経済性管理
人的資源管理
I-1-9 いわゆる育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)においては、育児のために次に示す5つの制度が定められている。このうち、2歳の子を養育する労働者が一定の要件を満たす場合に利用できる制度の数はどれか。
(ア)育児休業:労働者は、事業主に申し出ることにより、子1 人につき原則として1 回、育児休業をすることができる。
(イ)子の看護休暇:労働者は、事業主に申し出ることにより、病気やけがをした子の看護を行うなど、のために、年間一定日数の休暇を取得することができる。
(ウ)所定労働時間短縮の措置:事業主は、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度( 1 日の所定労働時間を原則として6 時間とする措置を必ず含む。)を設けるなどの措置を講じなければならない。
(エ)深夜業の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を午後10 時から午前5 時までの聞において労働させてはならない。
(オ)所定外労働の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を、所定労働時間を超えて労働させてはならない。
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5
【正解④】
下表は、各種制度とポイントをまとめたものです。
育児休業 | 1歳になるまで事前申請により1歳6カ月から2歳まで延長可能2回までの分割取得可能 |
子の看護休暇 | 小学校就学の始期に達するまでの子労働者1人につき年5日 |
所定労働時間短縮の措置 | 1日の所定労働時間を原則として6時間にする子どもが3歳になるまで |
深夜業の制限 | 深夜業とは、午後10時から午前 5 時まで小学校就学の始期に達するまでの子要介護状態の家族がいる従業員 |
所定外労働の制限 | 子どもが3歳になるまで |
これより、(ア)のみが2歳の子に対しては適用不可です。
それ以外の4制度は適用可能です。
情報管理
I-1-21 組織の情報資産を脅かす情報セキュリティの脅威に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① DoS 攻撃:企業や国家の機密情報の詐取等を目的に、特定の個人や組織、情報を狙ったサイバー攻撃。
② ランサムウェア:コンピュータウイルスの一種で、感染したコンビュータが正常に利用できないよう人質に取り、復元のために代価の支払いを要求するソフトウェア。
③ 標的型攻撃:大量のデータや不正なデータを特定のコンピュータや通信機器等に送りつけ、相手方のシステムを正常に稼働できない状態に追い込むサイバー攻撃。
④ メール爆弾:ウイルスに感染した電子ファイルを電子メールに添付して、コンピュータをウイルスに感染させ、メール受信者のデータを破壊するサイバー攻撃。
⑤ ビジネスメール詐欺:実在の金融機関等を装った電子メールを送付し、偽のWeb サイトに誘導して、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号等の情報を詐取する詐欺。
【正解②】
①:記述は標的型攻撃の説明です。標的型メールは主に企業・組織に対する攻撃です。
③:記述はDoS 攻撃の説明です。
④:メール爆弾とは、対象とした相手に故意的にメールを大量に送り、メールサーバをダウンさせる攻撃。Dos攻撃の一種と考えることもできる。
⑤:ビジネスメール詐欺は、メールアカウントをのっとり、自社または関連会社の経営層や取引先になりすまし、金銭をだまし取ることを目的としたサイバー攻撃のことです。記述はフィッシングメールの説明です。
安全管理
I -1 -29 厚生労働省:平成28 年労働災害動向調査及び労働災害統計における全産業の労働災害発生状況は、度数率1.6、強度率0.10、年千人率2.2 である。ある事業所は、従業員数200 名、年間平均労働時間は1,700 時間であるが、労働災害による死傷者数は2 名、労働災害のために失われた労働損失日数は20 日であった。この事業所の労働災害の状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 度数率、強度率、年千人率のすべてにおいて全産業の値を上回っている。
② 度数率、強度率は全産業の値を上回っているが、年千人率は下回っている。
③ 度数率、年千人率は全産業の値を上回っているが、強度率は下回っている。
④ 度数率、強度率は全産業の値を下回っているが、年千人率は上回っている。
⑤ 度数率、年千人率は全産業の値を下回っているが、強度卒は上回っている。
【正解③】
- 度数率=労災死傷者数÷延実労働時間数×1,000,000
=2÷(200×1,700)×1,000,000=5.88 - 強度率=延労働損失日数÷延実労働時間数×1,000
=20÷(200×1,700)×1,000=0.059 - 年千人率=年間死傷者数÷年間平均労働者数×1,000
=2÷200×1,000=10
全産業 | ある事業所 | |
度数率 | 1.6 | 5.88 |
強度率 | 0.10 | 0.059 |
年千人率 | 2.2 | 10 |
社会環境管理
I-1-34 環境基本法に基づき定められている環境基準に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 環境基準は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、ダイオキシン類、騒音及び振動に係る環境上の条件について定められている。
② 大気の汚染に係る環境基準として、硫化水素、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(SPM)、鉛及び光化学オキシダント(Ox)の5 物質について定められている。
③ 騒音に係る環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音にも適用される。
④ 水質の汚濁に係る環境基準には、水生生物の保全に係る水質環境基準も設定されている。
⑤ 土壌の汚染に係る環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所を除くすべての場所に例外なく適用される。
【正解④】
①:振動の環境基準はない。環境基準が定められているのは、それ以外の5つ。
②:硫化水素、鉛は定められていない。二酸化硫黄 (SO2)、二酸化窒素(NO2)、微小粒子状物質(PM2.5、H21年追加)が抜けている。まとめると、大気汚染に関する環境基準は、SO2, CO, SPM, Ox, NOx, PM2.5の6物質について定められている(令和3年10月7日)
③:騒音に係る環境基準について、次のように定められている。
「著しい騒音を発生する工場及び事業場、建設作業の場所、飛行場並びに鉄道の敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。」
航空機は「航空機騒音に係る環境基準」で、新幹線は「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」で定められている。鉄道騒音に関して基準は定めれ有れていないが、「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」を環境庁が発出している。
⑤:原材料の堆積場、廃棄物の埋立地、規制物質の利用又は処分を目的として集積している施設は適用されない。
I-1-36 仮想評価法(Contingent Valuation Method)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお仮想評価法は仮想的市場評価法と、また受入補償額は受け入れ意思額や受取意志額と、支払意思額は支払意志額と呼ばれることもある。
① 仮想評価法はアンケート調査を用いて便益を計測する手法であり、利用者の行動の変化や地価の変化に基づく分析に適する手法である。
② 二項選択方式は、提示された価格に対して購入の可否を決める人びとの実際の購買行動に類似していることから、金額の回答方式として用いることが多い。
③ インターネットアンケートによる方法は、郵送調査法や面接調査法に比べ調査期間が短い上に比較的標本数確保が容易であるため、調査手法として用いることが望ましい。
④ 受入補償額は、支払意思額に比べ回答者が答えやすく、さらに評価額の過大推計を避けることができる。
⑤ 調査対象を明確にするため、事前調査に先立ってアンケート草案を作成したうえでプレテストを行う必要がある。
【正解②】
仮想的市場評価法(CVM;Contingent Valuation Method)とは、アンケート 調査を用いて人々に支払意思額(WTP)等を尋ねることで、市場で取り引きされていない財(効果)の価値を計測する手法です。
①:CVMは、利用者の行動変化や地価の変化に基づく分析には適さない。
③:調査方法には、郵送調査法、面接調査法、インターネットアンケートといった複数の方法がある。インターネットアンケートは、都市部では比較的標本数を確保しやすく、短期間で調査を行えるというメリットがある。しかし、回答者がインターネットを利用できる人に限定されるという偏りの補正が困難なため、他の調査方法を用いることができる場合は適用を避けるのが望ましい。
④:受入補償額と支払意思額が逆になっている。金額を訪ねる場合、支払意思額を訪ねるべき。
⑤:調査範囲を明確にするためプレテストは実施するが、必ずしもアンケート草案を作成する必要はない。
顕示選好法と表明選好法
概要 | 手法 | |
顕示選好法 | 環境が消費行動に及ぼす影響を観察することで間接的に環境の価値を推定する方法で、利用価値が対象 | 代替法 トラベルコスト法 ヘドニック法 |
表明選好法 | 人々に直接尋ねることで環境の価値を評価する手法で、利用価値だけでなく非利用価値も対象 | 仮想評価法【CVM】 コンジョイント分析 |
代表的な経済的価値の評価手法の概要と特徴
評価手法 | 顕示選好法 | 表明選好法 | |||
代替法 | トラベルコスト法 | ヘドニック法 | CVM | コンジョイント分析 | |
内容 | 環境財を市場財で置換するときの費用をもとに評価 | 対象地までの旅行費用をもとに評価 | 環境資源の存在が地代や賃金に与える影響をもとに評価 | 環境変化に対する支払意思額や受入補償額を尋ねることで評価 | 複数の代替案を回答者に示して、その好ましさを尋ねることで評価 |
適用範囲 | 利用価値 水源保全、国土保全、水質などに限定 | 利用価値 レクリエーション、景観などに限定 | 利用価値 地域アメニティ、大気汚染、騒音などに限定 | 利用価値および 非利用価値 レクリエーション 、景観、野生生物、生物多様性、生態系など幅広く適用可能 | 利用価値および 非利用価値 レクリエーション 、景観、野生生物、生物多様性、生態系など幅広く適用可能 |
利点 | 必要な情報が少ない 置換する市場財の価格のみ | 必要な情報が少ない 旅行費用と訪問率などのみ | 情報の入手コストが小さい 地代、賃金などの市場データから得られる | 適用範囲が広い 存在価値やオプション価値などの非利用価値も評価可能 | 適用範囲が広い 存在価値やオプション価値などの非利用価値も評価可能 特定の環境対策以外に複数の代替案を比較して評価可能 |
欠点 | 環境財に相当する市場財が存在しないと評価できない | 適用範囲がレクリエーションに関係するものに限定 | 適用範囲が地域的なものに限定 | アンケート調査の必要があり、情報入手コストが大きい バイアスの影響を受けやすい | アンケート調査の必要があり、情報入手コストが大きい バイアスの影響を受けやすい 研究蓄積が少なく、信頼性が不明 |