労働基準法

「労働基準法」とは、労働条件に関する「最低限の基準」を定めた法律です。雇用契約、労働時間・休日・休憩、年次有給休暇、賃金、解雇、就業規則・書類の保存などが規定されています。使用者と労働者との労働契約関係を定めた最も基本的な法律です。

対象者

労働基準法が保護する対象は、正社員だけではありません。パートやアルバイトといった雇用契約の形態にかかわらず、日本国内で労働者として働いている全ての人が対象です。

労働条件の明示

労働者を雇い入れたときには、賃金、労働時間等の労働条件を書面の交付により明示しなければなりません。必ず明示すべき労働条件は次の通りです。

① 労働契約の期間
② 就業の場所、従事する業務の内容
③ 労働時間に関する事項 (始業・終業時刻、時間外労働の有無、休憩、休日、休暇等)
④ 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
⑤ 退職に関する事項 (解雇の事由を含む)

労働者と「有期労働契約」(あらかじめ雇用期間を一定期間(例えば3か月や1年)に限定し た労働契約をいいます)を締結する場合には、「①労働契約の期間 」のほか、
① 労働契約を更新する可能性の有無
② 労働契約を更新する・しないを判断する場合の基準
を明示しなければなりません。

就業規則について

常時10人以上(正社員だけでなく短時間労働者、有期契約労働者も含む)の労働者を使用する場合、就業規則とともに意見書を労働基準監督署に提出しなければなりません。

必ず記載すべき事項(絶対的必要記載事項)定めた場合に記載すべき事項(相対的必要記載事項)
○労働時間に関する事項(始業・終業時刻、休憩、休日、休暇等)
○賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給に関する事項
○退職に関する事項(解雇の事由を含む)
○退職手当、臨時の賃金等に関する事項
○労働者に負担させる食費・作業用品に関する事項
○安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁等に関する事項

また、就業規則の労働者への周知を図ることも義務付けられています。
◎ 就業規則の周知方法
(1) 常時事業場内の各作業場ごとに掲示し、または備え付ける
(2) 就業規則を労働者に交付する
(3) 電子的データとして記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できるパソコンなどの機器を設置する

労働時間・休憩・休日について

労働時間
法定労働時間の上限は、1日8時間、かつ、1週40時間以下です。使用者は労働者に休憩時間を除いて、1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはなりません。

休日:毎週尐なくとも1回、または4週間を通じて4日以上

36協定を締結し、届け出
法定労働時間を超えて、または法定休日に労働させる場合には、時間外労働・休日労働に関する労働者代表との協定を締結し、の労働基準監督署に届け出なければなりません。また、時間外労働・休日労働は、締結した36協定の範囲内で行わなければなりません。

変形労働時間制
1か月以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内であれば、36協定を締結することなく、特定の日や週において1日および1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
必要な手続きは、
① 労働者代表との協定締結と所轄労働基準監督署への届け出 または ② 就業規則への記載
です。協定又は就業規則で定める内容は次の4点です。

・対象労働者の範囲
・変形期間および起算日
・労働日および労働日ごとの労働時間
・協定の有効期間(協定の場合のみ)

注意点は次の2点です。①変形期間は「1か月以内」の期間です(例:1か月、4週間、2週間)
②変形期間を平均した1週間あたりの労働時間は法定労働時間以内でなければなりません

休憩
労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分
8時間を超える場合は1時間の休憩時間を労働時間の途中で与えなければなりません。

賃金について

賃金支払い
1. 賃金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければなりません。
2. 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

割増賃金
① 時間外労働に対する割増率 ⇒ 25%以上
② 法定休日労働に対する割増率 ⇒ 35%以上
③ 深夜業(午後10時から翌日午前5時までの労働)に対する割増率 ⇒ 25%以上
④1か月に60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が現行の25%以上から、50%以上に引き上げられました。中小企業は、法定割増賃金率の引き上げの適用は猶予されます

年次有給休暇

6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、年次有給休暇を与えなければなりません。労働災害による休業期間、育児介護休業期間、産前産後休業期間、年次有給休暇取得期間は、出勤日として取り扱います。10日間からスタートし、1年経過ごとに一定日数の有給休暇を与える。
短時間労働者(パート、アルバイト)などの所定労働日数が少ない労働者に対しても、所定労働日数に応じた年次有給休暇を与える必要があります。

5日間の範囲内で時間単位で与えることができるようになっています。時間単位の年次有給休暇を導入するには労働者代表との協定が必要です。

労働者名簿、賃金台帳について

1. 労働者名簿
労働者の労務管理を適切に行うため、事業場ごとに労働者名簿を作成し、労働者の氏名、雇入れの年月日、退職の年月日とその事由等を記入しなければなりません。
2. 賃金台帳
同じく、事業場ごとに賃金台帳を作成し、労働者の氏名、労働日数、労働時間数、時間外労働 時間数、基本給等を賃金の支払の都度、遅れることなく記入しなければなりません。
3. 記載内容等
必要な記載項目を満たしていれば様式は問いませんが、労働関係に関する重要な書類です ので、それぞれ3年間保存しなければなりません。

 労働者名簿賃金台帳
記載事項①労働者の氏名 ②生年月日 ③履歴 ④性別 ⑤住所 ⑥従事する業務の種類(常時30人未満 労働者を使用する事業場は不要) ⑦雇入年月日 ⑧退職年月日およびその事由(退職の事 由が解雇の場合はその理由) ⑨死亡年月日およびその原因①労働者の氏名 ②性別 ③賃金計算期間 ④労働日数 ⑤労働時間数 ⑥時間外・休日労働時間数および深夜労働時間数 ⑦基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額 ⑧賃金控除の額
保存期間労働者の退職等の日から3年間最後の記入をした日から3年間

解雇・雇止め

1. やむを得ず労働者を解雇する場合には、尐なくとも30日前までに予告する必要があります。
2. 予告を行わない場合には、解雇までの日数に応じた解雇予告手当を支払う必要があります。

◎ 3回以上有期労働契約を更新しているか、1年を超えて継続して雇用している労働者について、契約を更新しない場合には、少なくとも30日前までに予告する必要があります(あらかじめ更新しない旨を明示している場合は除く)

退職証明書等の交付

1. 労働者が、退職にあたって、使用期間、業務の種類などについて証明書を請求したときには、使用者は遅滞なく退職証明書を交付しなければなりません。
2. 労働者が、解雇の予告をされた日から退職の日までの間に解雇の理由について証明書を請 求したときには、使用者は遅滞なく解雇理由証明書を交付しなければなりません。
3. 退職証明書、解雇理由証明書には、労働者の請求しない事項を記載してはいけません。

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