【平成29年 2017年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

経済性管理

I-1-7 PERT とCPM に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 最終作業を除く各作業の最遅完了時刻は、その作業の後続作業の最早開始時刻のうち、最も早い時刻と等しい。
PERT 計算によって求められるクリティカルカルパスは1 つとは限らず、複複数存在することもあれば、1つも存在しないこともある。
③ 各作業の所要時聞が不確定な場合には、各作業の所要時間を3 点見積もりすることにより、総所要時間がある値以下となる確率を推定できる。
CPM は、プロジェクトの総所要時間を延ばすことなく負荷を平準化するコスト最小な方法を求める手法である。
⑤ 最適化手法を用いてCPM の計算を行う場合、遺伝的アルゴリズムなどの近似解法がよく用いられる。

【正解③】

①クリティカルパス上の作業は、最遅完了時刻後続作業の最早開始時刻のうち最も早い時刻と一致する。
クリティカルパス作業以外では一致するとは限らない。
②クリティカルパスは必ず1つ以上存在する。
④クリティカルパス上の作業に対して、コスト投入最小な期間短縮方法を見出す手法である。
⑤CPMは線形計画問題として定式化して解を求める。遺伝的アルゴリズムは使用しない。

I-1-8 納期遅れとコストを評価指標としたスケジューリングを行うため、納期遅れとコストを同時に最小化しようとする多目的最適化を考える。この最適化問題において、実行可能な解はA~H の8 個であり、それぞれの納期遅れとコストの値が下表のように与えられている。A~H のうち、パレート最適解であるものの数はどれか。

(解A) 納期遅れ0、コスト50
(解B) 納期遅れ1、コスト40
(解C) 納期遅れ1、コスト30
(解D) 納期遅れ2、コスト30
(解E) 納期遅れ3、コスト35
(解F) 納期遅れ3、コスト20
(解G) 納期遅れ3、コスト10
(解H) 納期遅れ4、コスト10

① 2 ② 3 ③ 4 ④ 5 ⑤ 6

【正解②】

  • 同じ納期ならコスト最小を採用する⇒ B、E、F は不適
  • 同じコストなら納期最小を最小する⇒D、Hは不適
  • 残りのA、C、G がパレート最適解

人的資源管理

I-1-16 人事評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、成果評価については業績評価、情意評価については姿勢評価と呼ぶ場合もある。

① 評価項目については、成果評価、能力評価、情意評価に行動評価を加えることがある。行動評価では、高い成果を生み出すためにとった行動特性(いわゆるコンピテンシー)を客観的に評価する。
② 評価基準の設定については、近年、失敗を防ぐ観点から、仕事で失敗することを厳しく評価する減点主義の考え方が一般的である。
③ 評価方法については、人事評価の基準、手続き、結果などを被評価者に公開することによって、社員の評価に対する納得性を高めることをねらいとした公平性の原則が重視されている。
④ 評価の時期と結果の反映については、成果評価は半期ごとに実施され主として賞与に反映し、情意評価と能力評価は1 年に1 回実施され昇給や昇進に反映することが一般的である。
⑤ 成果評価の仕組みである目標管理による評価では、上司と部下の面談において個人の目標が設定され、これらを集約して組織目標とすることにより組織目標と個人目標を統合することができる。

【正解①】

②:減点主義は、従業員が失敗をせずに無難に過ごそうとする傾向が生じる恐れがある。
  革新的なことに挑戦する意欲を生じさせる加点主義を採用すべきである。
③:「公平性の原則」ではなく、「透明性」が重視される。
④:賞与に姿勢(情意)評価と業績(成果)評価が反映され、昇給・昇進に能力評価を反映することが一般的である。
⑤:個人目標を集約して組織目標を設定することはしない。

情報管理

安全管理

I-1-26 リスクコミュニケーション(RC)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① RC によりリスクに対する情報の非対称性は解消されるので、発信側が受け手のリスク情報の理解の仕方を意識する必要はない
② 平常時のRC の仕組みの構築が行われていれば、緊急時のRC も対応できる
③ RC は、社会の各層が対話・共考・協働を通じて多様な情報及び見方の共有を図る活動である。
④ 不確かさや見解の相違があるリスク情報の公開に当たっては、その根拠を説明し参加者を説得することが重要である。
⑤ RC を企画・運営する人材には、内容を熟知している事業者の担当者が好ましい

【正解③】

社会環境管理

I-1-35 自然の恵みの価値を評価するために、それぞれの事例における環境の社会経済的評価手法の適用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 干潟の浄化機能を定量的に把握するため、同じ浄化機能を有する水質浄化施設の建設費用を算定し、代替法により評価する。
誰も訪れないような奥地の原生林の価値を把握するため、この原生林の利用状況を調査し、トラベルコスト法により評価する。
③ 都市緑地整備による環境向上価値を把握するため、環境条件の異なる複数の住宅価格を調査し、へドニック法により評価する。
④ 鉱山開発により森林が消失することの外部不経済を把握するため、損害を回避することに対する支払意思額などのアンケート調査を行い、仮想評価法により評価する。
⑤ 湿原の自然再生事業の価値を把握するため、複数の属性と水準を用いて代替案を作成してアンケート調査を行い、コンジョイント分析により評価する。

【正解②】

トラベルコスト法は、「対象地までの旅行費用をもとに評価」する手法である。
よって、本設問にある「誰も訪れないような」土地においては、訪問する価値(レクリエーション価値)がなくトラベルコスト法は適用できない。

I-1-37 景観法の解釈と運用については、「景観法運用指針」において、国としての原則的な考え方が示されている。この指針に照らして、景観法、及びその解釈や運用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

景観法では、「景観」という用語について、良好な景観は地域ごとに異なるものであり、統一的な定義を置くと結果的に画一的な景観を生むおそれがあることなどから、特段の定義を置いていない。
景観行政団体として景観計画を策定するのは基礎自治体である市町村や特別区であり、都道府県は法律上、自ら景観計画を策定する役割はなく、主に市町村に対する指導や調整の役割を担う。
景観計画については、全国各地における規制の整合性や公平性を確保する観点から、景観行政団体の裁量で景観に関する規制内容等を選択して定めることができないように、法的に措置されている。
④ 景観計画の策定や変更の手続については、地方公共団体の判断で、 条例により手続きを付加したり逆に簡素化したりするなど、実情に応じて弾力的に運用することが望ましい。
⑤ 建築物等の形態意匠の制限について変更命令を行う場合には、所有者の自発的取組を促す観点から、色彩や形状に係る明示的な内容を含むことは極力避けることが望ましい。

【正解①】

②都道府県もしくは市区町村が景観行政団体とし景観計画を策定する。
③独自性を発揮できるよう、規制内容等を選択して定めることができる。
④付加することは可能であるが、簡素化は許されない。
⑤基礎的自治体である市町村が形態意匠の制限などについて定める。

I-1-39 環境影響評価法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 第一種事業を実施しようとする者、及び第二種事業を実施しようとする者は、いずれも計画段階環境配慮書を作成し、公表しなければならない。
② 第一種事業では、スクリーニングの手続が必要である。
③ 原子力発電所は、特別の法律によって手続が規定されており、環境影響評価法の対象外である。
④ 第一種事業、及び第二種事業のいずれの場合も、事業者は事業着手後の環境保全措置等の実施状況について報告書を作成し、公表しなければならない。
⑤ 第一種事業、及び第二種事業のいずれの場合も、事業者は環境影響評価書を作成した際には、公告・縦覧した上で、住民への説明会を開催し、意見を求めなければならない。

【正解④】

①第二種事業については配慮書作成は任意である
②第一種事業では、スクリーニングは不要
③原子力発電所は、その規模にかかわらず環境アセスメントの対象事業である
評価書作成時は、公告・縦覧は不要である。配慮書作成時、方法書作成時、準備書作成時は第一種事業及び第二種事業いずれの場合でも公告・縦覧したうえで住民の意見を求める。

I-1-40 ライフサイクルアセスメント(LCA)、及び環境適合設計(DfE)に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものと不適切なものの組合せとして最も適切なものはどれか。

(ア) LCA の原則及び枠組みに関する国際規格としてISO 規格があり、これを基に、同じ技術的内容がJIS として定められている。
(イ) LCA でインベントリ分析を行う際の代表的な手法としては産業連関法と積み上げ法があるが、ISO 規格においては産業連関法を基礎としている。
(ウ) ISO 規格に沿ってLCA を行う場合、調査結果の用途については、インベントリ分析やそこで得られた結果の評価の後に、結果の解釈において設定される。
(エ) DfE の普及の主な背景の1 つとして、 CO2 や有害物質の排出抑制に係る、いわゆるエンドオブパイプ管理の重要性と高い効果が着目されたことが挙げられる。
(オ)国連環境計画(UNEP)が策定したDfE に関するマニュアルでは、 DfE を進める際の段階として、フォローアップ活動の確立を含め7 つのステップが示されている。

 
適切不適切不適切適切不適切
不適切適切適切不適切不適切
適切不適切不適切不適切適切
不適切不適切適切適切適切
不適切適切不適切適切不適切

【正解③】

イ:ISO 規格では、積み上げ法である。
ウ:ISO規格ではLCAは、次の4つの要素から構成される。
  1. 目的および調査範囲の設定
  2. インベントリ分析
  3. 影響評価
  4. 結果の解釈

「調査結果の用途」は「結果の解釈」で設定されない。

エ:DfEの普及の主な背景の1つとして、リサイクル関連法令の制定など拡大生産者責任の流れがあったためである。
DfEに基づいた製品生産を行うことで環境負担を軽減可能となる。
よって、CO2 や有害物質の排出抑制、エンドオブパイプ管理とは逆行しているため誤りである。

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