経済性管理
I-1-3 計画・管理における数理的・科学的手法の適用例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 離散型シミュレーションを、差分方程式で表現される経済現象を分析するために用いる。
② 数理計画法を、業務における勤務シフトを決定するために用いる。
③ AHP を、プロジェクトの所要日数を確率的に推定するために用いる。
④ ブレインストーミング法を、多数のアイデアを整理・分類するために用いる。
⑤ 特性要因図を、原因が複雑に絡み合った問題に対して、原因同士の因果関係を整理するために用いる。
【正解②】
①:経済現象のように連続的に変化する現象は連続型シミュレーションによって分析されます。
連続型シミュレーション
– システムダイナミクス
– 微分方程式を差分方程式で表現する
離散型シミュレーション
– 待ち行列、ネットワークモデル (PERT図など)
③:説明文はPERT図の内容です。

④:情報の組合せによって発想を得る事を目的とした手法は、形態分析法、欠点列挙法、属性列挙法、系統図法、KJ法などがあります。また、ブレーンストーミング法は、自由な連想によってアイデアを発想する手法です。

⑤:特性要因図は、特定の結果(特性)と要因との関係を系統的に表した図であり、問題解決における問題の因果関係を整理し、原因を追究する際などに活用されます。
設問は連関図法に関する内容で、連関図法は新QC7つ道具の一つで、問題が複雑に絡み合い、解決の糸口が見つけにくい場合に、因果関係から主な要因を絞り込む手法です。
I-1-6 原価管理、原価計算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 原価計算は、財務諸表の作成や、販売価格の算定、原価管理、利益管理、経営意思決定などのために活用される。
② 製品原価の計算では、はじめに製品別原価計算、次いで部門別原価計算、最後に費目別原価計算を行う。
③ 活動基準原価計算では、直接作業時間や機械時間などに基づいて、製造間標費を製品に配賦する。
④ マテリアルフローコスト会計は、工程内のマテリアルの実際の流れを投入物質ごとに金額と物量単位で追跡し、工程から出る製品と廃棄物のうち、製品を抽出してコストを計算する手法である。
⑤ 原価企画は、設計段階、生産段階、流通段階などのうち、生産段階で原価低減活動を行う手法である。
【正解①】
②:製品現価は、費目別→部門別→製品別 の順に計算する。
③:設問の説明は、伝統的な製造間接費の原価計算手法です。活動基準原価計算は、少量多品種生産現場かつ間接費の増大(工場の自動化など)で、正しく製品の原価を把握するために考案された間接費配賦計算手法です。基準として使用されるのはアクティビティとコストドライバーです。

④:全工程の中から製品のみに関するコスト(正のコスト)を抽出するのではない。
全行程の中で、廃棄物・不良品・排出物に掛かるコストを算出(負のコスト)し、そのコストも原材料費、電力費、燃料費、加工費と同様に、製品を作るために要したコストと考える会計手法である。ロス分のコストを数字にすることで、どこでロスが発生しているかを把握しやすくなり、コスト削減の実現と同時に、廃棄物の削減も図ることができる。

⑤:原価企画は製品企画といった初期フェーズにおいて目標利益を確保してしまおうという現価作りこみ活動です。
生産段階での原価管理活動は、原価維持、原価改善が相当します。
https://certlabo.com/genka-kanri/
人的資源管理
I-1-9 労務管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 臨時の賃金等を除き、賃金は原則として、毎月1 回以上、一定の期日を定めて、通貨で、直接労働者に、全額を支払わなければならない。
② 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合は、変更後の就業規則を労働者へ周知し、かつ労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等が合理的である必要がある。
③ 事業主は、就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その就業場所の変更によって子育てや介護が困難になる従業員がいるときは、当該従業員の子育てや介護の状況に配慮しなければならない。
④ 法律で解雇が禁上されている場合として、次のものがある。
(ア)業務上の傷病による休業期間及びその後30 日間の解雇
(イ)産前産後の休業期間及びその後30 日間の解雇
(ウ)女性の婿姻、妊娠、出産、産前産後休業等を理由とする解雇
⑤ 派遣労働者が通算5年を超えて同一の派遣先に派遣された場合は、当該労働者の申込みにより、無期労働契約に転換することが派遣先の事業主に義務付けられている。
【正解⑤】
無期転換の申込先は派遣先企業ではなく派遣会社(派遣元の企業)で、派遣元企業
I-1-10 平成30 年7 月に公布された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律に関する以下の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定され、法違反の有無は所定外労働時間の超過時間で判断される。
② 使用者は、10 日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうち5 日について、基準日から1 年以内の期間に労働者ごとに、時季を指定して与えなければならない。
③ 使用者には労働者の労働時間を適切に把握する責務があり、労働時間の状況の把握は、タイムカードによる記録、PC 等の使用時間の記録等の客観的な方法や使用者による現認が原則となっている。
④ 事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない。
⑤ 産業医を選任した事業者は、産業医に対し産業保健業務を適切に行うために労働者の労働時間その他必要な情報を提供しなければならない。
【正解①】
所定外労働時間が誤りで、正しくは法定時間外労働時間
所定外労働時間:企業が定めた所定労働時間を超過した残業
法定時間外労働:労働基準法で定められた法定労働時間を超過した残業
<改正後の時間外労働の上限 2020年から中小企業にも適用>
【原則】
月45時間・年360時間
【特別条項付きの36協定を締結している場合の上限】
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月が限度
・時間外労働と休日労働の合計について、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1月当たり80時間以内
I-1-11 労使関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 常時10 人以上の労働者を使用する事業場において、就業規則を作成し、又は変更する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合、又はそれがないときには労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
② 1 つの事業場の常時使用される同種の労働者の過半数が1 つの労働協約の適用を受けるときは、残りの同種の労働者にもその協約が適用される。
③ 労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは不当労働行為として禁止されているが、最小限の広さの組合事務所の供与等は除かれている。
④ 会社の責任で労働者を休業させた場合、休業期間中、会社は当該労働者の平均賃金の6 割以上の体業手当を支払わなければならない。
⑤ 労働委員会が行うあっせんは、紛争当事者双方の主張のとりなしや団体交渉のとりもちなどをあっせん員が行うことにより当事者間の自主的解決を援助するものである。
【正解②】
②は「労働協約の拡張適用」に関する記述です。過半数ではなく「3/4以上」が正です。
情報管理
安全管理
I-1-26 危機管理に関する諸法制における避難等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。法の名称には通称を含む。なお、以下における対策本部長、あるいは政府対策本部長は、通常は内閣総理大臣のことを指す。
① 災害対策基本法:
自然災害が発生し、又は発生するおそれがある場合、市町村長は、都道府県知事の許可のもとに、避難のための立退きを勧告する、又は立退きを指示することができる。
② 原子力災害対策特別措置法:
原子力規型委員会は、原子力緊急事態を宣言し、市町村長及び都道府県知事に対し、屋内への退避の勧告や指示を行うべきことなどの緊急事態応急対策に関する事項を指示する。
③ 国民保護法:
対策本部長は、武力攻撃から国民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、基本指針及び対処基本方針で定めるところにより、警報を発令しなければならない。
④ 新型インフルエンザ等対策特別措置法:
政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態において、特定の都道府県の住民に対して、感染を防止するために、居宅からの外出禁上を命令することができる。
⑤ 気象業務法:
内閣総理大臣は、予想される現象が特に異常であるため重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合には、気象庁の報告に基づき、気象、地象、津波、高潮及び波浪についての特別警報を発する。
【正解③】
① 災害対策基本法 第六十条 :
都道府県知事の許可なく、市町村長は避難勧告、立退き指示できる。都道府県知事は、市町村長の代行をつとめることができる。
② 原子力災害対策特別措置法 第十五条の3
原子力規型委員会は、原子力緊急事態が発生したと認めたときに内閣総理大臣に対し、その状況に関する情報を報告、指示案を提出する。
それを受け、内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言をし、市町村長及び都道府県知事に対して立退き、退避指示をおこなう。
④ 新型インフルエンザ等対策特別措置法 第四十五条
『政府対策本部長』とは内閣総理大臣を指します。「感染を防止するための協力要請」は政府対策本部長ではなく、特定都道府県知事が行います。また、「居宅からの外出禁止命令」ではなく、「外出しないことへの協力要請」が正です。
⑤ 気象業務法 第十三条の二
内閣総理大臣ではなく、気象庁が特別警報を発します。特別警報を発するための基準を定める際、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴く必要があります。
社会環境管理
I-1-37 環境政策の原則や取組方法の考え方に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 源流対策の原則とは、製品などの設計や製法に工夫を加え、汚染物質や廃棄物をそもそも作らないようにすることを優先すべきという考え方である。
② 協働原則とは、公共主体が政策を行う場合には、政策の企画、立案、実行の各段階において、政策に関連する民間の各主体の参加を得て行わなければならないという考え方である。
③ 補完性原則とは、環境施策の処理はできる限り広域的行政単位が担い、それになじまない事柄に限って、より基礎的な行政単位が処理すべきという考え方である。
④ 未然防止原則とは、環境の保全は、環境上の支障が生じてからではなく、科学的知見に基づき、支障の発生を未然に防ぐことを旨として行われなければならないという考え方である。
⑤ 予防的な取組方法とは、環境問題について科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めつつ、予防的な対策を講じるという考え方である。
【正解③】
補完性原則とは、決定や自治などをできるかぎり小さい単位でおこない、できないことのみをより大きな単位の団体で補完するという概念です。よって、補完性原則に対する正しい記述は次の通りです。
『環境施策の処理はできる限り基礎的な行政単位が担い、それになじまない事柄に限って、より広域的行政単位が処理すべきという考え方である。』
