【平成26年 2014年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

経済性管理

I-1-1問題状況とそこで用いられる問題解決手法に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

①いくつかの案について,複数の評価基準に対し一対比較行列を作成し,その重要度を数値化して最も望ましい代替案を決めるために,階層化意思決定法を用いる。
②問題解決のための手順を有向グラフの形式に示し,将来起こり得る局面とその結果を想定し,的確な判断ができるようにするために,親和図を用いる。
③ある事象に対し,その結果に影響を及ぼすと思われる根元的な原因を列挙し,定性的な因果関係を整理・分類するために,過程決定計画図を用いる。
④少人数のグループで問題解決のアイデアを自由奔放に引き出すためにデルファイ法を用いる。
⑤同一内容のアイデアに関するアンケ-トを繰り返し行い,回答者の意見を収斂させていくために,集団情報構造化法を用いる。

【正解①】

②は過程決定計画図(PDPC法)の説明です。
⑤はデルファイ法の説明です。

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I-1-2製品製造における原価企画に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

①製品企画段階では,製品のコンセプトと目標利益を明確にする。
②製品の定められた目標利益から,それを実現するための目標原価を設定する。
③目標原価の設定は,製品の機能を構成する単位としての構造毎,部品毎に行う。
設計段階では,原価低減のための検討を行い,設計変更・修正を繰り返す
⑤製造へ移行した時点で原価企画の活動は終了し,それ以降は原価維持の活動を行う

【正解⑤】

市場の状況や顧客の動向により仕様変更が行われる場合がある。その場合、原価も変動する可能性があるため原価企画の活動は終了しない

②目標原価は、予定販売価格と目標利益の差額として設定される。

I-1-7進行管理に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち,適切なものの数はどれか

(ア)「作業手配」は,作業準備と作業割当てを行い,作業指示を与えることである。
(イ)「進度管理」は日程計画に基づいた作業の進捗を調査して判定し,遅れが生じている場合は対策を講じるものである。
(ウ)「余力管理」の目的は,作業者や設備の能力と負荷を調整して待ち時間を減らし,過負荷を防止することにある。
(エ)「現品管理」の目的は,現状の完成品数量を把握し生産日程を維持することにある。

① 0  ② 1  ③ 2 ④ 3 ⑤ 4

【正解④】

エのみ誤り。「現品管理」の目的は、仕掛品の所在と数量の管理が目的。

I-1-8次の(ア)~(エ)に示す設備保全の管理方式と,(A)~(D)に示す生産上の事例の組合せとして最も適切なものはどれか。

設備保全の管理方式
(ア)日常保全
(イ)定期保全
(ウ)予知保全
(エ)保全予防

生産上の事例
(A)毎始業時,設備の作動を点検し,給油を行った後に本作業に入る。
(B)設備の劣化傾向を診断技術によって管理し,保全時期や修理方法を決める
(C)設備の故障データに基づいて一定運転時間ごとに部品の交換を行う
(D)使用中の設備に故障が多発したため,設備を新しく計画する段階で故障対策やメンテナンス性の改善策を適用した設備の導入を図る。

  ア イ ウ エ
① A C B D
② A C D B
③ A D C B
④ C A B D
⑤ C B D A

【正解①】

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人的資源管理

I-1-9労使関係に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち,労働組合法上,使用者が行ってはいけない不当労働行為に該当するものの数はどれか。

(ア)労働者が労働組合を結成しようとしたことを理由に解雇すること。
(イ)労働者が労働組合に加入しないことを雇用条件とすること。
(ウ)雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと。
(エ)労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。
(オ)労働者が労働委員会に対し不当労働行為の申立てをしたことを理由に解雇すること。

 ① 1  ② 2  ③ 3 ④ 4  ⑤ 5

【正解⑤】

すべて誤り。
労働組合法 第7条 (不当労働行為の禁止)に関する設問。

(1) 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い(第1号)
例)・ 労働組合への加入、労働組合の結成又は労働組合の正当な行為を理由とする解雇、賃金・昇格の差別等
• 労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること

(2) 正当な理由のない団体交渉の拒否(第2号)
例)・当該企業で働く労働者以外の者が労働組合に加入していることを理由とする団体交渉の拒否
・ 形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(不誠実団交)

(3) 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助(第3号)
例)・労働組合結成に対する阻止・妨害行為、労働組合の日常の運営や争議行為に対する干渉を行うこと
・ 労働組合の運営経費に経理上の援助を与えること

(4) 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い(第4号)
例)・ 労働委員会の調査・審問等において、労働者が証拠を提出したり、発言したことを理由とする不利益取扱い

(ア)と(イ)は第一項、(ウ)は第二項、(エ)は第四項、(オ)は第五項に関する事象。

I-1-10職務設計における「5つの中核的職務特性」に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

①従業員はその仕事を遂行するために活用できる技能率知識が多様であればあるほど,その仕事を有意義と感じる。
②従業員はその仕事を遂行した結果として得られる給与や賞与などの物質的達成感が高ければ高いほど,その仕事を有意義と感じる。
③従業員は自分の仕事が外部の人々にどれだけ影響を及ぼすか,すなわち,他の人々の物理的あるいは心理的幸福にどれだけ役立っているかを知覚すればするほど,その仕事を有意義と感じる。
④従業員が仕事のスケジュールや実施手順を決定する際にどれだけ自由な裁量が与えられているか,この自由裁量が大きければ大きいほどその仕事の成否への責任感が高まる。
⑤従業員は自分の仕事の成果について明確で直接的な情報を受け取ることができるフィードバックメカニズムが業務内に装備されていることで,実際の仕事の結果を知覚し,動機づけが高まる。

【正解②】

中核的職務特性は次の5つです。

  • 技能多様性            設問文①
  • タスク完結性
  • タスク重要性        設問文③
  • 自律性                    設問文④
  • フィードバック     設問文⑤

設問文②のような金銭的インセンティブは「中核的職務特性」には含まれません。

I-1-11次の(ア)~(ウ)に示す教育訓練の目的と,(A)~(C)に示す教育訓練技法の組合せとして最も適切なものはどれか。

教育訓練の目的
(ア)職場の同僚と協力する姿勢や対人能力の向上
(イ)問題解決能力の養成
(ウ)創造性の開発 

教育訓練技法
(A)ロールプレイング
(B)ケース・スタディ
(C)ブレイン・ストーミング

  ア イ ウ
① A B C
② A C B
③ B A C
④ B C A
⑤ C A B

【正解①】

I-1-13会社の代表的な組織形態である,職能別組織,事業部制組織,マトリックス組織について,それぞれの長所を以下に示す。このうち,事業部制組織の長所として最も適切なものはどれか。

①企業内のさまざまな活動が統一的に管理されているので,重複が排除できる。
②人的資源の共有化を図り,柔軟に問題に対処できる。
③情報伝達チャンネルが多元化するため,情報共有が促進され,情報処理の迅速化が図れる。
④業務的決定の権限が分権化されているので,意思決定が迅速にできる。
⑤専門的な知識の蓄積やスペシャリストの育成ができる。

【正解④】

①職能別組織
②マトリクス組織
③マトリクス組織
⑤職能別組織

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I-1-16男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)において,職場における男女の均等取扱い等に関して,禁止される行為と必ずしも禁止されない行為がある。次のうち,必ずしも禁止されない行為はどれか。

①労働者の採用に当たって,営業職は男性,事務職は女性に限定して募集すること。
②労働者の採用に当たって,特別な事由なく労働者の身長,体重又は体力を要件とすること。
③労働者の昇進に当たって,特別な事由なく転勤の経験があることを要件とすること。
④配置のために必要な資格試験の受験を,女性労働者のみに奨励すること。
⑤厚生年金の支給開始年齢に合わせて,男女で異なる定年を定めること。

【正解④】

情報管理

I-1-18特許制度に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

①日本では先に発明した人に権利が生じる先発明主義を取っている。
②ビジネス上のアイデアをコンピュータや既存のネットワークを利用して実現する情報処理装置は,特許制度の保護対象となり得る。
③ソフトウェアは著作権で保護されることになっており,特許制度の保護対象とはなっていない。
④出願された特許は出願公開後,定められた期間が経過すると自動的に実体審査が開始される。
⑤実体審査・特許査定を経て特許が設定登録され,特許公報に掲載された後の特許権に対しては無効審判を請求できない

【正解②】

①日本を含むほとんどの国は先願主義を採用している。先に出願した者に対して特許を付与する。
③ソフトウェアは特許制度の保護対象である。自然法則を利用した技術的思想の創作であるため。
④実体審査は、出願人が出願審査請求を行うことによって行われる。自動的には開始されない。
⑤無効審判請求は可能である。特許権に瑕疵がある場合、その特許を無効とし、特許権が初めから存在しなかったものとみなす方法を設ける必要があるため。

I-1-20電子証明書及び電子署名に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 電子証明書は電子入札や商業・法人登記,特許のインターネット出願などに利用されている。
② 電子証明書の発行や有効性に関する情報提供などを行う機関を認証局という。
③ 電子証明書の発行を受けた者は,自らその電子証明書を有効期間が満了する前に失効させることはできない。
④ 電子データの受信者は,送られてきた電子データの作成者が誰であるかを,電子証明書と電子署名を用いて確認できる。
⑤ 電子データの受信者は,送られてきた電子データが改ざんされていないことを,電子署名を用いて確認できる。

【正解③】

電子証明書とは、電子ファイルを使った電子契約などの手続きにおいて、間違いなく本人であることを証明するための技術です。自ら、有効期限満了前に失効させることは可能です。

I-1-21標的型攻撃メールに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,ドメイン名とはメールアドレスの@より右の文字列を指す。

標的型攻撃メールとは特定のプログラムを狙ったサイバー攻撃のメールである。
標的型攻撃メールにはファイルが必ず添付されている。
標的型攻撃メールの添付ファイルに仕掛けられたウィルスが既知であれば,ウィルス対策ソフトのウィルス定義ファイルを最新にしておくことで検知可能である。
④送信者のメールアドレスが自分と同じ組織のドメイン名であれば,イントラネット内の送受信であるので安全なメールである。
⑤以前,安全にメールの送受信を行った実績のあるメールアドレスからのメールは安全なメールである。

【正解③】

標的型攻撃メールとは、不特定多数の対象にばらまかれる通常の迷惑メールとは異なり、対象の組織から重要な情報を盗むことなどを目的として、組織の担当者が業務に関係するメールだと信じて開封してしまうように巧妙に作り込まれたウイルス付きのメールのことです。ウイルスを仕込んだ添付ファイルを開かせ、ウイルスに感染させるWebサイトのリンクをクリックさせるように巧妙に誘導するなど特定の企業・組織を狙い打ちします。

フィッシング詐欺は主に個人のパソコンユーザーに対する攻撃で、標的型メールは主に企業・組織に対する攻撃です。

安全管理

I-1-25労働安全衛生法令の規定に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

①事業者は,定められた規模の事業場ごとに,都道府県労働局長の免許を受けた者のうちから,総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
②事業者は,労働者を雇い入れたときは,事業場のすべての業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならない。
③事業者は,定められた業種及び規模の事業場ごとに事業場の労働災害防止対策を実行する組織として,安全衛生委員会を設けなければならない。
④事業者は,労働災害発生の急迫した危険があるときは,直ちにその旨を労働基準監督署に通報しなければならない。
⑤事業者は,定められた業種及び規模の事業場ごとに安全管理者を選任し,その者に法令で定められた事項のうち,安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

【正解⑤】

①統括安全衛生管理者は「都道府県労働局長の免許を受けた者とは限らない
②「すべての業務」に関するものではない
③安全衛生委員会は労働災害防止対策を直接「実行する組織ではない。
④急迫した危険がある場合は「危害防止措置」を講じなければならない。労働基準監督署への通報ではない。

I-1-26人と機械が協調して作業を行うようなシステムにおける安全確認システム(インターロック)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

①人や機械が動けばぶつかる可能性が生じるため,隔離するか,機械を停止するのが最も納得性の高い安全である。
②安全を確認して機械の運転を行うためには,センサなどの工学的手段に危険側障害が生じていないことを証明しなければならない。
安全確認型インターロックでは,危険状態のみならず,センサの故障で安全が確認できないときも機械が停止する。
危険検出型インターロックでは,危険の情報をエネルギーとして抽出し,積極的なブレーキ動作に結びつける。
安全確認型の安全装置の故障が原因となる事故は繰り返されており,危険検出型に交換していくことが重要である。

【正解⑤】

安全確認型は、安全であることを確認して、その安全確認信号に基づいて車を走らせたり、ロボットを稼動させたりする信号を出すものです。壊れたら「安全」いう、フェールセーフな安全装置といえます。危険検出型は、危険であることをセンサ等で検出して、危険を回避する行動を取らせるタイプです。センサが故障して危険を検出できなければ機械は動き続ける、危険側故障となります。

I-1-27年間の平均在籍従業員1,400人,1人当たりの年間平均就業時間1,800時間のA事業所で,2013年の事故の発生件数は2件であった。この2件の事故合計で,従業員3名がそれぞれ200日,50日,25日休業(ともに一時労働不能)した。A事業所の2013年の強度率に最も近い値はどれか。ただし,一時労働不能の損失日数は休業日数に300/365を乗じた日数とする。

① 0.09  ② 0.11 ③ 1.19 ④ 2.14 ⑤ 89.69

【正解①】

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((200+50+25)×(300/360)/(1400×1800))×1000=0.0909

I-1-31システム安全工学手法に関する次の記述が表している手法として,最も適切なものはどれか。

「機能性の立場から複雑なシステムを解析するのに適しており,複合故障も検討できる。また,システム故障の原因となる人間のエラーと環境条件の関係も有効に表現できるという長所があるが,多くの人手と時間か必要で,時間経過に関係する事象の展開が困難である。」

①フォールトツリー分析 (FTA)

②THERP

③HAZOP

④FMEA

⑤チェックリスト方式

【正解①】

社会環境管理

I-1-34 LCA (ライフサイクルアセスメント)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① LCAの手法の1つとして、企業全体で環境に与える負荷を物量値で測定・把握する手法がある。
② ISO及びJISの規格では、LCAは大きく分けると目的と調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、結果の解釈の4つの要素から構成されている。
③ LCAの手法としては、産業連関法と積み上げ法の2つの方法が広く用いられているが、 ISO及びJISの規格は、基本的に産業連関法によっている。
④ LCAはモノである製品を対象として評価する手法であり、サービスには適用できない
⑤ LCAで対象とする環境負荷としては熱排出量が用いられることが最も多い。

【正解②】
①LCAは負荷を物量値で測定・把握する手法ではない。「定量的に」が正である。
③ISOが基礎にしているのは「積み上げ法」である
④LCAはサービスにも適用できる
⑤最も多い対象はCO2であるが、あらゆる環境負荷物質や消費資源・エネルギーを対象とできる。

I-1-35 環境に関する用語とその説明に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① EPR:生産者がその生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任を負うという考え方である。
② ESCO事業:ビルや工場の二酸化炭素排出量の削減に必要な、技術・設備・人材・資金などを包括的に提供するサービスである。
③ PPP:廃棄物を排出する事業者は、事業活動によって生じた産業廃棄物を自らの責任において処理しなければならないという考え方の基となった原則である。
④ PRTR:有害性のある化学物質の環境への排出量及び廃棄物に含まれている移動量を登録して公表する仕組みである。
⑤ SRI:従来からの株式投資の尺度である企業の収益力、成長性等の判断に加え、各企業の人的資源への配慮、環境への配慮、利害関係者への配慮などの取組を評価し、投資選定を行う投資行動である。

【正解②】

二酸化炭素排出量の削減」が誤りです。
ESCO(エネルギー・サービス・カンパニー (Energy Service Company) )事業とは、ビルや工場の省エネルギー改善に必要な「技術」「設備」「人材」「資金」などを包括的に提供し、それまでの環境を損なうことなく省エネルギーを実現し、その効果を保証する事業です。

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