コンカレントエンジニアリングのメリット・デメリット | 事業企画

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コンカレントエンジニアリングとは?

コンカレントエンジニアリングとは、製造業の製品開発工程において、設計から製作までの業務プロセスを並行して進め、開発の効率化や期間短縮することによって、市場投入までの期間を短縮させる手法です。

製品のライフサイクル全体を考慮して、これに関連する工程の統合化を行い、相互に情報交換することによって、同時、並行的に産業活動を実施する技術

引用:JIS  Z 8141 : 2001 

従来は、設計完了後に生産技術部門が業務を開始し、完了後に製造部門が業務を開始していました。
コンカレントエンジニアリングは、設計段階から生産技術部門・製造部門など関連部門が共同で、並行に開発を進めていきます。

コンカレントエンジニアリングの思想はアメリカで生まれ、日本では大手自動車メーカーが導入しました。
近年では自動車メーカーだけでなく、家電や重工系、中小企業など、幅広い製造業に広がっています。
部品点数が多く、開発スケールが大きな製品分野で大きな効果を発揮します。

コンカレントエンジニアリングのメリット・デメリット

メリット

コンカレントエンジニアリングの導入によって「納期」を短縮化できます。
その過程で工数が削減されれば「コスト」メリットが生まれます。
また、製造・品質管理といった下流工程の思想を設計に取り込むことによって、設計段階から問題点を発見・修正することで工数を減らせ、開発コストを削減可能となります。

設計初期段階から多部門が集い、構想と工程をワンストップに考えることで、複数の製品を同時並行で開発できます。
設計構想や生産プロセス、使用部品の共通化によって、ひとつの工程で複数ラインを兼ねるプロセス設計を実現することで多品種少量生産に対応できるようになります。

国内で開発し、海外で製造、別の国で基礎研究を行ったりと、組織の拠点が世界に分散しています。
ITツールの進歩によって、距離が離れた状態での協業も可能になり、コンカレントエンジニアリングを実施しやすくなってます。

デメリット

コンカレントエンジニアリングを進めるルールをあらかじめ決めておかなければ、開発が遅れるだけでなく、中止に追い込まれる可能性があります。

  • 部門間の連携
  • 情報共有
  • コミュニケーション体制

コンカレントエンジニアリングに必要なスキル・知識

コンカレントエンジニアリングという思想は、機械系、電気・電子系、制御・組み込み系などあらゆる領域、また、設計・開発を中心に生産技術、製造、品質保証、生産管理など、全工程のエンジニアに関わるものです。

大きな手戻り、開発時間と費用の浪費を防ぐために、上流工程で下流工程のことも考慮して設計を行います。
下流工程を考慮して設計情報をつくりこむということは、作業が設計現場 ( 上流工程)に集約されることになります。
つまり、設計者に製造の下流に至るまでの知識やスキルが要求されることになります。

コンカレントエンジニアリングのメンバーとして、下記のスキル・知識が重視されています。

  • 関連部門が多くなるためプロジェクトマネジメントが重要です
  • コミュニケーションをとりやすくするために同じフロアに配置するとよいです
  • 目標をもとにWBSを作成してプロジェクト全体構造を表します。
    これにより組織、フェーズ管理・スケジュール管理、コスト管理、リスクマネジメントのポイントを明らかにすること
  • ブレインストーミングなどでリスクを洗い出し、リスクマップ、リスク回避策を立て、メトリクスを導入してリスク監視体制を整えること
  • 多数多様の意見をコントロールするため、プロジェクトマネージャーにはコンフリクトマネジメントが重要である。

ただ単に、並行作業を実施するのではなく、関連部署で情報共有し、設計にフィードバックすることで設計品質を高め、後戻りのリスクを排除する手法です。

ただの並行作業だと、必ず後戻り作業は発生します。

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