【令和3年】I-1-6 利益計画 | 変動費・固定費・限界利益率

あるメーカーの製品X について、次年度の利益計画の設定に関する次の資料がある。

[資料]

a. 販売価格 30,000 円/個
b. 販売量 800 個
c. 変動費 10,000 円/個
d. 固定費 10,000,000 円

この条件下での損益分岐点の分析に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
なお、期首・期末の仕掛品及び製品在庫はゼロであるものとし、次の各記述で取り上げた事項以外については、[資料] a~d に示された内容に変化はないものとする。
また、割合を示す数値は有効数字3 桁とする。

① 変動費を5%削減したときの売上高は22,800,000 円となる。
② 固定費を1,000,000 円増加させたときの限界利益は5,000,000 円となる。
③ 販売価格を8%値下げし、販売量が20%増加したときの営業利益は8,496,000 円となる。
④ 予想売上高の83.3%が損益分岐点売上高となる。
⑤ 限界利益率は66.7%となる。


【解答】

① 変動費が減ると、そのぶん利益が増えます。固定費と売上高は変わりません。
よって、計算をしなくても誤りだと判断できます。
ちなみに、22,800,000 円は、売上高 24,000,000円(=3万円 x 800個) x 0.95の計算結果です。

②固定費が増えると、そのぶん営業利益が減ります。変動費と売上高は変わりません。
限界利益は固定費と営業利益の和で定義されます。
つまり、固定費が変動しても、そのぶん利益が変動するため限界利益は変わりません。
よって、計算をしなくても誤りだと判断できます。

③8%値下げした販売価格 : 30 000 × 0.92 = 27,600円
20%増加した販売量 : 800 × 1.2 = 960個

営業利益 = 販売価格 × 販売量 – 変動費 × 販売量 – 固定費

= 27 600 × 960 – 10 000-× 960 – 10 000 000
= 6,896,000 円

損益分岐点は、売上高と費用が等しくなる売上高または販売量を指します。
つまり、

売上高 = 費用
⇔単価 × 個数 = 変動費 × 個数 + 固定費

を満たす売上高もしくは販売量のことです。

問題を解くために、この等式から個数を求めます。

個数 = 固定費 ÷ (単価―変動費)
   = 10 000 000 ÷ (30 000 – 10 000)
   = 500 個

この時の売上高は、
売上高 = 個数 × 単価
    =500 × 30000
    =15 000 000 円

売上高÷予想売上高=
         = 15 000 000 ÷ 24 000 000
         =0.625 (62.5 %)
よって、この選択肢は誤りである。
ちなみに単価は同じですので、個数の比率を計算することで同じ回答が導かれます。

⑤ 限界利益率は売上額に対する限界利益の割合のことです。
限界利益と限界利益率は次の式で定義されます。

限界利益 = 売上高 – 変動費 or 固定費 + 営業利益
限界利益率 = (売上高 – 変動費)÷売上高 or (固定費+営業利益)÷売上高

本問題においては、

限界利益=売上高 – 変動費
               = 800 x 30 000 – 800 x 10 000
               = 16 000 000 円

限界利益率= 16 000 000 ÷ 24 000 000
                  = 0.667 (66.7 %)

と求まります。

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