I-1-1 キャッシュ・フロー会計
財務諸表等規則におけるキャッシュ・フロー会計では,営業活動,投資活動,財務活動の3区分から生じるキャッシュ・フローについて計算書を作成する。営業活動,投資活動,財務活動と,次の(A)~(F) の支出項目の組合せとして,最も適切なものはどれか。
(A) 株式や出資者に対する配当又は分配のための支出
(B) 税金,関税,罰科金の支払いに対する政府への支出
(C) 設備,建物,備品,その他の生産用資産の取得のための支出
(D) 社債,抵当証券又は短期証券の償還のための支出
(E) 財貨又は用役の購入に伴う支出
(F) 他の会社の株式を,将来の利益獲得及び資金運用のために取得する支出
選択肢 | 営業活動 | 投資活動 | 財務活動 |
---|---|---|---|
① | A, B | E, F | C, D |
② | A, E | B, C | D, F |
③ | B, E | C,F | A, D |
④ | D, E | C,F | A, B |
⑤ | D, E | B, C | A, F |
解答と解説
【正解③】
キャッシュ・フロー計算書における営業活動、投資活動、財務活動と、支出項目の組み合わせとして最も適切なものは次の通りです。
- 営業活動: 企業の主たる営業活動に関連するキャッシュ・フロー
- (B) 税金,関税,罰科金の支払いに対する政府への支出
- (E) 財貨又は用役の購入に伴う支出
- 投資活動: 資産の取得や売却に関連するキャッシュ・フロー
- (C) 設備,建物,備品,その他の生産用資産の取得のための支出
- (F) 他の会社の株式を,将来の利益獲得及び資金運用のために取得する支出
- 財務活動: 資金の調達や返済に関連するキャッシュ・フロー
- (A) 株式や出資者に対する配当又は分配のための支出
- (D) 社債,抵当証券又は短期証券の償還のための支出
まとめ:
- 営業活動: (B), (E)
- 投資活動: (C), (F)
- 財務活動: (A), (D)
I-1-2 正味現在価値 NPV
初期投資費用2,000万円,計画期間5年で,計画期間の間,毎年末に500万円の収益が得られるプロジェクトがある。このプロジェクトにおいて追加投資を3年目の年初に行うかどうかを検討している。追加投資費用が400万円で,追加投資によって3年目以降の毎年末に得られる収益は(500+X) 万円に増加するものとする。このとき,追加投資を行う場合と追加投資を行わない場合とで,プロジェクトの開始時点でのプロジェクトの正味現在価値が等しくなるようなxの値に最も近いものはどれか。ただし,割引率(年利率)は5%で,上で述べたもの以外の費用や収益は考えず,追加投資を行ってもそれ以前の収益には影響を及ぼさないものとする。
① 133 ② 140 ③ 147 ④ 154 ⑤ 161
解答と解説
【正解③】
この問題は、プロジェクトの正味現在価値 (NPV: Net Present Value) を用いて解くことができます。追加投資を行う場合と行わない場合で、NPVが等しくなるようなXの値を求めます。
まず、NPVの基本式は次の通りです。
NPVの計算式
$$NPV = \sum_{t=1}^{n} \frac{C_t}{(1+r)^t} – 初期投資$$
ここで、
- \(C_t\)は t 年目に得られるキャッシュフロー(収益)
- \(r\)は割引率(5% = 0.05)
- \(t\) は年次
- \(n\) は計画期間(5年)
追加投資を行わない場合
毎年末に500万円の収益が得られる場合のNPVは、次のように計算できます。
$$NPV_{\text{無追加}} = \sum_{t=1}^{5} \frac{500}{(1+0.05)^t} – 2000$$
これを計算すると、
$$NPV_{\text{無追加}} = \frac{500}{1.05} + \frac{500}{(1.05)^2} + \frac{500}{(1.05)^3} + \frac{500}{(1.05)^4} + \frac{500}{(1.05)^5} – 2000$$
これを数値で計算します。
追加投資を行う場合
3年目の年初に400万円の追加投資を行い、その後の収益が (500 + X) 万円に増加する場合のNPVは、次のように計算します。
$$NPV_{\text{追加}} = \sum_{t=1}^{2} \frac{500}{(1+0.05)^t} + \sum_{t=3}^{5} \frac{500+X}{(1+0.05)^t} – 2000 – \frac{400}{(1.05)^2}$$
これも数値で計算し、両者のNPVが等しくなるようなXの値を求めます。
最も適切なXの値は147です。
追加投資を行う場合と行わない場合で、プロジェクトの正味現在価値が等しくなるXは147万円に最も近い値となります。
したがって、正解は ③ 147 です。
I-1-3 原価計算
ある事業所において下表に示す3つのプロジェクトX,y及びZが期末に完了した。この期の製造間接費900万円をこれら3つのプロジェクトに配賦するとき,個別原価計算方法の違いにより,各プロジェクトの原価がどのようになるかを検討することとする。プロジェクトXの個別原価に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。ただし,各プロジェクトには他の費用はかからず,直接労務費は各プロジェクトの総作業時間に比例するものとする。
項目 | プロジェクトX | プロジェクトY | プロジェクトZ |
---|---|---|---|
請負高 | 2,200 | 1,100 | 700 |
直接材料費 | 500 | 250 | 150 |
直接材料費 | 600 | 200 | 200 |
直接経費 | 200 | 150 | 150 |
① 製造間接費を各プロジェクトに300万円ずつ配賦するとき,プロジェクトXの個別原価は1,660万円である。
② 製造間接費を各プロジェクトの請負高に応じて配賦するとき,プロジェクトXの個別原価は1,600万円である。
③ 製造間接費を各プロジェクトの直接材料費に応じて配賦するとき,プロジェクトXの個別原価は1,795万円である。
④ 製造間接費を各プロジェクトの直接経費に応じて配賦するとき,プロジェクトXの個別原価は1,800万円である。
⑤ 製造間接費を各プロジェクトの総作業時間に応じて配賦するとき,プロジェクトXの個別原価は1,840万円である。
解答と解説
【正解⑤】
問題を解くために、各配賦方法でプロジェクトXの個別原価を計算し、正しい答えを見つけましょう。
プロジェクトXの直接費合計:
直接材料費 + 直接労務費 + 直接経費 = 500 + 600 + 200 = 1,300万円
- 均等配賦:
製造間接費 = 900 ÷ 3 = 300万円
個別原価 = 1,300 + 300 = 1,600万円
①は不正解 - 請負高による配賦:
総請負高 = 2,200 + 1,100 + 700 = 4,000万円
Xの配賦率 = 2,200 ÷ 4,000 = 0.55
Xの製造間接費 = 900 × 0.55 = 495万円
個別原価 = 1,300 + 495 = 1,795万円
②は不正解 - 直接材料費による配賦:
総直接材料費 = 500 + 250 + 150 = 900万円
Xの配賦率 = 500 ÷ 900 ≈ 0.5556
Xの製造間接費 = 900 × 0.5556 = 500万円
個別原価 = 1,300 + 500 = 1,800万円
③は不正解 - 直接経費による配賦:
総直接経費 = 200 + 150 + 150 = 500万円
Xの配賦率 = 200 ÷ 500 = 0.4
Xの製造間接費 = 900 × 0.4 = 360万円
個別原価 = 1,300 + 360 = 1,660万円
④は不正解 - 直接労務費(総作業時間)による配賦:
総直接労務費 = 600 + 200 + 200 = 1,000万円
Xの配賦率 = 600 ÷ 1,000 = 0.6
Xの製造間接費 = 900 × 0.6 = 540万円
個別原価 = 1,300 + 540 = 1,840万円
⑤は正解
したがって、最も適切な答えは⑤です。
製造間接費を各プロジェクトの総作業時間に応じて配賦するとき、プロジェクトXの個別原価は1,840万円となります。
I-1-4 抜取検査
抜取検査は,対象とするグループからアイテムを抜き取って行う検査であり,抜取検査によって合否を判定する判定検査を,合否判定抜取検査という。検査及び合否判定抜取検査に関する次の記述の,[ ]に入る用語の組合せとして,最も適切なものはどれか。
アイテムの重さを測定することによって実施する検査は,[ ア ]による検査である。合否判定抜取検査では,[ イ ]及び判定基準を組合せて検査を計画する。所定の合否判定抜取検査において,品質水準が合格とされる値であるときに不合格としてしまう確率を[ ウ ]と呼ぶ。
選択肢 | ア | イ | ウ |
---|---|---|---|
① | 計数値 | 測定誤差 | 生産者危険 |
② | 計数値 | サンプルサイズ | 生産者危険 |
③ | 計数値 | サンプルサイズ | 消費者危険 |
④ | 計量値 | サンプルサイズ | 生産者危険 |
⑤ | 計量値 | 測定誤差 | 消費者危険 |
解答と解説
【正解④】
この問題では、抜取検査に関する用語の正しい組み合わせを求めています。以下で各用語を検討していきます。
用語の意味と文脈
- ア(アイテムの重さを測定する検査)
- 重さを測定するという点から、これは「計量値」に基づく検査です。重さや長さのような数量を測定する場合は「計量値」を扱います。
- よって、アには「計量値」が入ります。
- イ(合否判定抜取検査での検査計画)
- 合否判定抜取検査では、サンプルを取り、そのサンプルサイズに基づいて判定を行います。「サンプルサイズ」が判定基準の一部であるため、イには「サンプルサイズ」が入ります。
- ウ(品質水準が合格であるときに不合格とする確率)
- この確率は「生産者危険」と呼ばれます。生産者危険(タイプIエラー)は、良品を不良品と判定してしまうリスクを指します。
- よって、ウには「生産者危険」が入ります。
組み合わせ
- ア: 計量値
- イ: サンプルサイズ
- ウ: 生産者危険
したがって、最も適切な組み合わせは④ 計量値、サンプルサイズ、生産者危険です。
I-1-5 生産方式
生産方式に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① プル型生産方式では,時々刻々の生産・配送・在庫状況情報を集中管理する必要がない。
② プッシュ型生産方式は,あらかじめ定められたスケジュールに従い,生産活動を行う管理方式であり,代表例としてJIT生産方式が知られている。
③ JIT生産方式のねらいは,作りすぎによる中間仕掛品の滞留,工程の遊休などを生じないように,生産工程の流れ化と生産リードタイムの短縮をすることにある。
④ JITの考え方は, 自動車産業に限らず,さまざまな製造業やサービス業などにも応用されている。
⑤ かんばん方式で使用するかんばんは,生産指示をするための生産指示かんばんと,運搬指示をするための引取かんばんの2種類に大別される。
解答と解説
【正解②】
この問題は、生産方式に関する正しい理解を問うものです。各選択肢の内容を確認して、最も不適切なものを見つけます。
各選択肢の確認
① プル型生産方式では、時々刻々の生産・配送・在庫状況情報を集中管理する必要がない。
- プル型生産方式は、実際の需要に基づいて生産を進める方式です。需要に応じて必要な分だけ生産するため、集中管理の必要性が低くなることは正しいです。
- 正しい。
② プッシュ型生産方式は、あらかじめ定められたスケジュールに従い、生産活動を行う管理方式であり、代表例としてJIT生産方式が知られている。
- プッシュ型はスケジュールに基づいて計画的に生産を進める方式ですが、JIT (Just In Time) は需要に応じて必要な分だけ生産するプル型生産方式の代表例です。プッシュ型とJITは対照的な概念です。
- 誤りです。
③ JIT生産方式のねらいは、作りすぎによる中間仕掛品の滞留、工程の遊休などを生じないように、生産工程の流れ化と生産リードタイムの短縮をすることにある。
- JITの目的は、生産工程の効率化とリードタイムの短縮にあります。無駄を排除し、在庫を最小化することも含まれます。
- 正しい。
④ JITの考え方は、自動車産業に限らず、さまざまな製造業やサービス業などにも応用されている。
- JITはトヨタ自動車で生まれましたが、さまざまな業界に応用されています。これは広く認められている事実です。
- 正しい。
⑤ かんばん方式で使用するかんばんは、生産指示をするための生産指示かんばんと、運搬指示をするための引取かんばんの2種類に大別される。
- かんばん方式では、生産を管理するために「生産指示かんばん」と「引取かんばん」という2種類のかんばんが使用されます。これは正しいです。
- 正しい。
結論
最も不適切な記述は ② です。
JIT生産方式はプル型生産方式の代表例であり、プッシュ型生産方式ではありません。
I-1-6 PERT
あるプロジェクトの各作業の所要時間と先行作業(その作業を開始する前に完了しているべき作業)が下表のように与えられている。PERTにより,全体の作業が最短時間で完了するよう作業スケジュールを組むとき,このプロジェクトに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。ただし,便宜上,プロジェクトの開始時刻を0時とする。
作業名 | 所要時間 (時間) | 先行作業 |
---|---|---|
A | 10 | なし |
B | 8 | なし |
C | 5 | A |
D | 6 | A, B |
E | 12 | A, B |
F | 7 | C, D |
① 作業Cはクリテイカルパス上にある。
② 作業Dの最遅終了時刻は15時である。
③ 作業Eの全余裕時間は1時間である。
④ 作業Fの最早開始時刻は15時である。
⑤ プロジェクトのすべての作業が完了するまでの最短時間は22時間である。
解答と解説
【正解③】
PERT(Program Evaluation and Review Technique)を使用して、このプロジェクトのクリティカルパスを計算し、作業スケジュールを確認しましょう。以下の手順で進めます。
スケジュールの計算
1. 各作業の最早開始時刻(ES: Earliest Start)と最早終了時刻(EF: Earliest Finish)
- 作業A:ES = 0、EF = 10(10時間)
- 作業B:ES = 0、EF = 8(8時間)
- 作業C:ES = 10、EF = 15(Aの後に開始)
- 作業D:ES = 10(AとBの終了後)、EF = 16(10 + 6時間)
- 作業E:ES = 10(AとBの終了後)、EF = 22(10 + 12時間)
- 作業F:ES = 16(CとDの終了後)、EF = 23(16 + 7時間)
2. クリティカルパスの確認
- クリティカルパスはプロジェクト全体の最長経路をたどる必要があります。すなわち、プロジェクトの完了に直接影響する経路です。
- パス1: A → C → F = 10 + 5 + 7 = 22時間
- パス2: A → D → F = 10 + 6 + 7 = 23時間(最長)
- パス3: B → D → F = 8 + 6 + 7 = 21時間
- パス4: A → E = 10 + 12 = 22時間
クリティカルパスは「A → D → F」であり、プロジェクトの最短完了時間は23時間です。
3. 各選択肢の検討
① 作業Cはクリティカルパス上にある。
- クリティカルパスは「A → D → F」なので、作業Cはクリティカルパス上にはありません。
- 誤り
② 作業Dの最遅終了時刻は15時である。
- 作業Dの最早開始時刻は10時、所要時間は6時間です。したがって、最早終了時刻は16時です。
- 誤り
③ 作業Eの全余裕時間は1時間である。
- 作業Eは、最早開始時刻が10時で、最早終了時刻が22時です。クリティカルパス上の最長時間は23時間なので、作業Eの全余裕時間は1時間です。
- 正しい
④ 作業Fの最早開始時刻は15時である。
- 作業Fの最早開始時刻は、作業CおよびDが完了した時点なので、最早開始時刻は16時です。
- 誤り
⑤ プロジェクトのすべての作業が完了するまでの最短時間は22時間である。
- クリティカルパス上の作業が完了するのに23時間かかるため、最短完了時間は23時間です。
- 誤り
結論
最も適切な選択肢は ③ 作業Eの全余裕時間は1時間である です。
I-1-7 線形計画法
ある工場では,2種類の製品P,Qを,2種類の原材料L,Mを用いて生産している。製品Pを1kg生産するためには,原材料Lを3kg,原材料Mを3kg必要とし,製品Qを1kg生産するためには,原材料Lを4kg,原材料Mを1kg必要とする。製品Pの利益は1kg当たり3万円,製品Qの利益は1kg当たり5万円である。原材料Lが240kgまで,原材料Mが150kgまでしか使用できないとき,利益を最大にするための製品Pの生産量X (kg),製品Qの生産量y (kg)の組合せとして,最も適切なものはどれか。
① X = 0, y =60
② X =10, y =50
③ X =30, y =50
④ X =40, y =30
⑤ X =50, y =0
解答と解説
【正解①】
この問題を線形計画法で解いていきましょう。
- 目的関数:
利益を最大化する: Z = 3X + 5Y (万円) - 制約条件:
原材料L: 3X + 4Y ≤ 240
原材料M: 3X + Y ≤ 150
X ≥ 0, Y ≥ 0 - グラフ法で解く:原材料Lの制約線: 3X + 4Y = 240
X = 0のとき、Y = 60
Y = 0のとき、X = 80原材料Mの制約線: 3X + Y = 150
X = 0のとき、Y = 150
Y = 0のとき、X = 50 - 交点を求める:
3X + 4Y = 240
3X + Y = 1503Y = 90
Y = 30X = 40 - 頂点の座標:
(0, 60), (0, 150), (40, 30), (50, 0) - 各頂点での利益を計算:
(0, 60): Z = 3(0) + 5(60) = 300万円
(0, 150): 制約外
(40, 30): Z = 3(40) + 5(30) = 270万円
(50, 0): Z = 3(50) + 5(0) = 150万円
最大利益は(0, 60)の点で得られ、300万円となります。したがって、最適解は X = 0, Y = 60 です。選択肢の中では、① X = 0, y = 60 が最も適切な答えとなります。
I-1-8 品質管理手法
品質管理の手法に関連する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 問題解決型QCストーリーは,現状の分析に基づいて,現状からの情報をもとに解決策を導く手順である
② PDPC法では,問題の最終的な解決までの一連の手段を列挙し,予想される障害を事前に想定し,適切な対策を講じるために,プロセス決定計画図を用いる。
③ 親和図法は,混沌とした状況の中から事実や意見,発想といったさまざまな言語情報をデータとしてとらえ,それらのデータを親和「生,類似性によってまとめあげることで,問題の本質を明確にする手法である。
④ 系統図法は,いくつかの問題点とその要因を矢印でつなぎ,それぞれの因果関係を図で表すことにより, 目的を達成するための最適手段を追求する手法である。
⑤ マトリックス図法は,行に属する要素と列に属する要素によって二元的配置をした図を用いて,要因と結果,要因と他の要因など,複数の要素間の関係を整理し,多元的思考によって問題点を明確にしていく手法である。
解答と解説
【正解④】
① 正しい。問題解決型QCストーリーの特徴を適切に説明しています。② 正しい。PDPC法(Process Decision Program Chart)の特徴と目的を正確に述べています。③ 正しい。親和図法の定義と目的を適切に説明しています。④ 不適切。この説明は系統図法ではなく、特性要因図(魚骨図)の説明に近いです。系統図法は、目的を達成するための手段を階層的に展開する手法です。⑤ 正しい。マトリックス図法の特徴と目的を正確に説明しています。したがって、最も不適切なものは ④ です。
系統図法の正しい説明は以下のようになります:系統図法は、目的を達成するための手段を階層的に展開し、論理的に整理する手法です。主目的から始まり、それを達成するための手段を次々と下位レベルに展開していきます。これにより、目的と手段の関係を明確にし、問題解決のための具体的な方策を体系的に整理することができます。
I-1-9 労働関係の諸法令
労働関係の諸法令に関するの記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合には、使用者は、所轄労働基準監督署長の許可を受け、法定の労働時間を超えて、又は法定の休日に労働させることができる。
② 事業主は、労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
③使用者は、10日以上の年有給体暇が付与される労働者に対し、その年有給休暇の日数のうち5日について、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
④使用者による労働者の労働時間の把握の方法として、やむを得ない場合には、適正な申告を阻害しない等の適切な措置を講じた上で、自己申告制によることができる。
⑤ 対象期間を1年間とする変形労働時間制においては、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、対象期間における各日の始業及び終業の時刻や休日について、労働者が自らの判断で自由に決定や変更をすることができる。
解答と解説
【正解⑤】
最も不適切なものは ⑤ です。
⑤ 対象期間を1年間とする変形労働時間制においては、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、対象期間における各日の始業及び終業の時刻や休日について、労働者が自らの判断で自由に決定や変更をすることができる。
この記述は不正確です。1年間の変形労働時間制では、あらかじめ労使協定などで定めた労働時間に基づき、労働時間が変動しますが、労働者が自身の判断で始業・終業時刻や休日を自由に決定したり変更することはできません。労働時間のスケジュールはあらかじめ計画され、使用者が管理するものです。
その他の選択肢
①: 労働基準法第33条に基づき、災害等の場合には所轄労働基準監督署長の許可を得て、労働時間の延長や休日労働が認められます。
②: 労働時間等の設定改善について、事業主には健康及び福祉を確保するための措置を講じる努力義務があります(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第2条)。
③: これは労働基準法第39条の規定であり、5日分の有給休暇は使用者が労働者ごとに時季を定めて取得させる必要があります。
④: 労働時間の把握方法として、自己申告制が認められる場合もありますが、適正な申告を阻害しないための措置を講じることが求められます(労働基準法施行規則第52条の8)。
I-1-10 高年齢者の就業機会
高年齢者が活躍できる環境整備に係る諸法令に関する次の記述のうち、最を不適切なものはどれか。なお、以下において、グループ会社とは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則第四条の三に規定する特殊関係事業主を指すものとする。
① 事業主は、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、70歳までの定年の引上げ、 70歳までの継続雇用制度の導入,定年制の廃止,法令に定める創業支援等措置のいずれかの措置を講じなければならない。
② 事業主は、その雇用する労働者の定年の定めをしている場合、期間の定めの無い労働契約を締結することを目的に、当該定年の年齢を下回ることを条件として労働者の募集及び採用をすることができる。
③ 雇用管理に関する措置について作成した計画を都道府県労働局長に提出し、当該計画が適当である旨を認定された事業主の下で、定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者については、無期転換申込権が発生しない。
④ 継続雇用先をグループ会社にまで拡大する場合,の事業主とグループ会社との間で、継雇用制度の対象となる高年齢者を定年後に当該グループ会社が引き続いて雇用することを約する契約を締結する必要がある。
⑤ 事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合は、法令により他の定めがある場合を除き、当該年齢は60歳を下回ることはできない。
解答と解説
【正解①】
① 不適切です。70歳までの就業機会確保は努力義務であり、義務ではありません。
② 適切です。これは年齢差別禁止の例外として認められています。
③ 適切です。これは特例として認められている措置です。
④ 適切です。継続雇用制度をグループ会社に拡大する場合、このような契約が必要です。
⑤ 適切です。定年年齢は60歳を下回ることができないと規定されています。
したがって、最も不適切なものは ① です。
正確な説明は以下のようになります:
事業主は、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、70歳までの定年の引上げ、70歳までの継続雇用制度の導入、定年制の廃止、法令に定める創業支援等措置のいずれかの措置を講じるよう努めなければならない(努力義務)。この改正は、高年齢者の就業機会を拡大することを目的としていますが、企業の実情に応じて柔軟に対応できるよう、努力義務として設定されています。
I-1-11 育児・介護休業法
いわゆる育児・介護休業法(育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に関する姿の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、以下において、産後パパ育休は、出生時育児休業を指すものとする。
① 事業主は、育児休業の申出が円滑に行われるようにするため、育児休業に係る研修の実施,相談体制の壁備,取得事例の収集・提供,制度及び取得促進に関する方針の周知のいずれかの措置を講じなければならない。
②事業主は、本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、個別に育児休業制度等の周知、及び休業の取得意向の確認のための面談等の措置を講じなければならない。
③産後パパ育休は、原則休業の2週間前までに申し出る必要があり、育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能で、初めに申し出た場合は2回に分割して取得することができる。
④ 事業主は、労使協定に産後パパ育休期間中に就業させることができると定めた労働者から期間中の就業可能日等の申し出があった場合,就業日の労働時間の合計が、産後パパ育休期間における所定労働時間の合計以下であれば、就業させることができる。
⑤ 常時雇用する労働者の数が千人を超える事業主は、毎年少なくとも1回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況を公表しなければならない。
解答と解説
【正解④】
I-1-12 労災保険
いわゆる労災保険(労働者災害補償保険)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 労災保険制度は、労働者の業務上の事由又は通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、併せて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度である。
②労災保険における労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいい,アルバイトやパートタイマー等も含まれる。
③労働者以外の中小事業主。一人親方,自営業者は、労災保険に加入することはできない。
④ 複数の事業場で働いている労働者に関する労災保険給付は、全ての就業先の賃金額を合算した額を基礎として、保険給付額が決定される。
⑤ 通勤災害と認められるのは、勤務のための移動を合理的な経路及び方法によって行ったうえで発生した災害の場合であり、例えば私的に映画館に入った後の帰路での災害では認められない。
解答と解説
【正解③】
この問題では、労災保険(労働者災害補償保険)に関する知識を問われています。各選択肢を順に検討していきましょう。
① 適切です。これは労災保険制度の基本的な目的と機能を正しく説明しています。
② 適切です。労災保険における労働者の定義を正しく説明しています。
③ 不適切です。実際には、中小事業主や一人親方、特定の自営業者は特別加入制度を通じて労災保険に加入することができます。
④ 適切です。複数就業者の労災保険給付については、全ての就業先の賃金を合算して給付額を決定するという原則を正しく説明しています。
⑤ 適切です。通勤災害の認定基準を正しく説明しており、私的な寄り道後の災害は通常、通勤災害として認められないという点も正確です。
したがって、最も不適切なものは ③ です。
正確な説明は以下のようになります:
中小事業主、一人親方、特定の自営業者は、労災保険の特別加入制度を通じて任意で加入することができます。この制度は、これらの人々が業務中に被った傷病等に対しても労災保険の保護を受けられるようにするためのものです。
I-1-13 健康経営
従業員等の健康管理を経営的視点から考えて戦略的に実践する健康経営に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 企業の健康経営は、ESG活動のうち従業員や地域社会との関係に該当するものであり、企業価値の向上の一助となるものとして投資家からの評価につながる。
② 健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門では、特に優良な健康経営を実践している上位法人には「ブライト500」の冠を付加して、顕彰している。
③健康経営に取り組むことで、企業への効果として従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらすだけでなく、社会への効果として国民の生活の質の向上,へルスケア産業の創出が期待される。
④ 健康経営の考え方では、企業にとって、従業員の健康保持・増進の取組を行うことは将来に向けた投資であるととらえられる。
⑤ 健康経営を実践するには、法令遵守:リスクマネジメントの実践を基礎とし,経営理念・方針,組織体制、制度・施策実行及び評価改善の取組が連動・連携していることが重要である。
解答と解説
【正解②】
② 健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門では、特に優良な健康経営を実践している上位法人には「ブライト500」の冠を付加して、顕彰している。
実際には「ホワイト500」という名称で顕彰されています。「ブライト500」という冠は誤りです。他の選択肢については、健康経営の考え方や効果について正しい内容です。
I-1-14 ダイバーシティ・マネジメント
企業経営におけるダイバーシティ・マネジメントに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 組織の中のダイバーシティには、個人の性別,年齢、国籍,障害の有無などや、宗教,慣習,価値観,考え方、性格などの違いだけでなく、短時間勤務や正規・非正規といった働き方や雇用形態の違いも含まれる。
② 多様な人々の働き方を支援するというワーク・ライフ・バランスは、ダイバーシティ推進の中心的な施策である。
③ ダイバーシティ・ポリシーは、ダイバーシティを通じて中長期的にどのような企業価値向上を目指すかの方針であり、その明確化にあたっては、業績に関する指標や生産性に関する指標などと連関させることが有効である。
④ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善するために、男女に関わらず不利な方の性別の労働者に関して、採用や昇進に関する優遇措置を行うことは,いわゆる男女雇用機会均等法により認められている。
⑤ ダイバーシティは、量的な労働力を確保するだけでなく,創造やイノベーションを生み出すための人材の確保のためにも重要である。
解答と解説
【正解④】
最も不適切なものは ④ です。
④ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善するために、男女に関わらず不利な方の性別の労働者に関して、採用や昇進に関する優遇措置を行うことは,いわゆる男女雇用機会均等法により認められている。
男女雇用機会均等法では、採用や昇進に関しての差別を禁止していますが、一般的な優遇措置(いわゆる積極的差別是正措置: affirmative action)は、日本の法制度では広く認められていません。優遇措置は慎重に運用されるべきであり、不適切な優遇措置は逆差別に当たる可能性があります。
I-1-15 キャリアオーナーシップ(キャリア自律)
キャリアオーナーシップ(キャリア自律)やリスキリングに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、以下において、法とは職業能力開発促進法を指す。
① キャリア自律とは、従来組織の視点で提供されていた人事の仕組み・教育の仕組みを、個人の視点から見たキャリアデザイン・キャリア構築の仕組みに転換するものである。
② キャリアコンサルタントは、労働者の職業の選択,職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行う。
③ 企業が従業員のキャリア形成支援施策として契約したキャリアコンサルタントが知りえた労働者個別の面談内容や、面談により把握された組織的・全体的な課題の傾向は、法による守秘義務の対象であり、企業に報告してはならない。
④ 労働者の自律的・主体的な学び・学び直しが効果的に行われるためには、労働者の役割明確化と合わせ、職務に必要な能力・スキル等を可能な限り明確化し、労働者と企業が学び・学び直しの方向性:目標を擦り合わせ,共有することが重要である。
⑤労働者の自己啓発に対する企業の支援策として、受講料などの金銭的援助,教育訓練機関に関する情報提供、就業時間の配慮などが行われる。
解答と解説
【正解③】
① 適切です。キャリア自律の概念を適切に説明しています。
② 正確適切です。これはキャリアコンサルタントの役割を正しく説明しています。
③ 不適切です。職業能力開発促進法では、キャリアコンサルタントの守秘義務について規定していますが、企業と契約したキャリアコンサルタントの場合、個人情報を除いた組織的・全体的な課題の傾向については、企業に報告することが一般的です。完全な守秘義務は、個人のプライバシーに関する情報に限られます。
④ 適切です。労働者の自律的・主体的な学びのために必要な要素を適切に説明しています。
⑤ 適切です。労働者の自己啓発に対する企業の支援策の例を正しく挙げています。
したがって、最も不適切なものは ③ です。
キャリアコンサルタントの守秘義務は重要ですが、企業と契約している場合、組織全体の傾向や課題については報告することが期待されます。個人が特定される情報や個人のプライバシーに関わる情報は守秘義務の対象となりますが、全ての情報が報告禁止というわけではありません。企業がキャリアコンサルタントを活用する目的の一つは、組織全体の課題を把握し改善することにあるため、適切な範囲での情報共有は必要です。
I-1-16 モチベーション
従業員のモチベーションを考慮した企業の施策の説明である(A)~(D) と、対応する行動モデルに関する用語(ア)~(エ)の組合せとして、最も適切なものはどれか。
企業の施策
(A)従業員の取組を認める表彰制度や各自が実現するべき目標を明確にする目標管理制度により、従業員の自導や自己実現の欲求を充足させる。
(B)従業員持株制度や労使間協議制度などの経営参加制度により、従業員に自発的に行動させる。
(C)仕事で成果をあげた従業員に対して、より高い満足感を与えるために,ボーナスを与えるよりも,成果を評価し表彰する。
(D)従業員の1日の標準作業量をあらかじめ設定し、それを達成した者には高い賃率を、達成できなかった者には低い賃率を適用する制度により、作業を計画的・能率的に遂行させる。
用語
(ア)テイラーの科学的管理法
(イ)マクレガーのX理論とY理論
(ウ)マズローの欲求5段階説
(エ)ハーズバーグの二要因理論
選択肢 | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
① | イ | ウ | エ | ア |
② | エ | イ | ウ | ア |
③ | ウ | ア | イ | エ |
④ | イ | ア | エ | ウ |
⑤ | ウ | イ | エ | ア |
解答と解説
【正解⑤】
各施策と行動モデルの対応を検討していきます。
(A) この施策は、従業員の自己実現欲求に焦点を当てています。これはマズローの欲求5段階説に最もよく対応します。(ウ)
(B) 経営参加制度は、従業員の自発的な行動を促すものです。これはマクレガーのY理論(従業員は自発的に働くという考え)に対応します。(イ)
(C) 金銭的報酬よりも成果の評価や表彰を重視する考え方は、ハーズバーグの二要因理論に基づいています。(エ)
(D) 標準作業量の設定と賃率の変動による管理は、テイラーの科学的管理法の特徴です。(ア)
したがって、正しい対応は以下のようになります:
A – (ウ)マズローの欲求5段階説
B – (イ)マクレガーのX理論とY理論
C – (エ)ハーズバーグの二要因理論
D – (ア)テイラーの科学的管理法
よって、⑤ ウイエア が最も適切な組み合わせとなります。
I-1-17 クラウドコンピューティング
米国国立標準技術研究所(NIST) が発行した「NISTによるクラウドコンピューティングの定義」に示されている,クラウドコンピューティングの,実装モデルに依存しない基本的な特徴を表す記述として,次のうち最も不適切なものはどれか。
① オンデマンド・セルフサービスである。
② 複数のユーザでリソースを共用する。
③ 広く一般の自由な利用に向けて提供される。
④ スピーディな拡張性を持つ。
⑤ サービスの利用結果がユーザにもサービス提供者にも明示できる。
解答と解説
【正解③】
③ 広く一般の自由な利用に向けて提供される。
この記述はクラウドコンピューティングのパブリッククラウドに特有の特徴を表していますが、クラウドコンピューティング全般の定義ではありません。NISTの定義では、クラウドコンピューティングにはパブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどの複数の展開モデルがあり、必ずしも「広く一般の自由な利用に向けて提供される」必要はありません。
他の選択肢(①オンデマンド・セルフサービス、②複数ユーザでリソースを共用、④スピーディな拡張性、⑤サービスの利用結果がユーザにもサービス提供者にも明示できる)は、NISTが定義するクラウドコンピューティングの基本的な特徴に当てはまります。
I-1-18 データマイニング
データ解析又はデータマイニングに用いられる技法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 主成分分析では,多くの変数により記述された量的データの変数間の相関関係を利用し,情報の損失を最小限に抑えつつ,少数個の無相関である合成変数に縮約する。
② 因子分析では,変数の間の相関関係から共通の因子を求めることで,多くの変数を共通因子にまとめて説明する。
③ 多次元尺度法は,個体間の親近性データを2次元あるいは3次元空間に配置する方法であり,類似したものは近く,そうでないものは遠くに配置される。
④ 階層的クラスター分析は,大量のデータ解析に向き,代表的な方法としてk平均(k-means) 法がある。
⑤ 線形判別分析では,グループ(群)分けの境界が直線あるいは超平面であると想定し,線形関数を用いてグループの所属を判別する。
解答と解説
【正解④】
① 適切です。主成分分析の特徴を適切に説明しています。
② 適切です。因子分析の基本的な考え方を正しく説明しています。
③ 適切です。多次元尺度法の目的と特徴を適切に説明しています。
④ 不適切です。この説明には2つの誤りがあります:
- 階層的クラスター分析は、大量のデータ解析に向いているわけではありません。むしろ、データ量が多くなると計算コストが高くなるため、小~中規模のデータセットに適しています。
- k-means法は非階層的クラスター分析の手法であり、階層的クラスター分析の例ではありません。
⑤ 適切です。線形判別分析の基本的な考え方を正しく説明しています。
したがって、最も不適切なものは ④ です。
階層的クラスター分析に関する正確な説明は以下のようになります:
階層的クラスター分析は、データ間の類似性や距離に基づいてクラスターを段階的に形成していく方法で、比較的小規模なデータセットに適しています。代表的な方法としては、最近隣法(単連結法)、最遠隣法(完全連結法)、群平均法などがあります。一方、k-means法は非階層的クラスター分析の代表的な手法であり、大量のデータ解析に適しています。
I-1-19 情報セキュリティマネジメントシステム
ISO Q 27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステムの情報セキュリティ方針に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 情報セキュリティ方針は, トップマネジメントが指名した実務管理者が確立し,発行する。
② 情報セキュリティ方針は,情報セキュリティ目的の達成を最優先とし,組織の目的には影響されてはならない。
③ 情報セキュリティ方針は,組織内に確実に伝達されていれば,必ずしも文書化されていなくてもよい。
④ 組織は,情報セキュリティ方針や関連規定に対する逸脱や例外を認めてはならない。
⑤ 情報セキュリティ方針は,必要に応じて,利害関係者が入手できるようにしなければならない。
解答と解説
【正解⑤】
① 不適切です。情報セキュリティ方針はトップマネジメントが確立し、承認すべきものです。
② 不適切です。情報セキュリティ方針は組織の目的に適切であるべきで、組織の目的と整合性を持つ必要があります。
③ 不適切です。ISO 27001では、情報セキュリティ方針を文書化することが要求されています。
④ 不適切です。組織は方針や規定に対する逸脱や例外を完全に禁止するのではなく、適切に管理する必要があります。
⑤ 適切です。情報セキュリティ方針は「伝達する」必要があります。また、一般的に ISO 27001 では、情報セキュリティ方針を必要に応じて利害関係者が入手できるようにすることが求められています。
情報セキュリティ方針は、組織の目的に適合し、情報セキュリティ目的を含み、適用される要求事項を満たすコミットメントを示し、継続的改善へのコミットメントを含む必要があります。また、文書化され、組織内に伝達され、必要に応じて利害関係者が入手できるようにする必要があります。
I-1-20 コーチングのモデル
コーチングのモデルに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① インナーゲームでは,クライアントが, 自分が持っているものを自身の主観に基づき批判的に評価するように,コーチが指導する。
② インテグラル・コーチングでは,「内的」と「外的」,及び「個人的」と「集団的」の2軸で視点を整理するモデルを使う。
③ コーアクティブ・コーチングでは,クライアントは本来,創造的であり,資質や人的資源に富み,欠けることがない存在であると考える。
④ ポジティブ心理学コーチングでは,コーチはクライアントが楽観主義的なスタイルで物事を考えるように手助けする。
⑤ オントロジカル・コーチングでは,クライアントの「行動様式」ではなく,「在り方」を変化させることを目標とする。
解答と解説
【正解①】
① 不適切です。インナーゲームでは、クライアントの自己批判を減らし、客観的な自己観察を促進することが重要です。コーチが批判的評価を指導するという記述は、インナーゲームの本質と矛盾しています。
② 適切です。インテグラル・コーチングでは4象限(「内側」「外側」×「個人的」「集団的」)でクライアントのサポートを行うとされています。
③ 適切です。コーアクティブ・コーチングの4つの礎の1つとして「人はそもそも創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である」と記述されています。
④ 適切です。ポジティブ心理学コーチングでは、クライアントの強みや楽観的な思考を育成することが重要な要素です。
⑤ 適切です。オントロジカル・コーチングは、クライアントの存在様式(在り方)の変化に焦点を当てるアプローチです。
インナーゲームの正しい説明は次の通りです。クライアントが自己批判を減らし、客観的な自己観察を通じて内なる障害を克服し、パフォーマンスを向上させることを目指すアプローチです。コーチは批判的評価を指導するのではなく、クライアントの自己認識と自己信頼を高めるサポートを行います。
I-1-21 情報公開法
いわゆる情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)に関する次の記述のうち,最も遥切なものはどれか。
① 情報公開法における行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成した文書, 図画及び電磁的記録であって,職員が職務上取得した文書は含まれない。
② 情報公開法における行政文書には,官報,白書,新聞,雑誌,書籍その他不特定多数の者に販売することなどを目的として発行されるものを含む。
③ 開示請求をする者が,自らの氏名や名称を明らかにせずに,行政文書の開示請求を行うことは認められている。
④ 行政文書の存否を示すことが不開示情報の開示につながる場合であっても,開示請求を拒否する際には,当該行政文書の存否を明らかにしなければならない。
⑤ 行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し当該行政文書を開示することができる。
解答と解説
【正解⑤】
① 不適切です。行政文書は「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録」と定義されています。したがって、職務上取得した文書も含まれます。
② 不適切です。官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものは、行政文書から除外されています。
③ 不適切です。一般的に情報公開法では、開示請求者の氏名や名称を明らかにすることが要求されます。
④ 不適切です。行政文書の存否を明らかにすることが不開示情報の開示につながる場合、行政機関は当該行政文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒否することができます。
⑤ 適切です。情報公開法の「公益上の理由による裁量的開示」の規定の説明です。行政機関の長は、公益上特に必要があると認めるときは、不開示情報が含まれていても行政文書を開示することができます。
I-1-22 産業財産権
出願日が2023年4月1日である産業財産権(特許権,実用新案権,意匠権,商標権)の原則的な存続期間の組合せとして,次のうち最も適切なものはどれか。
選択肢 | 特許権 | 実用新案権 | 意匠権 | 商標権 |
---|---|---|---|---|
① | 出願から10年 | 出願から5年 | 出願から20年 | 登録から5年(更新可) |
② | 出願から10年 | 出願から10年 | 出願から20年 | 登録から10年(更新可) |
③ | 出願から20年 | 出願から10年 | 出願から25年 | 登録から10年(更新可) |
④ | 出願から20年 | 出願から20年 | 出願から25年 | 登録から20年(更新可) |
⑤ | 出願から30年 | 出願から20年 | 出願から30年 | 登録から20年(更新可) |
解答と解説
【正解③】
最も適切な組合せは ③ です。
③ 出願から20年 / 出願から10年 / 出願から25年 / 登録から10年(更新可)
具体的には以下の通りです:
- 特許権: 原則として、出願から20年です。
- 実用新案権: 原則として、出願から10年です。
- 意匠権: 原則として、出願から25年です(2020年改正により、従来の20年から25年に延長されました)。
- 商標権: 登録から10年で、その後更新が可能です。
I-1-23 ブロックチェーン
ブロックチェーンに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① ブロックチェーンは,データをブロックと呼ばれる単位で格納し,ブロック同士を時系列に沿ってチェーンのようにつなげていく。
② ブロックチェーンは.,中央管理者無しに信頼性の高い記録によって取引を成立させることができる特性を持っている。
③ 暗号資産のビットコインには,参加者が自由にネットワークに加わることが可能なパブリック型ブロックチェーンが利用されている。
④ ブロックチェーンは,ネットワークヘの参加ノードが増えるほど,改ざん耐性や耐障害性が低下する。
⑤ ブロックチェーンには,ハッシュ関数や電子署名などの技術が使われている。
解答と解説
【正解④】
最も不適切なものは ④ です。
④ ブロックチェーンは,ネットワークへの参加ノードが増えるほど,改ざん耐性や耐障害性が低下する。
ブロックチェーンでは、ネットワークへの参加ノードが増えるほど、改ざん耐性や耐障害性がむしろ向上します。これは、分散型のネットワークにおいて、ノードが多ければ多いほど、全てのノードに改ざんを行うことが難しくなるためです。
I-1-24 ランサムウェア
ランサムウェアに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① ランサムウェアとは,英語で身代金を意味する「ランサム」と,「ソフトウェア」とを組み合わせた言葉である。
② ランサムウェアに感染すると,一般に,データが盗み取られてインターネットに公開されるとともに,公開されたデータの削除と引き換えに金銭の支払いを要求するメッセージなどがパソコンの画面に表示される。
③ 以前は不特定多数の利用者に不正プログラムなどをメールで送信して感染させる手口が一般的であったが, 2020年頃からネットワークの脆弱性等を狙って企業・団体のネットワークに侵入する手口が増えている。
④ ランサムウェアヘの感染原因等の調査にあたっては,感染端末をはじめとした各種機器のログが必要となるので,適切にログを保管することが推奨される。
⑤ ランサムウェアによる被害の範囲の拡大をできるだけ防止するため,ユーザアカウントに割り当てる権限やアクセス可能とする範囲は必要最小限にすることが望ましい。
解答と解説
【正解②】
最も不適切なものは ② です。
② ランサムウェアに感染すると,一般に,データが盗み取られてインターネットに公開されるとともに,公開されたデータの削除と引き換えに金銭の支払いを要求するメッセージなどがパソコンの画面に表示される。
ランサムウェアの主な目的は、データを暗号化してアクセス不能にし、その解除と引き換えに身代金を要求することです。データの盗難やインターネット上での公開は、近年一部のランサムウェア(「二重脅迫」)によって行われることもありますが、一般的にはデータの暗号化が中心的な被害です。
I-1-25 リスク認知のバイアス
リスク認知のバイアスの種類(A)~(D)と、それらに起因した事例(ア)~(エ)の組合せとして、最も適切なものはどれか。
種類
(A) 正常性バイアス
(B) カタストロフィーバイアス
(C) ベテランバイアス
(D) バージンバイアス
事例
(ア) 自宅の耐震補強のために資金を準備していたが、海外の隕石飛来のニュースで被害の深刻さを見て、自宅地下に隕石からの避難用シヱルターを建設することとし、準備していた資金をこれに充てたが、その翌年に起きた地震で自宅が倒壊した。
(イ) これまで内部犯行による情報漏洩が起きたことのない会社で、管理していた情報が漏洩した際、実際には内部犯行の可能性が高いにも関わらず、管理担当部長の意識は社内管理体制の向上に向かわず、内部犯行による情報漏洩が再発した。
(ウ) 堤防が決壊し周辺家屋に浸水被害が発生しているときに、「自分の家には影響はない」と思い込み、避難が遅れた。
(エ) 消費者から自社製品への苦情が数件寄せられたが、以前、内容は多少異なるものの、類似の苦情があった際には間もなく鎮静化し問題にもならなかったことから、今回の苦情に特段の対応はしなかったところ、大きな社会問題に発展した。
選択肢 | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
① | イ | ウ | エ | ア |
② | ウ | ア | イ | エ |
③ | ア | エ | ウ | イ |
④ | ウ | ア | エ | イ |
⑤ | イ | エ | ア | ウ |
解答と解説
【正解④】
各リスク認知バイアスの種類とその特徴を理解し、提示された事例と照らし合わせる必要があります。
(A) 正常性バイアス:危険な状況下でも、自分は大丈夫だと思い込む傾向。
(B) カタストロフィーバイアス:大規模な災害や事故のリスクを過大評価する傾向。
(C) ベテランバイアス:経験豊富な人が過去の経験に頼りすぎて、新しい状況を見逃す傾向。
(D) バージンバイアス:これまでに経験したことのない事象に対して、過度に警戒する傾向。
事例を分析すると:
(ア) カタストロフィーバイアスの例。隕石飛来のリスクを過大評価している。
(イ) 正常性バイアスの例。過去に問題がなかったため、現在も問題ないと思い込んでいる。
(ウ) 正常性バイアスの例。危険な状況下でも自分は大丈夫だと思い込んでいる。
(エ) ベテランバイアスの例。過去の経験に頼りすぎて、新しい状況を適切に評価できていない。したがって、
正しい組み合わせは:
A – (ウ)
B – (ア)
C – (エ)
D – (イ)
この組み合わせに最も近いのは選択肢 ④ ウアエイ です。
I-1-26 メンタルヘルス対策
事業場におけるメンタルヘルス対策(以下「メンタルヘルス対策」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① メンタルヘルス対策は、心の健康に関する、積極的な健康の保持増進や仕事による健康障害の防止、健康不全の早期発見・早期対処、職場復帰支援とメンタルヘルス不調の再発・再燃の防止を含む。
② メンタルヘルス対策のひとつに自殺の予防と対応があり、これは未然防止、危機介入、事後対応を含む。
③ メンタルへルス対策のうち健康不全の早期発見・早期対処については、労働時間管理、人事労務管理、仕事の方法、評価制度など、労働者の心の健康に影響を与えうる事業場内の事項についての問題を点検し、その改善を図ることが中心となる。
④ メンタルへルス対策については、事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるよう、法に基づく指針が定められている。
⑤ 厚生労働省は、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰に当たり、事業者が行う職場復帰支援の内容を総合的に示した手引きを作成し、周知啓発を図っている。
解答と解説
【正解③】
① 適切です。メンタルヘルス対策の範囲を適切に説明しています。
② 適切です。自殺予防と対応の段階を正しく述べています。
③ 不適切です。この説明は健康不全の早期発見・早期対処ではなく、むしろ積極的な健康の保持増進や仕事による健康障害の防止に関する内容です。早期発見・早期対処は、定期的な面談やストレスチェック、相談窓口の設置などが中心となります。
④ 適切です。労働安全衛生法に基づき、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が定められています。
⑤ 適切です。厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を作成し、周知啓発を行っています。
したがって、最も不適切なものは ③ です。
健康不全の早期発見・早期対処に関する正確な説明は以下のようになります:
メンタルヘルス対策のうち健康不全の早期発見・早期対処については、定期的な面談やストレスチェックの実施、相談窓口の設置、管理監督者による日常的な観察などが中心となります。これらの方法により、労働者のメンタルヘルスの状態を早期に把握し、必要な支援や対応を迅速に行うことが重要です。
I-1-27 フェールセーフ
工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドラインにおける、フェールセーフ化の対象とする制御機構の区分(A)~(D)と、その内容(ア)~(エ)の組合せとして、最も適切なものはどれか。
制御機構の区分
(A) ガード用のインターロックの回路
(B) 急停止用の回路
(C) 非常停止用の回路
(D) ホールド・ツー・ランの回路
内容
(ア) 機械の運転中に作業者が危険領域内へ侵入するのを防止する回路
(イ) 作業者が何らかの異常を感知したときに直ちに機械の運転を停止させる回路
(ウ) 作業者が操作装置を押しているときに限って機械が運転を開始し、操作装置から手指等を離したときは直ちに機械を停止させる回路
(エ) 機械側で何らかの異常を感知したときに、直ちに機械の運転を停止させる回路
選択肢 | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
① | ウ | エ | ア | イ |
② | ア | エ | イ | ウ |
③ | エ | イ | ウ | ア |
④ | エ | ア | イ | ウ |
⑤ | ア | イ | エ | ウ |
解答と解説
【正解②】
最も適切な組み合わせは、② アエイウ です。
- (A) ガード用のインターロックの回路: (ア) 機械の運転中に作業者が危険領域内へ侵入するのを防止する回路
- (B) 急停止用の回路: (エ) 機械側で何らかの異常を感知したときに、直ちに機械の運転を停止させる回路
- (C) 非常停止用の回路: (イ) 作業者が何らかの異常を感知したときに直ちに機械の運転を停止させる回路
- (D) ホールド・ツー・ランの回路: (ウ) 作業者が操作装置を押しているときに限って機械が運転を開始し、操作装置から手指等を離したときは直ちに機械を停止させる回路
I-1-28 自然災害
自然災害に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 流域治水は、流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う考え方であり、治水計画を気候変動による降雨量の増加などを考慮して見直し、地域の特性に応じた対策をハード・ソフトー体で多層的に進める。
② 洪水浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、洪水予報等の伝達方法、避難場所、避難経路等を住民等に周知させるため、これらを記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。
③ タイムラインは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画である。
④ 特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える大雨や、大津波等が予想され、重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合に気象庁から発表される。
⑤ 記録的短時間大雨情報は、大雨警報発表の有無にかかわらず、その地域にとって災害の発生に繋がる、数年に一度しか発生しないような短時間の大雨が今後予測される場合に発表される。
解答と解説
【正解⑤】
最も不適切なものは、⑤です。
⑤ 記録的短時間大雨情報に関しては、「今後予測される場合に発表される」とありますが、実際には「すでに降った短時間の大雨」に関する情報です。具体的には、1時間に100mm以上の非常に激しい雨が降った場合などに発表され、これにより災害の危険性が高まっていることを知らせる情報です。
4o
I-1-29 公益通報者保護法
2022年6月に改正法が施行された公益通報者保護法(以下「法」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等、並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等が定められている。
② 保護される公益通報者の範囲に、労働者及び退職後一定期間以内の退職者は含まれるが、役員は含まれない。
③ 一定の要件を満たす事業者は、内部公益通報対応体制を整備する義務がある。
④ 事業者内部、権限を有する行政機関などの通報先に応じて、法に基づく保護を受けるための要件が定められている。
⑤ 法に基づく保護の対象とならない通報であっても、他の法令等によって通報者が保護される場合がある。
解答と解説
【正解②】
公益通報者保護法に関する記述のうち、最も不適切なものは以下です。
② 保護される公益通報者の範囲に、労働者及び退職後一定期間以内の退職者は含まれるが、役員は含まれない。
この記述は不適切です。改正された公益通報者保護法では、役員も公益通報者として保護されることが明記されています。そのため、役員は保護の対象外ではありません。他の選択肢は法律の内容に沿った正しい記述となっています。
I-1-30 労働安全衛生マネジメントシステム
労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(厚生労働省、令和元年改正。以下「OSHMS指針」という。)及び労働安全衛生マネジメントシステムに関する規格についての次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① OSHMS指針の対象者には、労働基準法における労働者ではないボランティアも含まれる。
② OSHMS指針は、事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動を促進することとしている。
③ OSHMS指針では、同一法人の複数の事業場を1つの単位として労働安全衛生マネジメントシステムを運用できるとされている。
④ 国際規格であるISO45001を和訳しJISとしたものがJISQ45001であり、ISO45001とJISQ45001は国際的に同等とみなされている。
⑤ ISO45001に日本独自の安全衛生活動を取り入れたJISQ45100を運用することで、OSHMS指針と国際性のあるISO45001を両立して運用することが可能となる。
解答と解説
【正解①】
労働安全衛生マネジメントシステムに関する記述のうち、最も不適切なものは以下です。
① OSHMS指針の対象者には、労働基準法における労働者ではないボランティアも含まれる。
この記述は不適切です。OSHMS指針は主に労働基準法における労働者を対象としており、ボランティアは通常、労働者としての定義には含まれません。他の選択肢はOSHMS指針や関連する規格の内容に即した正しい記述となっています。
I-1-31 システム信頼度
下図のシステムにおいて、ユニット1と3の信頼度は0.800、ユニット2と4の信頼度は0.700である。このシステム全体の信頼度に最も近い値はどれか。ただし、各ユニットの故障発生は独立事象とする。
① 0.686 ② 0.806 ③ 0.816 ④ 0.874 ⑤ 0.940
解答と解説
【正解④】
このシステムの信頼度を計算するために、以下の手順で進めます:
- 並列部分の信頼度計算
並列システムの信頼度 = 1 – (1 – R1)(1 – R2)
ここで、R1とR2はそれぞれのユニットの信頼度で次の通り求める。
ユニット1と3の並列部分:
R13 = 1 – (1 – 0.800)(1 – 0.800) = 1 – 0.2 × 0.2 = 1 – 0.04 = 0.96
ユニット2と4の並列部分:
R24 = 1 – (1 – 0.700)(1 – 0.700) = 1 – 0.3 × 0.3 = 1 – 0.09 = 0.91 - システム全体の信頼度計算
全体の信頼度 = R13 × R24 (直列接続のため)
= 0.96 × 0.91 = 0.8736
したがって、システム全体の信頼度は約0.874です。
I-1-32 国土強靭化基本法
2023年6月に改正された、いわゆる国土強靭化基本法(強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 国土強靭化は、大規模自然災害が発生した場合においても、国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず、維持され、我が国の政治、経済及び社会の活動が持続可能なものとなるようにすることを、基本方針の1つとしている。
② 国土強靭化基本計画は、国土強靭化基本計画以外の国土強靭化に係る国の計画等の指針となるべきものとして定められる。
③ 政府は、国土強靭化実施中期計画案の作成時に、脆弱性評価の指針を定め、脆弱性評価を行うこととされている。
④ 政府は、国土強靱化実施中期計画において、計画期間及び、計画期間内に国土強靱化に関し実施すべき施策の内容及び目標等を定めるものとされている。
⑤ 都道府県又は市町村は、当該都道府県又は市町村の区域における国土強靱化に関する施策の推進に関する基本的な計画を、定めることができる。
解答と解説
【正解③】
② 国土強靭化基本計画は、国土強靭化基本計画以外の国土強靭化に係る国の計画等の指針となるべきものとして定められる。
これは不適切です。実際には、国土強靭化基本計画は、国土強靱化に関する基本的な方針を定めるものであり、その内容が他の計画の「指針」になるものではありません。
I-1-33 気候変動
気候変動に関する次の記述の、[ ]に入る用語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
[ ア ]現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が [ イ ],西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が不活発となる。この影響で日本付近では、夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が[ ウ ]傾向があり、一方、冬季は西高東低の気圧配置が弱まり、気温が[ エ ]傾向がある。
選択肢 | ア | イ | ウ | エ |
---|---|---|---|---|
① | エルニーニョ | 低下し | 低くなる | 高くなる |
② | エルニーニョ | 低下し | 低くなる | 低くなる |
③ | エルニーニョ | 上昇し | 高くなる | 低くなる |
④ | ラニーニャ | 低下し | 低くなる | 高くなる |
⑤ | ラニーニャ | 上昇し | 高くなる | 低くなる |
解答と解説
【正解①】
- ア: エルニーニョ現象
エルニーニョ現象では、太平洋赤道域の東部で海面水温が異常に上昇し、西太平洋熱帯域では海面水温が低下します。 - イ: 低下し
エルニーニョが発生すると、西太平洋熱帯域では海面水温が低下します。 - ウ: 低くなる
エルニーニョによって日本の夏季には太平洋高気圧の勢力が弱まり、気温が低くなる傾向があります。 - エ: 高くなる
エルニーニョ現象によって冬季には西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。
したがって、最も適切な選択肢は ① エルニーニョ / 低下し / 低くなる / 高くなる です。
I-1-34 再生可能エネルギー
再生可能エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 ただし、以下でFIT制度とは、いわゆる再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)に基づく再生可能エネルギー気の固定価格買取制度を指す。
①FIT制度の対象である太陽光,風力,水力。地熱,バイオマスの各発電のうち,制度開始後に新たに運転を開始した設備導入量が最も大きいのは太陽光発電である。
② FIT制度で買い取られる再生可能エネルギー竜気の買い取りに要した費用は、電気の使用者から広く集められる再生可能エネルギー発電促進賦課金によってまかなわれる。
③ FIT制度における電気事業者による再生可能エネルギーの買取価格は、再生可能エネルギーの種類に関わらず一律である。
④ FIT制度の認定を受けた再生可能エネルギー発電事業者は、発電量に対して、需給の状況によらず、常に固定価格を受け取ることができる。
⑤太陽光発電導入量が多いエリアでは、竜気の無給バランスを雑持するため。火力発電の抑制、揚水発電のくみ上げ運転による結要創出等が行われ、それでもなお供給が需要を上回る場合には再生可能エネルギー発電の出力制が実施されている。
解答と解説
【正解③】
最も不適切なものは ③ です。
③ FIT制度における電気事業者による再生可能エネルギーの買取価格は、再生可能エネルギーの種類に関わらず一律である。
この記述は誤りです。FIT制度における買取価格は、再生可能エネルギーの種類(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)や発電規模によって異なります。さらに、設備の運転開始時期や設置場所の条件などによっても価格が異なる場合があります。一律ではありません。
他の選択肢
- ①: FIT制度の開始以降、最も導入量が多いのは太陽光発電であり、この記述は正しいです。
- ②: FIT制度での再生可能エネルギーの買取費用は、電気使用者からの賦課金でまかなわれることも正しいです。
- ④: FIT制度のもとでは、認定を受けた発電事業者は、発電量に応じて需給の状況にかかわらず固定価格を受け取ることができます。この記述も正しいです。
- ⑤: 太陽光発電導入量が多いエリアでは、需要と供給のバランスを保つために火力発電の抑制や揚水発電の利用が行われ、必要に応じて再生可能エネルギーの出力制御が実施されることも正しいです。
I-1-35 生物多様性の保全
生物多様性の保全に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。ただし、以下において、ワシントン条約とは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」,種の保存法とは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」,LMOとは現代のバイオテクノロジーによって改変された生物を指す。
① ワシントン条約の附属書1に掲載されている種は、日本国内における取引についても、種の保存法に基づく国際希少野生動植物種として規制を受ける。
② 生物の多様性の保全及び持続可能な利用への悪影響を防止するためのLMOの輸出入 手続き等に関する国際的な枠組みは、COP10における名古屋議定書によって初めて定められた。
③ IPBESとIPCCが公表した合同ワークショップ報告書では、気候と生物多様性は相互に関連しており、生態系の保護,持続可能な管理と再生のための対策が気候変動の緩和、気候変動への適応に相乗効果をもたらすとされている。
④ 30by 30は,生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標である。
⑤ 「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトは、国民全体で森里川海を豊かに保ち、その恵みを引き出すこと、また,一人一人が、森里川海の恵みを支える社会をつくることを目指すものである。
解答と解説
【正解②】
① 適切です。ワシントン条約の附属書Iに掲載された種は、種の保存法に基づき国際希少野生動植物種として指定され、国内取引も規制されます。
② 不適切です。LMOの国際的な移動に関する手続きは、2000年に採択されたカルタヘナ議定書によって定められました。名古屋議定書は遺伝資源へのアクセスと利益配分に関するものです。
③ 適切です。IPBESとIPCCの合同報告書の内容を正しく説明しています。
④ 適切です。30by30の目標を適切に説明しています。
⑤ 適切です。「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの目的を正しく述べています。
したがって、最も不適切なものは ② です。
LMOの国際的な移動に関する手続きを定めた国際的な枠組みは、2000年に採択されたカルタヘナ議定書です。これは生物多様性条約の補足議定書として作成されました。一方、名古屋議定書(2010年のCOP10で採択)は、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する国際的な枠組みを定めたものです。
I-1-36 循環型社会の形成と廃棄物処理
循環型社会の形成と廃棄物処理に関する姿の記述のうち、最も不適切なものはどれか。ただし、以下において、循環型社会基本法とは循環型社会形成推進基本法を、戦略とは2019年に策定されたプラスチック資源循環戦略を指す。
① 循環型社会基本法において、基本原則として、循環資源の循環的な利用及び処分の優先順位を、第1に発生抑制、第2に再使用、第3に生利用、第4に熱回収、最後に処分と定めている。
② 3R+Renewableによるプラスチック資源循環は、回避可能な使用は合理化した上で、再生素材や再生可能資源に適切に切り替え,徹底したリサイクルを実施することなどで、プラスチックのライフサイクル全体を通じて資源循環を促進する取組である。
③ 戦略においては、海洋プラスチック対策として、ポイ捨て・不法投棄滅の徹底、洗い流しのスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減の徹底などを定めている。
④ 我が国の廃プラスチックの総排出量に対する有効利用量は、多い順に、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクルとなっている。
⑤ バイオマスプラスチックの原料であるバイオマスは、その成長過程において大気中の二酸化炭素を固定したものであり、バイオマスを再生産する限りにおいては、カーボンニュートラルである。
解答と解説
【正解④】
① 適切です。循環型社会形成推進基本法の基本原則として、処理の優先順位が正しく記述されています。
② 適切です。これは3R+Renewableによるプラスチック資源循環の概念を適切に説明しています。
③ 適切です。プラスチック資源循環戦略における海洋プラスチック対策の一部を正しく述べています。
④ 不適切です。一般的に日本の廃プラスチックの有効利用は、サーマルリサイクル(熱回収)が最も多く、次いでマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの順となっています。
⑤ 正確です。バイオマスプラスチックとカーボンニュートラルの関係を適切に説明しています。
したがって、最も不適切なものは ④ です。
日本の廃プラスチックの有効利用の実態としては、サーマルリサイクル(熱回収)が最も多く、次いでマテリアルリサイクル、そしてケミカルリサイクルの順となっています。この順序は、エネルギー回収の容易さと、技術的・経済的な要因によるものです。
I-1-37 異常気象と防災
異常気象と防災に関する姿の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 都市の気温が周囲よりも高くなる現象をヒートアイランド現象といい,都市化の進展に伴って、顕著になりつつあり、熱中症等の健康への被害や,感染症を媒介する蚊の越冬といった生態系の変化が懸念されている。
②地態が発生して地盤が強い衝撃を受け、地盤が液体のような状態になる現象を液状化現象といい,噴水、噴砂や建物の沈下・傾斜などをもたらし、和6年能登半島地態でも被害が確認されている。
③ 生態系の保全・再生を通じて防災・減災や生物多様性を含めた地域の課題を複合的に解決しようとする考え方をEco-DRRといい,自然と触れ合う場の提供やエコツーリズムの実施など幅広い社会・経済効果が期待できる。
④ 環境負荷低減効果が認められる資機材,建設機械、工法を用いて整備されるインフラをグリーンインフラといい,防災,減災や持続可能で魅力ある国土づくり、地域づくりのため国により推進されている。
⑤ 次々と発生する発達した積乱雲が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過又は停滞することで作り出される線状に伸びる強い降水域を線状降水帯といい,これによる顕著な大雨によって、毎年のように数多くの災害が生じている。
解答と解説
【正解④】
① 適切です。ヒートアイランド現象の定義と影響を適切に説明しています。
② 適切です。液状化現象の定義と影響、最近の事例(令和6年能登半島地震)を正しく説明しています。
③ 適切です。Eco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction:生態系を活用した防災・減災)の概念と期待される効果を適切に説明しています。
④ 不適切です。この説明はグリーンインフラではなく、環境配慮型公共事業(グリーン調達)の説明です。グリーンインフラは、自然環境が有する多様な機能を活用して社会における様々な課題解決を図る考え方や手法を指します。
⑤ 正確です。線状降水帯の定義と影響を適切に説明しています。
したがって、最も不適切なものは ④ です。
グリーンインフラの正しい説明は以下の通りです:
グリーンインフラとは、自然環境が有する多様な機能(生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める考え方や手法を指します。これは、防災・減災、環境保全、快適性の向上など、様々な社会課題の解決に寄与するものとして、国により推進されています。
I-1-38 第五次環境基本計画
第五次環境基本計画(平成30年4月閣議決定)に示されている環境政策の実施の手法に関するの記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 直接規制的手法は、法令によって社会全体として達成すべき一定の目標と守事項を示し、統制的手段を用いて達成しようとする手法である。
② 枠組規制的手法は、目標を提示してその達成を義務づけ、又は一定の手順や手続を踏むことを義務づけることなどによって規制の目的を達成しようとする手法である。
③ 経済的手法は、市場メカニズムを前提とし、経済的インセンティブの付与を介して各主体の経済合理性に沿った行動を誘導することによって政策目的を達成しようとする手法である。
④ 手続的手法は、各主体の意思決定過程に、環境配慮のための判断を行う手続と環境配点に際しての判断基準を組み込んでいく手法である。
⑤ 自主的取組手法は、消費者が自主的に環境負荷の少ない製品などを選択できるように、環境負荷などに関する情報の開示と提供を進める手法である。
解答と解説
【正解⑤】
① 適切です。直接規制的手法の定義を適切に説明しています。
② 適切です。枠組規制的手法の特徴を正しく説明しています。
③ 適切です。経済的手法の定義と目的を適切に説明しています。
④ 適切です。手続的手法の特徴を正しく説明しています。
⑤ 不適切です。この説明は自主的取組手法ではなく、情報的手法の説明に近い説明です。自主的取組手法は、事業者などが自主的に環境保全に関する取組を行うことを推進する手法です。
したがって、最も不適切なものは ⑤ です。
自主的取組手法の正しい説明は以下のようになります:
自主的取組手法は、事業者などが自らの行動に環境配慮を織り込んでいくことを推進するもので、環境保全に関する協定の締結、環境管理システムの導入、環境報告書の作成・公表などが含まれます。この手法は、事業者などの自主性を尊重しながら環境保全への取組を推進するものです。
情報的手法は、環境保全活動に積極的な事業者や環境負荷の少ない製品などを選択できるように、環境負荷などに関する情報の開示と提供を進める手法です。これは ⑤ の説明に近いものです。
I-1-39 社会的責任と環境管理活動
組織の社会的責任と環境管理活動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① ESG金融は、投資家や金融機関などが環境・社会・企業統治といった非財務情報を考慮して行う投融資であり、世界各国で政策的に推進され欧米から先行して普及・拡大し、持続可能な社会を構築する上での鍵となっている。
② グリーンボンドは、調達資金の使途を環境改善効果のあるグリーンプロジェクトに限定して発行される債券であり、発行体・投資家の取組が組み合わさることで、明示的にグリーンプロジェクトに向かう資金の流れを作りだすことができる。
③環境マネジメントシステムは、組織や事業者が、法令で定められた環境に関する方針や目標の達成に向けて取り組んでいくための組織や事業者の体制・手続き等の仕組みであり、会社法上の大会社にはその整備が義務付けられている。
④ 環境会計は、事業活動における環境保全のためのコストと効果を可能な限り定量的に測定し伝達する仕組みであり、経営管理ツールとしての役割と環境に配慮した事業活動に対する適切な評価に結びつく役割が期待される。
⑤TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、事業活動における自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し,開示するための枠組みを構築するものであり、資金の流れをネイチャーポジティブに移行させることが目的である。
解答と解説
【正解③】
① 適切です。ESG金融の定義と重要性を適切に説明しています。
② 適切です。グリーンボンドの特徴と効果を正しく説明しています。
③ 不適切です。環境マネジメントシステム(EMS)の定義は概ね正確ですが、会社法上の大会社にその整備が義務付けられているという記述は誤りです。検索結果によると、EMSは「組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくための組織や事業者の体制・手続き等の仕組み」とされており、法的な義務ではなく自主的な取り組みです。
④ 適切です。環境会計の定義と期待される役割を適切に説明しています。
⑤ 適切です。TNFDの目的と役割を正しく説明しています。
環境マネジメントシステムに関する正しい説明は以下のようになります:
環境マネジメントシステムは、組織や事業者が、自主的に環境に関する方針や目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいくための組織や事業者の体制・手続き等の仕組みです。ISO 14001などの国際規格に基づいて導入されることが多く、法的な義務ではなく自主的な取り組みです。
I-1-40 エシカル消費
エシカル消費に関連する次の記述の,[ ]に入る用語の組合せとして,最も適切なものはどれか。ただし,選択肢の語句のうち,「エコマーク」及び「プラマーク」は各々下の表に示す図案のことである。
エシカル消費は,地域の活性化や雇用なども含む,人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことであり,[ア]の付いた商品の選択的な購入や食品ロスの削減はその例である。
森林認証制度は,[イ]が,一定の基準に適合した森林を認証するとともに,認証された森林から産出される木材等を分別,表示管理することにより,消費者の選択的な購入を促す仕組みである。
加工食品の[ウ] 期限は,定められた方法により保存した場合において,腐敗,変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日のことである。
選択肢 | ア | イ | ウ |
---|---|---|---|
① | エコマーク | 第三者機関 | 消費 |
② | エコマーク | 林野庁 | 賞味 |
③ | プラマーク | 第三者機関 | 賞味 |
④ | プラマーク | 林野庁 | 消費 |
⑤ | プラマーク | 林野庁 | 賞味 |
解答と解説
【正解①】
[ア]には「エコマーク」が適切です。エコマークは環境に配慮した商品につけられるマークで、エシカル消費の一例として挙げられています。
[イ]には「第三者機関」が適切です。森林認証制度は通常、独立した第三者機関によって行われます。
[ウ]には「消費」が適切です。記述の内容は消費期限の定義に合致しています。
消費期限とは、食品が安全に消費できる期間を示すもので、特に腐敗や変質が進む可能性がある食品に対して設定されています。消費期限が過ぎると、その食品は食べることが安全でないとされ、健康へのリスクが高まります。消費期限は、製造者が定めた保存方法に基づいています。消費期限は、特に生鮮食品や冷蔵・冷凍食品など、品質の劣化が早いものに適用されます。これに対して、賞味期限は、食品の風味や品質が保持される期間を示し、過ぎても必ずしも食べられないわけではありません。