環境基本法
1993年制定、環境の保全についての基本理念と施策の基本事項を定める法律。
国、地方公共団体、事業者、国民の責務、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、国際的協調による地球環境保全の積極的推進、環境基本計画や閑居王基準の策定などを規定している。
環境基本計画
環境基本法第15条に基づき、政府全体の環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、長期的な施策の大綱を定める計画。
2018年4月、第5次計画が閣議決定されており、再エネ・省エネを温暖化対策の柱としている。
地域循環共生圏
上記の第5次環境基本計画で提唱されたもので、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。
環境基準
環境基本法第16条に基づき、人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として国が定めるもので、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施するかを定めたもの。
汚染者負担原則(PPP: Polluter Pays Principle)
廃棄物を排出する事業者は、事業活動によって生じた産業廃棄物は自らの責任において処理しなければならない。
これが、汚染者負担の原則 (PPP)と呼ばれる考え方に基づいたもので、世界の多くの国で取り入れられている。
拡大生産者責任(EPR)
製品が使用され、廃棄された後においても、その生産者が当該製品の適正なリサイクルや処分について物理的または財政的に一定の責任を負うという考え方。
生産者が、製品設計の工夫、製品の材質・成分表示、廃棄後の引き取りやリサイクルなどを行うことにより、廃棄物などの発生抑制や循環資源の循環的な利用及び適正処分が図られることが期待される。
未然防止原則
人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れのある物質又は活動がある場合で、因果関係が科学的に証明されるリスクに関して、被害を避けるため未然に規制を行うという概念 (Prevention Principle)。
予防原則
上記の場合で、因果関係が科学的に十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする概念をいう (Precautionary Principle)。
源流対策原則
環境汚染物質を排出段階で規制などを行う排出口における対策に対して、製品などの設計や製法に工夫を加え、汚染物質や廃棄物をそもそも作らないようにすることを優先すべき、という原則。
協同原則
公共主体が政策を行う場合には、政策の計画、立案、実行の各段階において、政策に関連する民間の各主体の参加を得て行われなければならないとする原則。
パートナーシップ
協働の場で、活動に必要な情報と能力を持った人、組織同士の間にある相互理解、尊重、信頼といった対等・平等な協力関係。
エンドオブパイプ型対策
各種の環境対策のうち、工場・事業所で生じた有害物質を最終段階で外部に排出しない対策。工場・事業所の排水口、すなわちエンドオプバイプを規制して環境対策とするもの。
旧来の公害対策は、これに準じて排出基準が設けられ対処されてきた。近年生産工程の上流から環境負荷低減の各種対応が図られるようになった。
規制的手法
社会全体として達成すべき一定の目標と最低限の順守事項を示し、これを法令に基づく統制的手段を用いて達成しようとする手法をいう。
生命や健康の維持のように社会全体として一定の水準を確保する必要がある場合等に効果が期待される。事例として、以下の2つがある。
パフォーマンス規制
パフォーマンス規制とは施設・設備の排出性能などの規制で、行政機関が一定の環境基準を定めて、排出者に対してその遵守を求め、排出者がこれに違反した場合には、罰則をもって対応することにより、基準の遵守を強制する手法です。
①大気汚染防止法による硫黄酸化物等の排出規制
②硫黄酸化物・窒素酸化物の総量規制
③水質汚濁防止法による排水基準
④自動車排出ガス許容限度
⑤自動車燃費基準
⑥家電省エネ基準
などがあります。
排出規制
大気汚染、水質保全、土壌汚染等への排出規制。
総量規制
対象地域ごとに目標とする排出総量を定め、それに基づき工場・事業所等から排出計画を提出させ、規制すること。
瀬戸内海環境保全特別措置法、自動車NOx・PM法に示す総量規制がある。
行為規制
行為規制とは、施設の立地や土地利用の規制のことを指します。
具体的な行為の内容を指し示して、その実施や不実施を義務づけます。
行為規制は、確実に具体的な行為をさせる、あるいはさせないことができる代わりに、民間の創意工夫を損なうという特徴があります。
経済的手法
市場メカニズムを前提とし、経済的インセンテイプの付与を介して、各主体の経済合理性に沿った行動を誘導することによって政策目的を達成しようとする手法をいう。
持続可能な社会を構築していくうえで期待される。事例として、以下の3つがある。
環境税
税の導入により、環境保全に望ましい行為を誘導し、望ましくない行為を抑制する。また、ある行為により得られた便益とそれにより生じた社会的費用を税の負担により調整する制度をいう。
カーボンプライシング
カーボンプライシング (CP)は、気候変動問題の主因である炭素に価格を付ける仕組みのことです。
炭素を排出する企業などに排出量見合いの金銭的負担を求めることが可能になります。
CPの具体的な制度は、「明示的CP」と「暗示的CP」に分類され、明示的CPは排出される炭素量に直接的に値付けする点が特徴です。
各国が精力的に導入・整備を進めているのも明示的CPで、代表的には「炭素税」と「排出量取引制度」が注目されています。
課徴金
受益の程度に応じて課徴金を課し経済的な負担を与え、環境保全に望ましい方向ヘ誘導する制度をいう。
デポジット制度
使用済容器等の確実な回収のため、販売価格に一定のデポジット(預託金)を上乗せして販売し、使用後容器等が返却されたとき、預託金を返却する制度をいう。
情報的手法
現境保全活動に積極的な事業者や環境負荷の少ない製品等を投資や購入に際して選択できるように、事業活動や製品・サーピスに関して、環境負荷等に関する情報の開示と提供を進める手法をいう。
製品・サービスの提供者も含めた各主体の現境配慮を促進していくうえで効果が期待される事例として、環境ラベルのほか、環境報告書、環境会計、LCA等がある。
環境ラベル
製品やサービスの環境情報を製品や包装ラベル、製品説明書、広告、広報等を通じて購入者に伝えるものをいう。環境ラベルには、消費者が環境負荷の少ない製品を選ぶときの手助けになることが期待される。
手続き的手法
各主体の意思決定過程に、環境配慮のための判断を行う手続きと、環境配慮に際しての判断基準を組み込んでいく手法をいう。
各主体の行動への環境配慮を織り込んでいくうえで効果が期待される事例として環境影響評価制度がある。
環境影響評価法
1997年制定、2014年改正。環境アセスメント法ともいわれ、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価の手統きを定め、関係機関や住民等の意見を求めつつ、環境影響評価の結果を当概事業嘩認可等の意思決定に適切に反映させることを目的とした法律。
次のスクリーニング、スコーピング、戦略的環境アセスメントからなる手続きがある。
スクリーニング
環境影響評価(環境アセスメント)の始めに行う手続きで、当概事業が環境影響評価の対象事業か否かを振り分ける手続きをいう。
スコーピング
環境影響評価の対象事業になった場合、どのような方法(手法評価の枠組みを決める)で環境影響評価を行っていくかという計画を示す必要がある。
これを方法書といい、この方法書を確定させる手統きをいう。
戦略的環境アセスメント
個別の事業実施に先立つ戦略的な意思決定段階、すなわち、個別の事業の計画・実施に枠組みを与えることになる上位計画や政策を対象とする環境影響評価(環境アセスメント)をいう。早い段階から、より広範な環境配慮が行える仕組み。
合意的手法
あらかじめ合意された環境上の取組を実施させる手法です。
公的な枠組みにおいて実施すべき取組 内容が定められていて、民間主体はそれに参加するかどうかを自主的に決定する方法と、どのような内容を実施すべきかについて個別に協定を結ぶ方法があります。
前者は、レディメイドのものであり、ISO14001やエコアクション21などの環境マネジメントシステムが典型例です。
後者は、オーダーメイド型であり、地方自治体や自治体と工場・ 発電所などで締結される公害防止協定・環境保全協定が典型例です。
自主的取組手法
事業者などが自らの行動に一定の努力目標を設けて対策を実施する自主的な環境保全取組みです。
技術革新への誘因となり、関係者の環境意識の高揚や環境教育・環境学習にもつながるという利点があります。
事業者の専門的知識や創意工夫を活かしながら複雑な環境問題に迅速かつ柔軟に対処していくための主要な政策手法の一つとして、地球環境問題や産業廃棄物問題、化学物質問題などに活用できます。
実施状況の公表や行政主体などによる関与などのチェック手段の確保が望ましいです。具体例として、経済団体連合会の地球温暖化対策、個別企業の環境行動計画があります。
バックキャスティング
バックキャスティングとは、最初に目標とする未来像を描き、次にその未来像を実現するための道筋を未来から現在へとさかのぼって記述するシナリオ作成の手法です。
現在を始点として未来を探索するフォアキャスティングと比較して、劇的な変化が求められる課題に対して有効とされています。
ライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)
ある製品の環境影響を評価する場合、その製品の製造過程だけでなく、製品の原材料の採取過程から、流通過程、使用過程、廃棄されて最終処分されるまで、その製品の一生涯(ライフサイクル)すべての過程で環境に与える影響を分析し総合評価する必要がある。この分析・評価の手法をLCAという。
環境への影響の大きさは、必要とされるエネルギー、排水、排ガス、廃棄物量の大きさ、すなわち環境負荷の大きさで表される。
環境教育
持続可能な社会の構築を目指して。家庭。学校、職場、地域その他のあらゆる場において、環境と社会、経済及び文化とのつながり、その他環境の保全についての理解を深めるために行われる教育及び学習。
持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)
すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、持続可能な開発のために求められる原則、価値観及び行動があらゆる教育や学びの場に取り込まれ、環境経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらすことを目標にした教育。
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