ここでは、令和3年度の技術士2次試験経営工学部門 選択科目 II-2-1 の論文作成の道筋について解説いたします。
この考え方を参考にして、ぜひ自分でも考えてみてください!
問題文:令和3年 選択科目II-2-1
アパレル業界のように多種多様の消費者向け商品を販売する小売店請において,RFIDは検品・在庫・販売の各業務に応用されている。同時に小売の現場では働き方改革も要求されている。複数の店舗を展開する小売企業の商品管理業務の改革責任者として,商品管理業務を紙ペースの管理からRFIDシステムによる管理へ移行するに当たり,下記の内容に経営工学的視点から答えよ。
(1)商品管理業務を紙ペースの管理からRFIDによる管理に移行する際に,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ
(2) RFIDによる管理に移行する手順について留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ
(3) RFIDによる管理への移行を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ.
設問(1) の考え方
設問(1) 商品管理業務を紙ペースの管理からRFIDによる管理に移行する際に,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ
新システムの導入の際に検討すべき事項はパターン化できますね。
考えられる、調査、検討すべき事項を次に挙げます。
- 他社の動向の調査
- 現在の業務の洗い出し
- マニュアル作成
- システム導入後の業務フローの変化
- 導入コスト
- 導入スピード感
- 顧客の使いやすさ
6項目、すべてを記述すると長くなりすぎます。
この中から、あなたが記述しやすい3項目程度を選び、箇条書きで説明すると良いでしょう。
設問(2)の考え方
設問(2) RFIDによる管理に移行する手順について留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ
留意すべき点、工夫を要する点を説明します。ここで、経営工学に関する専門知識を織り交ぜて説明しなければなりません。漠然とした内容や、工夫が読み取れなければ合格は見込めません。
モデル店舗を選定し、リーンスタートアップを採用する。
既存の流れを見直す⇒ECRSの法則に基づいて効率化する
実行可能な最小成果物を作成する
現場からのフィードバックをもとに改善する
このプロセスを繰り返すことで素早く成果物を作成する。
KPIを設定して進捗を管理し、改善につなげる。
モデル店舗でシステムを検証してから、全店舗に導入を拡大する。
という解答の流れがよいでしょう。
設問(3) の考え方
RFIDによる管理への移行を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ
まず、関係者は誰でしょうか?
- 実際に買い物をする顧客
- 実際にシステムを運用する、店舗従業員
が思いつきますね。この2者が最も重要なステークホルダーを言えます。彼らにとって、最適なシステムを作り上げるためにはどうすれば良いでしょうか?
次に、彼らが求めているものを列挙します。
- 顧客
- わかりやす清算方法
- 年齢、性別問わず、使いやすいシステム
- 現システムよりもメリットが多い (待ち時間短縮など)
- 店舗従業員
- 現行方式から変化する業務
- 現行方式から、新たに増える業務
- レジ係が不要、もしくは削減されることによる余剰人員の活用方法
ここから見えてくることがあります。それは、
最適なシステム完成には、顧客および店舗従業員からのフィードバックが欠かせない
ということです。顧客に対しては、メリットを説明し、それを理解してもらわなければなりません。
効果的な説明方法としては、メラビアンの法則を利用して図や写真、グラフを多用した説明をします。
メリットを理解してもらわなければならないのは、店舗従業員に対しても同様です。
実際にシステムを運用する立場の人間からの理解なしには開発を進められません。
完成に至るまで、逐次、使用感のアンケートをとり、改善につなげるというプロセスが必要で、継続的な関与を引き出さなければなりません。
つまり、ステークホルダーからの継続的な関与を得るための方策を記述すればよいのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
解答作成の道筋は立てられそうですか?
絶対に自分でも考えてください!!
この訓練を重ねることで、試験問題の意図に沿った論文構成力が身に付きますよ!!
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