賃金管理は、賃金を適正な水準に維持する「賃金額管理」と、その賃金額を公正に配分する為の「賃金制度管理」に分かれます。
目次
賃金額管理
総額資金管理~適正人件費と社会的賃金水準との調整
労働費用は、現金賃金と現金以外の賃金(退職金等の費用や教育訓練費などがそれにあたる)に分類される。
また、個々の従業員の現金賃金を企業全体で合計したものが、賃金総額です。
さらに、賃金総額に現金以外の賃金の合計を加えたものが、総額労働費用(労働費用の総額)です。企業はこの総額労働費用を産出し、賃金総額を一定の割合に維持する必要があります。
個別賃金額管理~基準年齢別の最低・標準賃金額の設定
個別賃金額を算出し、管理する手法です。
個別賃金額の決定は賃金総額によるガイドラインを認識した上でモデル賃金を参考にし、定期昇給やベースアップも考慮し、個人の賃金額を決定します。
賃金制度管理
基本給は、賃金の基本部分で、同一の賃金体系が適用される従業員全員に支払われるものです。
基本給のタイプには、年功給、職務給、職能給、成果給の4つがあります。
基本給の類型 | 内容 |
年功給 | 日本で従来より用いられているもの。従業員の年齢や勤続年数、学歴などの属人的な要素を中心に決定される基本給 |
職務給 | アメリカを中心に用いられているもの。職務の重要性や困難度で職務の価値づけを行い、基本給を決定する |
職能給 | 日本において能力主義の進展とともに、用いられているもの。従業員の職務遂行能力を基準に基本給を決定する。 |
成果給 | 職務の遂行の際に、どれだけその能力を発揮できたかという観点から基本給を決定する。 |
労働生産性
労働投入量に対してどれほどの付加価値を生み出せているのかを表す指標が労働生産性です。次の式で定義されています。
労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数
従業員1人あたりの付加価値であり「会社の稼ぐ力」を表す指標と言えます。
労働分配率
付加価値に占める人件費の割合を表す「労働分配率」は、人件費が適正な水準かどうかを判断するために使われる経営指標です。次の式で定義されています。
労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100
給与や福利厚生費などの人件費(ヒトへの投資)が増えれば労働分配率は上がり、企業活動を通して生み出される付加価値が増えれば労働分配率は下がります。