移動平均法又は単純指数平滑法を用いて、各期の需要量の予測値を順次計算することを考える。
第1 期~第4 期の需要量の実績値が下表で与えられるとき、次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
なお、移動平均法及び単純指数平滑法による予測値の計算方法はそれぞれ以下のとおりである。
移動平均法:k次の移動平均法によるt+1 期の予測値\(FI_{t+1}\) は、直近k期間の実績値\(Y_t,Y_{t-1},…,Y_{t-k+1} \)を用いて式(1)により計算される。
\(FI_{t+1}=\frac{1}{k}\times(Y_t+Y_{t-1}+…+Y_{t-k+1})\) (1)
単純指数平滑法:単純指数平滑法によるt+1 期の予測値\(FS_{t+1}\) は、t期の実績値\(Y_t\)、t期の予測値FSt及び定数α(0<α<1)を用いて式(2)により計算される。
\(FS_{t+1}=\alphaY_t+(1-\alpha)FS_t\) (2)
本問では\(\alpha=0.3\) として計算することとし,第3 期の予測値FS3 は354 であるとする。
表:需要量の実績値
期 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
需要量(個) | 360 | 340 | 310 | 258 | ? |
予測値\( FS_t\) | ? | ? | 354 | ? | ? |
① 3 次の移動平均法による第5 期の予測値は、310 よりも大きい。
② 4 次の移動平均法による第5 期の予測値は、3 次の移動平均法による第5 期の予測値よりも小さい。
③ 単純指数平滑法による第4 期の予測値は、330 よりも小さい。
④ 単純指数平滑法による第5 期の予測値は、295 よりも小さい。
⑤ 単純指数平滑法による第2 期の予測値は、第2 期の実績値よりも大きい。
【正解⑤】
① \(Fl3= \frac{(Y2+Y3+Y4)}{3}=\frac{(340+310+258)}{3} = 302.66 =302.7 < 310\)
② \(Fl4=\frac{(Y1+ Y2+Y3+Y4)}{4}=\frac{(360+340+310+258)}{4}=317>302.7\)
③ \(FS4 = \alphaY3+(1-\alpha)FS3 = 0.3 \times 310+0.7 \times 354 = 340.8>330\)
④ \(FS5 = \alphaY4+(1-\alpha)FS4 = 0.3 \times 258+0.7 \times 340.8 = 315.96>295\)
⑤\(FS2\)は2通りの求め方がある。次の2通り。
a. \(FS3=\alphaY2+(1-\alpha)FS2 ⇔ FS2=\frac{FS3-\alpha Y2}{1-\alpha}\)
b. \(FS2=\alphaY1+(1-\alpha)FS1\)
当然ながら、同じ解 (FS2 = 360 > 340)が導かれる。
『b.第1期の予測値FS1が与えられていないのに、なぜ計算できるの?』
と思われたかもしれない。
平滑化グラフの1番最初の値は予測不可能(過去データが無い) であるため、実績値を使うのが通例である。
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