公害防止管理者
1971年、公害克服の対策として「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が制定され、公害防止管理者制度が発足した。
- 統括者
- 主任管理者
- 管理者
の三者で構成され、公害防止管理者は公害発生施設または公害防止施設の運転、維持管理等の役割を持つ。
施設の直接の責任者で、資格を必要とする管理者である。
社会的責任(SR: Social Responsibility)
市民としての組織や個人は、社会において望ましい組織や個人として行動すべきであるという考え方による責任であるとされている。
組織や個人の行動は、単に個々の効用だけによって測れるものでなく、市民としての社会的業績や法令順守の状況も行動の結果として現れる。手引書として、ISO26000、JIS Z 26000がある。
ISO 26000
2010年11月、国際標準化機構(ISO)が発行した。
企業及びその他組織における社会的責任に関する国際規定であり、あらゆる組織で自主的に活用されるよう作られた手引書である。
従来のISO規定にある要求事項はなく、認証規定としては用いられていない。
取り扱う事項は、組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティヘの参加及コミュニティの発展の7つである。
日本では一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)がこれを参照し、企業行動憲章の改訂を行っている。
CSR(組織の社会的責任:Corporate Social Responsibility)
組織は社会の中の存在として、最低限の法的、経済的責任を負うだけでなく、顧客、従業員、地域住民などの多様なステークホルダー (利害関係者)に対して、雇用問題、環境問題、地域社会問題など様々な配慮をし、社会的な責任を果たしていく経営理念を言う。
企業のこうした配慮や行動がステークホルダーの評価を高め、中長期的に見て競争力の強化につながり、経緯基盤を強固なものにしている。
CSV (共通価値創造)
「CSV」とは、「Creating Shared Value」の略で、「共通価値の創造」と訳されており、企業が事業を通じて社会的な課題を解決することで創出される「社会価値(環境、社会へのポジティブな影響)」と「経済価値(事業利益、成長)」を両立させる経営戦略のフレームワークです。
つまり、経済的価値を創造しながら社会的ニーズに対応することで、社会的価値を創造することです。
社会的責任投資(SRI : Socially Responsible Investment)
旧来の投資尺度である企業の収益力、成長性等の判断に加え、企業の人材惰源への配慮、環境への配慮利害関係者への配慮等の取り組みを評価し、投資選定をする投資行動をいう。
ESG投資
従来の財務情報だけでなく、
- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- ガバナンス(Governance)
の3要素も考慮した投資のことを指す。
特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナピリティを評価するベンチマークとして、持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されている。
ESG金融
ESGの3要素を加味した財務、非財務の両面から企業を評価する金融手法です。
企業活動を行うことで与える環境や社会への影響、効率的な収益の源泉となりえる統治を適切に評価し、単なる過去の実績評価だけにとらわれない金融を可能にする概念です。
ESG要素に着目した事業性評価を行うことで、地域企業の価値を発掘・支援し、地域循環共生圏の創造を目指します。
TCFD
TCFDとは、Task force on Climate-related Financial Disclosuresの略で、「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨する、国際的な組織のことです。
一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な気候関連の財務情報開示を企業へ促すことによって、投資家などに適切な投資判断を促すことを目的としています。
企業に対し税務情報として、気候変動関連リスクと機会について次の4項目を開示することを奨励しています。
1.ガバナンス(Governance):
気候関連のリスクと機会に関する組織のガバナンスを開示
2.戦略(Strategy):
気候関連のリスクと機会が組織のビジネス、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響を情報が重要である場合に開示
3.リスク管理(Risk Management):
組織が気候変動関連のリスクを特定、評価、管理する方法
4.指標と目標(Metrics and Targets):
そのような情報が重要である場合、関連する気候関連のリスクと機会を評価および管理するために使用される測定基準と目標を開示
グローバル・コンパクト
1999年の世界経済フォーラム(ダポス会議)で、当時の国連事務総長アナンが提唱した、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みをいう。
- 人権の保護
- 不当労働の排除
- 環境への取り組み
- 腐敗防止
の4分野と10原則を掲げている。
ISO 14000シリーズ
1992年開催の地球サミット前後から事業者の環境への関心が高まり、1993年にISO(国際標準化機構)では、環境マネジメントに関わる様々な規格の検討を開始した。
これがISO14000シリーズと呼ばれるものである。
同シリーズは。環境マネジメントシステム(EMS)を中心に環境監査、環境パフォーマンス評価、環境ラベル、LCA等、様々な手法に関する規格から構成されている。中心はISO 14001 (EMS)であり、1996年に発行され。現在は2015年版に移行している。
環境マネジメントシステム(EMS)
企業・団体等の組織が環境管理を体系的に実行していくための仕組みのことである。事業者等が法令等を遵守するだけでなく、自主的に環境保全のためにとる行動である。
環境に関する方針・計画(Plan: P)を自ら定め、これを実行(Do:D)し、その状況を点検(Check: C)し、方針・計画等を見直す(Act:A)という一連の手続きを経る。
これらの達成に向けて取り組んでいくための体制、手続きを言う。
エコアクション21
環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)である。
すなわち、事業者の環境への取り組みを促進するとともに、その取り組みを効果的・効率的に実施するため、ISO 14001規格を参考にしつつ、中小企業にとって取り組みやすい環境経営システムのあり方を規定している。
2009年11月、内容を全面的に改訂した。
トリプルボトムライン
企業を財務評価のみで判断するのではなく、企業活動の、
- 環境的側面
- 社会的側面
- 経済的側面
の3つからそのバランスも含めて評価することをいう。
ボトムラインとは、本来会計用語で「損益計算書の一番下の行」、すなわち通常は当期純利益を指すが、トリプルボトムラインという言葉には本来のボトムラインと同様に、環境面社会面といった視点で企業を評価することも重要だという意味が込められている。
環境適合設計
Design for Environment (DfE)もしくはEco-designといわれ、環境負荷の少ない製品の開発・設計に関わる活動をいう。
リサイクル法の制定等拡大生産者責任の浸透により、メーカー(生産者)は環境適合設計に基づいた製品生産を行うことで環境負荷を軽減することができる。また、製品に関するLCAで得られたデータを活用することは環境適合設計に有効である。
製品の環境適合性の評価には。UNEP (国連環境計画)のチェックリストがあり
①低環境負荷材料の選択
②材料使用量の削減
③製造技術の最適化
④流通システムの最適化
⑤廃棄システムの最適化等
がチェックされる。
クリーナープロダクション
クリーナープロダクション(CP)とは、生産工程で発生する環境負荷を制御する手法のうち、生産工程の変更や原材料または製品設計の変更等により環境負荷の発生自体を抑制する手法を指します。
従来のように、製造の最終段階で発生した大量の廃水や廃煙から汚染物質を除去する方法をとるのではなく、製造工程の根本を変えることで環境負荷を低減します。
例として、水銀法から隔膜法、イオン交換膜法へと替えた苛性ソーダ製造やフロンを使わない半導体製造、廃液中の汚染物質を低減したパルプ・製紙製造があります。
エコブランディング
エコブランディングとは、「エコ」(=地球環境問題の解決)を軸とする経営戦略を練り、持続的なブランド力を築き上げることです。
環境会計
企業・団体等の組織が、持続可能な発展を目指して社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取り組みを効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的に測定して伝達する仕組み。
環境会計には、外部報告と内部管理の2つの側面がある。
外部報告:情報が環境報告書等を通して社会に開示されることにより、総合的に組織の環境情報を理解することが可能
内部管理:組織が環境保全に対して合理的な意思決定を可能にし、投資や費用に対する効果を知ることにより、取り組みの効率化を図ることが可能
環境コミュニケーション
持続可能な社会の構築に向けて、個人、行政、企業、NPOといった各主体間のパートナーシップを確立するために、環境負荷や環境保全活動等に関する情報を一方的に提供するだけでなく、利害関係者の意見を聞き討議することにより、相互の理解と納得を深めていくことをいう。
環境報告書
企業等の事業者が最高経営者の緒言環境保全に関する方針、目標、行動計画、環境マネジメントに関する状況(環境会計、法規則遵守、環境適合設計等)及び環境負荷の低減に向けた取り組み等についてまとめ、環境アカウンタビリティの一環として社会一般に開示、公表するものである。
エシカル消費
「倫理的消費(エシカル消費)」とは、消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことです。
エシカル消費につながる行動は、モノを買うだけではなく、「マイバッグを持参する」ことや、「食べ残しを減らす」などがあります。