは、Human Resource Developmentの略称です。企業における人的資源の育成や開発のために行われる手法や活動などの総称を指します。

階層別研修

階層別研修とは、役職や年齢、勤続年数、習得したスキルなどで社員を分けて、それぞれの階層に必要な知識やスキルを習得してもらうことを目的とした研修です。

階層とは、新入社員、若手社員、中堅社員、管理職といった役職や立場を指す場合が多いです。
階層が上がると求められる役割が変わり、役割を果たすために必要な知識やスキルも変わります。

今いる階層で求められる知識やスキルを身につけることは個人のスキルアップやモチベーションアップにとどまらず、会社全体のレベルの底上げにもつながります。

専門別研修

専門別研修とは、営業部や人事部といった会社の専門機能別に実施される研修です。例えば営業職と人事職では、業務機能が異なるため、求められる職能、技能が異なります。当然のことながら、会社の各組織の機能に応じた教育を組織機能単位で個別に行う必要があります。

課題別研修

課題別研修とは、組織全体の共通した課題を対象とした研修のことです。

自己啓発

「自己啓発」は、「Self Development」を略してSDとも呼ばれ、社員による自発的な学習を意味します。OJTやOff-JTとの大きな違いは、自発的に、業務時間外に実施する点です。

eラーニング

eラーニングとは、インターネットを通して学習や研修を行う方法のことです。インターネットの普及とともに、企業の教育施策に取り入れられるようになりました。

OJT/OFF-JT

「OJT」とは、英語の「On the Job Training」を略した言葉で、「職場内訓練」を意味します。代表的な人材育成の手法のひとつで、おもに先輩社員が新入社員の指導担当者として、実際の業務を行いながら仕事を学びます。

「Off-JT」とは、英語の「Off the Job Training」を略した言葉です。「職場外訓練」を意味し、実際の業務とは離れた場所で人材育成を行います。
例えば、講義などの集合研修や、業務時間中の書籍による学習があります。

課題設定能力

「何をすべきかを自ら考え出す力」であり、「どうやってそれを成し遂げるか」を考え出す、「問題解決力」の上流に位置する能力です。

職務遂行能力

職務遂行能力とは、与えられた業務を最後までやり遂げる時に必要とされる能力のことです。業務遂行能力には、保有能力(業務遂行を行うために保有している能力)と発揮能力(保有能力を最大限に発揮し業務に貢献する)の2つが必要と考えられています。

対人能力

対人能力とは、人間関係を円滑に運ぶためのコミュニケーション能力のことを指します。 対人能力の向上が仕事に与える影響は多岐に渡り、どんな人でもトレーニングを行うことで、対人能力のスキル向上が見込まれます。対人能力を発揮し、ビジネスの場面で自然なコミュニケーションが取れるようになると、相手の意図や要望を上手に引き出したり、相互理解を深めながら業務の効率化や業績アップに繋げたりすることが可能になります。

問題解決能力

問題解決能力とは、問題の発生原因を洗い出して分析し、現実的かつ的確な解決策を見つけて解決に導く能力のことです。。中でも必要とされるのが「問題を認識する力」「解決策を考える力」「解決策を実行する力」という3つの能力です。

コンピテンシー

高い業績をあげている社員のもつ業績達成能力のことです。

グローバル人材開発

グローバル人材とは、複数の国をまたがるビジネスにおいても成果を出せる人材のことで、特に語学力や異文化理解をはじめとしたコミュニケーション能力が重視される傾向にあります。

総務省は、「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材」と定義しています。

リスキリング

リスキリングとは、「技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと」です。現在注目を集めているきっかけは、2020年のダボス会議において、「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されたことでした。

メンター

メンターとは、指導者や助言者、相談者などを意味する言葉で、主に新入社員や若手社員、中途社員などとの対話や相談、助言を通じて対象者をサポートする者を指します。多くの場合はお互いが直属の上司と部下の関係ではない、他部署の先輩社員などがその役割を担います。

教育訓練技法

マンツーマントレーニング(OJT,メンター等)

マンツーマントレーニングとは、個人1人に対し、トレーナー1人がついて教育訓練を行うことをいいます。

講義(講演,報告会等)

知識、事実の習得を目的として実施されます。

討議(ブレインストーミング,ディベート等)

アイデアを生み出す「集団発想法」手法で、創造性開発を目的として実施します。

事例研究(ケーススタディ,インバスケット等)

問題解決力・意思決定の向上を目的として実施されます。ケーススタディ(case study)とは、日本語で「事例研究」のことで、実際に起きた事例を分析して、その背後にある法則や傾向を究明していく研究手法のことで、ロールプレイングの一種と言えます。

インバスケットとは、架空の人物になりきり、制限時間の中でより多くの案件を高い精度で正しく処理することを目標とするバーチャル・ビジネス・ゲームのことです。

ロールプレイング

実際の現場や場面を想定して、そこに出てくる登場人物の役割を演じ、擬似体験の中でスキルを身につけ、高める学習方法です。 また、自らの対応や発言を通して、傾向や課題を明確にし、改善につなげることができます。

教育ゲーム(ビジネスゲーム,シミュレーションゲーム等)

ビジネスゲームとは、ゲームを通して仕事を疑似体験し、業務を遂行するうえで必要な思考・行動を学ぶロールプレイング型の研修のことをいいます。ビジネスゲームには、円滑なコミュニケーションの構築や態度変容、経営シミュレーションなど、目的に応じたさまざまなゲームがあります。問題解決力・意思決定の向上を目的として実施されます。

自己診断(適性診断,EQ診断等)

適性検査とは、受験者が、仕事等において適した特性・能力を持っているか判定するための検査です。適性検査は、個人の特性を調べる「性格検査」や、数学・国語など知能テストによる「能力検査」という2つの検査で構成されるのが一般的です。

EQは、Emotional Intelligence Quotientの略称で、心の知能指数とも呼ばれており、高いEQを持っている人は、自己や他者の感情を認識し、コントロールすることで成功を収める能力を持つことが多く、ビジネスシーンや人間関係の場面でも重要な役割を果たしています。

人材アセスメント

人材アセスメントとは、人材のスキルや適性、能力など、第三者が客観的に分析・評価し、可視化することで、効果的な人材育成や人材配置を行うための手法のことです。

スキル標準

個人の技術やサービスの能力を専門分野ごとに明確化・体系化したものです。

CPD

CPDとは「Continuing Professional Development」の略語です。技術者が継続的に専門教育を行うことです。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、社員の能力向上を目的に、戦略的な部署・職務異動を行うことです。「社員の成長を促す」「幹部候補の育成を効率的に行う」など、明確な意図を持って複数の職務を経験させます。

QCサークル

QCサークルは、同じ職場内で品質管理活動を自発的に小グループで行う活動のことです。全社的品質管理活動 (TQC) の一環として自己啓発、相互啓発を行い、QC手法を活用して職場の管理、改善を継続的に全員参加で行います。

外国人研修・技能実習制度

外国人研修制度と外国人技能実習制度の違いは、外国人に付与される在留資格の種類と報酬を伴う実務研修の可否です。

外国人研修制度では、外国人は在留資格「研修」を付与されます。一方、外国人技能実習制度で外国人に付与される在留資格は「技能実習」です。

外国人研修制度では、国や地方公共団体が行う一部の研修を除き、報酬を伴う実務研修は行えません。また、外国人と企業が労働契約を締結しないため、生活実費として研修手当のみ支給されます。具体的には、技術講習や工場の見学、座学による授業などが該当します。一方、外国人技能実習制度では、外国人(技能実習生)は企業と雇用契約を結んだうえで実務研修を行います。報酬は、労働基準法や最低賃金法に基づいて支給される決まりです。

キャリアパス

キャリアパスとは、企業においての社員が、ある職位に就くまでに辿ることとなる経験や順序のことです。また個人の視点からは、将来自分が目指す職業を踏まえた上でどのような形で経験を積んでいくかという順序・計画を指します。

キャリアオーナーシップ

キャリアオーナーシップとは、労働者が自分のキャリアについて主体的に考えて取り組む意思および行動のことです。キャリアオーナーシップ言葉自体は日本で生まれた造語であり、明確な定義はありません。

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