【平成28年 2016年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

経済性管理

人的資源管理

1-1-10 平成27年版労働経済の分析(厚生労働省:労働経済白書)の中で、我が国の労働経済の動向に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

①2014年度平均で完全失業率は17年ぶりの低水準となり、有効求人倍率も23年ぶりの高水準となるなど、雇用情勢は着実に改善が進んでいる。
②我が国の労働生産性を欧米諸国と比較すると、上昇率水準とも遜色ない。
③1990年代半ば以降、労働者の総実労働時間はパートタイム労働者比率の上昇等により減少しているが、パートタイムを除いた一般労働者の総実労働時間は大きく変化していない。
④労使双方への調査によると、所定外労働時間が発生する理由としては、業務の繁閑が激しい、突発的な業務が生じやすい、人手が不足している、などを労使ともに多く挙げている。
⑤人口が集積し、人口密度が高い地域ほど、労働生産性の水準が高いという関係がみられる。

【正解②】

日本の労働生産性向上率は欧米諸国と比較して遜色はない。労働生産性水準は欧米諸国よりも低い。製造業は遜色ないが、非製造業は下回り、特に就業者数が多いサービス業では半分以下の水準。

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1-1-13 雇用に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)において禁止されている行為に該当するものの数はどれか。

(ア)守衛、警備員のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務を行う労働者の募集について、男性に限定すること。
(イ)女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない総合職の採用に当たって、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用すること。
(ウ)時間外労働や深夜業の多い職務への配置に当たって、その対象を男性労働者のみとすること。
(エ)一般職社員のほとんどが女性である会社において、一般職社員の中から、女性のみを対象とした窓口業務研修を行うこと。
(オ)期間を定めて雇用される女性労働者について、妊娠・出産を理由に契約の更新をしないこと。

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

【正解③】

アイ:該当しない                 ウエオ:該当する

(エ) 第8条の女性労働者についての措置に関する特例がある。特定の職務または役職に占める女性の割合が4割を下回る場合に適用される。「一般職がほとんど女性である職場」ではこの特例は適用できない。

1-1-16 人事考課管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

透明性の原則は、人事評価の基準、手続き、結果などを被評価者に公開することによって、従業員の評価に対する納得性を高めようとするものである
②失敗することを厳しく評価する減点主義では、従業員の間に失敗をせず無難に過ごそうとする傾向が生じるおそれがある。
③一般的な評価基準は、能力、姿勢、業績という3つの領域から構成され、能力はインプットで安定的であるが、姿勢、業績はアウトプットで短期に変動する。
目標管理による業績の評価方法では、業績は評価期間の初めに設定された業務目標の達成度と難易度の2つの要素を組合せて評価される。
⑤主として賞与には姿勢評価と業績評価を反映し、昇給や昇進にはそれとともに長期的な視野を含めるために能力評価も反映することが一般的である。

【正解③】

業務プロセスを考えると能力・姿勢がインプットで、業績がアウトプットであることは明らかである。能力は安定し、姿勢・業績は短期変動する。

情報管理

安全管理

1-1-26 製造物責任に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

①製造物責任法では、製造物は「製造又は加工された動産」と定義され、一般的には大量生産・大量消費される工業製品単体ソフトウェアなどが対象とされる。
②製造物責任法における欠陥とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。したがって安全性にかかわらないような単なる品質上の不具合は欠陥にはあたらない。
③製造物責任法における製造業者とは、当該製造物を業として製造・加工又は輸入した者をいう。
製造物責任法では、損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間請求を行わないとき、時効によって消滅する。
⑤消費者を対象に日常使用する製品による人身事故の発生を防ぐ目的で、消費生活用製品安全法が制定されている。

【正解①】

ソフトウェア自体は無体物であり、製造物責任法の対象とはなりません。
ただし、ソフトウェアを組み込んだ製造物については対象となる場合があります。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html#q5

1-1-32 職場のパワーハラスメントとは、職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は、職場環境を悪化させる行為をいう。職場のパワーハラスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

①業務の適正な範囲を一律に定義することは困難であるため、パワーハラスメントの規定は、就業規則、労使協定等のルールに明確化しないことが望ましい。
②職場内での優位性は、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性などとは関わりなく、職務上の地位によって判断される
③パワーハラスメント行為は、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」5つの類型によって定義される。
④パワーハラスメント問題が発生した場合、企業は、その行為に加担していなくとも、法的責任が問われる場合がある。
⑤近年、ひどい嫌がらせ等を理由とする精神障害等での労災保険の支給決定件数は減少傾向にあるが、労働基準監督署等への相談は増加を続けている。

【正解④】

①「パワーハラスメント対策の基本的枠組みの構築手順」で「ルールを決める」とされている。
②「職務上の地位によって判断される」が誤り。「職務上の地位に限らず」判断される。
③パワーハラスメントは6つの類型によって定義される。「個の侵害」が抜けている。
⑤精神障害等での労災保険の支給決定件数は「増加」している。

社会環境管理

1-1-35 放射性物質汚染対処特措法(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

①事故により原子力事業所外に飛散したコンクリートの破片その他の廃棄物の処理は、関係原子力事業者が行う。
特定廃棄物収集、運搬、保管及び処分は国が実施する。
③特定廃棄物は、対策地域内廃棄物、特別管理廃棄物、指定廃棄物の3つをいう。
除染特別地域については、国が除染計画を策定し、除染事業を実施する。
汚染状況重点調査地域については、指定された市町村が除染実施計画を定め、除染実施区域を決定する。

【正解③】

特定廃棄物は対策地域内廃棄物と指定廃棄物の2つである。

1-1-37 環境影響評価に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

(ア)環境影響評価法においては、第一種事業及び第二種事業のうち、第二種事業に対してスクリーニングの手続きが定められている。
(イ)地方自治体が制定する環境影響評価に関する条例においては、環境影響評価法で定められた手続き以外のものを規定することはできない。
(ウ)事業者は、環境影響評価書を作成した時は、公告・縦覧した上で、住民への説明会を開催し、意見を求めなければならない。
(エ)第一種事業及び第二種事業を実施しようとする者は、計画段階配慮事項についての検討を行った結果について、計画段階環境配慮書を作成しなければならない。

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

【正解②】

(ア) のみ適切

(イ)  環境影響評価法は、全国的な観点から必要な制度を定めたもので、規制の限度を定めたものではない。
(ウ) 評価書作成時は、公告・縦覧は不要である。配慮書作成時、方法書作成時、準備書作成時は第一種事業及び第二種事業いずれの場合でも公告・縦覧したうえで住民の意見を求める。
(エ) 第二種事業の場合配慮書の作成は任意。

1-1-38 ライフサイクル・アセスメント(LCA)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

①LCAは、製品及びサービスにおけるライフサイクル全般にわたっての総合的な環境負荷を客観的に評価する手法の一つである。
②ISO及びJISによる標準化においては, LCAは大きく分けると、 目的と調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、結果の解釈の4つの要素から構成されている。
③ライフサイクル・インベントリ分析を行う際に、リサイクル工程がある場合には、環境負荷がどの製品に帰属するのか単純に分析できない。
④影響評価は、分類化、特性化、重み付けという3つのステップで行われる。
⑤LCAの手法のひとつである産業連関法は、特に新技術やリサイクルを含めた分析に適している。

【正解⑤】

産業関連法は、取り入れられている項目が多くないため個々の製品を分析するには不十分であることがある。新技術やリサイクルは産業連関表に取り入れられていないため、産業関連法では分析できない。

1-1-39 組織の環境管理活動に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

(ア)環境アカウンタビリテイとは、企業などの組織において、財務的な事項だけでなく、非財務的な自然・環境に関わる事項を含めて社会に報告する責任を有するという考え方である。
(イ)環境報告書は、組織の環境管理活動の内容を組織外に公開するためのもので、一定規模以上の企業には作成が義務付けられている。
(ウ)環境管理システムは、環境に関する経営方針(環境方針)を体系的に実行していくためのシステムである。
(エ)エコアクション21の主たる目的は、大手事業者が環境保全の取り組みを体系的に展開していくための仕組みを提供することである。
(オ)環境会計には、環境会計情報が環境報告書などを通じて社会に開示される外部報告的な性質と、環境保全に取り組む際に合理的な意思決定を行うためのツールとして利用できる内部管理的な性質の2つの側面がある。

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

【正解③】

(イ) 環境報告書の作成は規模に寄らず「任意
(エ) エコアクション21は中小企業事業者に対して、環境管理に用いることができる簡易な方法。「大手事業者」が誤り

1-1-40 次のうち、環境調査の対象となる動植物と調査手法の組合せとして最も適切なものはどれか。

(対象となる動植物)
ア 昆虫
イ陸上植物
ウほ乳類
エ鳥類
(調査手法)
A ラインセンサス法
B ライトトラップ法
C フィールドサイン法
D コドラート法

①(ア)A、(イ)B、(ウ)C、(エ)D
②(ア)B、(イ)A、(ウ)D、(エ)C
③(ア)B、(イ)D、(ウ)C、(エ)A
④(ア)C、(イ)D、(ウ)B、(エ)A
⑤(ア)C、(イ)A、(ウ)B、(エ)D

【正解③】

昆虫:任意採取法、直接観察法、ライトトラップ法(夜間光に集まる性質)
陸上植物:コドラート法。調査対象地域の中から代表的区域を選択して、その中の方形区(コドラート)を設定し、優占種などを調査する

哺乳類:フィールドサイン調査法(対象地域の踏査)、トラップ法(簡単な罠)
鳥類:ラインセンサス法(事前に設定したルートを歩いて鳥の姿や鳴き声で生息確認)、ポイントセンサス法(複数の点で観察)、テリトリーマッピング法(なわばり調査)

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