費用効果分析・費用便益分析・費用効用分析 |事業評価

事業評価は、一定の効果を得るために必要な費用を算出し、その費用に見合った効果が得られたかを評価します。必要に応じて、期中、完了後の検証を行います。

目的達成のための各案の費用と効果を比較・検討し、優先順位を明らかにします。
その評価方法に、費用効果分析・費用便益分析・費用効用分析の3つがあります。これらは、「得られた効果」に使用する指標が異なります。

費用効果分析定量的な「効果」
費用便益分析「効果」を金銭換算したもの
費用効用分析主観的な満足の度合い、効用
目次

費用効果分析(Cost Effectiveness Analysis, CEA)

投資した費用と、「効果」を比べ、評価します。
投資した費用を「C」、得られる効果を「E」とすると、C/Eが最小のものが最適です。

概要

費用効果分析は、特定の成果を達成するために必要な費用を評価し、異なるオプションを比較するために使用されます。この分析は、主に医療や公衆衛生の分野で利用されます。

目的

  • 限られた資源を最も効果的に使用するための意思決定を支援する。
  • 異なる介入の効果を比較し、どのオプションが最も費用対効果が高いかを明らかにする。

方法

  • 効果を数量化(例:患者の生存年数、疾病予防数)し、効果あたりのコストを計算します(例:1つの生命年あたりのコスト)。
  • 異なる介入の費用と効果を比較し、コスト効果比(CER)を算出します。

メリット

  • 限られた資源の最適配分を促進します。
  • 簡単に理解できる指標を提供します。

デメリット

  • 効果の定義が曖昧な場合、比較が難しくなることがあります。
  • 経済的な側面だけに焦点を当て、倫理的な考慮が不足することがあります。

費用便益分析(Cost Benefit Analysis, CBA)

投資した費用と、「効果」を金銭換算したもの(便益 B: Benefit)を比べ、評価します。

(純便益) = B-C
がプラスで、最大のものが最適です。マイナスならば、その計画は実施しないほうが良い、という判断ができます。

概要

費用便益分析は、プロジェクトや政策のすべてのコストと便益を金銭的に評価し、そのネット便益を算出する手法です。便益がコストを上回る場合、プロジェクトは実施する価値があるとされます。

目的

  • プロジェクトの経済的価値を評価し、資源配分の最適化を図る。
  • 政策決定における利害関係者への説明責任を果たす。

方法

  • すべてのコスト(直接的、間接的)と便益(経済的、社会的)を金銭的に評価します。
  • ネット便益(便益-コスト)を計算し、正の値であればプロジェクトを進める判断を下します。

メリット

  • 経済的価値を明確に示すことができ、意思決定をサポートします。
  • 定量的な評価が可能です。

デメリット

  • 非金銭的便益(社会的便益、環境保護など)の評価が難しいことがあります。
  • 将来の便益やコストを現在価値に割引く必要があり、評価の複雑さが増します。

費用効用分析(Cost Utility Analysis, CUA)

投資した費用と、効果」によって「向上した主観的な満足の度合い・効用」を比べ、評価します。つまり、その効用を得るための費用と、費用に見合った効用が得られたかを評価します。

概要

費用効用分析は、費用効果分析の一種であり、健康や福祉のような多様な効果を評価する際に使用されます。効用(便益の質)を考慮して、異なる選択肢のコストを比較します。

目的

  • 健康や幸福の質を考慮した意思決定を支援する。
  • 異なる介入の効用を比較し、コスト効用比を算出します。

方法

  • 健康の質を測定するために、QALY(Quality-Adjusted Life Year)やDALY(Disability-Adjusted Life Year)などの指標を使用します。
  • 効果あたりのコスト(例:1QALYあたりのコスト)を計算し、異なる介入を比較します。

メリット

  • 健康や福祉の質を考慮した評価が可能です。
  • 複雑な結果を簡単に示すことができます。

デメリット

  • 効用の測定が主観的であり、評価が困難な場合があります。
  • 定量化が難しい非経済的要素を含むことがあります。

まとめ

これらの分析手法は、それぞれ異なる視点から費用と効果を評価するため、プロジェクトや政策の意思決定において重要な役割を果たします。選択する手法は、評価の目的や対象とする効果の性質によって異なります。適切な手法を選ぶことが、より良い意思決定を促進する鍵となります。

費用便益分析のみ、金銭換算して事業評価をします。
ダイエットプログラムを例にとって、3つの分析方法を比較すると、それぞれの違いを理解しやすいでしょう。

費用効果分析体脂肪率-10%、ウエスト-20cm、体重-30kg
費用便益分析削減された、将来の医療費
費用効用分析瘦せたことによる生活の質

どの指標を使用するのかによって、事業評価は異なる結果になります。「違い」を認識し、使い分けるようにしましょう。

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