クリティカルパス(Critical Path)、PERT(Program Evaluation and Review Technique)、PDM(Precedence Diagram Method)、CPM(Critical Path Method)は、プロジェクトマネジメントで用いられる計画およびスケジューリング手法です。これらはプロジェクトのスケジュールを管理し、効率的に進めるためのツールとして活用されます。
クリティカルパス(Critical Path)
クリティカルパスは、プロジェクトスケジュールにおける最長のパス(連続するアクティビティの流れ)を示します。このパス上にあるタスクの遅れは、プロジェクト全体の完了に影響を与えます。つまり、クリティカルパス上のタスクは、スケジュールを守るために特に注意が必要です。
クリティカルパスの特性:
- 最長の所要時間を持つ一連のタスク。
- クリティカルパス上のタスクに余裕がないため、どれかが遅れるとプロジェクト全体が遅延する。
- プロジェクトマネージャーは、このパス上のタスクの進捗を特に注意深く管理する必要があります。
- 例:
A→B→C→Dという4つのタスクがあるとします。このうち、AからDに至るパスが最も時間がかかる場合、それがクリティカルパスとなります。BやCが遅れるとプロジェクト全体が遅れる可能性があるため、このパス上のタスクは優先的に監視・管理されます。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
PERTは、プロジェクトのアクティビティとその所要時間の不確実性を管理するための手法です。特に、複雑なプロジェクトや初めて取り組むプロジェクトでの時間の見積もりに適しています。各アクティビティの所要時間を楽観的見積もり、悲観的見積もり、最可能見積もりの3つで評価し、それらをもとに期待値を算出します。
特徴:
- アクティビティの所要時間に不確実性がある場合に適用される。
- 所要時間を次の3つの見積もりで表現:
- 楽観的時間: 最も早く完了する可能性がある時間。
- 悲観的時間: 最も遅く完了する可能性がある時間。
- 最可能時間: 最も現実的な所要時間。
- これらをもとに期待値を計算し、プロジェクト全体のスケジュールを予測。
- PERTの計算方法(期待時間の算出):
$$ \text{期待時間} = \frac{(楽観的時間 + 4 \times 最可能時間 + 悲観的時間)}{6} $$
- 例:
あるタスクの楽観的な所要時間が5日、悲観的な所要時間が15日、最可能な所要時間が8日であれば、期待時間は次のように計算されます。
$$\frac{(5 + 4 \times 8 + 15)}{6} = 8.5 日$$
PDM(Precedence Diagram Method)
PDMは、プロジェクト内のアクティビティの依存関係を図式化して表現する手法です。PDMでは、各アクティビティが四角形(ノード)で表され、アクティビティ間の関係が矢印で示されます。この方法により、タスク間の論理的な順序が明確に表現されます。
特徴:
- タスク間の関係を視覚的に表現する。
- 4種類の依存関係を考慮:
- Finish to Start(FS): 先行タスクが完了した後に次のタスクが開始。
- Finish to Finish(FF): 先行タスクが完了しなければ後続タスクも完了できない。
- Start to Start(SS): 先行タスクが開始しなければ後続タスクも開始できない。
- Start to Finish(SF): 先行タスクが開始しないと後続タスクが完了できない。
- 例:
タスクA→タスクB→タスクCという順番で依存関係がある場合、それぞれのタスクの関係が図式化され、FSの依存関係が明確に示されます。
CPM(Critical Path Method)
CPMは、クリティカルパスを特定し、プロジェクトの完了に必要な最短期間を計算する手法です。CPMは主にアクティビティの所要時間が確実にわかっている場合に使用され、各タスクの最早開始時間(ES: Earliest Start)、最早終了時間(EF: Earliest Finish)、最遅開始時間(LS: Latest Start)、最遅終了時間(LF: Latest Finish)を算出します。
特徴:
- アクティビティの所要時間が確定している場合に使用。
- 各タスクの余裕(Float)が計算され、余裕がないタスクがクリティカルパスを構成。
- クリティカルパス上のタスクが遅延すると、プロジェクト全体が遅れる。
- 例:
A→B→Cというタスクで、Bが最早開始時間で開始されなければならない場合、Bがクリティカルパスに属している可能性が高いです。このタスクが遅れるとプロジェクト全体に影響を与えるため、慎重に管理されるべきです。
まとめ
- クリティカルパス: プロジェクトの最長所要時間を持つ一連のタスクで、プロジェクト全体の遅延に直結する重要なパス。
- PERT: 各アクティビティの所要時間の不確実性を扱い、時間の期待値を算出する手法。
- PDM: プロジェクト内のタスクの依存関係を視覚化する手法で、論理的な順序を明確にする。
- CPM: クリティカルパスを特定し、プロジェクトの最短完了時間を計算するための手法。
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