「システム安全」とは、安全性を確保する技術とその確実な運用を担保するマネジメントを統合して,システム全体の安全を実現するというこうとです。
ハードウエア・ソフトウエア、人、法・規範などの複合体において、人間の誤使用や機械の故障などがあってもその安全を確保するためには、設計/製造/使用などライフサイクルのすべての段階で、危険につながる要因を事前に系統的に洗い出し、その影響を解析および評価して適切な対策を施す必要があります。
「システム安全」という概念は、軍事・航空といった分野から発展したことからもわかるように、完成したシステムに安全性を付加するのではなく、想定されるリスクに対し適切な対応を施した結果として、あらかじめ安全性を組込んだシステムを構築することが求められています。
システム安全の構成要素
システム安全は、以下の項目で構成されています。
・安全設計・安全性評価技術(信頼性・安全性評価,リスク削減技術)
・安全マネジメント(品質管理,労働・衛生管理)
・システム構成要素の安全性(電気,材料,化学物質, 人的因子,制御機能,情報システム,ロボットなど)
・安全規格・認証枠組み・法規制体系
目標となる安全性は、法令・規格や社会の要求と製造者の技術的判断によって決まります。
信頼性と安全性
信頼性と安全性の概念は異なりますが、材料の品質・信頼性・保全を通じて安全性が確保されており、両者は密接に関連しているといえます。
信頼性と安全性を比較すると、このようになります。
信頼性 | 安全性 | |
定義 | 機能が維持される度合い | 危害が生じない度合い |
検討内容 | 故障率 | 発生事象、頻度、被害の度合い |
信頼性、安全性を確保するための確率論的手法に、FMEA、HAZOP、HAZID、デシジョンツリー分析 (フォールトツリー分析 (FTA)、イベントツリー分析 (ETA)、ボウタイ分析、PHA)があります。それぞれの分析対象は次のように分類されます。
・信頼性 : FMEA、FTA、ボウタイ分析
・安全性 : HAZOP、HAZID、ETA、PHA、ボウタイ分析
ボウタイ分析はFTA とETAを組み合わたような分析手法で、信頼性と安全性の両方を分析します。
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