【技術士経営工学】令和3年 必須科目I-2 解答への道筋

ここでは、令和3年度の技術士2次試験経営工学部門 選択科目 I-2 の論文作成の道筋について解説いたします。

この考え方を参考にして、ぜひ自分でも考えてみてください!

目次

問題文:令和3年 選択科目 I-2

I-2 消費期限のある,若しくは賞味期限が短い食料品の製造・販売を生業とする企業では.納期厳守や生産効率化といった従来の経営目標に加え、より美味しくより安全な商品を創ることによる願客満足.従業員の働き方改革、さらにはフードロスの削減という新たな経営目標の実現が要求されている。このような状況を想定し、以下の問いに経営工学的視点から解答せよ.
(1)新たな経営目標の実現に向けて.技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで.課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ.
(3)全ての解決策を実行したとしても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ.
(4)業務遂行に当たり,技術者としての倫理社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ.

設問(1)と設問(2)の考え方

(1)新たな経営目標の実現に向けて.技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで.課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ.

まずは、新たな経営目標を明確にしましょう。問題文から新たな経営目標は、

  1. より美味しくより安全な商品を創ることによる願客満足
  2. 従業員の働き方改革
  3. フードロスの削減

ということがわかります。

3点挙げられており、「課題を3つ抽出」と個数が合致しています。考えが浅いと、それぞれに対して1つずつ課題を提示しそうになります。

それでも良いですが、(2)で最も重要と考える課題を1つ挙げ、解決策を示さなければなりません。

「最も重要な課題」を選択するということは、3つある経営目標から1つ選ぶことになり、それは残りの2つを捨てることを意味します。それでは題意に沿う解答となりません。そして、解答が浅くなる可能性があります。

そこで、

新たな経営目標を実現するために、ロボット・AIを導入する。

と、「新たな経営目標」を達成するための手段を1つにまとめます。それに対する課題を3つ挙げるとどうでしょうか。

AI導入の課題を挙げていきます。(1) の問いに対する解答3点と、(2)の問いに対する解答例を示します。

  1. 顧客満足: 顧客満足度と、素材の種類・量・コストの関係をAIを使用して計測する
    • 顧客満足度を計測する項目を正しく選ぶ
    • AI 人材の確保
    • 他社製品との比較
    • 使用する素材の選定
  2. 働き方改革;製造現場をAI化、ロボット導入
    • AI人材の確保
    • 他社の動向を調べる
    • 事前に、工場の流をECRSの原則に沿って効率化しておく
  3. フードロス削減 : 需要と供給の関係をAIで解析する
    • AI人材の確保
    • 需要を正確に計測するためのデータの蓄積
    • オンタイムに供給するためのロジステック
  1. KPIを設定する⇒PDCAサイクルをまわす指標にする
  2. スピード感を持った開発⇒スモールスタートアップ
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設問(3)の考え方

全ての解決策を実行したとしても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ.

上記の2を例にして解答案を提示します。工場のAI化、ロボット導入を提示した場合の新たに生じるリスクは、

技術の空洞化、ノウハウの喪失

を挙げるといいです。問題を一般化すると準備が簡単です。そのリスクへの対策は、

  1. 作業員の行動を数値化し、データベース化する。カメラを活用することで細かい行動まで確認する
  2. 素材の量、投入するタイミングを正確に記録する

が考えられます。

設問(4)の考え方

(4)業務遂行に当たり,技術者としての倫理社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ.

ロボットを導入することによって、新たに発生するリスクを記述します。

  1. ロボットの騒音対策
  2. ロボットが誤作動した場合の安全策
  3. 工場人材の活用⇒技術営業として活躍の場を設ける
  4. 国内外の特許を調べ、権利の侵害をしていないことを確認する
  5. ロボットをネットワークにつなぐことによる、サイバーリスク

などが思いつくのではないでしょうか。

まとめ

ロボットを導入して工場最適化に関する設問はパターン化できることが分かったと思います。
上記の考え方は、特殊なことはほとんど書いておらず、一般的な内容しか書いていません。

しかし、

減点箇所が無いところがポイントです!

80点、90点、100点を目指す必要はありません。
60点以上を取れば合格します。
皆さんも、戦略的に論文作成手法を身に着けましょう。

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