総監キーワード|安全管理(4/6) 事故・災害の未然防止対応活動・技術

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不安全状態/不安全行動

不安全行動が人的側面であるのに対して、不安全状態は物的側面を指します。

不安全行動

不安全行動とは、労働者本人または関係者の安全を害する可能性がある行動を意図的に行うことをいいます。労力、時間、コストなどを省くことを優先した結果、本来あるべき姿から逸脱した行動がとられることによって労働災害に発展してしまいます。

厚生労働省では、不安全行動の類型として、以下の12項目を挙げています。

  1. 防護・安全装置を無効にする
  2. 安全措置の不履行
  3. 不安全な状態を放置
  4. 危険な状態を作る
  5. 機械・装置等の指定外の使用
  6. 運転中の機械・装置等の掃除、注油、修理、点検等
  7. 保護具、服装の欠陥
  8. 危険場所への接近
  9. その他の不安全な行為
  10. 運転の失敗(乗物)
  11. 誤った動作
  12. その他
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不安全状態

不安全状態とは、仕事中に使用する設備、機械、器具や作業環境などの面で安全が確保されていない状態のことをいいます。不安全行動が人的側面であるのに対して、不安全状態は物的側面を指します。

厚生労働省では、不安全状態の類型として、以下の8項目を挙げています。

  1. 物自体の欠陥
  2. 防護措置・安全装置の欠陥
  3. 物の置き方、作業場所の欠陥
  4. 保護具・服装等の欠陥
  5. 作業環境の欠陥
  6. 部外的・自然的不安全な状態
  7. 作業方法の欠陥
  8. その他

ヒューマンファクタ

ヒューマンファクターとは、「錯覚」「不注意」「近道行為」「省略行為」の4つに代表される人間の行動特性です。このヒューマンファクターに関連し、異常な状態、事故、災害等意図しない(特に、不都合な)結果をもたらす行動をヒューマンエラーといいます。

ヒヤリハット

ヒヤリハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知のことです。

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則は、労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。

本質的安全設計

本質的安全設計とは、ガード又は保護装置を使用しないで、機械の設計又は運転特性を変更すること により、危険源を取り除くか又は危険源に関連するリスクを低減する保護方策のことです。

本質安全化

危険源を取り除くことで安全環境を達成することです。最も確実ですが、危険源を取り除くことは、大抵の場合、機械設備の本来機能までもが損なわれてしまうため難しいことが多いです。

安全防護

安全防護とは、「本質的安全設計方策では合理的に除去できない危険源、または十分に低減できないリスクから人を保護する、安全防護物(ガードまたは保護装置)の使用による保護方策」のことです。

システムの高信頼化

安全計装システム

安全計装システム(SIS: Safety Instrument System)は、異常な状態が示されると、プラントを安全な状態に保つように、或いは、プラントを安全な状態に戻すように自動的に作動するシステムのことです。

非常停止装置

非常時に、機械設備の動作を止めることで安全を確保するための装置のことです。

非常停止装置の要件例として、次のようなものが挙げられます。

  • 非常停止用の押釦、レバーなどは明確に識別・視認かつ操作できること
  • 非常停止釦などに作業者等が安全かつ容易に接近できること
  • 新たな危険源を生じることなく迅速に機械設備を停止できること。

フォールトアボイダンス

【信頼性を高めて故障させない】
Fault Avoidanceと書き、障害の発生自体を避けられるように対象の品質や信頼性を高める考え方です。具体的な方策として、信頼性の高い部品や材料の採用、試験や検証の徹底、高品質な個体の選別、人員の教育・訓練の充実などがあります。ただし、障害や故障が一切起きないようにすることは難しいため、多少の障害が発生しても全体の機能が停止しないような仕組みや設計にする必要があり、その手法を「フォールトトレランス」(fault tolerance)といいます。

フォールトトレランス

【故障しても予備で稼働継続】
Fault toleranceと書き、機器やシステムなどの構成要素の一部が故障、停止などしても予備の系統に切り替えるなどして機能を保ち、稼動維持する考え方です。主な技術として、冗長性技術、異常検出技術、試験・診断技術、異常救済技術などがあります。

フェールソフト

【故障しても残りで頑張って稼働継続】
Fail Softと書き、事故や故障が発生した際に、問題の個所を切り離すなどして被害の拡大を防ぎ、全体を止めることなく残りの部分で運転を継続させるという考え方です。
複数のエンジンを積んだ航空機では、エンジンに火災が発生すると燃料の供給を断って延焼を防ぎ、残ったエンジンで速度を落として飛行を継続できるような設計になっています。

フールプルーフ

【ヒトによって誤作動させない設計】
Fool Proofと書き、操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込む考え方です。
正しい向きにしか挿入できない電池ボックス、ドアが完全に閉じなければ起動しない電子レンジ・洗濯機、ギアがパーキングに入っていないと始動しない自動車、左右に離れたボタンやレバーを両手で同時に操作しなければ降りてこない裁断機やプレス機、人が座っていないと水を噴射しない洗浄便座などがあります。

フェールセーフ

【故障して停止しても安全性確保】
Fail Safeと書き、機器やシステムの部品に故障や破損、操作ミス、誤作動などが発生した際に、常に安全な状態に移行する仕組みにする考え方です。
転倒すると自動的に消化する石油ストーブ、制御装置が停電すると制御棒が自重で落下して核反応を停止させる原子炉、停電・故障すると遮断桿が降りた状態で停止する踏切などがあります。

インターロック(安全装置・安全機構)

設計時に決められた複数の条件がすべて揃わないと機能が有効にならないよう制御する方式です。

安全確認型システム/危険検出型システム

危険検出型システムとは、センサー等の安全機器が故障した場合、危険な状態になっても、危険を検出する信号を発することができないので機械が停止しない。 即ち、安全を確保出来ないシステムである。

隔離安全 / 停止安全

隔離安全

人と機械が存在する場所を分離して安全確保します。人と機械を空間的に分けることで、接近・接触による危害を回避できます。

停止安全

機械の作動を止めて安全確保します。人の存在と機械の作動を時間的に分けることで、作動する機械による危害を回避できます。

安全立証

故障時に機会が停止できることの立証のことです。

LOPA(防護層解析)

LOPA(防護層解析)は,多重の独立した保護システムによって事故発生を防止する独立.防護層(IPL)の概念を用いて,ハザード解析やリスク評価を行うための手法です。予測リスクが現実のものとなった場合に備え、どのような保護手段があるのかを明らかにし、弱点があれば対処できるようにするものです。

テクニカルスキル/ノンテクニカルスキル

ノンテクニカルスキルとは、コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップ、意思決定能力、状況認識力などを指し、特定の業務にとどまらない、必要な能力のことです。 一方、テクニカルスキルは、特定の業務を行う際に必要な能力です。

事故の4M要因分析(Man, Machine, Media, Management)

事故や災害の原因分析や対策検討の際に要因を、

  • 人 (Man
  • 機械 (Machine)
  • 媒体または環境 (media)
  • 管理 (management)

の4つのジャンルに整理する事により原因の本質を捉える分析手法です。

事故の4E対策(Engineering, Education, Enforcement, Example)

導き出された背景要因に対して、4Eの観点から対策案を考え出す手法です。4Eは、

  • Education:教育、訓練による対策
  • Engineering:技術、工学的な対策
  • Enforcement:強化、徹底による対策
  • Example:模範、事例による対策

を表しています。

5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)

5S活動とは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ(躾)」の項目を徹底させることで、製品やサービスのQ(品質)・C(コスト)・D(納期)の改善を図る活動です。

小集団活動(ZD運動,改善提案活動,TPM,TQC等)

一般に、5人から7人程度の少人数のグループを職場に作り、自主的に業務に関連する目標や計画を立て、実行していく活動のことを小集団活動と呼びます。

計画段階には大きく分けて、「目的の明確化」「グループの結成」「テーマの選定」「活動計画の策定」の四つのステップからなります。

ZD運動

ZD運動とは、(Zero Defects)「無欠陥」の頭文字を取った社内運動で、日本では無欠陥運動または無欠点運動とも呼ばれています。企業において社員一人ひとりに自発的な意識を持たせ製品の品質向上や良好なサービスの提供、コストの削減や納期の厳守などを提供することを目標とする経営効率化運動の一つです。

改善提案活動

従業員から製品や業務について改善提案を受け、効果・利用度・独創性などを評価し、採用された提案に対しては賞金を支給し、表彰・奨励を行う企業内の活動です。

TPM

生産システム上に存在するあらゆるロス(Loss)をゼロにすること(これを生産効率の極限追求という)で、継続的に生産性向上、収益の確保を実現する活動です。

TQC

Total Quality Controlの略で、日本語では「全社的品質管理」「統合的品質管理」と訳されます。製造業において、製造を担当する部門に限らず、あらゆる部門で、製造する商品の品質管理に取り組む、品詞管理手法です。

労働災害防止計画

「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた5か年計画です。労働安全衛生法では、厚生労働大臣が、諮問機関である労働政策審議会の意見をきき、労働災害防止計画を定めるものとされています。

自主保安

自主保安とは、法令で定められた周知及び調査に加え、組織が独自に実施する保安活動のことです。

未然防止活動

製品の品質トラブルや製造現場での事故などを、起きる前に(=未然に)防ぐための活動のことです。

定期点検活動

定常業務の一部として定期的な点検活動を行うことです。

危険予知訓練(KYT)

危険予知活動(K:キケン、Y:ヨチ、K:カツドウ)とは、現場で作業を開始する前に、その作業に伴う危険に関する情 報をお互いに出し合って共有化し、危険のポイントと行動目標を定め、作業の要所で指差し呼称を行って安全を 確認し合うもので、ヒューマンエラーによる事故を防止するために非常に有効な手段です。

TBM(ツールボックスミーティング)

ツール・ボックス・ミーティング(TBM)とは、職場で行う作業の打合せのことです。「ツー ル・ボックス=道具箱」の近くで行われるため、このように呼ばれています。基本的には、朝の作業を開始する前に5~ 10分程度行われるのが普通ですが、必要に 応じ昼食後の作業再開時や作業の切替え時 に行われることもあります。

作業マニュアル

作業マニュアルとは、作業の手順をはじめ、判断基準などの細かい情報をまとめた書類をいいます。 業務の効率化や平準化などを目的として作成され、品質向上や属人化の防止などのメリットもあります。

安全衛生パトロール

安全衛生パトロールとは、職場に潜在する危険要因を見つけ出すため、職場内を巡視しその結果に基づき機械設 備や作業方法などの改善を行うことにより、災害の防止を図るためのものです。

始業前点検

始業前点検は、その日の作業が安全に行えるかどうかを仕事にかかる前にチェックするものです。

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