PDPC(Process Decision Program Chart)法とは、目標達成までに不測の事態が起こっても代替できる案を明確にしておく方法です。
日本語では「過程決定計画図」と呼ばれています。1968年に近藤次郎氏が東大紛争を解決するために作成した手法で、新QC7つ道具の一つです。
PDPC法(過程決定計画図: Process Decision Program Chart)は、複雑なプロジェクトやプロセスを計画する際に、潜在的な問題を予測し、それに対する対策を事前に考えておくためのツールです。
プロジェクトの進行中に生じうるリスクや問題点を洗い出し、それに対する対応策を計画することで、計画の実現可能性を高め、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。
目次
PDPC法の目的
- 潜在的な問題の予測: プロセスやプロジェクトの各段階で起こりうる問題を特定する。
- 対策の計画: 予測した問題に対する具体的な対応策を事前に準備する。
- 計画の柔軟性を確保: 不測の事態にも柔軟に対応できるよう、複数の解決策を考慮する。
PDPC法の手順
- 目標設定: 最初に、プロジェクトやプロセスの最終的な目標を設定します。これは、達成すべきゴールや期待される結果を明確にするためのステップです。
- 基本プロセスの列挙: 次に、目標に向かって進むための基本的なステップやフェーズを列挙し、図表化します。この段階では、プロジェクトの主要な工程を洗い出します。
- 潜在的問題の特定: 各基本プロセスにおいて、発生する可能性のあるリスクや問題を考えます。この段階で考えられる全ての問題をできる限り洗い出します。
- 対策の計画: 特定した問題に対する対応策を考え、リスクが現実化した際の具体的なアクションを決めます。複数の解決策を検討し、それぞれに対応するための資源や方法を準備します。
- 計画図の作成: 最終的に、各プロセス、問題、対策を図式化し、PDPC図を完成させます。これにより、全体の流れが視覚的に整理され、問題が発生した場合の対応策が明確になります。
PDPC図の構成
PDPC図は、木構造の形で表現されます。以下のような階層で展開されることが一般的です。
- 第1階層: 目標や目的。
- 第2階層: 目標達成に必要な主要なプロセスや工程。
- 第3階層: 各プロセスで予想される潜在的な問題やリスク。
- 第4階層: 各問題に対する具体的な対応策やアクションプラン。
PDPC法の利点と留意点
利点
- 事前にリスクに備えることができる: 予測される問題に対して事前に対応策を考えることで、実行時に柔軟に対処できる。
- 計画の質が向上: 潜在的な問題に対する対応策をあらかじめ準備することで、計画全体の実現可能性が高まる。
- チームメンバー間の共有: 問題や対策が可視化されるため、プロジェクトチーム全体で共通の認識を持つことができる。
留意点
- すべての問題を予測することは困難: PDPC法では潜在的な問題を予測することが目標ですが、実際に発生する全ての問題を事前に完全に予測することは難しいため、計画の柔軟性を保つことが重要です。
- 過度なリスク分析による時間の浪費: あまりにも多くの問題を想定しすぎると、計画が複雑になり、対策に時間を取られる可能性があるため、優先順位をつけて対応することが求められます。
PDPC法の実施例
例えば、新製品の開発プロジェクトにPDPC法を適用する場合を考えてみます。
- 目標: 新製品を市場に投入する。
- 基本プロセス:
- 設計フェーズ
- 試作フェーズ
- テストフェーズ
- 製造フェーズ
- 市場投入
- 潜在的問題の特定:
- 設計フェーズでの仕様変更
- 試作段階での材料不足
- テストでの基準不達
- 製造工程での機械の故障
- 市場投入時の需要予測ミス
- 対策:
- 仕様変更に対する設計変更の柔軟性確保
- 代替材料のリスト作成
- テスト基準の再設定や改善策の準備
- 予備機械や外部委託先の確保
- 市場投入前の市場調査強化
このように、PDPC法では各プロセスで起こりうるリスクを事前に分析し、それに対する対応策を計画することで、プロジェクトの成功確率を高めることが可能です。
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