労働関係法
労働関係法という名称の法律は存在せず、労働者の労務管理や生活・福祉の向上を目的とするさまざまな労働問題を規律する法律の総称です。一般的に、次の4つに大別されています。
- 個別的労働関係法:個別的な労働関係、労働契約関係についての法律
- 団体労働関係法:使用者と労働組合との関係についての法律
- 労働市場法:労働市場の規制に関する法律
- 労働争訟法:個別的労働紛争の簡易な解決を目指す法律
労働基準法
「労働基準法」とは、労働条件に関する「最低限の基準」を定めた法律です。
雇用契約、労働時間・休日・休憩、年次有給休暇、賃金、解雇、就業規則・書類の保存などが規定されています。使用者と労働者との労働契約関係を定めた最も基本的な法律です。
法定労働時間
法定労働時間の上限は、1日8時間、かつ、1週40時間以下です。
使用者は労働者に休憩時間を除いて、1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはなりません。
労使協定
労使協定とは労働者と雇用主の間で取り交わされる約束事を、書面契約した協定を指します。雇用主は労働組合か従業員の過半数を代表する者と労使協定の締結を行います。
年次有給休暇
6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、年次有給休暇を与えなければなりません。労働災害による休業期間、育児介護休業期間、産前産後休業期間、年次有給休暇取得期間は、出勤日として取り扱います。
労働契約
労働契約とは、使用者と労働者が交わす、労働条件に関する合意契約のことです。労働契約法第6条においては「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定められています。
就業規則
常時10人以上(正社員だけでなく短時間労働者、有期契約労働者も含む)の労働者を使用する場合、就業規則とともに意見書を労働基準監督署に提出しなければなりません。
災害補償
災害補償とは、被災労働者を救済し、労働者の福祉を図るために、労働基準法 第8章に規定されている制度です。事業場内に危険な環境、状態が存在していたために労働者が負傷、または疾病に罹った場合、労働者は災害補償として必要な費用給付を受けることができます。
三六協定
法定労働時間を超えて、または法定休日に労働させる場合には、時間外労働・休日労働に関する労働者代表との協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
また、時間外労働・休日労働は、締結した36協定の範囲内で行わなければなりません。
労働組合法
労働組合法とは、労働者が労働組合を組織し、使用者と対等な交渉ができるよう関係性を定める法律のことです。労働者と会社が協力して職場の問題を解決し、より良い職場と労働条件を実現していくための法律です。
労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)
労働組合法は、労働組合の権利として、団結権、団体交渉権、団体行動権の三つの権利を保障しています。これらの権利をまとめて労働三権、もしくは労働基本権と呼びます。
- 団結権:労働者は労働組合を結成できる
- 団体交渉権:労使が交渉する場合、労働組合が交渉できる
- 団体行動権:民間企業の労働組合は争議行動ができる
労働組合
労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体のことです
不当労働行為
不当労働行為とは、使用者が行う労働者の団結権を侵害する行為であり、労働組合法において禁止されています。
労働協約
労働協約とは、労働者と使用者またはその団体と集団的交渉によって結ばれた労働条件などに関する取り決めのことです。
労働委員会
労使委員会とは、賃金、労働時間その他の労働条 件に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を 述べ、使用者及びその事業場の労働者を代表する者 が構成員となっている委員会です。
公益委員、労働者委員、使用者委員の三者から構成されます。
労働関係調整法
労働関係調整法とは、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的とする法律です。主に斡旋、調停、仲裁、争議行為(ストライキ、ロックアウト)の制限・禁止を定めています。
争議行動
争議行動とは、罷業(ストライキ)や、怠業(サボタージュ)、作業所閉鎖(ロックアウト)などのことです。
争議行為が発生した際、当事者は直ちに労働委員会または都道府県知事に発生届を出さなければなりません。
あっせん・調停・仲裁
労働争議を調整する方法に、斡旋、調停、仲裁の3つがあります。
斡旋
労働員会が非公式に仲介します。目的は、あくまで公正な第三者の立場から斡旋員が助言を与え、労使間が自主的に歩み寄ることです。労働者側と使用者側、どちらからでも申請できます。
調停
労働委員会が調停案を作成し、当事者に報告します。当事者に利害関係を有さない公平かつ中立な立場の第三者が労使間に入り、和解の成立に向けて協力する制度のことです。
斡旋と同じく解決を強制するものではないため、解決案の受諾は任意です。
仲裁
労働委員会が、争う労使のあいだに入って双方を和解を図ります。
斡旋や調停は解決案の受諾を強要しませんが、仲裁では労働協約と同一の効力をもって当事者を拘束します。
個別労働紛争解決促進法
労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争について、あっせん制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とした法律です。解決方法に、3つの紛争解決援助制度があります。
- 相談:総合労働相談コーナーへの相談
- 助言・指導:「相談」で紛争解決援助の対象となった場合、都道府県労働局長による助言・指導
- あっせん:助言・指導で解決しない場合、紛争調整委員会によるあっせん
労働審判法
個別労働関係民事紛争について、裁判官と労働関係の専門的な知識経験を有する民間出身の労働審判員による労働審判委員会が審理し、調停による解決の見込みがある場合にはこれを試み、解決しない場合には労働審判を行う手続きを設けます。
紛争の実情に即した迅速・適正かつ効率的な解決を図ることを目的としています。
労働契約法
企業と労働者の間で締結する労働契約についての基本的なルールを規定した法律です。
「就業形態の多様化」により増加している「個別労働関係紛争」に対応するために作られ、2008年3月に施行されました。
労働契約についての基本的なルールを明記することで、個別労働紛争を未然に防止し、労働者の保護を図りながら、個別の労働関係を安定したものにすることを目的としています。2012年に改正され、
- 無期労働契約への転換(第18条)
- 「雇止め法理」の法定化(第19条)
- 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(第20条)
という有期労働契約のルールが整備されました。
最低賃金法
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度のことで、それについて定める法律です。最低賃金には地域別最低賃金(最低賃金法9条)および特定最低賃金(最低賃金法15条)の2種類があります。
労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、労働災害を防止し、労働者の安全と健康の確保、および快適な職場環境の形成を図るための法律です。
パートタイム・有期雇用労働法
正社員とパートタイム労働者、有期雇用労働者との不合理な待遇差を禁止するなど、パート・アルバイト・契約社員として働く方の環境を良くするための法律です。
高齢者雇用安定法
高年齢者雇用安定法は少子高齢化が進む中、高年齢者が働き続けることができる環境を整備するために作られた法律です。
改正高年齢者雇用安定法(2021年4月1日施行)により、雇用する労働者について、すでに定められていた65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業確保措置をとることが努力義務として追加されました。
障害者雇用促進法
障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。障害のある方に対し職業生活における自立を実現するための職業リハビリテーション推進、事業主が障害者を雇用する義務、差別の禁止や合理的配慮の提供義務等を定めています。
障害者雇用率
全ての事業主に、算出された雇用率に相当する人数分、障害者を雇用することが義務付けられています。民間企業での法廷雇用率は2.3%と定められており、雇用率は今後も段階的に引き上げられる予定です。障害者雇用率は次の式で定義されています。
障害者雇用率 = (対象障害者である常用労働者数+失業している対象障害者数)÷(常用労働者数+失業者数)
障害者雇用納付金制度
法定雇用率を満たさない事業主は、不足1人につき50,000円の障害者雇用納付金が徴収されます。
労働者派遣法
派遣労働者の権利を保護することと、人材派遣会社などが行う労働者派遣事業が適切に運営されることを目的に制定された法律です。社会招請に合わせて改正が加えられ、2020年の改正では、同一労働同一賃金の適用が義務化され、2021年の改正では派遣労働者への待遇などの説明義務が強化されました。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法とは、職場における性別を理由とした差別を禁止し、男女の平等な扱いを定めた法律です。採用・昇進といった雇用の各ステージにおける差別の禁止や、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止等を定めています。
男女共同参画社会基本法
男女共同参画社会基本法とは、男女が互いにその人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現のための法律です。男女共同参画社会とは、「男女が均等に、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受でき、ともに責任を担うべき社会」のことを言います。
女性活躍推進法(えるぼし認定)
仕事で活躍したいと希望するすべての女性が、個性や能力を存分に発揮できる社会の実現を目指して、2015年8月に成立した法律です。
- 自社の女性の活躍状況を把握し、改善点や課題を分析する
- 数値目標を設定し、行動計画を策定・公表する
- 自社の女性の活躍状況(採用比率・管理職比率等)を公表する
などを義務化しています。2019年月の法改正によって義務化が101人以上の事業主に拡大されました。
えるぼし認定は、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)に基づいて、女性の活躍推進に関する状況や取り組みなどが優良な企業を認定する制度で、厚生労働省が付与します。
次世代育成支援対策推進法(くるみん認定)
急速な少子化が進行している中、次の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、安心安全な環境で育っていけるよう、国を挙げて環境整備に努めることを目的とした法律です。企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定しなければなりません。常時雇用する労働者が101人以上の企業は、行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務、100人以下の企業は努力義務です。
また、行動計画に定めた目標を達成したなどの一定の基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。
育児・介護休業法
育児・介護に携わる労働者について定めた法律で、職業生活と家庭生活との両立に寄与することを目的としています。
中小企業への適用除外の撤廃、有期雇用労働者への適用拡大、休業期間の延長、短時間勤務制度の導入、父親も育児に関われる働き方の実現等の改正が続いています。
出入国管理及び難民認定法
出入国管理及び難民認定法とは、日本に入国し、又は日本から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とした法律です。
労働施策総合推進法
パワハラ防止法とも呼ばれ、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とした法律です。2019年の改正によって、企業がパワハラ対策に取り込むことが義務化されました。
青少年雇用促進法
若者が安定した雇用のなかで職務経験を積みながら能力を向上させ、働きがいを持って仕事にとりくめる社会を築くことを目的とた法律です。就職の準備段階から就職活動時、就職後のキャリア形成まで、各段階で若者の雇用対策をおこない、安定した仕事に就けるよう支援を促します。
賃金管理
賃金管理は、賃金を適正な水準に維持する「賃金額管理」と、その賃金額を公正に配分する為の「賃金制度管理」に分かれます。
総額賃金管理
労働費用は、現金賃金と現金以外の賃金(退職金等の費用や教育訓練費などがそれにあたる)に分類される。
また、個々の従業員の現金賃金を企業全体で合計したものが、賃金総額です。
さらに、賃金総額に現金以外の賃金の合計を加えたものが、総額労働費用(労働費用の総額)です。
企業はこの総額労働費用を産出し、賃金総額を一定の割合に維持する必要があります。
個別賃金管理
個別賃金額を算出し、管理する手法です。
個別賃金額の決定は賃金総額によるガイドラインを認識した上でモデル賃金を参考にし、定期昇給やベースアップも考慮し、個人の賃金額を決定します。
職務給
アメリカを中心に用いられていられる給与体系です。職務の重要性や困難度で職務の価値づけを行い、基本給を決定します。
職能給
日本において能力主義の進展とともに、用いられている給与体系です。従業員の職務遂行能力を基準に基本給を決定する。
年俸制
年俸制は1年単位の給与を決定し、その金額を分割して毎月支払う制度です。成果や能力が反映される成果主義の企業で採用されることが多い傾向にあります。
年功賃金
年功賃金とは、年齢や勤続年数とともに上昇する賃金制度です。いわゆる日本的雇用制度の一つです。
成果主義賃金
成果主義賃金制度とは、労働者の業績や成果に対し、その労働価値(貢献度)を評価して、賃金や昇格などを決定する制度のことです。従業員のモチベーションを上げたり、従業員間の不公平感を是正したりなどのメリットがあります。
業績連動型賞与制度
業績連動型賞与制度とは、給与の額を決定する際に、企業業績及び従業員個人の評価を連動させて額を算出する賞与制度のことです。
同一労働同一賃金
同一労働同一賃金とは、同一の仕事に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという考え方です。性別、雇用形態、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策に基づいています。
退職給付
一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に支給される給付のことで、一般的には企業年金制度や退職一時金制度から支給される年金および一時金を指します。
労働生産性
労働投入量に対してどれほどの付加価値を生み出せているのかを表す指標が労働生産性です。次の式で定義されています。
労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数
従業員1人あたりの付加価値であり「会社の稼ぐ力」を表す指標と言えます。
労働分配率
付加価値に占める人件費の割合を表す「労働分配率」は、人件費が適正な水準かどうかを判断するために使われる経営指標です。
次の式で定義されています。
労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100
給与や福利厚生費などの人件費(ヒトへの投資)が増えれば労働分配率は上がり、企業活動を通して生み出される付加価値が増えれば労働分配率は下がります。
働き方改革
働き方改革とは、働く人がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようになるために、政府が行っている法改正などの取り組みのことです。
ワーク・ライフ・バランス
日本語で「仕事と生活の調和」を意味します。政府広報オンラインでは、ワーク・ライフ・バランスとは「働くすべての方々が、『仕事』と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった『仕事以外の生活』との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方」と定義されています。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定められた総労働時間があり、その範囲内で日々の始業・終業時刻や働く時間を、労働者自身が自由に決めることができる制度です。
変形労働時間制度
変形労働時間制とは、繁忙期の所定労働時間を長くする代わりに、閑散期の所定労働時間を短くするといったように、業務の繁閑や特殊性に応じて、労使が工夫しながら労働時間の配分等を行い、これによって全体としての労働時間の短縮を図ろうとするものです。
裁量労働制
裁量労働制とは、労働時間を実際に働いた実働時間ではなく、あらかじめ定めた一定時間にみなす制度です。つまり勤務時間の制限がなくなり、労働者の裁量で労働時間を管理できます。裁量労働制は「みなし労働制」と呼ばれ、実際の労働時間に関係なく、労使で契約した時間分が報酬として支払われる制度です。
テレワーク
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。テレワークは、働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、移動中や移動の合間に行うモバイルワーク、サテライトオフィスやコワーキングスペースといった施設利用型テレワークのほか、リゾートで行うワーケーションも含めてテレワークと総称しています。
職場復帰支援
職場復帰支援とは、傷病等により長期休業していた労働者の復職を支援するものです。
副業・兼業
「副業・兼業」とは、法律的に明確な違いはなく、どちらも「本業以外にも仕事をもっている」という状態を指します。「副業」は、「主となる仕事(本業)とは別に仕事を持つこと」で、本業に比べて副業の収入・時間・労力が少ないことが特徴です。あくまでも「メインは本業」です。「兼業」は、「職務以外の他の業務にも従事すること」で、本業以外の事業を2つ以上、同時並行して掛け持ちしている状態を指します。
健康経営
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。 企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。
職業性ストレス
職業性ストレスとは、職場におけるストレスを指します。人間関係、仕事のコントロール度、仕事量・時間外労働、仕事の将来性、仕事への適性、交代制勤務・出張等の勤務体制、職場環境などにより、労働者に生じてくるものです。
ストレスチェック制度
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票(選択回答) に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレス がどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。50人以上の事業場では義務、50人未満の事業場では努力義務で、年に1回以上、労働者へ自記式の調査票を配布するなど、労働者の自己のストレスチェックを行わなければなりません。
メンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアとは、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践することをいいます。
職場におけるメンタルヘルスケア対策 「3つの予防」
- 一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止
社員によるセルフケア、管理監督者によるラインケア研修、ストレスチェック、組織に向けてのコンサルテーション、職場環境改善、ハラスメント窓口など
- 二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対処
定期健康診断、相談窓口(電話相談、対面カウンセリング、メール・Web相談)、定期健康診断の問診、長時間労働者の面接相談など
- 三次予防:メンタルヘルス不調者の職場復帰の支援
休職、復職支援など
雇用制度
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る労働者について、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外する仕組みです。。2019年(平成31年)4月の改正法施行により導入されました。
再雇用制度
再雇用制度とは、正社員が定年に達した後に、正社員とは別の雇用形態で再度雇用することを言います。2021年4月に施行された改正法によって「高年齢者就業確保措置」が追加されました。これにより、70歳までの高年齢者の就業機会の増加が見込めるため、2021年の改正法は「70歳定年法」「70歳就業法」などと呼ばれることもあります。高年齢者就業確保措置は、定年を65歳以上70歳未満に定めている企業や65歳までの継続雇用制度を実施している企業に “努力義務”として課しており、次の5つのうち1つを講じるよう求めています。
高年齢者雇用確保措置
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入
- 70歳まで継続的に従業員と業務委託契約を結ぶ制度の導入
- 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a. 事業主が実施する社会貢献事業
b. 事業主が委託、資金提供する団体が実施する社会貢献事業
※ 上記4および5は、雇用によらない措置として「創業支援等措置」とも呼ばれます。実施する場合は、計画書を作成し労使の同意を得ることが必要です。
※ 「社会貢献事業」は、「不特定多数の利益に資することを目的とした事業」とされていますが、社会貢献事業かどうかは事業の性質や内容を勘案して個別に判断されることになっています。
無期転換ルール
無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、
- 有期労働契約が5年を超えて更新された場合]
- 有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込み
により、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(使用者は断ることができません)。
福利厚生
福利厚生とは、労働の対価として企業が従業員に提供する「賃金以外の報酬」を指します。雇用保険や健康保険、住宅手当、社員食堂、レジャー施設の割引制度などがあります。
雇用保険制度
雇用保険制度とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です
労災保険制度
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
年金制度
年金制度は、日本に住む20歳〜60歳までの働ける世代の人たち全員が加入し、その保険料を以て高齢者や本当に保障が必要な人たちに年金を給付する仕組みです。世代と世代の支え合いという考え方(賦課方式)のもと、将来の生活における様々なリスクに対して「世代を超えて社会全体で備える仕組み」として年金制度が存在しています。
ハラスメント
ハラスメント(Harassment)とは、相手の意に反する行為によって不快にさせたり、相手の人間としての尊厳を傷づけたり、脅したりすることです。相手を「傷つける」「いじめる」という意図がなくても、相手が不快な感情を抱けばハラスメントは成立します。
パワーハラスメント
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすもの
をいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
セクシャルハラスメント
セクシュアルハラスメントとは、労働者の意に反す性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
人材流動化
人材の流動化とは、人材が企業間を移動することで産業が発展し、雇用市場の活性化につながる状態を指します。
就労状況・労働統計
就労状況は、就労条件総合調査 (主要産業における企業の労働時間制度、賃金制度等について総合的に調査し、我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施)によって明らかにした統計情報です。
労働統計とは、労働に関する諸統計のうち、労働力や雇用、労働時間などの労働形態、または労働者およびその家族に関連する一連の統計情報です。
ポジティブアクション
ポジティブ・アクションとは、一般的には、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいいます。
例えば、労働者の雇用に関する状況を分析した結果、勤続年数が長い女性労働者が多数勤務しているにもかかわらず、管理職になっている女性が男性と比べて極めて少数であるというような場合、「3年間で女性管理職20%増加」という目標を掲げ、女性の管理職候補者を対象とする研修の実施、女性に対する昇進・昇格試験受験の奨励、昇進・昇格基準の明確化等の取組を行っていくことが考えられます。