デザインインとデザインレビュー | 事業企画

“デザイン”という単語がついているため、似ている内容かと思いきや全く意味が異なる単語です。
デザインインは Design Inデザインレビューは Design Review (DR)と書きます。

目次

デザインイン

部品の製造販売を行う業者完成品メーカーに設計協力して共同開発を行い、自社の部品を新製品に組み込むよう働きかける経営戦略です。
部品業者から設計の早い段階からメーカーに技術提供などを受けることによって、完成品メーカーとしては開発期間の短縮や製品の性能向上などのメリットを見込める。

部品業者としても、新製品に自社の部品が組み込まれることにより、他社との価格競争を避けられるというメリットがあります。
顧客ニーズを掘り出すために、通常の営業活動に加えて、開発・製造・カスタマーサービス部門などがチームとして戦略的に活動する必要があります。

デザインレビュー

製品の設計計画及びその創出プロセスについて顧客要求や設計目標に関わる品質・納期・コスト確保の見地から機能・性能、信頼性、安全性、操作性、デザイン、生産性、保全性、廃棄の容易性、コスト、法令規制、納期について関連部署や知見者により妥当性、問題点の検討をし、次のステップへの移行の可否を判断する活動のことです。

デザインレビューの目的

品質の確保

顧客からの品質要求は多様化し、高度な製品機能が要求されるようになってきています。
効率的な製品開発のためには、ノウハウやLessons & Leant(L&L)を設計や生産準備に取り込み、さまざまな角度からの評価、改善を行っておくことで品質を確保します。

開発期間の短縮と納期の遵守

新製品の開発には、試作、生産、検査、出荷までの間に様々なトラブルが発生する可能性があります。

しかし、トラブルが顕在化してから対策、見直し、修正にあたっていては開発期間は長期化し、納期を守れなくなります。
製品開発中の各マイルストーンで関連部門の担当者が集まり、第三者の目から設計を評価しておくことによって、トラブル発生のリスクを減少させることが可能となります。

ISO9001 : 2015のDR要求事項

ISO9001:2015におけるデザインレビューの要求事項を確認しておきます。

8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー

は,製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に,次の事項を含め,レビューを行わなければならない。 

  1. 顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。 
  2. 顧客が明示してはいないが,指定された用途又は意図された用途が既知である場合,それらの用途に応じた要求事項 
  3. 組織が規定した要求事項 
  4. 製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項 
  5. 以前に提示されたものと異なる,契約又は注文の要求事項 

 組織は,契約又は注文の要求事項が以前に定めたものと異なる場合には,それが解決されていることを確実にしなければならない。 

 顧客がその要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認しなければならない。 

注記 インターネット販売などの幾つかの状況では,注文ごとの正式なレビューは実用的ではない。
その代わりとして,レビューには,カタログなどの,関連する製品情報が含まれ得る。

8.2.3.2 組織は,該当する場合には,必ず,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。 

a) レビューの結果 
b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項 

引用: ISO 9001:2015

ポイントは、「顧客に提供することをコミットメントする前」というタイミングです。
具体的には、顧客との契約に至る前にデザインレビューを実施して、自組織の能力と理解が顧客の要求しているものと合致しているということを確認します。

契約後に「やっぱりできませんでした~」では、信用が失墜してしまいますよね、、、

8.3.4 設計・開発の管理

組織は,次の事項を確実にするために,設計・開発プロセスを管理しなければならない。 
a) 達成すべき結果を定める。 (P)
b) 設計・開発(D)の結果の,要求事項を満たす能力を評価するために,レビューを行う。(C)
c) 設計・開発からのアウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするために,検証活動を行う。
d) 結果として得られる製品及びサービスが,指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たすことを確実にするために,妥当性確認活動を行う。(C)
e) レビュー,又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。 (A)
f) これらの活動についての文書化した情報を保持する 

注記 設計・開発のレビュー,検証及び妥当性確認は,異なる目的をもつ。これらは,組織の製品及びサービスに応じた適切な形で,個別に又は組み合わせて行うことができる。

引用: ISO 9001:2015

この項目のa)~e)は、設計・開発プロセス中にPDCAサイクルをまわすことを要求していると言えます。
a)の達成すべき結果は、「要求事項」を満たすための評価基準 (KPI)となります。
f)は記録を保持することによって、トレーサビリティの確保を意図しています。そして、将来のデザインレビューにも活用します。

また、デザインレビュー、検証、妥当性確認、と3つの似たような単語が使われています。
いずれも「確認」と言い換えれば意味は通じますが、厳密には意味が異なります。
比較表は次の通りです (定義はISO9000から引用しました)。

デザインレビュー検証妥当性確認
定義
ISO 9000:2015
設定された目標を達成するための対象の適切性、妥当性又は有効性の確定客観的証拠を提示することによって、規定要求事項が満たされていることを確認すること客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを確認すること
目的
ISO9001: 2015, 8.3.4
[1]設計・開発の結果が要求事項を満たしているか評価する
[2]問題を明確にし、必要な処置を提案する
設計・開発からのアウトプットが設計・開発へのインプットで与えられている要求事項を満たしていることを確実にする結果として得られる製品が、指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たしうることを確実にする
言い換えると、、、道筋から逸れていないか?基準に沿っているか?最終アウトプットである、製品・サービスが、うまく機能するか?

この3つの関係を図で表すと次のようになります。

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