設備管理
建造物、生産設備の日常の運転・定期点検・補修などによって、機能維持を図ることを設備管理と言います。近年、省エネルギー、ライフサイクルコストの削減、設備寿命の長期化、省力化など、設備管理の目的が多様化、複雑化しています。つまり、設備管理の優劣によって、設備の管理特性、信頼性、保全性、経済性が左右されると言えます。
設備の管理特性
設備の管理特性とは、品質、生産量、売上高、残業時間など、工程の結果を表す特性を指します。
設備の信頼性
設備の信頼性とは、設備の故障のしにくさ、耐久性の高さを指します。
設備の保全性
設備の保全性とは、設備維持のしやすさを指します。
設備の経済性
設備の経済性とは、設備による費用対効果のことを指します。
設備総合効率
設備総合効率(OEE、英語:overall equipment efficiency)は、生産管理の分野で設備の効率や生産性を評価するために用いられる指標で、稼働率、性能、品質から算出します。設備がどの程度効率よく使われているかを測定する指標です。
OEEを低下させる7台設備ロスとして、「故障」、「段取り・調整」、「工具交換」、「立ち上がり」、「空運転」、「チョコ停」、「不良・手直し」があります。
設備計画
設備計画とは、固定資産などの設備にいつ・どのくらい投資するかを計画する活動を指します。
初期投資
設備計画において、最初に行う投資を指します。
使用計画期間
設備計画の際に計画される設備の使用期間を指します。
取替費用
経年劣化などによって設備を取り換えるための費用を指します。
設備維持費用
設備の機能維持、保守などに要する費用を指します。
寿命特性曲線(バスタブカーブ)
バスタブ曲線(故障率曲線)とは、時間が経過することによって起こる機械や装置の故障の割合の変化を表したグラフのうち、その形が浴槽の形に似ている曲線を指します。時間の経過に沿って、「初期故障期」「偶発故障期」「摩耗故障期」の3つに分けられます。
設備保全
設備保全(Productive Maintenance)とは、工場で稼働している様々な生産設備の点検、修理、予防、改善を行うことで、生産性向上をはかる管理活動のことです。
自主保全
自主保全とは、作業者(オペレーター)が操作だけではなく、設備の状態や安全性などの予防措置を実施する活動の事です。
定期保全
定期保全(PM:Periodic Maintenance)は、JISで「従来の故障記録、保全記録の評価から周期を決め、周期ごとに行う保全方式」と定義されています。
定期的に分解・点検して不良を取り除く、オーバーホール型の保全方式です。定期的に行うため、時間基準保全ともいい、予知保全の対語となります。
予知保全
予知保全(PM:Predictive Maintenance)は、JISで「設備の劣化傾向を設備診断技術などによって管理し、故障に至る前の最適な時期に最善の対策を行う予防保全の方法」と定義づけられています。
対策には補修、負担軽減、部品交換などがあります。
状態基準保全ともいい、時間基準である定期保全とは対語となります。
事後保全
事後保全(BM:Breakdown Maintenance)は、故障が発生してからまたは性能低下に至ってから修理を行う保全方法です。
予防保全
予防保全(PM:Preventive Maintenance)は、JISで「予防保全の基本的な考え方には、生産停止または性能低下をもたらす状態を発見するための点検・診断・初期段階に行う調整・修復の2面性がある」と定義されています。
故障が起きる前、すなわち未然に故障を防止する保全活動です。予防保全活動は、連続生産(ライン生産)などで特に重要視され、設備点検が当てはまります。
改良保全
改良保全(CM:Corrective Maintenance)は、JISでは「故障が起こりにくい設備への改善、又は性能向上を目的とした保全活動」と定義されています。具体例として、設備の構成要素・部品の材質や仕様の改善、構造の設計変更、稼働条件の改善によるサイクルタイムの短縮、生産効率の向上、工具の寿命延長などがあります。
保全予防
保全予防(MP:Maintenance Prevention)は、JISでは「設備、糸、ユニット、アッセンブリ、部品などについて、計画・設計段階から過去の保全実績又は情報を用いて不良や故障に関する事項を予知・予測し、これらを排除するために対策を織り込む活動」と定義されています。
設備を新しく計画する段階で、保全情報や新しい技術を取り入れることで信頼性、保全性、操作性、安全性を考慮して、初めから信頼性の高い設備とすることで、保全コストや劣化損失を少なくする活動です。