これだけでわかる、英国技術士 チャータード・エンジニア(Chartered Engineer, CEng)登録の全手順

英国技術士であるチャータード・エンジニア (CEng)に興味があっても、日本語で説明しているページがほとんどないため、挫折する方も多いのではないでしょうか?


私もその中の一人でした。
会社の推奨資格に載っていたので興味を抱き、ネットで登録方法を調べたのですが情報を見つけられず諦めました。

とある技術士の集まりに出席し、同じ方面に帰る参加者と雑談しながら帰っていると、その方が日本在住のチャータード・エンジニアということがわかりました。
「興味があれば登録してみてはどう?」と、軽く勧められ、私も軽く登録申請を進めることにしました。

登録申請する段階で分かったのですが、チャータード・エンジニアの推薦が必須です。なんとかしてコネクションを得る必要があります。

私は運が良い鹿でした、、、

米国技術士のプロフェッショナル・エンジニア(PE)は5人からの推薦が必要です。
必ずしもPEではなくてもよく、No title、日本技術士資格保有者の推薦でも大丈夫です (人数、要件は州によって異なる)。

学部卒でもチャータード・エンジニアに登録する道はありますが、あまり一般的ではありません。
なぜなら、「学部卒業後に認められた修士レベルの教育を受ける」必要があるためです。
これは、日本在住者にとっては、あまり一般的ではないからです。
学部卒でプロフェッショナル登録する場合は、IEng (Incorporated Engineer)登録を目指すとよいでしょう。
そして、院卒者の方がプロフェッショナル登録する場合は、CEng登録を目指しましょう。

目次

登録までのプロセスは大きく4つ

STEP
英国の技術者協会に入会する
STEP
技術者協会HPから、プロフェッショナル登録申請をする
STEP
Professional Developmentを記録する
STEP
評価 = プロフェッショナル・レビュー
STEP
登録完了

STEP 4までが問題なければ、登録完了となります。

Step 1:英国の技術者協会に入会する

登録申請のための最初のステップは、39分野ある技術者協会(professional engineering institution)の中から登録したい技術者協会を選び入会することです。
自分の専門性に合致した技術者協会を選びましょう。

技術者協会分野は、この記事を参照してください


または、Engineering Council の Professional Affiliate に参加する手段もあります。 これらの組織の中には、認可された機関を通じてメンバー登録する契約を結んでいるものがあります。
参加することで、登録に向けた作業を支援するためにサポートを受けられます。

わたしは前者から登録しましたー

Step 2: 技術者協会HPから、プロフェッショナル登録申請をする

Step1で入会した技術者協会のホームページに、Engineering Councilへのプロフェッショナル登録申請を目指している方対象のページがあります。
そこから、登録申請プロセスを進めます。

Step 3: Professional Developmentを記録する

Engineering Council にプロフェッショナル登録し、維持するには、Professional Development (技術士のCPDのようなもの) を記録する必要があります。

Step 4: 評価 = プロフェッショナル・レビュー

登録のための評価プロセスは、”プロフェッショナル レビュー”と呼ばれています。
書面による申請書確認から始まります。
これは、所属する技術者協会によって異なる場合があります。
どのような書類が必要なのか、各技術者協会のホームページに記載されていることが多いので、確認しておきましょう。

どの技術者協会であってもIEng と CEng の登録には、専門家による面接審査があります。

もちろん英語で実施されます。
私の場合、チャータード・エンジニア2名による1時間強の面接でした。

Step 5: 登録完了

Step 4で問題がなければ、技術者協会からEngineering Council (EngC) に登録フォームが送られます。EngCが申請書を確認し、問題がなければ国の技術者登録簿に名前が追加されます。これには通常 1 ~ 3 週間かかります。

面接後、2か月後メールで連絡がありました~

最後に、登録された称号を示す証明書などの書類が届きます。
ホームページから会員証とバッジをダウンロードできるようになります。

CEng MIMechE登録カード
CEngバッジ

私の場合、登録完了まで1年4か月かかりました。

難易度は測定不可能

資格や免許の取得となると、その難易度は気になると思います。
英国技術士 のプロフェッショナル登録に関して言えば、学力を測るための試験がないためほかの資格と難易度を比較したり、合格率を比べることもできません

この2つが重要視されていると言えます

  • 学生時代に学んだこと
  • 技術者としての経験

基本的に、最終学歴が学部卒だと、最上位称号であるチャータード・エンジニアとしての登録は不可能です。
このことからも、学歴が重視されていることがわかります。

EngCが定めているコンピテンシー以外に、英語能力と業務経験が必要不可欠です。

  • 英語能力:読む、文章を書く、話す(面接)
  • 業務経験:主体的に、目的意識をもって取り組むこと

登録・維持のために必要な費用は?

試験がないため、問題集や参考書購入費用はかからないと思います。
英語が不安な方は、英語参考書が必要でしょう。
英語が不得意だが、どうしてもプロフェッショナル登録をしたいという方は、英語学校に通う必要があるかもしれません。

書類審査では「英語論文」を書かなければならないため、ライティングに関する参考図書があると安心できる方もいらっしゃるでしょう。

そのような、個人の事情は置いておいて、EngCと技術者協会に支払う金額のみを紹介します。
こちらの金額は2023年ベースですので、最新情報は技術者協会ホームページを確認してください。

登録してから、毎年値上がりしている、、、

支払先は、EngCと技術者協会の2つあります。
EngCに支払う会費も、技術者協会のホームページから支払い可能です。

Engineering Council (EngC)に支払う会費

 入会費年会費
Chartered Engineer (CEng)£57.02£43.85
Incorporated Engineer (IEng)£48.14£37.21
Engineering Technician (EngTech)£19.73£21.34

技術者協会に支払う年会費

称号、グレード、年齢によって異なります。

CEng, IEng,EngTechのMembersとFellows

 MembersFellows
Chartered Engineer (CEng)£322.85£376.85
Incorporated Engineer (IEng)£308.21£361.21
Engineering Technician (EngTech)Under25  £74.34
25-26  £90.34
27-29  £120.34
Over30  £147.34
£172.34

Affiliate Members とAssociate Members (AMIMechE)

 Affiliate MembersAssociate Members (AMIMechE)
Undergraduate students and apprenticesFreeNA
Under 25£46.00£46.00
25-26£109.00£125.00
27-29£186.00£194.00
Over 30£217.00£278.00

CEngが登録初年に支払う会費と登録維持年会費用

CEngに関連する費用は、次の3つがあります。

  • ① EngC 入会費: £57.02
  • ② EngC 年会費: £43.85
  • ③技術者協会年会費: £322.85

これより、登録初年に支払う会費と登録維持費用はこのようになります。

登録初年費用と維持費用

登録初年に支払う会費 = ①+②+③ = £423.72 (63,558円)
登録維持年会費用 = ②+③ = £366.7 (55,005円)
(注) 1£=150円換算

初年費用はPEより安いけど、2年目以降は高いね

まとめ

日本技術士資格、米国技術士 プロフェッショナル・エンジニア(PE)、ほかの日本の資格とは、登録までのプロセスが大きく異なることがわかっていただけたかと思います。

  • 試験が行われない
  • 学歴と業務経験が重視される

というのがポイントです。

英語面接があるため、ネイティブ並みとは言わずとも、ビジネスレベルの英語力は必須です。どのような質問があるのかわからないため、臨機応変にディスカッションできる程度の英語能力は最低限必要です。

また、登録費用、毎年の維持費用も決して安いとは言えません (技術士、PEと比べると)。
しかし、それだけの価値はあると思います。

登録までのプロセスは高いレベルでシステマチックで、技術者協会が提供するWebinarの品質も高いものです(もちろん英語です)。
なによりCPD記録ツールが優秀です。単純に受講記録をつけるだけではなく、受講前後での意識の変化なども記入する項目があり、より主体的に講座を受講するようになりました。

チャータード・エンジニア国際的には有名すぎる資格ですが、PEに比べると保有者は少ないです。
それだけ、チャータード・エンジニアであることに希少価値があり、資格維持のために研さんを積み続けようというモチベーションになっています。

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