【令和5年 2023年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

I-1-1 プロジェクト投資比較

単年度で終結する3つのプロジェクトA,B,Cがある。各プロジェクトでは,投資額に応じてそこから得られる利益額が下表のように与えられている。各プロジェクトへの最大投資額はプロジェクトAでは4,000万円,プロジェクトB,及びプロジェクトCではそれぞれ2,000万円である。投資は,各プロジェクトに対し1,000万円を1単位として全体で4単位まで可能である。各プロジェクトに何単位ずつ投資すると,得られる利益額の和が最大となるのかを検討している。利益額の和が最大となる各プロジェクトへの投資方策におけるプロジェクトAへの投資額として,次のうち最も適切なものはどれか。

投資額プロジェクトAプロジェクトBプロジェクトC
0000
1,000200150160
2,000320220290
3,000420
4,000510
表 各プロジェクトへの投資額と得られる利益額(万円)

① 0単位(0円)
② 1単位(1,000万円)
③ 2単位(2,000万円)
④ 3単位(3,000万円)
⑤ 4単位(4,000万円)

解答と解説

【正解②】

考えられる組み合わせは全部で9通りあり、下表の②-1の組み合わせが最も合計利益が多くなる。

プロジェクト
A
プロジェクト
B
プロジェクト
C
合計利益
0単位 利益02単位 利益2202単位 利益290510
②-11単位 利益2001単位 利益1502単位 利益290640
②-21単位 利益2002単位 利益2201単位 利益160580
③-12単位 利益3201単位 利益1501単位 利益160630
③-22単位 利益3202単位 利益2200単位 利益0540
③-32単位 利益3200単位 利益02単位 利益290610
④-13単位 利益4201単位 利益1500単位 利益0570
④-23単位 利益4200単位 利益01単位 利益160580
4単位 利益5100単位 利益00単位 利益0510

I-1-2 損益分岐点分析

損益分岐点分析を行うため,数のような横軸に販売量,縦軸に金額(売上高及び費用)をとったグラフを用いる。このグラフを用いた分析に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,総費用の固定費と変動費から構成され,固定費をF,販売量をx,販売量1個あたりの変動費をv,1個当たりの販売価格をpとし,p>vであるとする。また,全ての金額は0よりも大きいものとする。

① Fとpは変化せず,vが増加すると,損益分岐点の販売量は減少する。
② F,v及びpは変化せず,xが増加すると,利益が増加あるいは損失が減少する。
③ vとpは変化せず,Fが増加すると,損益分岐点の販売量は増加する。
④ Fとvは変化せず,pが減少すると,損益分岐点の販売量は増加する。
⑤ Fは変化せず,1個当たりの限界利益が減少すると,損益分岐点の販売量は増加する。

解答と解説

【正解①】

変動費vが増加すると、損益分岐点販売量は増加します。
概念図は下図のようになります。

この問題を解くために、損益分岐点分析の基本的な概念と各変数の関係を考慮します。
損益分岐点の販売量(x)は以下の式で表されます:
x = F / (p – v)
ここで、F は固定費、p は販売価格、v は単位当たりの変動費です。
各選択肢を順番に検討します:
① 不適切です。v が増加すると、分母 (p – v) が小さくなるため、損益分岐点の販売量は増加します。
② 適切です。x が増加すると、総収入が増加し、固定費を超える部分が利益となるため、利益が増加または損失が減少します。
③ 適切です。F が増加すると、分子が大きくなるため、損益分岐点の販売量は増加します。
④ 適切です。p が減少すると、分母 (p – v) が小さくなるため、損益分岐点の販売量は増加します。
⑤ 適切です。1個当たりの限界利益 (p – v) が減少すると、分母が小さくなるため、損益分岐点の販売量は増加します。

したがって、最も不適切なものは ① です。

I-1-3 設計管理に関する用語

設計管理に関する次の(A) ~(E)の用語と,それらの説明である(ア)~(オ)の組合せとして,最も適切なものはどれか。

(A)信頼性設計
(B)保全性設計
(C)デザインイン
(D)デザインレビュー
(E)フロントローディング

(ア)故障が発生した場合,その故障個所がすぐに検知でき,容易に修復できるように考慮した設計法。
(イ)対象物が,与えられた条件の下で,与えられた期間,故障せずに,要求とおりに遂行できるようにすることを目的とした設計技術。
(ウ)初期の工程のうちに試作や量産など後工程で発生しそうな問題の検討や改善などに前倒しで取組むことで,品質の向上や工期の短縮などを推進する手法。
(エ)部品の製造販売を行う業者が,完成品のメーカーに設計の協力をして共同開発を行い,その際に自社の部品をその新製品の組立てに使用するように働きかける活動。
(オ)対象物のライフサイクル全体にわたる既存又は新規に要求される設計活動に対する,文書化された計画的な審査。

ABCDE
解答と解説

【正解②】

  • (A)信頼性設計
    (イ)対象物が,与えられた条件の下で,与えられた期間,故障せずに,要求とおりに遂行できるようにすることを目的とした設計技術。
  • (B)保全性設計
    (ア)故障が発生した場合,その故障個所がすぐに検知でき,容易に修復できるように考慮した設計法。
  • (C)デザインイン
    (エ)部品の製造販売を行う業者が,完成品のメーカーに設計の協力をして共同開発を行い,その際に自社の部品をその新製品の組立てに使用するように働きかける活動。
  • (D)デザインレビュー
    (オ)対象物のライフサイクル全体にわたる既存又は新規に要求される設計活動に対する,文書化された計画的な審査。
  • (E)フロントローディング
    (ウ)初期の工程のうちに試作や量産など後工程で発生しそうな問題の検討や改善などに前倒しで取組むことで,品質の向上や工期の短縮などを推進する手法。

I-1-4 品質管理に用いる図とグラフ

品質管理で用いられる図やグラフと,その用途の例の組合せとして,最も適切なものはどれか。

① パレート図:改善すべき事項の全体に及ぼす影響の確認,及び改善による効果の確認をする。
② 管理図:計量値データを統計的に解析して棒グラフで示し,平均値や中央値などの中心傾向,分布の形状を知る。
③ ヒストグラム:2つの特性の相関関係を見る。
④ 散布図:特定の結果に対する原因を定性的に分類・整理し,重要な原因を追究する。
⑤ 特性要因図:数値データに基づいて工程の異常を発見し,安定状態を維持する。

解答と解説

【正解①】

QC7つ道具に関する問題です。

① パレート図:正しい。
パレート図は問題の重要度を視覚化し、最も影響の大きい要因を特定するのに使用されます。また、改善後の効果確認にも適しています。② 管理図:不適切。
管理図は工程の安定性を監視し、異常を検出するために使用されます。ヒストグラムの説明と混同されています。③ ヒストグラム:不適切。
ヒストグラムはデータの分布を示すもので、2つの特性の相関関係を見るのは散布図の役割です。④ 散布図:不適切。
散布図は2つの変数間の関係を示すもので、原因と結果の関係を定性的に整理するのは特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)の役割です。⑤ 特性要因図:不適切。
特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)は問題の原因を体系的に整理するためのツールで、数値データに基づく工程の異常検出は管理図の役割です。したがって、
最も適切な組合せは ① パレート図:改善すべき事項の全体に及ぼす影響の確認,及び改善による効果の確認をする。 です。

I-1-5 設備総合効率

ある工場では,設備管理に関する次の取組を行った。このうち,設備総合効率の値を高めた取組として,最も不適切なものはどれか。

① 設備の予防保全の活動を見直すことによって,設備の停止時間を減らした。
② 設備の段取作業の省人化によって,段取作業における製造原価を減らした。
③ 設備の作業速度低下の発生を減らすことによって,稼働時間内の加工数量を増やした。
④ 設備の改良保全の活動を見直すことによって,不適合品の発生数を減らした。
⑤ 設備の事後保全の活動を見直すことによって,設備故障から復旧までの時間を減らした。

解答と解説

【正解②】

設備総合効率(OEE、英語:overall equipment efficiency)は、生産管理の分野で設備の効率や生産性を評価するために用いられる指標で、稼働率、性能、品質から算出します。設備がどの程度効率よく使われているかを測定する指標です。

OEEを低下させる7台設備ロスとして、「故障」、「段取り・調整」、「工具交換」、「立ち上がり」、「空運転」、「チョコ停」、「不良・手直し」があります。

②の省人化は、稼働率、性能、品質の改善につながらないため誤りです。

I-1-6 リードタイム

各作業を早く終えて,次の作業者に引き渡すことは,作業効率を高めるために重要である。ある作業者が,下表に示された5つの作業をこれから1つずつ順に実施しなければならないとき,5つの作業のリードタイムの平均値が最小となる作業の実施順序の記述として,次のうち最も適切なものはどれか。ただし,最初に着手した作業の開始時刻を起点とし,起点となる時刻から,各作業が完了する時刻までのそれぞれの時間を各作業のリードタイムとする。

作業名 所要時間
 A   4
 B   8
 C   2
 D  10
 E   6

① A→B→C→D→E の順で作業を実施した場合に最小となる。
② C→A→E→B→D の順で作業を実施した場合に最小となる。
③ D→B→E→A→C の順で作業を実施した場合に最小となる。
④ C→B→D→E→A の順で作業を実施した場合に最小となる。
⑤ 作業をどのような順序で実施しても,変わらない。

解答と解説

【正解②】

この問題を解くために、各作業順序のリードタイムの平均値を計算し、比較する必要があります。リードタイムの平均値を最小にするためには、所要時間の短い作業を先に行い、長い作業を後に回すのが一般的に効果的です。各選択肢のリードタイムの平均値を計算します:① A→B→C→D→Eリードタイム: 4, 12, 14, 24, 30平均 = (4 + 12 + 14 + 24 + 30) / 5 = 16.8② C→A→E→B→Dリードタイム: 2, 6, 12, 20, 30平均 = (2 + 6 + 12 + 20 + 30) / 5 = 14③ D→B→E→A→Cリードタイム: 10, 18, 24, 28, 30平均 = (10 + 18 + 24 + 28 + 30) / 5 = 22④ C→B→D→E→Aリードタイム: 2, 10, 20, 26, 30平均 = (2 + 10 + 20 + 26 + 30) / 5 = 17.6⑤ この選択肢は正しくありません。作業順序によってリードタイムの平均値は変わります。

計算結果から、リードタイムの平均値が最小となるのは ② C→A→E→B→D の順で作業を実施した場合です。したがって、最も適切な答えは ② です。

I-1-7 ECRSの原則

業務改善を実施するうえでの視点を示したECRSの原則を用いた改善活動の説明として,次のうち最も不適切なものはどれか。

① 作業のスケジュールを見直すことによって,作業の順序の変更をする。
② 工程分析を行った結果を活用し,一部の工程をなくす。
③ 完成品の利用調査に基づき,完成品の検査合格の許容範囲を狭める。
④ 作業者の動作分析を行うことによって,動作方法を単純化する。
⑤ 各工程の作業を見直し,別々であった工程を1つの工程にする。

解答と解説

【正解③】

この問題を解くためには、ECRSの原則を理解し、各選択肢がこの原則に沿っているかどうかを評価する必要があります。ECRSの原則は以下の4つの視点から成り立っています:

E: Eliminate(排除)- 不要な作業を取り除く
C: Combine(結合)- 作業を組み合わせる
R: Rearrange(再配置)- 作業の順序や配置を変更する
S: Simplify(単純化)- 作業を簡単にする各選択肢を評価します

① 適切です。作業の順序変更はRearrange(再配置)に該当します。

② 適切です。工程の一部をなくすことはEliminate(排除)に該当します。

③ 不適切です。検査の許容範囲を狭めることは、ECRSの原則のどれにも該当しません。むしろ、作業を複雑化させる可能性があります。

④ 適切です。動作方法の単純化はSimplify(単純化)に該当します。

⑤ 適切です。別々の工程を1つにすることはCombine(結合)に該当します。

したがって、最も不適切なものは ③ です。この選択肢はECRSの原則に沿っておらず、むしろ業務改善の目的に反する可能性があります。

I-1-8 現品管理活動

現品管理の活動として,次の記述のうち最も不適切なものはどれか。

① ICタグを活用して,ものの動きと情報を関連付けた管理を行う。
② コンビニエンスストアにおいて,販売する食料品の賞味期限の確認を行う。
③ 現品票を用いて,仕掛品の紛失を防止する。
④ バーコードを活用して,販売時点情報を把握する。
⑤ バスタブカーブの図を活用して,需要予測を行う。

解答と解説

【正解⑤】

現品管理とは、実際の商品や在庫品(現品)の状態を正確に把握し、適切に管理することを指します。

① 適切です。ICタグの活用は現品の動きと情報を関連付けた管理方法として有効です。② 適切です。食料品の賞味期限の確認は、現品の品質管理の一環として重要です。③ 適切です。現品票の使用は、仕掛品の管理と紛失防止に役立ちます。④ 適切です。バーコードを用いた販売時点情報の把握は、現品の動きを正確に追跡する方法です。⑤ 不適切です。バスタブカーブは製品のライフサイクルを表すもので、主に需要予測に使用されます。これは直接的な現品管理の活動ではありません。

したがって、現品管理の活動として最も不適切なものは ⑤ です。
バスタブカーブを用いた需要予測は、在庫計画や生産計画に関連する活動ですが、直接的な現品の管理活動ではありません。

I-1-9 労働基準法と労働安全衛生法

労働基準法,労働安全衛生法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 使用者は,労働者に時間外労働,休日労働を行わせる場合には,時間外労働,休日労働に関する労使協定を締結し,行政官庁に届け出なければならない。
② 時間外労働や休日労働に係る労働時間に関して,1か月,複数月,年間などの期間に応じた上限が罰則付きで規定されており,一部の事業・業務については,適用が猶予されている。
③ 使用者が,労働者に1か月について60時間を超える時間外労働を行わせた場合,60時間を超える部分の労働に係る割増賃金は,割増賃金の基礎となる賃金の5割以上である。
④ 事業者は,健康管理の観点から,裁量労働制の適用者及び管理監督者を除き,労働者の労働時間の状況を客観的な方法,その他適切な方法で把握しなければならない。
⑤ 産業医を選任した事業者は,産業医に対し,労働者の労働時間に関する情報など,産業医が労働者の健康管理を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。

解答と解説

【正解④】

①労働基準法 第三十六条(時間外及び休日の労働)
②労働基準法 第三十六条(時間外及び休日の労働)
③労働基準法 第三十 七 条 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

第三十七条
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が 一箇月について六十時間を超えた場合 においては、 その超えた時間 の労働については、 通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金 を支払わなければならない。


④「裁量労働制の適用者及び管理監督者を除き」は誤りです。「裁量労働制の適用者及び管理監督者」も労働時間把握対象です。対象外となるのは、「高度プロフェッショナル制度対象労働者」です。

高度プロフェッショナル制度対象労働者を除く全ての労働者が対象となる。
⑤労働安全衛生規則 第十四条の二(産業医に対する情報の提供)

I-1-10 女性の活躍と育児等に係る諸法令

労働における女性の活躍や育児等に係る諸法令に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,いずれの記述も,一般の民間企業及びその労働者を対象としている。

① 事業主は,常時雇用する労働者の数に関わらず,女性の職業生活における活躍の推進に関して,数値目標を盛り込んだ行動計画を策定し公表しなければならない。
② 事業主は,事実上生じている男女間格差を解消することを目的に,募集及び採用,配置,昇進などについて,女性労働者に有利な措置を行うことができる。
③ 事業主は,職場において行われる労働者に対する育児休業等の制度又は指置の利用に関する言動により,労働者の就業環境が害されることのないよう,体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じるよう努めなければならない。
④ 年次有給休暇の日数を設定する際に用いられる労働者の出勤率を算定するに当たっては,労働者が育児休業を取得した期間は出勤日数に含まない。
⑤ えるぼし認定とは,労働者の仕事と子育てに関する行動計画を策定した事業主のうち,男性労働者の育児休業等取得率などの一定の基準を満たした事業主を認定する制度である。

解答と解説

【正解②】

①「常時雇用する労働者の数に関わらず」は誤りです。正しくは、「 常用労働者数が 101 人以上の事業主は義務、 100 人以下の事業主は努力義務」です。

③「講じるよう努めなければならない」は誤りです。正しくは「義務」です。

④「育児休業を取得した期間は出勤日数に 含まない」は誤りです。正しくは「含める」です。

えるぼし認定は、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)に基づいて、女性の活躍推進に関する状況や取り組みなどが優良な企業を認定する制度で、厚生労働省が付与します。

I-1-11 パワーハラスメント

職場におけるパワーハラスメントについて政府が策定した指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 職場におけるパワーハラスメントとは,優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものを言い,労働者の就業環境が害されるか否かに依らない。
② 職場におけるパワーハラスメントには,上司から部下に対して行われるものだけではなく,同僚又は部下などが有する優越的な関係を背景に行われるものも含まれる。
③ 事業主は,職場におけるパワーハラスメントに係る相談窓口をあらかじめ定め,労働者に周知するとともに,相談窓口の担当者が相談内容や状況に応じ,適切に対応できるようにしなければならない。
④ 事業主は,労働者が職場におけるパワーハラスメントに関して相談したこと等を理由として,解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め,労働者に周知・啓発しなければならない。
⑤ 事業主は,職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者については,厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に規定し,労働者に周知・啓発しなければならない。

解答と解説

【正解①】

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる、

①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすもの

をいいます。「労働者の就業環境が害される」ものではなければは、パワーハラスメントには当たらないため①は誤りです。

I-1-12 個別労働関係紛争

個々の労働者と使用者との間の個別労働関係紛争に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 都道府県労働局などの総合労働相談コーナーに寄せられる相談のうち,いじめ,いやがらせ,解雇などの,民事上の個別労働関係紛争に係る相談の件数は,2002年度に比べ2021年度は増加している。
② 都道府県労働局長は,個別労働関係紛争に関し,紛争当事者の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合には,必要な助言又は指導をすることができる。
③ 都道府県労働局長は,個別労働関係紛争について紛争当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合,紛争の解決のために必要があると認めるときは,紛争調整委員会にあっせんを行わせる。
④ 労働委員会は,個別労働関係紛争について紛争の解決のために必要があると認めるときは,紛争当事者双方の主張を確かめ,仲裁裁定を行う。
⑤ 裁判所における労働審判精度は,民事上の個別労働関係紛争に関して,紛争の実情に即した迅速,適正かつ実効的な解決を図ることを目的とする。

解答と解説

【正解④】

個別労働関係紛争と労働争議、それぞれの解決方法は下表のとおりです。個別労働関係紛争については「仲裁」は行わないため誤りです。

区分対象労働相談助言・指導あっせん調停仲裁
個別労働関係紛争個々の労働者と事業主との間に発生した労働条件、その他労働関係に関する様々なトラブル
労働争議労働組合と事業主との間に発生したトラブル


① 適切です。労働相談件数の増加傾向は一般的に認められています。

② 適切です。これは個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づく都道府県労働局長の権限です。

③ 適切です。これも同法に基づく都道府県労働局長の権限です。

④ 不適切です。労働委員会は主に集団的労使関係の紛争を扱い、個別労働関係紛争については仲裁裁定を行う権限を持っていません。個別労働関係紛争の解決には、労働局や裁判所が関与します。

⑤ 適切です。労働審判制度の目的を正確に述べています。

したがって、最も不適切なものは ④ です。労働委員会が個別労働関係紛争について仲裁裁定を行うという記述は誤りです。

I-1-13 組織開発

組織開発に関する次の記述のらち,最も適切なものはどれか。

① 人材開発は「個人」への働きかけであることに対し,組織開発は「グループ」や「組織全体」に働きかける取組であり,「個人」への働きかけは含まない。
② 組織開発の2つの手法である診断型と対話型のうち,診断型組織開発は,サーベイなどによる診断フェーズのある手法であるが,対話も重視される。
③ 組織開発で大切にされる価値観の1つとして人間尊重の価値観があり,マクレガーが提唱したX理論もその表れである。
④ 組織開発でキーとなる概念の「コンテント」と「プロセス」のうち,「コンテント」とは,どのようにコミュニケーションがなされているか,どのように課題や仕事が進められているかなど,組織メンバー間の関係性などの諸要素を指す。
⑤ アプリシエイティブ・インクワイアリーは診断型組織開発手法の1つであり,データ収集等に基づく診断フェーズによって部署や職場の強みに光を当て,その強みや潜在力を引き出すことを目指す。

解答と解説

【正解②】

①「組織開発」はグループ、組織全体だけでなく「個人」への働きかけも含みます。

③X理論は、「人間は本来怠け者であり、強制されなければ仕事をしない」とする考え方です。「人間尊重の価値観」は関係なく誤りです。

④説明文は「プロセス」の内容です。

⑤アプリシエイティブ・インクワイアリーは「組織の真価を肯定的な質問によって発見し、可能性を拡張させるプロセス」で、対話型組織開発手法です。「診断型組織開発手法」ではないので誤りです。

I-1-14 社員格付け制度

我が国で用いられている社員格付け制度に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 職能資格制度は,高い等級者が多くなりやすいなどの理由により,職務等級制度や役割等級制度に比べ,総人件費が高くなりがちである。
② 職務等級制度のメリットの1つは,人事異動・職務変化に適し,組織の柔軟性が保てることである。
③ ジョブ型雇用における格付け制度では,職務等級制度や役割等級制度が用いられる。
④ 職能資格制度では,いったん身についた能力は減らないという考えを基本としており,降格はなじまない。
⑤ 職務等級制度は,キャリア目標と報酬が連動し,そのことがインセンティブとして働くため,キャリア意識が高まる。

解答と解説

【正解②】

職務等級制度のメリットとデメリットは次の表のとおりです。

メリット・明確な評価基準を設けやすく、人事評価の公正さを保ちやすい
・スペシャリストを育成しやすい
・人件費を削減できる
デメリット・成果が主な基準となるため、誠実さや勤勉さ等が評価に反映されにくい
・社員の業務への柔軟性が損なわれる可能性がある


① 適切です。職能資格制度は能力に基づいて昇格するため、時間とともに高い等級者が増え、総人件費が高くなる傾向があります。

② 不適切です。これは職能資格制度の特徴です。職務等級制度は特定の職務に基づいて等級が決まるため、人事異動や職務変更に対する柔軟性は低くなります。

③ 適切です。ジョブ型雇用では、職務や役割に基づいて等級が決まるため、職務等級制度や役割等級制度が用いられます。

④ 適切です。職能資格制度は獲得した能力が減らないという前提に立っているため、一般的に降格の概念はなじみません。

⑤ 適切です。職務等級制度では、特定の職務と報酬が明確に結びついているため、キャリア目標が明確になり、それがインセンティブとして機能します。

したがって、最も不適切なものは ② です。
職務等級制度の特徴として述べられている内容が、実際には職能資格制度の特徴を説明しているため、この記述は不適切です。

I-1-15 教育訓練

教育訓練に関する次の(A)~(D)の技法と,その効果の説明である(ア)~(エ) の組合せとして,最も適切なものはどれか。

技法
(A)ケースメソッド
(B)インバスケット
(C)ロールプレイング
(D)ブレインストーミング

効果の説明
(ア)グループをつくり,くつろいだ雰囲気の中で自由にアイディアを出し合い,相互に影響し合って各人の発想力や創造性を高める。
(イ)現実の企業経営の事例の問題点を分析させ,具体的な解決行動を起こさせることにより,実践に役立つ原理・原則を習得させ,意思決定能力を高める。
(ウ)限られた時間内に大量の書類を処理させることにより,読取りの能力,判断力,決断力などを高める。
(エ)所定の立場で行動させることによって,その立場の理解や状況に対応する行動力,コミュニケーション能力を高める。

ABCD
解答と解説

【正解⑤】

ケースメソッド現実の企業経営の事例の問題点を分析させ,具体的な解決行動を起こさせることにより,実践に役立つ原理・原則を習得させ,意思決定能力を高める。
インバスケット限られた時間内に大量の書類を処理させることにより,読取りの能力,判断力,決断力などを高める。
ロールプレイング所定の立場で行動させることによって,その立場の理解や状況に対応する行動力,コミュニケーション能力を高める。
ブレインストーミンググループをつくり,くつろいだ雰囲気の中で自由にアイディアを出し合い,相互に影響し合って各人の発想力や創造性を高める。

(A) ケースメソッド – (イ) 現実の企業経営の事例の問題点を分析させ、具体的な解決行動を起こさせることにより、実践に役立つ原理・原則を習得させ、意思決定能力を高める。

(B) インバスケット – (ウ) 限られた時間内に大量の書類を処理させることにより、読取りの能力、判断力、決断力などを高める。

(C) ロールプレイング – (エ) 所定の立場で行動させることによって、その立場の理解や状況に対応する行動力、コミュニケーション能力を高める。

(D) ブレインストーミング – (ア) グループをつくり、くつろいだ雰囲気の中で自由にアイディアを出し合い、相互に影響し合って各人の発想力や創造性を高める。

これらの対応関係を選択肢と照らし合わせると、最も適切な組み合わせは ⑤ イウエア となります。したがって、正解は ⑤ です。

I-1-16 心理的安全性

激しく変化し続ける時代において,高い業績を上げる組織・チームを作るためには,心理的安全性が重要とされている。職場における,心理的安全性と業績基準を分類した下表の(A)~(D)と,それらの職場の典型的な状態の説明である(ア)~(エ)の組合せとして,最も適切なものはどれか。

業績基準が低い業績基準が高い
心理的安全性が高いAB
心理的安全性が低いCD

(ア)人々は,懸命に努力するより保身に腐心し,言われたこと以上の仕事はしない。
(イ)人々は,お互いに意見したり,協力したりするが,仕事の充実感はあまり感じられない。
(ウ)人々は,「余計なことは考えず,成果を出せ」と言われ,自分の考えを言うことにビクビクしている。
(エ)人々は協力し,互いから学び,複雑で革新的な仕事をやり遂げることができる。

ABCD
解答と解説

【正解③】

業績基準が低い業績基準が高い
心理的安全性が高いお互いに意見したり 、協力したりするが 、仕事の充実感はあまり感じられない。人々は協力し、互いから学び 、 複雑で革新的な仕事をやり遂げることができる。
心理的安全性が低い懸命に努力するより保身に腐心し 、言われたこと以上の仕事はしない。「余計なことは考えず 、成果を出せ」と言われ 、 自分の考えを言うことにビクビクしている。


I-1-17 不正競争防止法

企業の次の行為のうち,不正競争防止法の不正競争に該当しないものとして,最も適切なものはどれか。

① 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為。
② 不正の利益を得る目的で,他人の商品・役務の表示と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有する行為。
③ 商品・役務又はその広告等に,その原産地,品質・質,内容等について誤認させるような表示をする行為。
④ 商品・役務の広告において,他人の商品・役務の客観的事実に基づく情報を断りなく記載して,自らのものと比較表示をする行為。
⑤ 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為。

解答と解説

【正解④】

経済産業省によって、不正競争行為型として10例挙げられています。

①形態模倣商品の提供行為(第2条第1項第3号・第21条第2項第3号)、「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為」に該当する不正行為です。

②ドメイン名の不正取得などの行為(第2条第1項第19号)、「図利加害目的で、他人の商品・役務の表示(特定商品等表示)と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有、又はそのドメイン名を使用する行為」に該当する不正行為です。

③誤認惹起行為(第2条第1項第20号・第21条第2項第1号・第5号)、「商品・役務又はその広告などに、その原産地、品質・質、内容などについて誤認させるような表示をする行為、又はその表示をした商品を譲渡などする行為」に該当する不正行為です。

⑤信用毀損行為(第2条第1項第21号)、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」に該当する不正行為です。

I-1-18 ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① 組織的知識創造とは,組織を構成する個人や集団のレベルではなく,組織の経営者が企業の環境から知りうる以上の知識を,あらたに創造することである。
② 暗黙知はわかりにくいので,すべて形式知化して暗黙知を無くすべきである。
③ 経営トップが現場を歩くManagement By Walking Aroundの取組は,暗黙知を形式知化するプロセスの代表的な例である。
④ 形式知から他の形式知を生み出そうとする行為は,非効率的なので避けるべきである。
⑤ 組織的に形式知化された知識を自分自身のものとして採り入れることで,形式知を暗黙知にすることができる。

解答と解説

【正解⑤】

ナレッジマネジメント、SECIモデルに関する問題です。SECIモデルとは、「知識には暗黙知と形式知の2つがあり、それを個人・集団・組織の間で、相互に絶え間なく変換・移転することによって新たな知識創造されると考える。 こうした暗黙知と形式知の交換と知識移転のプロセス」

①組織的知識創造は、個人、集団、組織レべルで起きます。「組織」レベルに限定されないため誤りです。

②暗黙知は形式知になっても、SECIモデルのI (Internalization: 内面化)のステップによって暗黙知になります。

③Management BY Walking Around(MBWA)は、マネジメントが直接現場を訪れ、社員をよく知り、自分の経験を話し、心配事を聞き、励ますという取組です。

④SECIモデルのC(Combination : 連結化)のステップでは、既知の形式知から新たな形式知を生み出します。

I-1-19 情報セキュリティ認証制度

情報セキュリティに関連する認証制度とその評価基準の準拠規格を示した下表の(ア)~(ウ)に該当する規格番号の組合せとして,最も適切なものはどれか。

認証制度評価基準の準拠規格
規格番号名称
情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度「情報技術-セキュリティ技術-情報セキュリティマネジメントシステムー要求事項
プライバシーマーク制度個人情報保護マネジメントシステム要求事項
ITセキュリティ評価及び認証制度Information security, cybersecurity and privacy protection – Evaluation Criteria for IT security

 

JIS Q 27001JIS Q 15001ISO/IEC 15408
JIS Q 27001JIS Q 15001ISO 26000
JIS Q 27001JIS Q 15001ISO 9000
JIS Q 15001JIS Q 27001ISO 26000
JIS Q 15001JIS Q 27001ISO 9000

  

解答と解説

【正解①】

認証制度評価基準の準拠規格
規格番号名称
情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度JIS Q 27001「情報技術-セキュリティ技術-情報セキュリティマネジメントシステムー要求事項
プライバシーマーク制度JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム要求事項
ITセキュリティ評価及び認証制度ISO/IEC 15408Information security, cybersecurity and privacy protection – Evaluation Criteria for IT security

ISO 26000:組織の社会的責任に関する国際規格

ISO 9000:品質マネジメントシステムに関する規格の総称

I-1-20 コミュニケーション・マネジメント

プロジェクトのコミュニケーション・マネジメントに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 組織のコミュニケーション要求事項や,教訓と過去の情報は,コミュニケーション・マネジメント計画のインプットとなる。
② コミュニケーション・マネジメント計画書は,プロジェクトを実行するための情報を提供する文書であり,プロジェクトを開始した後の変更は避けなければならない。
③ プッシュ型コミュニケーションでは,情報が意図した対象者に実際に届くことや,理解されることは保証されない。
④ 課題ログや作業パフォーマンス・データは,コミュニケーションの監視のインプットになる。
⑤ ウェブ・ポータル,イントラネット・サイト,eラーニングはプル型コミュニケーションの例である。

解答と解説

【正解②】

この問題を解くために、プロジェクトのコミュニケーション・マネジメントに関する各記述を個別に評価します。

① 適切です。組織のコミュニケーション要求事項や過去の教訓は、コミュニケーション・マネジメント計画の重要なインプットとなります。

② 不適切です。コミュニケーション・マネジメント計画書は、プロジェクトの進行に伴って変更される可能性があります。プロジェクトの状況や要求事項の変化に応じて、適切に更新されるべきです。

③ 適切です。プッシュ型コミュニケーションは情報を送信するだけで、受信者の理解や反応を保証するものではありません。

④ 適切です。課題ログや作業パフォーマンス・データは、コミュニケーションの効果を監視するための重要な情報源となります。

⑤ 適切です。ウェブ・ポータル、イントラネット・サイト、eラーニングは、ユーザーが自ら情報にアクセスするプル型コミュニケーションの典型的な例です。

したがって、最も不適切なものは ② です。コミュニケーション・マネジメント計画書は、プロジェクトの進行中に変更が必要になる可能性があり、柔軟に対応することが重要です。

I-1-21 統計分析

1日の来客数が平均μ,分散σ2の正規分布に従い,かつ各日の来客数が互いに独立である店舗において,1日の来客数を5日間調査したところ,73,54,81,60,72であった。この5つの来客数データの平均Ⅹ-barを用いてμを推定したい。μの推定や信頼区間に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① Ⅹ-barは68に等しい。
② Ⅹ-barはμの最尤推定量である。
③ Ⅹ-barはμの信頼係数95%の信頼区間に含まれる。
④ μの信頼係数95%の信頼区間は信頼係数99%の信頼区間より広い。
⑤ μの信頼係数95%の信頼区間は分散σ2が未知であっても定まる。

解答と解説

【正解④】

「広い」は誤りです。
信頼係数95%の信頼区間のほうが、信頼係数99%の信頼区間よりも狭い

I-1-22 避難情報 災害情報の伝達手段

避難情報,災害情報の伝達手段に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 避難情報を居住者等に広く確実に伝達するためには,可能な限り多様な伝達手段を組合せることが望ましい。
② 避難情報の伝達手段として,市町村のホームページを活用するに当たっては,緊急時のアクセス増によりサーバがダウンしないよう回線増設等の対応を検討するべきである。
③ 緊急速報メールは,市町村などからの避難情報等を特定エリアに居住する携帯電話利用者に一斉配信する手段であり,居住者以外の当該エリアに居合わせた携帯電話利用者には情報伝達できない。
④ 防災行政無線は,市町村などがそれぞれの地域において防災,応急救助,災害復旧などに関する業務に使用することを主な目的としているが,平常時にも一般行政事務に使用できる。
⑤ 固定電話による避難情報の情報伝達には,輻輳により繋がりにくい場合がある,電話番号が分かる相手にしか連絡が取れない,といった課題がある。

解答と解説

【正解③】

「居住者以外の当該エリアに居合わせた携帯電話利用者には情報伝達できない。」は誤り。

① 適切です。多様な伝達手段を組み合わせることで、より多くの人々に確実に情報を伝達できます。

② 適切です。緊急時のアクセス集中に備えて、サーバーの対応能力を向上させることは重要です。

③ 不適切です。緊急速報メールは、特定エリア内の全ての対応携帯電話に配信されます。これには居住者だけでなく、一時的に滞在している人も含まれます。

④ 適切です。防災行政無線は主に防災目的ですが、平常時の一般行政事務にも使用できます。

⑤ 適切です。固定電話による情報伝達には、輻輳や連絡先の制限といった課題があります。

したがって、最も不適切なものは ③ です。緊急速報メールは、特定エリア内の全ての対応携帯電話に配信されるため、居住者以外の当該エリアに居合わせた携帯電話利用者にも情報が伝達されます。この点で、記述は誤りです。

I-1-23 デジタル技術

デジタル技術に関する次の(A)〜(E)の略語と対応する(ア)〜(オ)の説明の組合せとして,最も適切なものはどれか。

略語
(A)IoT
(B)RPA
(C)NFT
(D)ITS
(E)DX

説明
(ア)デジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供や新たなビジネスモデルの開発を通して,社会制度や組織文化などの変革を目指す取組のこと。
(イ)ブロックチェーン上で,デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や,取引履歴を追跡できる機能を持つトークンのこと。
(ウ)情報通信技術等を活用し,人と道路と車両を一体のシステムとして構築することで,渋滞,交通事故,環境悪化等の道路交通問題の解決を図るもの。
(エ)人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットが代替して自動化するもの。
(オ) インターネットなどのネットワークにコンピュータやセンサー,カメラ,工作機械,家電などさまざまな「モノ」が接続され,データを収集したり相互に情報をやりとりしたりする概念のこと。

ABCDE
解答と解説

【正解⑤】

IoTインターネットなどのネットワークにコンピュータやセンサー,カメラ,工作機械,家電などさまざまな「モノ」が接続され,データを収集したり相互に情報をやりとりしたりする概念のこと。
RPA人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットが代替して自動化するもの。
NFTブロックチェーン上で,デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や,取引履歴を追跡できる機能を持つトークンのこと。
ITS情報通信技術等を活用し,人と道路と車両を一体のシステムとして構築することで,渋滞,交通事故,環境悪化等の道路交通問題の解決を図るもの。
DXデジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供や新たなビジネスモデルの開発を通して,社会制度や組織文化などの変革を目指す取組のこと。

I-1-24 情報通信技術 情報通信システム

情報通信技術や情報通信システムに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① IPv6は,IPv4の後継として設計されたインターネットプロトコルであり,IPv6の付与可能なIPアドレスの数は約43億個である。
② エッジコンピューティングは,エンドユーザ付近にデータ処理や保管の機能を分散配置することで,通信量や遅延,より上位ノードの演算負荷などを抑える手法である。
③ 第5世代移動通信システムの利用シナリオの1つである「多数同時接続」は,極めて多数の利用者が同時に携帯電話で音声通話を行うためのシナリオであり,そのような場合でも通話に支障が生じないことが期待されている。
④ スマートグリッドは,インターネット上の仮想空間であり,利用者はアバターを操作して他者と交流するほか,仮想空間上での商品購入などのサービスを享受することもできる。
⑤  ネットワーク仮想化は,汎用サーバ上に実装することが一般的であったネットワーク機能を専用のハードウェアに実装する概念である。

解答と解説

【正解②】

①IPv4が232で約43億個、IPv6は2128で約340澗個

③「多数同時接続」は音声通話に限ったシナリオではないため誤りです。

④メタバースの説明のため、「スマートグリッド」は誤りです。スマートグリッド とは「次世代電力網」と呼ばれる新たな電力供給システムのことです。

⑤「専用のハードウェアに実装する」は誤りです。
ネットワーク仮想化は、共有された物理ネットワーク上に論理的に分離された仮想ネットワークを構築し、複数の仮想ネットワークの異種混在した集合体を、共有された物理ネットワーク上に同時に共存させる概念です。

I-1-25 リスクマネジメント指針

「JIS Q 31000:2019 リスクマネジメント一指針」において,リスクマネジメントのプロセスとして下図が示されている。このうちリスクアセスメントの手順は,(ア) →リスク分析→(イ)の順序で進むものとする。図中の(ア)~(エ)に当てはまる用語等の組合せとして,最も適切なものはどれか。

JIS Q31000:2019 リスクマネジメント一指針 より
図 リスクマネジメントのプロセス

リスク特定リスク対応リスク評価権限,責任及びアカウンタビリティの割り付け
リスク対応リスク評価リスク特定モニタリング及びレビュー
リスク特定リスク評価リスク対応権限,責任及びアカウンタビリティの割り付け
リスク対応リスク特定リスク評価権限,責任及びアカウンタビリティの割り付け
リスク特定リスク評価リスク対応モニタリング及びレビュー
解答と解説

【正解⑤】

「JIS Q 31000:2019 リスクマネジメント一指針」のClause 6.1 に記載されているプロセス図からの出題です。

JIS Q 31000:2019のリスクマネジメントプロセスにおいて、リスクアセスメントの手順は以下の順序で進みます:

  1. リスク特定
  2. リスク分析
  3. リスク評価

したがって、(ア)はリスク特定、(イ)はリスク評価となります。
図の構造を考慮すると:(ウ)はリスク対応になります。これはリスクアセスメントの後に行われる段階です

(エ)はプロセス全体を通じて行われる活動を示しています。選択肢の中では「モニタリング及びレビュー」がこれに該当します。

これらの条件を満たす選択肢を探すと:
⑤ リスク特定、リスク評価、リスク対応、モニタリング及びレビューが最も適切な組み合わせとなります。したがって、正解は ⑤ です。

I-1-26 消費生活用製品安全法

消費生活用製品安全法及び「長期使用製品安全点検制度及び長期使用製品安全表示制度の解説~ガイドライン~」に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 消費生活用製品のうち,経年劣化により安全上支障が生じ,特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められ,使用状況等からみてその適切な保守を促進することが適当なものは,特定保守製品として政令で定められている。
② 輸出用のものを除く特定保守製品の製造又は輸入を行う事業者は,設計標準使用期間及び点検期間を設定するとともに,販売時には設計標準使用期間の算定の根拠等の書面を添付する義務がある。
③ 特定保守製品取引事業者に該当しない個人売主が,不動産の個人間売買に伴い特定保守製品を引き渡す際,個人売主には,取得者に対し特定保守製品に関する説明義務がある。
④ 特定保守製品の製造又は輸入を行う事業者は,設計,部材の工夫,表示の改善等を行うことにより,経年劣化による危害の発生を防止するよう努めなければならない。
⑤ 特定保守製品として指定されていた製品のうち,製品設計上の様々な経年劣化対策が措置され事故率が1PPMを大きく下回った製品は,特定保守製品から削除された。

解答と解説

【正解③】

消費生活用製品安全法と長期使用製品安全点検制度及び長期使用製品安全表示制度に関する各記述を個別に評価します。

① 適切です。これは特定保守製品の定義を正確に述べています。

② 適切です。特定保守製品の製造者・輸入事業者の義務を正確に述べています。

③ 不適切です。個人売主には特定保守製品に関する説明義務はありません。説明義務は特定保守製品取引事業者にのみ適用されます。

④ 適切です。これは製造者・輸入事業者の努力義務を正確に述べています。

⑤ 適切です。事故率が大幅に低下した製品が特定保守製品から削除されたことは事実です。

したがって、最も不適切なものは ③ です。個人売主には特定保守製品に関する説明義務はなく、この記述は誤りです。

I-1-27 南海トラフ地震と応急対策活動

南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 南海トラフ地震の発生時の災害応急対策活動の具体的な内容を定める計画は,科学的に想定し得る最大規模の津波・地震を想定して策定されている。
② 被害が特に甚大と見込まれる地域に対しては,我が国が保有する人的・物的資源を重点的かつ迅速に投入することが必要である。
③ 被災地域へ全国からの人員・物資・燃料の輸送が迅速かつ円滑に行われるよう,あらかじめ,緊急輸送のために通行を確保すべき道路が定められている。
④ DMATをはじめとする医療チームを全国から迅速に参集させ,被災地内での安定化処置などの最低限の対応が可能な体制の確保を図るとともに,被災地内で対応が困難な重症患者を域外へ搬送し治療する体制を早期に構築する必要がある。
⑤ 支援する都道府県は,管内の各市区町村から提供された物資を一旦受け入れたうえで集積し,被災府県に向けて物資を送り出すための拠点として,広城物資輸送拠点を設置する。

解答と解説

【正解⑤】

「広城物資輸送拠点」は誤りです。

ラストマイルにおける資源物資運送ハンドブックでは、広域物資輸送拠点と地域内輸送拠点について、次のように定義されています。

広域物資輸送拠点 (都道府県) 都道府県が、国等から供給される物資を受け入れ、市区町村の地域 内輸送拠点等へ送り出すために設置する拠点
地域内輸送拠点 (市区町村)市区町村が、広域物資輸送拠点から供給される物資を受け入れ、避 難所へ送り出すために設置する拠点

I-1-28 危険性または有害性等の調査等に関する指針

労働安全衛生法に基づき定められた「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(以下「指針」という。)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 指針は,建設物,設備,原材料,ガス,蒸気,粉じん等による,又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性であって,労働者の就業に係る全てのものを対象とする。
② 事業者は,労働者の就業に係る危険性又は有害性による負傷又は疾病の発生が合理的に予見可能である作業等について,明らかに軽微な負傷又は疾病しかもたらさないと予想される場合を除き,調査等の対象として選定する。
③ 事業者は,危険性又は有害性の特定,危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度の見積り,リスクを低減するための優先度の設定及びリスクを低減するための措置内容の検討を行うとともに,リスク低減措置を実施する。
④ 事業者は,総括安全衛生管理者等,事業の実施を統括管理する者に調査等の実施を統括管理させるとともに,事業場の安全管理者,衛生管理者等に調査等の実施を管理させる。
⑤ 事業者は,リスク低減措置に関し,ア) 個人用保護具の使用,イ) マニュアルの整備等の管理的対策,ウ)設計や計画の段階から労働者の就業に係る危険性を除去する措置について,ア)からウ)の優先順位でリスク低減措置内容を検討のうえ,実施する。

解答と解説

【正解⑤】

リスク低減措置の順序が誤りです。正しくは、

  • 設計や計画の段階から労働者の就業に係る危険性を除去する措置
  • マニュアルの整備等の管理的対策
  • 個人用保護具の使用

の順番です。

「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」の内容を各選択肢と照らし合わせて評価します。

① 適切です。指針は労働者の就業に係る全ての危険性又は有害性を対象としています。

② 適切です。合理的に予見可能な危険性又は有害性を調査対象とすることは指針の要点です。

③ 適切です。これらの手順は指針に定められたリスクアセスメントのプロセスを正確に述べています。

④ 適切です。調査等の実施体制に関する記述は指針の内容と一致しています。

⑤ 不適切です。リスク低減措置の優先順位が逆になっています。正しい優先順位は:

  1. 設計や計画の段階からの危険性除去(本質的対策)
  2. マニュアルの整備等の管理的対策
  3. 個人用保護具の使用

となります。したがって、最も不適切なものは ⑤ です。

リスク低減措置の優先順位が誤って記述されています。正しくは、本質的対策を最優先とし、次に管理的対策、最後に個人用保護具の使用という順序になります。

I-1-29 リスクコミュニケーション

平成26年,文部科学省に設置された「安全・安心科学技術及び社会連携委員会」は,平常時におけるリスクコミュニケーションの在り方に焦点を当てた「リスクコミュニケーションの推進方策」を取りまとめた。その内容に照らし,リスクコミュニケーションに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,以下でステークホルダーとは,行政,市民,メディア,事業者,専門家を指すものとする。

① 個人はリスクを危険・危害をもたらす因子と怒りや不安等の感情的反応をもたらす因子との和として捉えるという考え方があり,専門家は専ら前者に係る知識や情報の提供に特化して説明を行う必要がある。
② ステークホルダーには,それぞれがリスクのより適切なマネジメントのために果たしうる役割があり,ステークホルダー間で対話・共考・協働が積極的になされることが望ましい。
③ 各ステークホルダーが多様な情報や見方を共有しようとする活動全体を通じて,ステークホルダー間の権限と責任の分配が定まっていくことが重要である。
④ 非常時の後に被害者や被災者の回復に寄り添うことは,リスクコミュニケーションの目的の1つと考えられる。
⑤ 平常時に専門家が一般市民と行う,自然災害のリスクに係る行動変容の喫起を目的としたリスクコミュニケーションでは,専門家は,適切な説明を施したうえで,受け手側がその情報をどう認識しているかを理解しようとする姿勢も持ち合わせることが望ましい。

解答と解説

【正解①】

リスク認知モデルに関する出題です。
個人はリスクを、

  • ハザード:危険・危害をもたらす因子
  • アウトレージ:怒りや不安、不満、不信など感情的反応をもたらす因子

の和として捉えます。ハザードが十分小さくてもアウトレージが大きければリスクとして無視はできません。「専ら前者に係る知識や情報の提供に特化して説明」は誤りで、ハザードとアウトレージ両方に対して説明を行う必要があります。

平成27年度(2015年度)の技術士1次試験 適正科目でも、同様の問題が出題されています。

文部科学省は、2013年に科学技術・学術審議会から「東日本大震災では、科学技術コミュニティから行政や社会に対し、その専門知を結集した科学的知見が適切に提供されなかったことや、行政や専門家が、社会に対して、これまで科学技術の限界や不確実性を踏まえた適時的確な情報を発信できず、リスクに関する社会との対話を進めてこなかったことなどの課題がある。」との指摘を受け、2014年に「リスクコミュニケーションの推進方策」を取りまとめた。この中で、リスクコミュニケーションを推進するに当たっての重要事項( 基本的な視座 )を、いくつか挙げている。
次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

   1 .リスクの概念は多様であるが、忘れてはならないリスク認知のモデルとして、個人はリスクを「ハザード」と「アウトレージ( 怒りや不安、不満、不信など感情的反応をもたらす因子 )」の和として捉えるという考え方がある。ハザードが十分小さくてもアウトレージが大きければリスクとして無視できない、というリスク認知を踏まえるならば、一方向の説得ではなく「対話・共考・協働」が重要となる。

   2 .リスクコミュニケーションを実施する際、多くの場合に、発信側( 専門家や行政等 )と受け手側( 一般市民等 )との間の情報の非対称性、リスクに係る権限と責任の非対称性、そしてリスクそのものを引き受ける度合いの非対称性の課題が伴う。発信側は多くの情報を持ち、リスク対処の権限・責任を持つ一方で、リスクを引き受けるのは受け手側ということが多い。これらの特性を踏まえ、いかに非対称性に配慮し、双方向性を担保したコミュニケーションの場に近づけていくのかが重要なポイントとなる。

   3 .一般に、社会全体のリスクを俯轍( ふかん )的に把握しようとする行政や専門家の「統治者視点」では統計的・確率論的な見方をするのに対して、リスクに直面する一人一人の「当事者視点」では、危害の確率がいくらであれ個人がその危害を受けるか受けないかの二者択ーとしてリスクを捉えたり、アウトレージの要素による価値判断に基づいた個別的な見方をしたりする。これらはどちらかが正しいというわけではなく、対等に比較できるものでもない。リスクコミュニケーションは、この2つの視点が存在することを前提に取り組まねばならない。

   4 .ステークホルダー( 利害関係者 )間での信頼関係の確保はリスクコミュニケーションを成立させる上での前提である。この信頼関係は、対話・共考・協働を互いに積み重ねることによって初めて次第に構築されていくものであるが、その際、リスクコミュニケーションの実践を企画・運営する、又は場の進行やまとめを行う機能を担う人材( 媒介機能を担う人材 )の中立性がとりわけ重要となる。一般に、専門家が媒介機能を担う人材となる場合、専門家には特定のステークホルダーの利害によらない、科学的な根拠に基づいた独立性のある発信をすることが求められている。

   5 .リスク情報の効果的な発信をするには、科学的な正確性を重視して細部の精緻な情報発信を心がけるよりも、伝えるべきメッセージを整理して明確にし、端的でわかりやすい情報発信を実践することが重要である。この際に、発信側( 専門家や行政等 )で責任を持って十分に検証したリスク情報であれば、受け手側( 一般市民等 )の検証可能性を確保するために必要な情報公開を行わなくても信頼を得ることができる。

【正解⑤】

I-1-30 高年齢労働者の安全と健康

高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害防止のための健康づくりに向けた取組に関して,「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」が策定されている。その内容に照らして,事業者の取組の事例に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害の発生リスクについて,災害事例やヒヤリハット事例から危険源の洗い出しを行い,当該リスクの高さを考慮して高齢者労働災害防止対策の優先順位を検討した。
② 身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるよう,事業場の階段には手すりを設け,可能な限り通路の段差を解消した。
③ 敏捷性や持久性,筋力といった体力の低下等の高年齢労働者の特性を踏まえ,ゆとりある作業スピード,無理のない作業姿勢等に配慮した作業マニュアルを策定した。
④ 高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう,加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック等の健康測定を実施した。
⑤ 法令に基づき実施した健康診断の結果,異常の所見があると診断された高年齢労働者の健康や体力の状況に関して医師から聴取した意見を,その重要性に鑑み,本人の意思によらず,集約や加工をすることなく労働者の氏名とともに安全衛生委員会に報告した。

解答と解説

【正解⑤】

厚生労働省『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)』に、「健康や体力の状況に関する医師などの意見を安全衛生委員会に報告する場合、労働者個人が特定されないよう医師等の意見を集約又は加工する必要があること。」と規定されています。

「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の内容に基づいて各選択肢を評価します。

① 適切です。リスクアセスメントと対策の優先順位付けは推奨される取り組みです。

② 適切です。職場環境の改善(バリアフリー化等)はガイドラインで推奨されています。

③ 適切です。高年齢労働者の特性を考慮した作業方法の見直しは重要な取り組みです。

④ 適切です。健康測定の実施は高年齢労働者の健康管理に有効な手段です。

⑤ 不適切です。健康診断の結果や医師の意見は個人情報であり、プライバシーに配慮する必要があります。また、労働者の同意なしに個人を特定できる形で安全衛生委員会に報告することは適切ではありません。

したがって、最も不適切なものは ⑤ です。
健康診断の結果や医師の意見を扱う際には、個人情報保護とプライバシーへの配慮が必要であり、本人の同意なしに個人を特定できる形で報告することは適切ではありません。

I-1-31 事業継続の取組

民間企業の事業継続の取組に関する次の記述のうち,最も不適切なものどれか。

① 事業継続マネジメントは,事業継続計画策定や維持・更新,事業継続を実現するための予算・資源の確保,その他平常時からのマネジメント活動であり,経営レベルの戦略的活動として位置付けられる。
② 緊急時の対応手順の想定に当たっては,時間の経過とともに必要とされる内容が変化していくため,それぞれの局面において,実施する業務の優先順位を見定めることが重要である。
③ 事業継続マネジメントは,初めから完璧なものを目指して着手に躊躇するのではなく,できることから取組を開始し,その後の継続的改善により徐々に事業継続能力を向上させていくことが望ましい。
④ 事業継続マネジメントでは,自社に生じた事態を,「ある拠点が使用不能」などの結果事象により考えるのではなく,「直下型地震」などの原因事象により考え,対応策を検討することが望ましい。
⑤ 事業継続に関する分析・検討に当たってきた組織・体制は,事業継続計画等の策定が終了した後も維持し,事前対策及び教育・訓練の実施を担うことが望ましい。

解答と解説

【正解④】

「「直下型地震」などの原因事象により考え,対応策を検討することが望ましい。」といった、インシデントベースの対策は誤りです。正しくは前半と後半が逆で、「「ある拠点が使用不能」などの結果事象により考える」というリソースベースBCP策定によって、あらゆるインシデントに対応することが望ましい。

事業継続マネジメント(BCM)と事業継続計画(BCP)に関する一般的な知識を用いて各選択肢を評価します。

① 適切です。BCMは経営レベルの戦略的活動として位置付けられます。

② 適切です。緊急時の対応は時間経過とともに変化するため、各局面での優先順位付けは重要です。

③ 適切です。BCMは継続的改善プロセスであり、完璧を目指すよりも段階的な改善が推奨されます。

④ 不適切です。BCMでは、原因事象ではなく結果事象に基づいて対応策を検討することが望ましいとされています。これは、様々な原因が同様の結果をもたらす可能性があるためです。

⑤ 適切です。BCPの策定後も、その組織・体制を維持して事前対策や訓練を継続することは重要です。

したがって、最も不適切なものは ④ です。BCMでは、原因事象ではなく結果事象に基づいて対応策を検討することが一般的に推奨されています。これにより、様々な原因によって引き起こされる可能性のある同様の結果に対して、より効果的かつ効率的な対応が可能となります。

I-1-32 FTAに関する計算問題

以下に記述する電源システムが1年の間に停電する確率をフォールトツリー分析により計算するとき,この確率に最も近い値はどれか。
この電源システムには,交流1系統が接続されており,1年の間にこの系統電源を喪失する確率は0.05であると電力会社からは説明されている。また,自社内での事故によりこの系統を遮断してしまう可能性が指摘されており,1年の間にこの系統を遮断してしまう確率は0.10と見積もられている。ただし,この電源システムには,予備の自家用発電機が2台接続されており,そのうち1台でも稼動できれば停電を免れることができる。これら自家用発電機の起動要求時の故障確率(デマンド故障確率)は,どちらも0.05であるとする。
なお,この計算では,事故や故障等のそれぞれの事象発生は互いに独立であるものとする。

① 3.6×10-2
② 3.6×10-3
③ 3.6×10-4
④ 3.6×10-5
⑤ 3.6×10-6

解答と解説

【正解③】

この問題を解くために、フォールトツリー分析を用いて電源システムの停電確率を計算します。

  1. まず、システムが停電する条件を考えます:
    • 系統電源が喪失 AND 自家用発電機が両方とも起動失敗
  2. 系統電源が喪失する確率:
    • 電力会社の系統喪失確率 = 0.05
    • 自社内での遮断確率 = 0.10
    • 系統電源喪失の総確率 = 0.05 + 0.10 – (0.05 × 0.10) = 0.145
      (ORゲートなので、重複を除く)
  3. 自家用発電機が両方とも起動失敗する確率:
    • 各発電機の起動失敗確率 = 0.05
    • 両方とも失敗する確率 = 0.05 × 0.05 = 0.0025
  4. システム全体が停電する確率:
    • 系統電源喪失 AND 両発電機起動失敗
    • 0.145 × 0.0025 = 0.0003625
  5. 上記より、
    $$3.625 × 10^{-4} ≈ 3.6 × 10^{-4}$$

したがって、最も近い値は ③ $$3.6×10^{-4}$$です。

I-1-33 温室効果ガス

温室効果ガスに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,温室効果ガスにはCO2のほか,メタン,一酸化二窒素,ハイドロフルオロカーボン類等があり,以下において,温室効果ガスの排出量はCO2換算値によるものとする。

① 我が国が排出する温室効果ガスの内訳を2020年度で見ると,CO2が全体の排出量の約5割となっている。
② 我が国の温室効果ガス総排出量は,2013年度以降増加傾向にある。
③ 我が国においては,発電及び熱発生に伴うエネルギー起源CO2排出量を,その消費量に応じて各部門に配分した値を見ると,2020年度では家庭部門からの排出量が産業部門からの排出量を上回っている。
④ 我が国においては,ハイドロフルオロカーボン類の排出量は,ここ十数年,増加傾向にある。
⑤ 2019年における世界のエネルギー起源CO2の国別排出量において,米国は第1位となっている。

解答と解説

【正解④】

①CO2が全体の排出量の約割を占めています。

②「増加傾向にある」は誤りです。正しくは「減少傾向にある」です。

③産業部門からの排出量が家庭部門のからの排出量を上回っています。

⑤米国は第2位で、14.1%を占めています。第1位は29.4%を占めている中国です。

I-1-34 第6次エネルギー基本計画

令和3年10月に開議決定された第6次エネルギー基本計画に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 第6次エネルギー基本計画は,2050年カーボンニュートラルに向けた長期展望と,それを踏まえた2030年に向けた政策対応により構成され,今後のエネルギー政策の進むべき道筋を示すものである。
② エネルギー政策を進めるうえの大原則としてのS+3Eの視点の重要性は従来と変わりはないが,サプライチェーン全体を俯瞰した安定供給の確保の重要性という新たな視点も必要であるとされている。
③ 再生可能エネルギーは,S+3Eを大前提に,その主力電源化を徹底し,再生可能エネルギーに最優先の原則で取組み,国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促すとされている。
④ 化石エネルギーについては,合成燃料・合成メタンなどの脱炭素化の鍵を握る技術を確立し,コストを低減することを目指しながら活用していくとされている。
⑤ 原子力発電は,長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けるが,2030年度における電源構成では,安全性をすべてに優先させることから,6%程度を見込むとされている。

解答と解説

【正解⑤】

第6次エネルギー基本計画の内容に関する知識を用いて各選択肢を評価します。

① 適切です。第6次エネルギー基本計画は2050年カーボンニュートラルと2030年に向けた政策対応を含んでいます。

② 適切です。S+3E(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)の視点に加え、サプライチェーン全体の安定供給の重要性が新たに強調されています。

③ 適切です。再生可能エネルギーの主力電源化と最大限の導入が計画の重要な部分です。

④ 適切です。化石エネルギーの脱炭素化技術の確立とコスト低減を目指しながら活用することが計画に含まれています。

⑤ 不適切です。原子力発電の2030年度における電源構成の目標は6%ではなく、20-22%程度とされています。

したがって、最も不適切なものは ⑤ です。原子力発電の2030年度における電源構成の目標が誤って記述されています。実際の計画では、原子力発電は20-22%程度を目標としており、これは安全性を前提としつつも、エネルギー安全保障や脱炭素化の観点から重要な役割を果たすと位置付けられています。

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I-1-35 ラムサール条約

いわゆるラムサール条約に関する次の記述のち,最も不適切なものはどれか。なお,以下において,条約湿地はラムサール条約の登録後に掲げられている湿地を指す。

① ラムサール条約では,国際的に重要な湿地を保全することを目的としており,条約湿地については,その利用を抑制することが求められている。
② ラムサール条約では,生態学,植物学,動物学,湖沼学などの面で国際的に重要な湿地を登録の対象としており,天然の湖沼のほか,人工のものや一時的なものも対象となる。
③ ラムサール条約では,いずれの締約国も,既に登録されている湿地の区域を緊急な国家的利益のために廃止し若しくは縮小する権利を有している。
④ 我が国では,湿地を条約湿地として登録するに当たり,自然公園法,鳥保保護管理法などの法律によって,将来にわたり自然環境の保全が図られることを条件の1つとしている。
⑤ ラムサール条約では,各締約国には,条約湿地であるか否かを問わず,領域内の湿地に自然保護区を設けることにより湿地及び水鳥の保全を促進し,自然保護区の監視を行うことが求められている。

解答と解説

【正解①】

「利用を抑制することが求められている。」は誤りです。正しくは、「賢明な利用が求められている。」です。

ラムサール条約では、地域の人々の生業や生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(Wise Use:ワイズユース)」を提唱しています。「賢明な利用」とは、湿地の生態系を維持しつつそこから得られる恵みを持続的に活用することです。

① 不適切です。ラムサール条約は湿地の保全を目的としていますが、利用の抑制ではなく、賢明な利用(wise use)を推進しています。条約は保全と持続可能な利用のバランスを重視しています。

② 適切です。ラムサール条約は様々な種類の湿地を対象としており、自然のものだけでなく人工的なものも含まれます。

③ 適切です。条約は締約国に対し、緊急な国家的利益のために登録湿地の区域を変更する権利を認めています。

④ 適切です。日本では、条約湿地の登録に際し、国内法による保全の担保を条件としています。

⑤ 適切です。条約は締約国に対し、登録湿地に限らず、すべての湿地の保全と賢明な利用を促進することを求めています。

I-1-36 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① この法律が制定された背景として,海洋プラスチックごみ問題や諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として,国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっていることが挙げられる。
② 事業者の責務として,プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物を分別して排出するとともに,その再資源化等を行うよう努めなければならないことが,規定されている。
③ 国の責務として,プラスチックに係る資源循環の促進等に必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならないことが,規定されている。
④ 都道府県の責務として,その区域内におけるプラスチック使用製品廃棄物を排出する者が遵守すべき分別の基準を策定するよう努めなければならないことが,規定されている。
⑤ 市町村の責務として,その区域内におけるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び分別収集物の再商品化に必要な措置を講ずるよう努めなければならないことが,規定されている。

解答と解説

【正解④】

「都道府県の責務」は誤りです。正しくは「市町村の責務」です。都道府県の責務は次の2点です。

  • 都道府県は、市町村に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えるよう努めなければならない。
  • 都道府県及び市町村は、国の施策に準じて、プラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

① 適切です。この法律の背景として海洋プラスチックごみ問題や諸外国の廃棄物輸入規制強化への対応が挙げられています。

② 適切です。事業者の責務としてプラスチック使用製品廃棄物等の分別排出と再資源化等の努力義務が規定されています。

③ 適切です。国の責務として、必要な資金の確保その他の措置を講ずる努力義務が規定されています。

④ 不適切です。プラスチック使用製品廃棄物の分別基準の策定は都道府県ではなく、市町村の責務とされています。

⑤ 適切です。市町村の責務として、プラスチック使用製品廃棄物の分別収集と再商品化に必要な措置を講ずる努力義務が規定されています。

したがって、最も不適切なものは ④ です。
プラスチック使用製品廃棄物の分別基準の策定は都道府県ではなく、市町村の責務です。この法律では、地域の実情に応じた効果的な分別収集を行うため、市町村がその区域内の分別基準を策定することが想定されています。

I-1-37 環境施策手段

環境政策手段に関する次の記述の,[  ]に入る用語の組合せとして,最も適切なものはどれか。

規制的手法のうち,[ ア ]は,定められた環境影響のレベルを確保することを求める方法であり,規制をどのような方法で達成するかは規制対象者に委ねられる。
経済的手法には,負担を求めることによって誘導する[ イ ]などと,助成を行うことで誘導する[ ウ ]などがある。
情報的手法は,環境保全活動に積極的な事業者や環境負荷の少ない製品などを選択できるように,環境情報の開示と提供を進める手法で,[ エ ]などがある。
手続き的手法は,各主体の意思決定過程に,環境配慮のための判断を行う手続きと環境配慮に際しての判断基準を組み込んでいく手法で,[ オ ]などがある。

パフォーマンス規制環境税税制優遇SDSPRTR制度
行為規制環境税補助金環境ラベルPRTR制度
パフォーマンス規制課徴金水源税PRTR制度環境影響評価制度
行為規制課徴金税制優遇デポジット制度環境影響評価制度
パフォーマンス規制低利融資補助金環境報告書再生可能エネルギーの固定価格買取制度
解答と解説

【正解①】
行為規制とは、施設の立地や土地利用の規制のことを指します。
環境ラベルは、製品やサービスの環境情報を製品や包装ラベル、製品説明書、広告、広報等を通じて購入者に伝えるものです。

I-1-38 環境施策手法

環境政策で使われる用語と,その説明の組合せとして,次のうち最も不適切かものはどれか。

① カーボンプライシング:排出される炭素に価格を付け,炭素税や排出量取引制度等によって,排出削減に対する経済的インセンティブを創り出すこと
② クリーナープロダクション:材料・製品等を生産する過程において,従来の生産方法と比べ廃棄物等の不用物の発生をより少なくし,環境への負荷を低減させる生産方法
③ バックキャスティング:現状の社会構造や外部環境要因を前提として,将来の環境目標は明示せずに,環境対策をできるところから行う手法
④ エコブランディング:環境問題の解決を基本とした企業戦略で,プランドカを築くこと
⑤ エシカル消費:人・社会・地域・環境に配慮し,消費者各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり,課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと

解答と解説

【正解③】

この問題を解くために、各選択肢の用語とその説明を個別に評価し、最も不適切なものを特定します。

① カーボンプライシング:適切な説明です。

② クリーナープロダクション:適切な説明です。

③ バックキャスティング:不適切な説明です。
バックキャスティングは、将来のあるべき姿や目標を設定し、そこから逆算して現在すべきことを考える手法です。この説明は、フォアキャスティングに近い内容になっています。

④ エコブランディング:適切な説明です。
ただし、「プランドカ」は「ブランド力」の誤字だと思われます。

⑤ エシカル消費:適切な説明です。

したがって、最も不適切なものは ③ です。
バックキャスティングの説明が誤っており、この手法の本質的な特徴を正確に表現していません。

I-1-39 環境アセスメント

環境影響評価法に基づく環境アセスメントに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,以下では,環境影響評価方法書を「方法書」,環境影響評価準備書を「準備書」,環境影響評価書を「評価書」とそれぞれ略記している。

① 風力発電所の設置の工事の事業は,出力の規模により,第一種事業の場合と第二種事業の場合がある。
② 環境影響評価法においては,第一種事業及び第二種事業のうち,第二種事業に対してスクリーニングの手続きが定められている。
③ 事業者は,方法書を作成したときは,対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し,方法書及びこれを要約した書類を送付しなければならない。
④ 対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する都道府県知事は,必要に応じ,事業者に対し,準備書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べることができる。
⑤ 事業者は,評価書を作成した旨を公告し,縦覧に供するとともに,記載事項を周知させるための説明会を開催しなければならない。

解答と解説

【正解⑤】

この問題を解くために、環境影響評価法(環境アセスメント法)の主要な規定と手続きを考慮しながら、各選択肢を評価します。

① 適切です。風力発電所の設置事業は、出力規模によって第一種事業または第二種事業に分類されます。

② 適切です。環境影響評価法では、第二種事業に対してスクリーニングの手続きが定められています。

③ 適切です。事業者は方法書を作成した際、関係する都道府県知事および市町村長に送付する義務があります。

④ 適切です。関係する都道府県知事は、準備書について環境保全の観点から意見を述べることができます。

⑤ 不適切です。評価書に関する説明会の開催は法律で義務付けられていません。事業者は評価書を作成した旨を公告し、縦覧に供する必要がありますが、説明会の開催は必須ではありません。

したがって、最も不適切なものは ⑤ です。評価書段階での説明会開催は法律上の義務ではなく、この記述は誤りです。

I-1-40 TCFDを活用した経営戦略立案のススメ

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえて,環境省がその概要等をまとめた「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」(2022年3月)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,ここでTCFD提言とは,TCFDが2017年6月に公表した最終報告の提言をいう。

① TCFD提言の要求項目は,「ガバナンス」,「戦略」,「リスク管理」,「指標と目標」の4つである。
② TCFD提言の「戦略」項目において,産業連関法によるインベントリ分析の実施が推奨されている。
③ TCFD提言では気候関連リスクを,低炭素経済への「移行」に関するリスクと,気候変動による「物理的」変化に関するリスクに大別している。
④ 気候関連リスクと機会を経営戦に反映するためには,経営陣を巻き込んだ体制が必要であり,TCFD提言では監督体制や経営者の役割の開示を求めている。
⑤ TCFDが公表している,TCFDへの賛同を表明している企業や機関等の数は,2022年2月時点において,日本はアメリカやイギリスよりも多い。

解答と解説

【正解②】

この問題を解くために、TCFD提言の主要な要素と「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」の内容を考慮しながら、各選択肢を評価します。

① 適切です。TCFD提言の4つの中核的要素は「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」です
② 不適切です。TCFD提言の「戦略」項目では、産業連関法によるインベントリ分析の実施は特に推奨されていません。これは別の分析手法や環境影響評価に関連する可能性がありますが、TCFD提言の直接的な要求事項ではありません。
③ 適切です。TCFD提言では、気候関連リスクを「移行リスク」と「物理的リスク」に大別しています。
④ 適切です。TCFD提言では、気候関連リスクと機会に対する取締役会の監督および経営者の役割の開示を求めています。
⑤ 適切です。2022年時点で、日本はTCFD賛同企業・機関数が世界最多となっています。

したがって、最も不適切なものは ② です。
産業連関法によるインベントリ分析の実施は、TCFD提言の「戦略」項目において特に推奨されているわけではありません。

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