【平成27年 2015年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

経済性管理

1-1-3 PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① PFI法では、民間の資金、経営能力及び技術的能力の3つを活用しようとしている。
② PFI法で対象とする公共施設等には、船舶、航空機等の輸送施設は含まれていない。
③ 公共施設等の整備等に関する事業を国又は地方公共団体が民間事業者へ委ねる際には、当該事業により生ずる収益が考慮されることはない。
④ 民間事業者に委ねた事業に対して、国及び地方公共団体は民間事業者への関与を最大限行うことを旨とする。
⑤ PFI法に基づいて、公共施設等の管理者等が委ねる事業を実施する民間事業者の募集に対しては、法人でない者でも応じることができる。

【正解①】

②平成23年に、船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星が追加された。
収益性確保は、法律第一章第三条の2に規定されている。
④「関与を必要最小限のものとする」と、法律第一章第三条の2に規定されている。
⑤「法人でないものは募集に応じることはできない」と法律第一章第九条の1に規定されている。

1-1-5 製造物責任法(PL法)に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

(ア)製造業者等が製造、加工を行い、引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、過失の状況により、損害を賠償する責任の有無が判断される。
(イ)この法律では製造物を、製造又は加工された動産と定義しており、単体のソフトウェアは該当しない。
(ウ)安全性にかかわらない単なる品質上の不具合は、この法律で賠償責任の根拠とされる欠陥には該当しない。
(エ)欠陥による被害がその製造物自体の損害にとどまった場合も、この法律の対象となる。
(オ)この法律に基づいて損害賠償を受けるために消費者は「製造物に欠陥が存在していたこと」、「その欠陥によって損失を受けたこと」を証明すればよい。

① 1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

【正解③】
アとエが誤り。

(ア)「過失の状況」ではなく、「引き渡したものの欠陥により」が正しい。

(エ)PL法第三条により「その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りではない」と規定されている。つまり、法律の対象外となる。

1-1-7 原価計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 原価計算とは企業などにおける組織活動で消費される経営資源の消費額を計算することである。
② 原価計算は、大別して3つのステップに分類でき、製品別計算→部門別計算→費目別計算の順に行う。
③ 原価計算には、実績を基に計算する実際原価計算と呼ばれるものがある。
予定原価計算を行うときは標準原価を設定する。
⑤ 標準原価を設定するプロセスでは、実際に達成可能で、かつ具体的な原価低減が期待できる範囲内であることが大切である。

【正解②】

原価計算は、「費目別計算」→「部門別計算」→「部門別計算」の順に行う。

1-1-8 資材所要量計画に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち適切なものの数はどれか。

(ア)製品を構成する部品や原材料の生産、調達を先ず決定し、その結果を用いて基準生産計画を立てる。
(イ)資材所要量計画による個々の部品や原材料の生産量や購入量の決定を行うための情報として、製品構成、 リードタイム、手持在庫量、受入確定量などがある。
(ウ)必要な量だけをタイムリに生産するため、通常コンピュータ化されたシステムにより管理される。
(エ)統合業務システム(ERP)は受注・発注から納入までの一連の生産業務を統合管理するものであり、会計や財務は別の専用システムで管理する。
(オ) CALSは供給業者、系列製造業者、流通業者、販売業者などを情報で結び、製品開発から市場への流通といった一連の業務を効率化するものである。

①1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

【正解③】

アとエが誤り。

(ア)生産計画は次の手順で決められる。
1.総合生産計画:製品全体の生産量を決定
2.基準生産計画:製品ファミリーへの分解と製品アイテムごとの生産量を決定
3.資材所要量計画:製品を構成する部品や原材料の生産、調達を決定

(エ)ERPは、受注から納入までの一連の業務のみならず、会計・財務・販売・人事なども含む。

人的資源管理

1-1-9 組織やプロジェクトの管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① マズローは、人間の要求は低次なものから高次なものへ5段階に分かれるとしており、このうち、最も低次な要求は「物質的要求」、最も高次な要求は「安定要求」である。
② 人間の行動には経済的行動、情緒的行動、管理的行動の3通りのパターンがあると言われており、このうち、経済的行動とは、組織の利益を考慮し合理的な思考に従った行動のことである。
③ 代表的な人の行動モデルには、マグレガーによるX理論とY理論があるが、基本的に性悪説に立つものがX理論、性善説に立つものがY理論であり、現代の組織運営ではX理論に基づく管理が適しているとされている。
科学的管理法とは、作業分析や動作分析をもとに効率的な生産方式を考える労働管理の方法論であり、この中では、人間関係論を包含した行動科学的アプローチから人の作業を分析している。
⑤ 人を管理する上で、労働意欲などを引き出す源泉であるインセンティブを与えることが重要であるが、そのうちの1つである理念的インセンティブは、思想や価値観の追求を達成意欲の源泉とするようなインセンティブである。

【正解⑤】

①最も高次な要求は自己実現欲求

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②設問文は、管理的行動の説明である。
経済的行動は、自分にとって最も有利な行動をとる利己的な行動である。
③「Y理論」が正
④「人間関係論を包含した行動科学的アプローチから人の作業を分析している。」が誤り。科学的管理法は、効率的な生産方式の始祖となる考え方であるが、人を機械のようにとらえる一面がある。現在は、職場の人間関係をより重視する人間関係論、人の行動を様々な内的・外的条件から考える行動科学的アプローチの重要性が強調されている。

1-1-10 高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、継続雇用制度とは、「現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度」をいう。

① この法律における高年齢者とは、 65歳以上の者をいう。
② 事業主は、継続雇用制度を導入すれば、その雇用する労働者の定年を55歳まで引き下げることができる。
③ 事業主は、その雇用する労働者の定年を廃止するか、定年を65歳以上にすれば、継続雇用制度を導入しなくてもよい。
④ 事業主は、継続雇用制度で雇用を希望する高年齢者を、自己の子法人等に定年後引継いで雇用させてはならない。
⑤ 事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により70歳以下であることをその採用条件とするときは、定められた方法により、求職者に対しその理由を示さなければならない。

【正解③】

①この法律では、高年齢者は「55歳以上」とされている。
②定年は60歳を下回ることはできない
④平成24年の改正により、関連会社での雇用継続を認めている。
⑤70歳以下ではなく、65歳以下が正

1-1-11 人事考課に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 多面評価制度とは、従業員の評価を上司だけでなく同僚や部下など多方面から行う制度であり、人材育成や適材適所の達成などの目的で導入される。
② 目標管理制度においては、部下が目的達成度を上げるために意図的に低い業務目標を設定するという行動をとることもあるので、適切に評価を行うためには、上司は部下の業務目標の難易度を正しく判断することが必要である。
③ 人事考課の一般的な評価基準では、能力、姿勢、業績の3つの領域が対象であるが、評価の期間については、変動しやすい姿勢評価と業績評価はやや短期で行い、変動が少ない能力評価はやや長期で行うことが一般的である。
④ 人事考課の実施方法としては、直接の上司による一次査定と、その上の上司が行う二次査定の二段階が一般的であり、業績評価を念頭に置いた場合、通常、一次査定は相対評価で、二次査定は絶対評価で行われる。
⑤ 人事考課に当たっては、そのルールや評価基準を公開し、評価結果を被考課者に伝えることによって、従業員の納得性を高める必要がある。

【正解④】

直属の上司が行う一次査定は絶対評価、その上の上司が行う二次査定で相対評価が行われる。

1-1-13 労働基準法や、いわゆる育児・介護休業法に基づく労働時間管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 法定労働時間は40時間、1日8時間とする。
② 使用者が従業員に時間外労働をさせる場合には、労使協定を締結し、労働基準監督署に届けることが義務付けられている。
③ 時間外労働の場合には、会社は25%以上の割増賃金を払わなければならない。
④ 使用者はその雇い入れの日から起算して3カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して5労働日の有給休暇を与えなければならない。
⑤ 会社は、男女に関わらず子供が1歳に達するまで(両親ともに育児休業を取得する場合は、 1歳2か月に達するまでの聞に1年間)休業できる育児休業制度を設けなければならない。

【正解④】

『「6」カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して「10」労働日の有給休暇』が正しい。

1-1-16 労使関係に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

(ア)団体交渉権は、労使が交渉する場合、従業員個人に代わって従業員の聞から選ばれた代表者、つまり労働組合が交渉を行うことができることを保障するものである。
(イ)団体行動権は、労使の対立の解決が難しい場合、民間企業の労働組合が争議行動を行うことができることを保障するものである。
(ウ)団体交渉では、主に賃金や労働時間、休暇、休日が交渉される。その他、団体交渉の手続き、就業時間中の組合活動、専従役員の取り扱いなどについて交渉が行われる。
(エ)団体交渉がまとまり、その結果を明文化協定にすれば、それが労働協約となる。
(オ)調停とは、労働委員会が労使の自主交渉を促進するために、非公式に仲介するものである。

① 0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

【正解②】

(オ)のみが不適切。説明文は「あっせん」の説明。

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情報管理

1-1-23 緊急時の特徴と情報収集に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

(ア)緊急事態が発生した場合には、通常業務と異なる状況において活動することになるため、通常ではありえない行動をとってしまう可能性があることを考慮する必要がある。
(イ)緊急事態としては、自然災害以外にも危険物の漏洩や製品への異物混入、情報リスクに関する被害など、様々なものを考えておく必要がある。
(ウ)緊急時に迅速な情報収集を行うためには、具体的な緊急事態となる事象を検討し、その事象をできるだけ早く発見するための仕組みを構築することが重要である。
(エ)緊急時には、判断における不確定要素が増大するため、収集可能な情報は、その種類・内容にかかわらずできるだけ多く収集することが必要となる。
(オ)緊急時には、物的被害や機能被害が発生する可能性があり、時間をかけて現場に人を派遣していたのでは、時間的に間に合わない場合もあるため、緊急時に確実に機能し迅速な情報収集が可能な方法を検討しておく必要がある。

①0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

【正解②】

(エ)のみ誤り。
情報の種類や内容にかかわらずできるだけ多く収集することは、情報の分析や判断を混乱させることになるため、本記述は誤りである。

安全管理

1-1-29 危機管理活動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 事前作業段階では、資機材の備蓄、教育訓練、緊急時対策組織の確定などを行うが、被害想定に応じて、組織毎、危機毎に資機材の備蓄は異なる。
② 緊急時対策組織は、 少なくとも実行責任者のほか、情報機能、分析・評価機能、対応機能、広報機能を持つことが望ましい。
③ 危機発生時の緊急事態対応では、意思決定者は混乱を避けるため、正式なルールによる迅速な情報処理、意思決定の徹底が求められる。
④ 緊急事態が去った後の事後復旧段階において少しでも短い時間で平常状態に戻すため、事前作業段階で復旧対策をマニュアル化する。
⑤ 事後復旧段階では、危機管理活動の効果を測定・評価し、計画の有効性を検証し、問題があれば修正を行う。

【正解③】

意思決定過程において、正式なルールや手順によって行うことが難しいこともあるため、非公式なプロセスによって迅速化することも許容する必要がある。
危機に対する断固とした迅速な対応を図れる能力が重要であり、正式な資格や権限、手順の重要度は低くなる。

1-1-31 職場における心の健康の保持増進(メンタルへルスケア)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 相談や治療を早期に行える状況をつくることは、二次予防である。
② 従業員のサインを読み取り早期に発見することは、一次予防である。
③ 日常的なメンタルヘルスの啓蒙は、三次予防である。
④ 個々人のストレス耐性を強めることは、二次予防である。
⑤ 職場復帰する従業員に対する職場環境を整備することは、二次予防である。

【正解①】

精神の健康を維持するための段階は一次予防(発生の予防)、二次予防(早期発見、早期治療)、三時予防(職場復帰)に分けられる。

②二次予防
③一次予防
④一次予防
⑤三次予防

1-1-32 リスクコミュニケーションに関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

(ア)リスクコミュニケーションの目的には、 リスクの発見及びリスクの特定のための情報収集が含まれる。
(イ)受け手側には様々なバイアスがかかるため、受け手によらない一律の広報が重要となる。
(ウ)リスクの対象にはネガティブな側面があることも公正に伝え、事象の正負両面を考慮してリスクの社会的受容を判断できる材料を提供する。
(エ)対人的な媒体は注意喚起型のリスクコミュニケーション、マスコミは合意形成型のリスクコミュニケーションに適している。
(オ)リスクコミュニケーションでは、過程、対応経緯、対応者などのコミュニケーションのプロセス、内容、結果を記録し、保存することが必要である。

① 1  ② 2  ③ 3  ④ 4  ⑤ 5

【正解③】

アウオが正しい。イエが誤り。
(イ) 一律の広報ではなく、受け手を考えた多様な広報が重要である。受け手側には知識、認知、感情など様々なバイアスがかかるため、コミュニケーションの効果は受け手側の要因が強く影響する。
(エ) 対人的な媒体:合意形成型のリスクコミュニケーション
マスコミ:注意喚起型のコミュニケーション社会環境管理

1-1-40 環境経済評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 製品に関する環境情報を消費者に情報発信し、個人の選好をとらえる方法の1つとしてエコマークがある。
② 環境利用を費用とし市場の内部に取り込む方法として、環境利用に対して税金や課徴金をかける方法がある。
③ 環境の経済評価手法を用いて、市場における社会的評価と代替性のある形で環境を評価する方法として、仮想評価法、 トラベルコスト法などがある。
④ 環境の経済評価手法には表明選好型評価と顕示選好型評価があり、前者にはコンジョイント分析など、後者にはヘドニック価格法などがある。
⑤ 環境全体あるいはその一属性の包括的な評価には、コンジョイント分析は向いているが、環境を構成する属性を詳細に把握するには、仮想評価法が有効である。

【正解⑤】

コンジョイント分析と仮想評価法が逆になっている。

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