循環型社会の形成と廃棄物処理
日本における循環型社会とは、「天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る」社会を言われている。
そこでは、廃棄物・リサイクル対策を中心とした循環型社会のせいに向けた、廃棄物などの発生とその量、循環的な利用・処分の状況把握、国の取り組み、各主体の取り組み、国際的な枠組みの構築がなされている。
循環型社会形成推進基本法
2000年制定、循環型社会の生成について基本原則、関係主体の責務を定めるとともに、循環型社会形成推進基本計画の策定、その他循環型社会の形成に関する施策の基本となる事項などを規定した法律。
循環型社会形成推進基本計画
上記基本法に基づき、政府全体の循環型社会の形成に関する施策についての基本的な方針などを定める計画。
2003年に第1次計画、2008年に第2次計画、2013年に第3次計画、2018年6月に第4次計画が閣議決定された。同計画では、持続可能な社会づくりとの統合的取り組みを主題とした国の取り組みを示すとともに、循環型社会の全体像に関する指標、目標を定めている。(物質フロー指標:資源生産性、循環利用率、最終処分量)
3 R
Reduce、Reuse、Recycleの3つの頭文字をとった環境用語
都市鉱山
家電製品やIT製品などに使われている貴金属やレアメタルなど有用な物質を再生可能な資源とみなし、それが廃棄されて集まる場所を都市の中の鉱山と見立てた概念。
資源有効利用促進法
1991年制定、製品の環境配慮設計、使用済製品の自主回収・リサイクル、製造工程で生じる副産物のリデュース・リサイクルといった3Rに関する様々な取り組みを促進することにより、循環経済システムの構築を図ることを目的とした法律。
容器包装リサイクル法
1995年制定、正式名を「容器包装にかかる分別収集及び再商品化の促進などに関する法律」という。
一般廃棄物の減量及び再生資源の利用を図るため、家庭ごみの大きな割合を占める容器包装廃棄物について、
- 消費者は分別して排出
- 市町村は分別回収
- 容器を製造または販売する商品に容器包装を用いる事業者は、再商品化を実施する
という役割分担を定めた法律。
家電リサイクル法
1998年制定、正式名を「特定家庭用機器再商品化法」という。
エアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫及び冷凍庫について、小売業者に消費者からの引き取り及び引き取った廃家電の製造者などへの引き渡しを義務付けるとともに、製造業者などに対し引き取った廃家電の一定水準以上のリサイクルの実施を義務付けた法律。
小型家電リサイクル法
2012年制定、正式名を「使用済み小型電子機器などの再資源化の促進に関する法律」という。
デジタルカメラやゲーム機などの使用済み小型電子機器などの再資源化を促進するため、再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可などに関する特例などを定めた法律。
自動車リサイクル法
2002年制定、正式名を「使用済み自動車の再資源化などに関する法律」という。自動車製造業者などを中心とした関係者に適切な役割分担を義務付けることにより、使用済み自動車のリサイクル・適正処理を測るための法律。
建設リサイクル法
2000年制定、正式名を「建設工事にかかる資材の再資源化などに関する法律」という。
一定規模以上の建設校について、その受注者に対し、コンクリートや木材などの特定建設資材を分別解体などにより現場で分別し、再資源化などを行うことを義務付けるとともに、制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、発注者による工事の事前届け出制度、解体工事業者の登録制度などを設けている。
食品リサイクル法
2000年制定、正式名を「食品循環資濠の再生利用等のる法律」という。
食品循環資源の再生利用、並びに食品廃棄物等業者制度等の発生及び減量に関する基本的事項を定めるとともに、登録再生利用事業者制度などの食品循環資源の再生利用を促進するための措置を講ずることにより、食品に関わる資源の有効利用及び食品廃棄物の排出抑制を図ること等を目的とした法律。
グリーン購入法
2000年制定、2001年4月施行。正式名を「国等による環境物品等推進等に関する法律」という。
国等の公的機関が率先して環境物品等 (負荷低減に資する製品・サービス)の調達を推進するとともに、環境物品などに関する適切な情報提供を促進することにより、環境物品等、需要の転換を図り、発展が可能な社会の構築を推進することを目的とする法律。
廃棄物処理法
1970年制定、正式名を「廃棄物の処理及ぴ清掃に関する法律」という。廃棄物の排出を抑制し、その適正な分別、保管収集運搬再生、処分等の処理をし、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律。廃棄物処理施設の設置規制、廃棄物処理業者に対する規制、廃棄物処理に関わる基準等を内容としている。
マニフェスト制度
「産業廃棄物管理票制度」といわれ、産業廃棄物の行き先を管理し不法投棄を未然防止するのを目的とした仕組み。紙マニフェストと電子マニフェストから選択する。
マニフェストは、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合に適用され、記載漏れや写しを保存しないと罰朋の対象となる。委託契約書通りの適正処理を確認するのがマニフェストである。
特別管理廃棄物
廃棄物のうち、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健廉又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する」ものを指す。特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物に分けて規定され、他の廃棄物と区別しての収集運搬や、特定の方法による処理を義務付ける等、特別な基準が適用される。
ばいじん、廃PCB、廃石綿、感染性廃棄物等が指定されている
災害廃棄物
地震や津波、洪水等の災害に伴って発生する廃棄物をいう。2015年3月、廃棄物処理法及ぴ災害対策基本法の一部が改正され、災害により生じた廃棄物の適正な処理と再生利用を確保したうえで、円滑かつ迅速にこれを処理すべく法が整備された。
PCB特別措置法
2001年制定、正式名を「ポリ塩化ビフェ二ル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」という。
PCB廃棄物について、処理体制の速やかな整備と確実かつ適正な処理を推進し、国民の健康の保護と生活環境の保全を図ることを目的とした法律。
パーゼル条約
正式名称を「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」という。
1989年に国連環境計画(UNEP)がスイスのバーゼルで採択、1992年発効、日本は1993年に加入。
有害廃棄物の輸出に際しての許可制や事前通告制、不適切な輸出、処分行為が行われた場合の再輸入の義務等を規定している。
E-waste問題
電気電子機器廃棄物(Electronic and Electrical Wastes)は、使用済のテレビ、バソコン、携帯電話等の機器で中古利用されずに分解・リサイクルまたは処分されるものを指している。
近年その発生量及び輸出入量が急増し、E-wasteに含まれる鉛等の有害物質の不適切な処理に伴う環境及び健康に及ぼす悪影響が懸念、問題視されている。
海洋ブラスチック問題
国連によると、海洋に流れ込んでいるプラスチックごみは毎年800万トン以上となりその総量はすでに1億5000万トンを超しているといわれている。
2050年には、地球上に生息する魚の重量を海洋プラスチックごみの重量が上回るとも予想されており、早期の対策が必要とされる
特に海洋に流出したプラスチックごみが、紫外線や波の力などで5mm以下の微小な粒「マイクロプラスチック」となって、魚や海鳥の体内から大量に発見されている。
このため、生態系への影響が懸念され、海洋汚染対策が課題となっている。
この海洋プラスチック問題は、国際社会でも問題視されており、2019年6月の大阪G20サミットでは、2050年までに新たな海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにする目標を掲げた「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を各国首脳が共有した。
プラスチック資源循環法
2022年4月に施工された、プラスチックの資源循環を促進し、プラスチックごみを減らすことで持続可能な社会を実現することを目的とした法律で、3R+Renewableの促進を目的としています。
Renewable は、再生可能な資源に置き換えることで、廃棄を前提としないモノづくりを指します。
プラスチック資源循環促進法が定めているのが、次の5つの措置です。
(1)環境配慮設計指針の策定
・国が設計・製造段階で努めるべき環境配慮設計の指針を定め、メーカーはこれに従った製品設計に努めなけらばならない
・指針に適合すると認定された製品は、製造設備への支援や国の率先調達の対象となる
(2)ワンウェイプラスチック使用を合理化
・販売・提供段階でのワンウェイ(使い捨て)プラスチック使用減に向けて取り組むべき基準を策定
・ワンウェイプラスチックを無償で多数提供する事業者へ勧告・公表・命令を実施
・対象事業者:小売業、宿泊業、飲食店、選択業、持ち帰り・配達飲料サービス業
・従業員の数が20人以下の商業・サービス業以外の業種を行う個人・会社・組合
・従業員の数が5人以下で商業又はサービス業に属する事業を行う個人・会社・組合
・特定プラスチック使用製品12品目:フォーク・スプーン・ナイフ・マドラー・ストロー・ヘアブラシ・くし・カミソリ・シャワー用キャップ・歯ブラシ・ハンガー・衣類用カバー
(3)市区町村による分別収集や再商品化を促進
・容器包装リサイクル法ルートを活用した再商品化が可能に
・市町村が再商品化事業者と連携して行う再商品化計画を作成のうえ申請し、認定されれば、選別保管などの中間処理を省略することが可能
(4)製造・販売事業者等の自主回収を促進
自主回収・再資源化計画を作成し、認定されれば廃棄物処理法の業許可が不要
(5)排出事業者に対する排出抑制や再資源化を促進
・排出抑制・再資源化等の取り組むべき判断基準を策定
・自主回収・再資源化計画を作成し、認定されれば廃棄物処理法の業許可が不要
プラスチック資源循環戦略
『プラスチック資源循環戦略』は、2018年に閣議決定した『第四次循環型社会形成推進基本計画』を受けて策定されたもので、国内のプラスチックの資源循環を推進することが目的です。
4つの重点戦略として、
- 資源循環
- 海洋プラ対策
- 国際展開
- 基盤整備
を掲げています。
公害
環境基本法(第2条第3項)により、公害とは、
①事業活動その他の人の活動に伴って生ずる。
②相当範囲にわたる。
③大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及ぴ悪臭による。
④人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること
と定義しています。
特に③に列挙された7種は、典型7公害と呼ばれています。
四大公害病
戦後、日本の高度経済成長期 (1950-1960年代)に、各地で産業公害が多発し住民に被害を及ぽした。このうち住民への被害が大きかった4つの公害病を指す。
水俣病(メチル水銀化合物)
新潟水俣病(同左)
イタイイタイ病(カドミウム)
四日市ぜんそく(コンビナート排ガスNOx・SOx)
の4つである。
公害対策基本法
1967年制定、日本の四大公害病の発生を受けて制定された。公害対策に関する日本の基本法である。
1967年8月3日公布、同日施行。本法律のもとで、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7つを公害と規定した。
1993年11月19日、環墳基本法施行に伴い、統合、廃止された。
大気汚染防止法
1968年制定、工場及ぴ事業場における事業活動に伴う、ばい煙、化合物(VOC)及ぴ粉じんの排出を規制して有害大揮発性気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに関わる許容限度を定めることにより国民の健康と生活環境を図ることを目的とした法律。
自動車NOx・PM法
1992年制定、正式名を「自動車か酸化物及ぴ粒子状物質の特定地域における総量の削減などに関する特別措置法」という。
大気環境基準の確保が困難な地域において、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の総量を削減し大気環境の改善を図ることを目的とした法律。
光化学オキシダント
自動車や工場・事業場等から排出される大気中の窒素酸化物、揮発性有機化合物等が、太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こし作り出される二次汚染物質の総称。光化学オキシダント濃度が高く、もやがかかったような状態を光化学スモッグという。
揮発性有慢化合物(VOC: Volatile Organic Compounds)
印刷インキ、ガソリン及ぴ溶剤等に含まれるトルエン、キシレン等の揮発性を有する有機化合物の総称をいう。
SPM (浮遊粒子状物質)及ぴ光化学オキシダント生成の原因物質の1つである。
微小粒子状物質(PM2.5)
大気中に浮遊する粒子状の物質SPM(浮遊粒子状物質:粒径が10μm以下)のうち、粒径が2.5μm以下の微小粒子状物質を指す。非常に微小なため肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響が心配されている。
水質汚濁防止法
1970年制定、公共用水域及び地下水の水質の汚濁を防止し、国民の健康保護と生活環境の保全を図るため、事業場からの排出水の規制•生活排水対策の推進・有害物質の地下浸透規制等が盛り込まれた法律。
また同法では、閉鎖性水域に対して、汚濁負荷量を全体的に削減しようとする水質総量規制が導入されている。
土壌汚染対策法
2002年制定、土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康保護を目的として、土壌のの特定有害物質による汚染状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めた法律。
2009年の改正により、一定規模以上の土地の形質変更時の調査の実施、自主的な調査の活用、汚染土壌の適正な処理の義務付けなどが規定された。
原位置浄化
土壌汚染対策手法の一種で、汚染土壌から、その場所(原位置)にある状態で袖出または分解、その他の方法により、対象となる特定有害物質を基準以下まで除去する対策手法。
バイオレメディエーション
微生物等の働きを利用して汚染物質を分解等することによって、土壌地下水等の環境汚染の浄化を図る技術をいう。原位置浄化にも活用される。
感覚公害(騒音、振動、悪臭)
人の感覚を剌激して、不快感やうるささとして受け止められる公害(環境汚染)を感覚公害と総称する。
具体的には、騒音、振動、悪臭がある。日常生活と密着した公害であることから、典型7公害に関する苦情の1/3以上を占めるといわれている。
アスべスト問題
アスベスト(石綿)は天然に存在する繊維状の鉱物で、耐熱性、絶緑性、保温性等多くの長所があり、建築資材を中心に様々な産業で使用されてきた。
しかし、吸引すると中皮腫や肺癌等の原因になることも指摘され、2004年には全面的に使用禁止となった。
近年、アスベストによる健康被害リスクが明らかとなり、アスべスト問題として取り上げられている。
化学物質と環境リスク
科学的には、元素や元素の結び付いたものを化学物質と呼ぶ。
したがって、自然のものも人間が作ったものもすべて化学物質である。化学物質は人の生活を便利にする一方で、製造、使用、廃棄の過程で環境中に排出されることによって、人の健康や動植物等の生態系に悪影響を与えるおそれがあり、これを環境リスクという
このリスクの大きさは、化学物質の有害性の程度と暴露量(体に取り込む量)によって決まる。化学物質の影響は、環境リスクの観点からの考慮が必要である。
ダイオキシン類対策特別措置法
1999年議員立法にて制定。毒性や発がんリスクがあるダイオキシン類(PCDD、PCDF、 PCB) による環境汚染の防止やその除去を図り、国民の健康保護を目的とした法律である。
耐容一日摂取量及び環境基準の設定のほか、各種規制等が定められている。
化審法
1973年制定、2018年2月改正。正式名を「化学物質の審査及び製造などの規制に関する法律」という。
化学物質の有する性状のうち、「分解性」、「蓄積性」、「人への長期毒性」または「動植物への毒性」や環境中の残留状況に応じて規制などの程度や態様を異ならせ、上市(じょうし:新しい商品を市場に出すこと)後の継続的管理の実施を促す法律。
2018年改正の内容は、少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度の見直し、新区分(特定新規化学物質、特定一般化学物質)の導入である。
化管法/PRTR法
1999年制定、正式名を「特定化学物質の環境への排出量の把握など及び管理の改善の促進に関する法律」という。
事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障の未然防止を図ることが目的。環境への排出量の把握などを行うPRTR (Pollutant Release and Transfer Register) 制度、および事業者が化学物質の性状及び取り扱いに関する情報 (SDS) を提供するSDS制度などが定められている。
SDS (Safety Data Sheet : 安全データシート)
化学品を他に譲渡または提供する際、SDSにより、その化学品の特性及び取り扱いに関する情報の提供及ぴラベル表示に努めることとする制度。
POPs条約(ストックホルム条約)
2001年採択、正式名を「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」という。
環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs: Persistent Organic Pollutants)の製造及ぴ使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定した条約。
水俣条約
2013年熊本で採択、2017年発効。正式名は「水銀に開する水俣条約」という。水銀による環境汚染や健康被害防止のため、水銀及び水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制・管理する国際条約である。
条約では2020年以降、水銀及び特定の水銀製品の製造輸出入を原則禁止している。
水銀汚染防止法
水俣条約が発効したことを受けて施行された法律です。水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保し、水銀による環境の汚染を防止するため、次のような規制をしています。
1.水銀の掘採
2.特定の水銀使用製品の製造
3.特定の製造工程における水銀等の使用及び水銀等を使用する方法による金の採取を禁止4.水銀等の貯蔵及び水銀を含有する再生資源の管理
REACH規制(Registration、Evaluation、 Authorization and Restriction of Chemicals)
2007年6月に発効した、欧州の化学物質管理に関する法規制。EU域内で製造・使用される化学物質はほとんどすべて、登録、評価、認可、制限、情報伝達の義務が課されている。
SAICM
SAICM (国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチStrategic Approach to International Chemicals Management)は、2002年の世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット WSSD)で合意された目標(2020年までに化学物質が、ヒトと環境にもたらす悪影響を最小化する方法で使用、生産されること)を達成するための国際的な戦略や取り組みのことです。
科学的なリスク評価に基づくリスク削減、予防的アプローチ、有害化学物質に関する情報の収集と提供、各国における化学物質管理体制の整備、途上国に対する技術協力の推進などを進めることを定めています。
異常気象と防災
地球温暖化や気候変動の影響により、気象状況が「局地化」、「集中化」、「激甚化」してきており、異常気象といわれている。特に、大雨の発生数は増加傾向にあり、各地で局地的な豪雨による浸水害や土砂災害が発生、大きな被害をもたらしている。
国は、災害防止へ向けて、気象観測・予報精度の向上、情報・デークの利用促進を図るとともに、自助、共助、公助をベースとした地域防災力の強化に努めるとしている。
ヒートアイランド現象
都市域において、人工物の増加、地表面のコンクリートやアスファルトによる被覆の増加、さらに冷暖房等の人工排熱の増加により地表面の熱収支バランスが変化し、都市域の気温が郊外に比べて高くなる現象をいう。
都市及びその周辺の地上気温分布を等温線で見ると、都心部を中心に島状に市街地を取り巻いており、ヒートアイランド(熱の島)といわれる。
都市型水害
上記と同様都市域で、アスファルト舗装の道路、密集したコンクリート連物は、地中への雨水の没透を低下させ、局地的な豪雨があると雨水は一気に下水管や中小河川へ流れ込む。
排水処理機能がこれに追いつかない場合、雨水は下水道や河川から溢れ出し、道路や住宅地への冠水・地下街への没水を引き起こす。この種の自然災害を都市型水害という。
液状化現象
ゆるく堆積した砂の地盤に強い地震動が加わると地層自体が液体状になる現象をいう。液状化が生じると砂の粒子が地下水の水の中に浮かんだ状態になり、水や砂を吹く上げたりする。
また、建物を支える力も失われ、比重の大きいビルや橋梁は沈下したり、比重の小さな地下埋設管やマンホールなどは浮力で浮き上がることがある。
ハザードマップ
自然災害による場所と被害頻度を予測し、その災害範囲を地図上に表したものである。
予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲及び被害程度、さらには避難経路・場所等の情報が地図上に示される。
洪水・内水・高潮・津波・土砂災害・火山等の種類がある。
防災気象情報
防災気象情報とは、気象庁が発表している気象・地震・火山等に関する予報や情報の総称です。
災害から身を守るための情報と、生活に役立てる情報の2種類に大別されます。
警戒レベル
住民が、災害発生の危険度を直感的に理解し、的確に避難行動ができるよう、避難に関する情報や防災気象情報等を5段階に整理し伝えるようにした。
この5段階に整理し、住民に伝える情報を警戒レベルという。
警戒レベル1: 心構えを高める(気象庁が発表)
警戒レベル2:避難行動の確認(気象庁が発表)
警戒レベル3:避難に時間を要する人は避難(市町村が発表)
警戒レベル4:安全な場所へ全員避難(市町村が発表)
警戒レベル5:すでに災害が発生している状況(市町村が発表)
特別警報
警報の発表基準をはるかに超える数十年に一度の大災害が起こると予想される場合に発表し、対象地域の住民に対して最大限の警戒を呼びかける警報。
2つのパターンがあり、〇〇特別警報として発表される。大雨・暴風・高潮・波浪・大雪・暴風雪の6つと、危険度の高いものを指す、地震・津波・噴火の3つがある。
放射性物質による環境問題
2011年3月11日の東日本大震災により、福島第一原子力発電所の原子炉が冷却不能に陥り、炉心溶融(1-3号機)が水素爆発を起こした。この事故により放出された放射性物質は、その時点での放出最と気象条件、特に風向に従って、北西方向に向かって大量降下し、甚大な環境問題(被曝)を引き起こした。
原子力災害対策特別措置法
1999年制定、2017年改正。原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務、原子力緊急事態宣言の発出、及ぴ災害対策本部の設置、応急対策の実施等、原子力災害に関する特別の措置を定めることにより、原子力災害に対する対策の強化を図り、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とした法律。
放射性物質汚染対処特別措置法
2011年8月30日公布、2012年1月1日完全施行。正式名を「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」という。
事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務明らかにするとともに講ずべき措置を定め、環境汚染の人の健康、生活環境への影響を速やかに低減することを目的とした法律。
除染特別地域
前述の法に基づき、地域内の事故由来放射線物質による環境汚染が著しいと認められる地域、その他の事情から国が除染等の措置を実施する必要があるとして環境大臣が指定した地域。
汚染状況重点調査地域
地域内の事故由来放射性物質による環境汚染(被曝線量等)の状況が、環境省令で定める要件に適合しないと認められ、または関係地方公共団体の長の意見を聞いたうえで環境大臣が指定する地域をいう。
年間の追加被曝線量が、1ミリシーベルト以上の地域が指定される。
放射性廃棄物
使用済の放射性物質及ぴ放射性物質で汚染したもので、以後使用せず廃棄されるものを指す。放射能のレベルで以下の2つに大別される。
• 原子力施設の運転等に伴い発生する低レベル放射性廃棄物
•使用済燃料の再処理に伴い再利用できないものとして残る高レベル放射性廃棄物
一般の廃棄物に比べて圧倒的に発生量が少なく、発生から処分までのすべての過程で厳重な管理がなされている。
中問貯蔵施設
除染で取り除いた土や放射性物質で汚染された廃棄物を最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管するための施設。
ALPS処理水
「ALPS処理水」とは、東京電力福島第一原子力発電所で発生した汚染水を多核種除去設備(ALPS:Advanced Liquid Processing System)等によりトリチウム以外の放射性物質を環境放出の際の規制基準を満たすまで繰り返し浄化処理した水のことです。
クリアランスレベル
原発の連転や廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物のうち、放射性物質の放射能濃度が低く人の健康への影響がほとんどないものについて、国の認可・確認を得て普通の廃棄物として再利用または処分できる制度をクリアランス制度という。
この制度では、どのように使用あるいは廃棄されたとしても、人体への影響がないように放射能濃度の基準を設けているこれをクリアランスレベルという。
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