【平成30年 2018年】総合技術監理部門 択一問題 解答と解説

目次

I-1-1 品質管理の知識

品質管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 現場で徹底すべき基本的な内容を表現した標語である「5S」 において、「清潔」は、必要なものについた異物を除去することを指す。
② 新QC7 つ道具は言語データの分析に用いられるものであり、数値データを解析する手法は新QC7 つ道具に含まれない。
③ 寸法規格が50±0.3mm で、ある部品の寸法が平均50mm、標準偏差0.1mm の正規分布に従うとき、寸法規格を満たさない部品の全体に占める割合は1%以下である。
④ ISO 9001 は、様々な品質マネジメントシステムの構造を画一化することの必要性を示すことを意図している。
⑤ ISO 9001 は、品質マネジメントシステムに関する要求事項、並びに製品及びサービスに関する要求事項を規定している。

正解と解説

【正解③】

①清潔は、整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな状態を維持することです。

②新QC7つ道具は主に言語データの分析に用いられますが、マトリクスデータ解析で使用する「主成分分析」や、アローダイヤグラムは数値データを解析します。
④「様々な品質マネジメントシステムの構造を画一化することの必要性を示すことを意図している」は誤りです。ISO9001は、顧客満足の向上を目的にした品質マネジメントシステムに関する規格です。

⑤「ISO9001は、製品及びサービスに関する要求事項を規定している。」は誤りです。「製品及びサービスに関する要求事項の明確化」を要求しています。

I-1-2 活動基準原価計算 ABC

活動基準原価計算(Activity Based Costing:ABC)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 活動基準原価計算を実施する主目的は、財務諸表を作成するための製品原価の算定をより正確に行うことにある。
② 活動基準原価計算は、製造業における直接費の増加を背景として注目された手法であり、非製造業への適用も可能である。
③ 活動基準原価計算では、製造間接費の各製品への配賦基準として、主に直接作業時間や機械時間が用いられる。
④ 活動基準原価計算は、一般に、伝統的な原価計算と比べて、少量生産品に製造間接費を少なく配賦する。
⑤ 活動基準原価計算におけるコスト・ドライバーの例として、部品数、段取り回数、検査回数、仕様書枚数、開発者数が挙げられる。

正解と解説

【正解⑤】

活動基準原価計算は、製造業での間接費の増加が背景にあります。それまでの原価計算では、少量生産品に製造間接費が少なく配賦されており、製品ごとに発生した原価を正しく把握することができないという問題がありました。コスト・ドライバー(コスト発生要因)に基づいて、間接費を配布する手法が活動基準原価計算です。

I-1-3 投資計画

計画期間5 年、初期投資費用1,500 万円で、計画期間の間、毎年400 万円の利益が得られるプロジェクトがある。このプロジェクトにおいて、追加投資を2 年経過後(3 年目の年初)に行うか否かを検討している。追加投資費用が300 万円で、追加投資によって3 年目以降の利益が毎年(400+X)万円になるとき、追加投資を行う場合と行わない場合とで、プロジェクト開始時点でのプロジェクトの正味現在価値が等しくなるようなX の値に最も近いものはどれか。ただし、割引率(年利率)は3%で、利益は年末に得られるものとする。また、上で述べたもの以外の費用や利益は考えない。

① 100
② 103
③ 106
④ 109
⑤ 113

正解と解説

【正解③】

追加投資無し

追加投資有り

題意に沿って単純化

題意を整理すると、

追加投資300万円と、それによって増加する利益が等しくなるときのXを求めよ と言えます。
つまり、初期投資額1500万円と年間利益400万円は考慮する必要はありません。
これを図で表すと、次のようになります。
紫が考慮しない部分、つまり追加投資有無で重複している部分、
橙が、解答を得るために考量する部分です。

考慮する、橙の部分のみを抜き出します。

これで問題の単純化は完了です。
次に、3年間の利益と追加投資額300万円が等しくなるXを求めます。
3年目の初めを基準として式を立てて解くとXが求まります。

x/1.03 + x/(1.03)2 + x/(1.03)3 = 300
X = 106 (万円)

I-1-4 プロジェクトスケジュール

7 つの作業A~G で構成されるプロジェクトがあり、各作業の所要日数と先行作業(その作業を開始する前に完了しているべき作業)が下表のように与えられている。ここで、作業A と作業B は、同じ設備を使用するため、同時に行うことはできない。このプロジェクトの最短の総所要日数はどれか。

作業A:所要日数5、先行作業なし
作業B:所要日数2、先行作業なし
作業C:所要日数4、先行作業A
作業D:所要日数6、先行作業B
作業E:所要日数3、先行作業C、D
作業F:所要日数5、先行作業C、D
作業G:所要日数4、先行作業E

① 16 日
② 18 日
③ 20 日
④ 22 日
⑤ 24 日

正解と解説

【正解②】

アローダイヤグラムは下図のようになります。


クリティカルパスは経路A⇒C⇒E⇒Gの16日間です。前提条件として、作業Aと作業Bは並行作業できないため、クリティカルパスの日数16日に、Bの2日を加え、最短の総所要日数は18日と求まります。

I-1-5 サプライチェーンマネジメント

原材料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまで、複数の企業からなるサプライチェーンを考える。サプライチェーンマネジメント(SCM)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、用語の意味・同義語は下表のとおりとする。

  • ブルウィップ効果:ある製品に対するサプライチェーンにおいて、各企業がそれぞれ需要を予測しながら発注していく場合、川下から川上に段階がさかのぼるにしたがい、需要予測量の変動が増幅していく現象
  • パートナー企業:サプライチェーンに参加する企業
  • TOC:制約条件の理論

① SCM を適用する前のサプライチェーンでは、パートナー企業聞にブルウィップ効果が現れることがある。
② SCM は、顧客や市場の変化に対しパートナー企業間でICT などによる情報共有によって迅速に対応しようとする供給連鎖のビジネスモデルとして出現した。
③ SCM で、パートナー企業間で需要や在庫の情報を共有することによって、ブルウイップ効果の減少が期待される。
④ SCM では、全体最適化のためTOC を適用し、サプライチェーン全体のほとんどの在庫を川下の最終消費者に近いパートナー企業に集めることが推奨される。
⑤ 企業あるいはサプライチェーンを取り巻く環境は変化していることから、SCM は環境変化に合わせて変化させていくことが重要である。

正解と解説

【正解④】

サプライチェーンマネジメント(SCM)に関する問題において、各選択肢を検討します。

各選択肢の検討

① SCM を適用する前のサプライチェーンでは、パートナー企業間にブルウィップ効果が現れることがある。

    • 適切。ブルウィップ効果は、サプライチェーンにおいて、需要予測が段階を経るごとに増幅されていく現象です。SCMが適用される前はこのような現象が見られることがあるため、正しい記述です。

    ② SCM は、顧客や市場の変化に対しパートナー企業間でICT などによる情報共有によって迅速に対応しようとする供給連鎖のビジネスモデルとして出現した。

      • 適切。SCMは、ICT(情報通信技術)を活用し、サプライチェーン内で情報を共有し、迅速に対応することを目的としたビジネスモデルです。

      ③ SCM で、パートナー企業間で需要や在庫の情報を共有することによって、ブルウイップ効果の減少が期待される。

        • 適切。SCMを活用し、パートナー企業間で需要や在庫情報を共有することで、ブルウィップ効果を抑制することが期待されます。

        ④ SCM では、全体最適化のためTOC を適用し、サプライチェーン全体のほとんどの在庫を川下の最終消費者に近いパートナー企業に集めることが推奨される。

          • 不適切。TOC(制約条件の理論)では、全体最適化を図るために、サプライチェーン全体でのボトルネックや制約に対処することが重視されますが、「在庫を川下のパートナー企業に集めることが推奨される」という記述は一般的ではありません。SCMでは、在庫の適切な配置が重要であり、特定の場所に在庫を集中させることが推奨されるわけではありません。

          ⑤ 企業あるいはサプライチェーンを取り巻く環境は変化していることから、SCM は環境変化に合わせて変化させていくことが重要である。

            • 適切。SCMは、企業やサプライチェーンを取り巻く環境が常に変化しているため、柔軟に対応し、最適化していくことが重要です。

            正解

            ④ SCM では、全体最適化のためTOC を適用し、サプライチェーン全体のほとんどの在庫を川下の最終消費者に近いパートナー企業に集めることが推奨される。

            この記述は不適切です。

            I-1-6 カスタマイゼーション

            製品やサービスに関するマスカスタマイゼーションのアプローチの記述について、適用例との組合せとして最も適切なものはどれか。

            [アプローチ]
            (ア)顧客情報の事前分析により、顧客のニーズを満たす仕様で製品・サービスを提供する。
            (イ)標準仕様品に簡単な施しを加えて、製品・サービスとして顧客へ提供する。
            (ウ)顧客との個別の相互対話を通じて顧客のニーズをくみ取り、満足のいく製品・サービスを提供する。
            (エ)標準仕様品に顧客自身でカスタム化できるように手を加えて、製品・サービスを提供する。

            [適用例}
            (A) プログラム可能な照明装置
            (B) ホテルチェーンにおける顧客データベースに基づくサービスの提供
            (C) 採寸と顧客との会話を基に製造され、履き心地を保証したカスタムメイドの靴
            (D) シャツへのネーム入れ

            ABCD
            BACD
            CABD
            ADBC
            BDCA
            正解と解説

            【正解⑤】

            マスカスタマイゼーションは次の4タイプのアプローチが定義されています。

            1. 共創のカスタム化
              顧客との対話を通して顧客のニーズを明らかにし、顧客のニーズに合致するカスタマイズ商品を提供する。
            2. 順応のカスタム化
              顧客が自分自身でカスタマイズできるように設計されたスタンダード商品を提供し、顧客自身が自らのニーズに適合できるようにカスタマイズする。
            3. 表層のカスタム化
              スタンダードな商品を特別にあつらえたかのように表面的にかえて個々の顧客に提供する。
            4. 深層のカスタム化
              個々の顧客にカスタム化した商品やサービスをカスタム化したことが悟られないように提供する。

            I-1-7 生産統制

            ある職場では、負荷と能力について来月の工数の計算を行い、必要な残業時間を見積もっている。次のa~h の条件のもとで、負荷工数(時間)から能力工数(時間)を引いた来月の総残業時間(時間)として最も近いものはどれか。

            [条件]
            a.作業者数:10 名
            b.定時での1 日当り就業時間:8 時間
            c.就業日数:20 日
            d.作業者の平均出勤率:95%
            e.1 人の作業者が1 個を生産するための標準時間(総加工時間):20 分
            f.来月の適合品の生産計画量:4,900 個
            g.生産数量に対する適合品の数量の比率:99%
            h.その他の条件は考慮しないものとする。

            ① 34 時間
            ② 50 時間
            ③ 114 時間
            ④ 130 時間
            ⑤ 136 時間

            正解と解説

            【正解④】

            題意に沿って計算します。

            負荷工数 = 4 900 個×20 分÷60 分÷0.99
                           =1 649.8

            能力工数 = 10 人×8 時間×20 日×0.95
                           =1520

            総残業時間 = 負荷工数―能力工数
                               = 1 649.8-1 520
                               =129.8

            よって④の130時間が最も近い

            I-1-8 財務諸表

            財務諸表に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

            ① 財務会計は、企業外部の利害関係者に対して、企業の状況に関する会計情報を伝達することを主な目的とする。
            ② 貸借対照表は、資産、負債、純資産によって、一定時点(通常は決算日)の財政状態を表すものである。
            ③ 損益計算書は、収益と費用を対比して、利益を算出することにより、一定期間(通常は1 年の会計期間)における経営成績を示すものである。
            ④ 損益計算書(報告式)では、売上総利益、経常利益、営業利益、純利益の順に損益が計算される。
            ⑤ キャッシュ・フロー計算書は、一定期間(通常は1 年の会計期間)におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示し、現金(現金と同等のものを含む。)の動きを明らかにするものである。

            正解と解説

            【正解④】

            次の選択肢の中で、最も不適切なものを見ていきます。

            各選択肢の検討

            ① 財務会計は、企業外部の利害関係者に対して、企業の状況に関する会計情報を伝達することを主な目的とする。

              • 適切。財務会計は、主に企業外部の利害関係者(株主、債権者、投資家など)に企業の財務状況を伝達することを目的としています。

              ② 貸借対照表は、資産、負債、純資産によって、一定時点(通常は決算日)の財政状態を表すものである。

                • 適切。貸借対照表(バランスシート)は、特定の時点における企業の資産、負債、および純資産を示し、財政状態を表します。

                ③ 損益計算書は、収益と費用を対比して、利益を算出することにより、一定期間(通常は1 年の会計期間)における経営成績を示すものである。

                  • 適切。損益計算書は、企業の一定期間の経営成績を示すために、収益と費用を対比して利益を算出します。

                  ④ 損益計算書(報告式)では、売上総利益、経常利益、営業利益、純利益の順に損益が計算される。

                    • 不適切。損益計算書の計算順序において、通常は「売上総利益→営業利益→経常利益→純利益」の順で計算されます。ここで「営業利益」が「経常利益」より先に算出されるため、「経常利益→営業利益」の順は不適切です。

                    ⑤ キャッシュ・フロー計算書は、一定期間(通常は1 年の会計期間)におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示し、現金(現金と同等のものを含む。)の動きを明らかにするものである。

                      • 適切。キャッシュ・フロー計算書は、営業活動、投資活動、財務活動の区分に分けて、一定期間のキャッシュの流れを示します。

                      正解

                      ④ 損益計算書(報告式)では、売上総利益、経常利益、営業利益、純利益の順に損益が計算される。

                      この選択肢が不適切です。

                      I-1-9 育児・介護休業法

                      いわゆる育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)においては、育児のために次に示す5 つの制度が定められている。このうち、2 歳の子を養育する労働者が一定の要件を満たす場合に利用できる制度の数はどれか。

                      (ア)育児休業:労働者は、事業主に申し出ることにより、子1 人につき原則として1 回、育児休業をすることができる。
                      (イ)子の看護休暇:労働者は、事業主に申し出ることにより、病気やけがをした子の看護を行うなど、のために、年間一定日数の休暇を取得することができる。
                      (ウ)所定労働時間短縮の措置:事業主は、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度( 1 日の所定労働時間を原則として6 時間とする措置を必ず含む。)を設けるなどの措置を講じなければならない。
                      (エ)深夜業の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を午後10 時から午前5 時までの聞において労働させてはならない。
                      (オ)所定外労働の制限:労働者が請求した場合には、事業主は、原則としてその労働者を、所定労働時間を超えて労働させてはならない。

                      ① 1
                      ② 2
                      ③ 3
                      ④ 4
                      ⑤ 5

                      正解と解説

                      【正解④】

                      下表は、各種制度とポイントをまとめたものです。

                      育児休業1歳になるまで事前申請により1歳6カ月から2歳まで延長可能2回までの分割取得可能
                      子の看護休暇小学校就学の始期に達するまでの子労働者1人につき年5日
                      所定労働時間短縮の措置1日の所定労働時間を原則として6時間にする子どもが3歳になるまで
                      深夜業の制限深夜業とは、午後10時から午前 5 時まで小学校就学の始期に達するまでの子要介護状態の家族がいる従業員  
                      所定外労働の制限子どもが3歳になるまで

                      これより、(ア)のみが2歳の子に対しては適用不可です。
                      (ア)以外の4制度は適用可能なので④が正解です。

                      I-1-10 ジョブ型とメンバーシップ型

                      企業の人事管理、賃金管理等に対する考え方は、欧米諸国に代表される「仕事」に「人」を当てはめるいわゆる「ジョブ型」(職務主義)と、日本に代表される「人」を中心に管理し「人」と「仕事」の結びつきはできるだけ自由に変えられるようにしておくいわゆる「メンバーシップ型」(属人主義)がある。次の記述のうち、それぞれの型とその特徴の組合せとして最も不適切なものはどれか。

                      ① 「ジョブ型」:採用は、欠員の補充などの必要な時に、必要な数だけ行う。
                      ② 「ジョブ型」:職務への配置に当たって重要なのは、個々の仕事の能力より、仕事の中でスキルが上がっていく潜在能力である。
                      ③ 「ジョブ型」:職種別に賃金が決まっており、年齢、家族構成などは賃金に反映されない。
                      ④ 「メンバーシップ型」:定期的な人事異動があり、勤務地が変わる転勤も広範に行われる。
                      ⑤ 「メンバーシップ型」:仕事に関する教育訓練は、公的教育訓練よりOJT などの社内教育訓練が中心である。

                      正解と解説

                      【正解②】

                      この問題では、ジョブ型(職務主義)とメンバーシップ型(属人主義)について、その特徴が正しく記述されているかを確認します。

                      各選択肢の検討

                      ① 「ジョブ型」:採用は、欠員の補充などの必要な時に、必要な数だけ行う。

                        • 適切。ジョブ型では、特定の職務に必要な人材を必要なタイミングで採用することが一般的です。欠員補充や特定のスキルを持つ人材の採用が重視されます。

                        ② 「ジョブ型」:職務への配置に当たって重要なのは、個々の仕事の能力より、仕事の中でスキルが上がっていく潜在能力である。

                          • 不適切。ジョブ型では、職務に必要なスキルや資格が明確に定義されており、その職務に適した能力が重視されます。潜在能力よりも、現時点でのスキルが重視されるため、この記述は不適切です。

                          ③ 「ジョブ型」:職種別に賃金が決まっており、年齢、家族構成などは賃金に反映されない。

                            • 適切。ジョブ型では、賃金は職務に基づいて決まるため、年齢や家族構成などの個人的な要因は賃金に影響を与えません。

                            ④ 「メンバーシップ型」:定期的な人事異動があり、勤務地が変わる転勤も広範に行われる。

                              • 適切。メンバーシップ型では、定期的な人事異動や転勤が行われ、社員が幅広い経験を積むことが期待されます。

                              ⑤ 「メンバーシップ型」:仕事に関する教育訓練は、公的教育訓練よりOJT などの社内教育訓練が中心である。

                                • 適切。メンバーシップ型では、企業内でのOJTや社内教育が重要視され、社員が組織内で成長することが期待されます。

                                正解

                                ② 「ジョブ型」:職務への配置に当たって重要なのは、個々の仕事の能力より、仕事の中でスキルが上がっていく潜在能力である。

                                この選択肢が不適切です。ジョブ型では、現時点での具体的な職務遂行能力が重要視されます。

                                I-1-11 教育訓練の方法

                                教育訓練の方法には、基本的にOJT、OFF-JT、自己啓発の3 つがある。次の記述のうち、OFFJTに関するものとして最も適切なものはどれか。

                                ① 社員が自ら設定した目標を達成するための方法等を計画し、実行するもので、企業の支援方法として金銭的援助、情報提供などがある。
                                ② 社員の能力や必要性に応じて教えることができるが、知識の体系的取得が難しい。
                                ③ 実施方法には、社員が自主的に参加する研究会やインターネットによる自学・自習などがある。
                                ④ 社内外の専門家から知識や情報を得ることができるだけでなく、社員の一体感の醸成にも効果的である。
                                ⑤ 他の企業でも広く使える一般能力に対して、その企業でのみ使える特殊能力を、社員が身につけるために最も有効な教育訓練方法である。

                                正解と解説

                                【正解④】

                                次の選択肢の中から、OFF-JT(Off-the-Job Training)に関する記述を確認していきます。

                                各選択肢の検討

                                ① 社員が自ら設定した目標を達成するための方法等を計画し、実行するもので、企業の支援方法として金銭的援助、情報提供などがある。

                                  • 不適切。これは自己啓発に関連した記述です。社員が自主的に目標を設定し、計画的に実行する形式は自己啓発型の教育訓練です。

                                  ② 社員の能力や必要性に応じて教えることができるが、知識の体系的取得が難しい。

                                    • 不適切。これはOJT(On-the-Job Training)に関する記述です。OJTでは、実際の業務を通じて社員の能力に応じた教育が行われますが、知識の体系的取得が難しい点が特徴です。

                                    ③ 実施方法には、社員が自主的に参加する研究会やインターネットによる自学・自習などがある。

                                      • 不適切。これは自己啓発に関する記述です。研究会やインターネットによる自学・自習は、社員の自主的な学びの機会を指します。

                                      ④ 社内外の専門家から知識や情報を得ることができるだけでなく、社員の一体感の醸成にも効果的である。

                                        • 適切。これはOFF-JTに関する記述です。社内外の専門家からの講義や研修によって知識や情報を得ることができ、また、研修などでのグループ活動を通じて社員間の一体感を高める効果があります。

                                        ⑤ 他の企業でも広く使える一般能力に対して、その企業でのみ使える特殊能力を、社員が身につけるために最も有効な教育訓練方法である。

                                          • 不適切。この記述はOJTに関連しています。OJTでは、その企業特有のスキルや業務に関連した特殊能力を身につけるのに適しています。

                                          正解

                                          ④ 社内外の専門家から知識や情報を得ることができるだけでなく、社員の一体感の醸成にも効果的である。

                                          この選択肢が、OFF-JTに関する最も適切な記述です。

                                          I-1-12 ワーク・ライフ・バランス

                                          ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に関する法律や制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                          ① 次世代育成支援対策推進法では、行動計画を策定した企業のうち、一定の基準を満たした企業は、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けることができる。
                                          ② いわゆる育児・介護休業法では3 要介護状態にある家族を労働者が介護するため、対象家族l 人につき一定日数までの介護休業を、分割して取得することができる。
                                          ③ いわゆる若者雇用促進法では、若者の雇用管理の状況などが優良な、一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣の認定を受けることができる。
                                          ④ いわゆる男女雇用機会均等法では、職場に事実上生じている男女間の格差を是正するために、募集・採用や配置・昇進で男性又は女性を有利に取り扱う措置を講じることができる。
                                          ⑤ いわゆる女性活躍推進法では、行動計画を策定した企業のうち、一定の基準を満たした優良な企業は、厚生労働大臣の認定を受けることができる。

                                          正解と解説

                                          【正解④】

                                          特例として女性の優遇が認められる場合があります(法第8条)

                                          職場に事実上生じている男女間の格差を是正して、男女の均等な機会・待遇を実質的に確保するために、事業主が、女性のみを対象とするまたは女性を有利に取り扱う措置(ポジティブ・アクション)は法違反とはなりません。

                                          ④中の「男性又は」は誤りです。

                                          I-1-13 リーダーシップ理論

                                          リーダーシップに関する理論として、リーダーシップを指示的行動と協労的行動という2 つの軸で論じ、最適な効果を生むリーダーシップは部下の成熟度によって異なるという考え方がある。部下の成熟度を「未成熟」、「やや未成熟」、「やや成熟」、「成熟」という4 段階に分類したときに、第2 段階である「やや未成熟」な部下に対するリーダーの対応として、最も適切なものはどれか。

                                          ① 仕事に関してこちらの考えを説明し、疑問があればそれに答えるなど双方向のコミュニケーションを行う。
                                          ② 仕事遂行の責任は部下に委ね、ゆるやかに監督する。
                                          ③ 仕事上での自由裁量や自律性を高め、意思決定を部下とともに行う。
                                          ④ 仕事の手順や進め方などをOJT も含め指導し、監督する。
                                          ⑤ 早く仕事を覚えさせて自信を持たせ、仕事仲間であるという安心感を与える。

                                          正解と解説

                                          【正解①】

                                          SL理論に関する出題です。

                                          「やや未成熟」な部下に対しては、説得型リーダーシップを採用します。

                                          ②成熟⇒委任型リーダーシップを採用する
                                          ③やや成熟⇒参加型リーダーシップを採用する
                                          ④⑤未成熟⇒教示型リーダーシップを採用する

                                          I-1-14 就労状況

                                          「平成29 年版労働経済の分析」(労働経済白書)における我が国の就労状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                          ① 平成28 年の正規雇用労働者数は、前年に比べ減少している。
                                          ② 平成28 年の男女別就業率をリーマンショック前の平成19 年と比較すると、55 歳以上では男女とも就業率が上昇している。一方、25~54 歳の就業率は男性では上昇し、女性では低下している。
                                          ③ 65 歳以上の高齢者の就業状況に着目すると、平成28 年の非正規雇用者数は前年に比べ増加しているものの正規雇用者数は減少している。
                                          ④ 日本で働く外国人の労働者については、これまで増加傾向がみられていたが、平成27 年以降は減少傾向に転じている。
                                          ⑤ 障害者の雇用者数は、平成28 年まで10 年以上連続で前年を上回り過去最高を更新している。

                                          正解と解説

                                          【正解⑤】

                                          「労働経済の分析」を引用した就労状況に関する問題は、たびたび出題されています。

                                          ①正規雇用労働者数は増加しています。
                                          ②22~54歳の就業率は、男女ともに増加しています。

                                          ③正規雇用者数も増加しています。

                                          ④外国人労働者数は増加しています。

                                          I-1-15 人事評価の制度設計

                                          人事評価の制度設計に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                          ① 人事評価を絶対評価で行う場合、評価要素が本来従業員の働きぶりを示すものとしては不適切な内容を含んでいたり、評価要素が細分化され評価項目数が多くなり過ぎてしまったりして、正確な評価ができないことがある。
                                          ② 人事評価を相対評価で行う場合、グループ内での相対的順位や位置づけを考慮するため、評価対象者の評価に他者の結果が影響する。また比較対象となるグループのメンバー次第で、評価対象者の相対的位置が上下してしまうことがある。
                                          ③ 評価の信頼性を高めるためには評価者訓練が効果的である。評価者訓練においては、評価を行う意義と目的をしっかりと説明する必要があり、また、評価の際に介入しやすいバイアスの存在を知らせることも大切である。
                                          ④ 人事評価の評価分野には、能力評価、情意評価、成果評価などがあり、それぞれ従業員のランク別に評価基準を設定する。一般的に、上位ランクになるほど能力評価や情意評価が、成果評価より重視される。
                                          ⑤ 目標管理による評価制度では、一般的に、会社の経営戦略や経営方針が示された後、各部門の管理者が部門ごとの方針、目標などを決定し、その後に個人の目標を設定する、というように上位組織から順に目標が決定される。

                                          正解と解説

                                          【正解④】

                                          人事評価の制度設計に関する記述について、最も不適切なものを特定していきます。

                                          各選択肢の検討

                                          ① 人事評価を絶対評価で行う場合、評価要素が本来従業員の働きぶりを示すものとしては不適切な内容を含んでいたり、評価要素が細分化され評価項目数が多くなり過ぎてしまったりして、正確な評価ができないことがある。

                                            • 適切。絶対評価では、評価基準が不適切であったり、多すぎたりすると、正確な評価ができない可能性があります。

                                            ② 人事評価を相対評価で行う場合、グループ内での相対的順位や位置づけを考慮するため、評価対象者の評価に他者の結果が影響する。また比較対象となるグループのメンバー次第で、評価対象者の相対的位置が上下してしまうことがある。

                                              • 適切。相対評価では、他者との比較が評価に影響を与えるため、評価対象者の相対的位置が変動することは一般的です。

                                              ③ 評価の信頼性を高めるためには評価者訓練が効果的である。評価者訓練においては、評価を行う意義と目的をしっかりと説明する必要があり、また、評価の際に介入しやすいバイアスの存在を知らせることも大切である。

                                                • 適切。評価者訓練は、評価の信頼性を高めるために重要であり、バイアスの理解を促すことは有効なアプローチです。

                                                ④ 人事評価の評価分野には、能力評価、情意評価、成果評価などがあり、それぞれ従業員のランク別に評価基準を設定する。一般的に、上位ランクになるほど能力評価や情意評価が、成果評価より重視される。

                                                  • 不適切。一般的には、上位ランクの従業員においても、成果評価が重視されることが多いです。能力評価や情意評価が重視されるのは、特に上位職の人材育成においてですが、必ずしも成果評価が軽視されるわけではありません。

                                                  ⑤ 目標管理による評価制度では、一般的に、会社の経営戦略や経営方針が示された後、各部門の管理者が部門ごとの方針、目標などを決定し、その後に個人の目標を設定する、というように上位組織から順に目標が決定される。

                                                    • 適切。目標管理制度では、上位組織から下位組織へと目標が伝播していく流れが一般的です。

                                                    正解

                                                    ④ 人事評価の評価分野には、能力評価、情意評価、成果評価などがあり、それぞれ従業員のランク別に評価基準を設定する。一般的に、上位ランクになるほど能力評価や情意評価が、成果評価より重視される。

                                                    この選択肢が最も不適切です。上位ランクにおいても成果評価は重要視されることが一般的です。

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                                                    労働基準法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、ここでいう労使協定とは「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」である。

                                                    ① 使用者は、労働時間が6 時間を超える場合は45 分以上、8 時間を超える場合は1 時間以上の休憩を与えなければならない。また、少なくとも毎週1 日の休日か、4 週間を通じて4 日以上の休日を与えなければならない。
                                                    ② 労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められる。なお、時間外労働時間には限度が設けられている。
                                                    ③ 変形労働時間制は、労使協定又は就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1 週間当たりの労働時聞が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度である。
                                                    ④ フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労使協定により、一定期間を平均し1 週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業、終業時刻を労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度である。
                                                    ⑤ 使用者は、雇入れ日から起算して、6 ヶ月継続勤務し全労働日の8 割以上出動した労働者に対して、継続し、又は分割した10 労働日の有給休暇を与えなければならない。なお、いわゆる育児・介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間は出動したものとはみなさない。

                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    「育児・介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間は出動したものとはみなさない。」は誤りです。出勤したものとみなします。

                                                    I-1-17 テレワーク

                                                    テレワークに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① テレワークで円滑に仕事を進めるためには、書類を電子化しネットワーク上で共有するなど、仕事のやり方を変革することが必要となる。
                                                    ② テレワークの導入に当たっては、職場とは異なる環境で仕事を行うことになるため、組織の情報セキュリティポリシーを見直すことが必要となる。
                                                    ③ シンクライアント型のテレワーク端末を用いることで、電子データの実体を持ち出すことなくテレワーク先での作業が可能となる。
                                                    ④ テレワークに要する通信回線の費用や情報通信機器の費用については、テレワークを行う労働者が負担する場合がある。
                                                    ⑤ 自宅でのテレワークの実施中は、労働基準法上の労働者であっても、いわゆる労災保険の適用対象外となる。

                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    テレワーク中でも、業務遂行性・業務起因性との関係があれば労災保険の適用となります。

                                                    I-1-18 ブロックチェーン技術

                                                    仮想通貨(ビットコインなど)で使われているブロックチェーン技術に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① データを保管するノードを多数配置し、当該データをネットワーク全体で共有する分散処理構造を採用することで、データベースとしての高可用性を実現する。
                                                    ② 電子署名とハッシュ値を利用しデータブロックを連鎖状に繋げるデータ構造を採用することで、事実上改ざん不可能といえるほど改ざん耐性を高めている。
                                                    ③ ブロックチェーン技術を用いることで、データの秘匿性と入力されるデータの真正性が保証される。
                                                    ④ データを自動処理するプログラムをブロックチェーン上で動かすことで、人手を介さなくても手続や契約を履行できるスマートコントラクトも、ブロックチェーンの特徴である。
                                                    ⑤ 海外では政府による公共サービス提供への利用が公表されるなど、仮想通貨に限らず様々な分野での活用が検討されている。

                                                    正解と解説

                                                    【正解③】

                                                    ブロックチェーン技術は耐改ざん性・耐障害性に優れていますが、秘匿性はありません。

                                                    I-1-19 PCT国際出願

                                                    特許協力条約(PCT)に基づく国際出願(以下「PCT 国際出願」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① PCT 国際出願は、国際的に統一された出願書類をPCT 加盟国である自国の特許庁に対して1 通だけ提出すれば良い。
                                                    ② PCT 国際出願では、PCT 加盟国である自国の特許庁に出願書類を提出すれば、すべてのPCT 加盟国に対して「国内出願」を出願したことと同じ扱いが得られる。
                                                    ③ PCT 国際出願に関する手続のほとんどは、自国の特許庁で母国語を用いて行える。
                                                    ④ すべてのPCT 国際出願は、その発明に関する先行技術があるか否かを調査する「国際調査」の対象となる。
                                                    ⑤ 自国での審査の結果、「特許査定」が得られれば、すべてのPCT 加盟国における特許権が認められる。

                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    PCT出願を行った後に、特許権の取得を希望する条約加盟国の国内手続きへ移行し、その国の審査を通過する必要があります。国内手続きの移行期限は、条約加盟国により異なりますが、優先日から30ヵ月を移行期限とする国が多いです。

                                                    I-1-20 デジタル技術用語

                                                    デジタル技術に関する用語と対応する説明の組合せとして最も適切なものはどれか。

                                                    (ア)工場や製品などに関わる物理世界の出来事を、そっくりそのままサイバー空間上に再現する考え方
                                                    (イ)デジタルテクノロジーによる破壊的創造、破壊的イノベーション
                                                    (ウ)パソコンやインターネットを使いこなせる者と、使いこなせない者との間に生じる経済的・社会的格差
                                                    (エ)デジタル技術の普及・浸透による「社会のデジタル化」がもたらす組織や社会の変革

                                                    デジタルツインデジタルデバイドデジタルトランスフォーメーションデジタルディスラプション
                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    “デジタル”に続く単語の意味がわかれば答えられる問題です。

                                                    I-1-21 情報セキュリティの脅威

                                                    組織の情報資産を脅かす情報セキュリティの脅威に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① DoS 攻撃:企業や国家の機密情報の詐取等を目的に、特定の個人や組織、情報を狙ったサイバー攻撃。
                                                    ② ランサムウェア:コンピュータウイルスの一種で、感染したコンビュータが正常に利用できないよう人質に取り、復元のために代価の支払いを要求するソフトウェア。
                                                    ③ 標的型攻撃:大量のデータや不正なデータを特定のコンピュータや通信機器等に送りつけ、相手方のシステムを正常に稼働できない状態に追い込むサイバー攻撃。
                                                    ④ メール爆弾:ウイルスに感染した電子ファイルを電子メールに添付して、コンピュータをウイルスに感染させ、メール受信者のデータを破壊するサイバー攻撃。
                                                    ⑤ ビジネスメール詐欺:実在の金融機関等を装った電子メールを送付し、偽のWeb サイトに誘導して、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号等の情報を詐取する詐欺。

                                                    正解と解説

                                                    【正解②】

                                                    ①:記述は標的型攻撃の説明です。標的型メールは主に企業・組織に対する攻撃です。
                                                    ③:記述はDoS 攻撃の説明です。
                                                    ④:メール爆弾とは、対象とした相手に故意的にメールを大量に送り、メールサーバをダウンさせる攻撃。Dos攻撃の一種と考えることもできる。
                                                    ⑤:ビジネスメール詐欺は、メールアカウントをのっとり、自社または関連会社の経営層や取引先になりすまし、金銭をだまし取ることを目的としたサイバー攻撃のことです。記述はフィッシングメールの説明です。

                                                    I-1-22 改正個人情報保護法

                                                    いわゆる改正個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① この法律は、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としている。
                                                    ② 「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの、あるいはマイナンバーや旅券番号等の「個人識別符号」が含まれるものをいう。
                                                    ③ 「要配慮個人情報」とは、指紋や虹彩等の特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した情報であって、「個人識別符号」よりも、その取扱いに特別な配慮を要する個人情報をいう。
                                                    ④ 「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいい、国の機関、地方公共団体等は含まれない。
                                                    ⑤ 特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、その個人情報を復元できないようにした「匿名加工情報」については、その取扱いを「個人情報」の取扱いよりも緩やかに規律することで、自由な流通や利活用を促進している。

                                                    正解と解説

                                                    【正解③】

                                                    「指紋や虹彩等の特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した情報」は要配慮個人情報に該当しないため誤りです。

                                                    要配慮個人情報とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪 の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益 が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」とされています。

                                                    I-1-23 第4 次産業革命

                                                    IoT、ビッグデータ、人工知能等の技術革新による、いわゆる第4 次産業革命に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 第4 次産業革命とは、農業等の第1 次産業、建設業等の第2 次産業、小売業等の第3 次産業に続く、新たな第4 次産業を創出する変革のことをいう。
                                                    ② 第4 次産業革命は、産業に関する変革が対象であり、スマートハウスにより快適・便利な暮らしが実現できる等の社会生活に関する変革は、第4 次産業革命の対象ではない。
                                                    ③ 第4 次産業革命の事例である「シェアリングエコノミーサービス」とは、高い市場シェアを獲得することで標準たる地位を獲得して提供される安価なサービスのことをいう。
                                                    ④ 日本では全国の駅やコンビニ等で、安心して24 時間利用できるATM の利便性があり、決済送金サービス等の「フィンテック」の普及度合いで日本が欧米をリードしている。
                                                    ⑤ 第4 次産業革命により、個々にカスタマイズされた製品・サービスの安価な提供、既に存在している資源・資産の効率的な活用、人工知能やロボットによる労働の補助・代替等が可能となる。

                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    第1次産業革命

                                                    石炭、蒸気機関を動力源とする軽工業中心の発展です。

                                                    第2次産業革命

                                                    石油を動力源とする重工業中心の工業の発展です。

                                                    第3次産業革命

                                                    コンピューターの導入による自動化です。

                                                    第4次産業革命
                                                    IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータを用いた技術革新です。

                                                    上記の定義から、①②は誤りであることがわかります。

                                                    ③シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して、個人同士でモノや場所、スキルなどを取引するサービスのことです。

                                                    ④日本でのフィンテックの普及度は欧米に比べると低い水準にあります。

                                                    I-1-24 無線通信方式

                                                    スマートフォンやIoT 端末等の通信には、様々な用途に応じた無線通信方式が用いられる。最近では、環境モニタリングやスマートメータ一等の多数のIoT 端末からの情報を収集する用途に適したLPWA と呼ばれる方式の開発やネットワークの構築が進められている。下図は、縦軸を無線電波のカバー範囲、横軸を消費電力・速度・コストとしたときの、代表的な無線通信方式の位置付けを示したものである。次のうち、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)に該当する無線通信方式(技術の総称、規格名あるいはブランド名)の組合せとして最も適切なものはどれか。

                                                    LPWA4G(LTE)Wi-FiBluetooth
                                                    BluetoothWi-Fi4G(LTE)LPWA
                                                    4G(LTE)LPWAWi-FiBluetooth
                                                    4G(LTE)Wi-FiBluetoothLPWA
                                                    LPWA4G(LTE)BluetoothWi-Fi
                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    LPWA(Low Power Wide Area)とは、省電力広域ネットワークと呼ばれ、LoRa、SIGFOX、NB-IoTなど様々な通信規格が存在し、少ない電力で数キロ〜数十キロの広い範囲で通信が可能な特徴を持つ通信方法のことです。

                                                    I-1-25 リスクマネジメント 原則及び指針

                                                    「JIS Q 31000 リスクマネジメント-原則及び指針」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① リスクは、被害の大きさと発生確率により定義されるものである。
                                                    ② リスク対応には、「リスク回避」、「ある機会の追求のためのリスクの増加」,「リスク源の除去」、「起こりやすさの変更」、「結果の変更」、「他者とリスクの共有」、「リスク保有」を含むことがある。
                                                    ③ リスク対応が、新たなリスクを生み出したり、既存のリスクを修正したりすることがある。
                                                    ④ リスクアセスメントとは、「リスク特定」,「リスク分析」及び「リスク評価」のプロセス全体である。
                                                    ⑤ リスクマネジメントとは、リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動である。

                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    リスクは「目的に対する不確かさの影響」で定義されます。

                                                    「被害の大きさと発生確率」は、リスクの大きさの定義です。

                                                    I-1-26 農薬使用

                                                    住宅地内の公園、街路樹等(農地を除く。)における農薬使用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① 病害虫被害が発見された場合は、農薬使用を控え、被害を受けた部分の努定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応した。
                                                    ② 病害虫の発生を予防するため、いくつかの異なる農薬を現地で混合して使用した。
                                                    ③ 農薬を使用した年月日、場所及び対象植物、使用した農薬の種類等を記録し、それを一定期間保管した。
                                                    ④ 農薬散布に当たっては事前に近隣住民等に十分な時間的余裕をもって周知するとともに、立て看板の表示や立入制限範囲の設定等の措置を行った。
                                                    ⑤ 農薬の散布後に、周辺住民から体調不良の相談があったので、農薬中毒症状に詳しい病院等の相談窓口等を紹介した。

                                                    正解と解説

                                                    【正解②】

                                                    複数の薬剤を混ぜて使うことを「混用」と言います。薬剤の相性によっては混用できない組み合わせもあり、環境省・農林水産省によって現地混用は推奨されていません。

                                                    I-1-27 消防法で定める防火管理者

                                                    消防法で定める防火管理者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ここでいう「所轄消防署長等」とは、所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。)又は消防署長のことである。

                                                    ① 防火対象物等の管理権原者が防火管理者を定めたときは、遅滞なく所轄消防署長等に届け出なければならない。
                                                    ② 防火管理者は権原を有するものの指示を受けて、防火管理に係る消防計画を作成しなければならないが、所轄消防署長等への届け出の必要はない。
                                                    ③ 防火管理者の責務は火災に関する消防活動であり、地震等の自然災害は対象外である。
                                                    ④ 大学又は高等専門学校卒業生であれば、特段の資格がなくとも、防火管理者になることができる。
                                                    ⑤ 多数の人が利用し、管理権原者が複数となっている大規模・高層の防火対象物では統括防火管理者の選任が好ましい。

                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    ②消防計画を作成すると、所轄消防署長等に届けなければなりません。
                                                    ③地震などの自然災害も防火管理者の管理対象内です。
                                                    ④「大学又は高等専門学校卒業生」であっても、公衆無しに防火管理者になることはできません。
                                                    防火管理者として選任されるには,各事業所の管理的又は監督的な地位にある人で、防火管 理に関する知識及び技能を有していることが必要です。 一般的には「防火管理講習」を受講し て資格を取得する必要があり、2日間の講習を受けて取得する「甲種防火管理者」と1日の講 習を受けて取得する「乙種防火管理者」の資格があります。
                                                    ⑤統括防火管理者の専任は義務です。「好ましい」は誤りです。

                                                    I-1-28 未熟練労働者の安全衛生管理

                                                    製造業における経験3 年未満の未熟練労働者の安全衛生管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお記述は、厚生労働省調べによる平成26 年までのデータを基にしている。

                                                    ① 休業4 日以上の死傷災害における未熟練労働者の占める割合は、増加傾向にある。
                                                    ② 未熟練労働者の労働災害を事故の型別で見ると約3 割が挟まれ、巻き込まれである。
                                                    ③ 労働安全衛生法では雇い入れ時の安全衛生教育が推奨されている。
                                                    ④ 安全衛生教育は繰り返し実施し、身に付けさせることが重要である。
                                                    ⑤ 未熟練労働者に対する安全の第一歩は、職場にはさまざまな危険があるということをよく理解させ、危険に対する意識を高めることである。

                                                    正解と解説

                                                    【正解③】

                                                    雇い入れ時の安全衛生教育は「義務」です。「推奨されている」は誤りです。

                                                    I -1 -29 労働災害指標

                                                    厚生労働省:平成28 年労働災害動向調査及び労働災害統計における全産業の労働災害発生状況は、度数率1.6、強度率0.10、年千人率2.2 である。ある事業所は、従業員数200 名、年間平均労働時間は1,700 時間であるが、労働災害による死傷者数は2 名、労働災害のために失われた労働損失日数は20 日であった。この事業所の労働災害の状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 度数率、強度率、年千人率のすべてにおいて全産業の値を上回っている。
                                                    ② 度数率、強度率は全産業の値を上回っているが、年千人率は下回っている。
                                                    ③ 度数率、年千人率は全産業の値を上回っているが、強度率は下回っている。
                                                    ④ 度数率、強度率は全産業の値を下回っているが、年千人率は上回っている。
                                                    ⑤ 度数率、年千人率は全産業の値を下回っているが、強度卒は上回っている。

                                                    正解と解説

                                                    【正解③】

                                                    度数率、強度率、年千人率の定義に従って計算します。

                                                    度数率=労災死傷者数÷延実労働時間数×1 000 000
                                                               =2÷(200×1 700)×1 000 000
                                                               =5.88 >1.66
                                                    強度率=延労働損失日数÷延実労働時間数×1 000
                                                               =20÷(200×1 700)×1 000
                                                               =0.059 < 0.10
                                                    年千人率=年間死傷者数÷年間平均労働者数×1,000
                                                                  =2÷200×1 000
                                                                  =10 < 2.2

                                                     全産業ある事業所
                                                    度数率1.65.88
                                                    強度率0.100.059
                                                    年千人率2.210
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                                                    I-1-30 安全やコンブライアンスに関わる制度

                                                    以下の安全やコンブライアンスに関わる制度等と、その設立や制定に先立って発生した関連する事故・不祥事等の組合せのうち、最も不適切なものはどれか。なお、制度等の名称は通称が含まれている。また、事故・不祥事等の括弧内は、その案件が発生あるいは公表されるなどして明らかとなった時期である。
                                                    ① 制度等:製造物責任法、事故不祥事等:自動車会社におけるリコール隠し(2000 年)
                                                    ② 制度等:業務の適性を確保するための体制(いわゆる内部統制システム)、事故不祥事等:銀行海外支店における巨額損失事件(1995 年)
                                                    ③ 制度等:食品安全委員会、事故不祥事等:BSE の発生(2001 年)
                                                    ④ 制度等:官製談合防止法、事故不祥事等:自治体における農業土木談合事件(2000 年)
                                                    ⑤ 制度等:医療事故調査制度、事故不祥事等:大学付属病院における患者取り違え(1999 年)

                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    製造物責任法の制定は1994年で、「自動車会社におけるリコール隠し」(2000年)より前に制定されているため①は誤りです。

                                                    I-1-31 自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン

                                                    テストドライバーが運転者席に乗車して実施する自動走行システムの公道実証実験について、警察庁より「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」が示されている。次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 一定の条件を満たせば、場所や時間にかかわらず、公道実証実験を行うことは現行法上でも可能である。
                                                    ② テストドライバーは、運転免許は要求されないが、緊急時等に安全を確保できるよう実験車両の操作に習熟する必要がある。
                                                    ③ テストドライバーは、自動走行システムを用いて走行している間、常に、ハンドル等の操作装置を把持している必要がある。
                                                    ④ 自動走行システムの自動車は、通常のものに比べ事故を起こす可能性がかなり小さいと見込まれるため、実施主体は自動車損害賠償保険や任意保険に加入する必要はない。
                                                    ⑤ 交通事故又は交通違反が発生した場合には、テストドライバーではなく、実施主体が運転者としての責任を負う。

                                                    正解と解説

                                                    【正解①】

                                                    「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」からの出題です。

                                                    あわせて読みたい

                                                    I-1-32 防災情報や避難行動

                                                    防災情報や避難行動に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 災害時にとるべき避難行動については、市町村長は地域の居住者等に避難勧告や避難指示をすることができるが、避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている。
                                                    ② 平成28 年の台風10 号による岩手県岩泉町の高齢者施設における被災を踏まえて、「避難準備情報」の名称が「避難準備・高齢者等避難開始」に変更された。
                                                    ③ 災害対策基本法においては、1 つの市町村の区域を越えて住民が避難する場合の市町村聞の協議の手続は定められていない。
                                                    ④ 記録的短時間大雨情報は、大雨警報発表の有無にかかわらず、その地域にとって災害の発生に繋がる、数年に一度しか発生しないような短時間の大雨が今後予測される場合に発表される。
                                                    ⑤ 土砂災害の危険性の理解を深め、土砂災害警戒区域の指定を促進するため、都道府県により基礎調査が実施されているが、その結果の公表の要否は市町村長によって判断されている。

                                                    正解と解説

                                                    【正解②】

                                                    ①「避難場所の指示については自治会や居住者等の判断に委ねられている」は誤りです。あらかじめ指定されています。
                                                    ③市町村間の協議の手続は定められています。
                                                    ④記録的短時間大雨情報は「数年に1度しか降らないような危険な雨が降っていて、災害の危険性が高まっているよ!」と警戒を呼び掛ける情報です。発表される基準となる雨量は県ごとにことなりますが、だいたい100ミリ前後の猛烈な雨です。雨量基準を満たし、かつ、大雨警報発表中に発表されます。

                                                    I-1-33 生物多様性の保全及び持続可能な利用

                                                    生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する日本の国際的な取組に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① いわゆる生物多様性条約とは、生物の多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とし、この条約に基づき生物多様性国家戦略を策定している。
                                                    ② いわゆる二国間渡り鳥条約・協定とは、渡り鳥の捕獲等の規制及びそれらの鳥類の生息環境の保護等を目的とし、米国を始め、ロシア、オーストラリア、中国との間に条約又は協定を締結している。
                                                    ③ いわゆる世界遺産条約とは、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とし、日本では文化遺産17 件及び自然遺産4 件が登録されている。
                                                    ④ いわゆるラムサール条約とは、国際的に重要な湿地及びそこに生息、生育する動植物の保全と賢明な利用を推進することを目的とし、日本では50 か所の湿地が登録されている。
                                                    ⑤ いわゆるワシントン条約とは、野生動植物の国際取引の規制を輸入国と輸出国が協力して実施することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を図ることを目的とし、条約の附属書に掲載された野生動植物の国際取引は一切禁止している。

                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    規制レベルによって、次の3種類に分かれています。一切の取引が禁止されているわけではありません。

                                                    附属書I附属書Ⅱ附属書Ⅲ
                                                    絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの締約国が自国内の保護のため、他の締約国・地域の協力を必要とするもの
                                                    学術研究を目的とした取引は可能
                                                    ・輸入国双方の許可書が必要
                                                    商業目的の取引は可能
                                                    ・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
                                                    商業目的の取引は可能
                                                    ・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
                                                    オランウータン、スローロリス、ゴリラ、アジアアロワナ、ジャイアントパンダ、ウミガメ、ダチョウ(掲載国原産のみ)などクマ、タカ、オウム、ライオン、 ピラルク、サンゴ、サボテン、 ランなどセイウチ(カナダ)、ワニガメ (米国)、タイリクイタチ(インド)、ミダノアワビ(南アフリカ)、モモイロサンゴ(中国)など

                                                    I-1-34 環境基準

                                                    環境基本法に基づき定められている環境基準に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 環境基準は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、ダイオキシン類、騒音及び振動に係る環境上の条件について定められている。
                                                    ② 大気の汚染に係る環境基準として、硫化水素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、鉛及び光化学オキシダントの5 物質について定められている。
                                                    ③ 騒音に係る環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音にも適用される。
                                                    ④ 水質の汚濁に係る環境基準には、水生生物の保全に係る水質環境基準も設定されている。
                                                    ⑤ 土壌の汚染に係る環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所を除くすべての場所に例外なく適用される。

                                                    正解と解説

                                                    【正解④】

                                                    ①:振動の環境基準はない。環境基準が定められているのは、それ以外の5つ。

                                                    ②:硫化水素、鉛は定められていない。二酸化硫黄 (SO2)、二酸化窒素(NO2)、微小粒子状物質(PM2.5、H21年追加)が抜けている。まとめると、大気汚染に関する環境基準は、SO2, CO, SPM, Ox, NOx, PM2.5の6物質について定められている(令和3年10月7日)

                                                    ③:騒音に係る環境基準について、次のように定められている。
                                                    「著しい騒音を発生する工場及び事業場建設作業の場所飛行場並びに鉄道の敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。」

                                                    航空機は「航空機騒音に係る環境基」で、新幹線は「新幹線鉄道騒音に係る環境基」で定められている。鉄道騒音に関して基準は定めれ有れていないが、「在来鉄道の新設又大規模改良に際しての騒音対策の指針」を環境庁が発出している。

                                                    ⑤:原材料の堆積場、廃棄物の埋立地規制物質の利用又は処分を目的として集積している施設は適用されない。

                                                    I-1-35 環境政策の原則及び手法

                                                    第四次環境基本計画における環境政策の原則及び手法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① 生物多様性の保全のような科学的な不確実性を伴う環境問題には、予防的な取組方法を適用せず、順応的取組方法の考え方に基づき対策を講じていくことが重要である。
                                                    ② 拡大生産者責任とは、製品などの設計や製法に工夫を加え、汚染物質や廃棄物をそもそも出来る限り排出しないようにしていくことである。
                                                    ③ 自主的取組手法は、事業者などが自らの努力目標を社会に広く表明し、政府がその進捗点検を行うことなどによって、一層大きな効果を発揮する。
                                                    ④ 枠組規制的手法とは、各主体の意思決定過程に、環境配慮のための判断を行う手続と環境配慮に際しての判断基準を組み込んでいく手法である。
                                                    ⑤ 経済的手法に関する環境施策の例として、課税等による経済的負担を課す方法、固定価格買取制度や環境性能表示が挙げられる。

                                                    正解と解説

                                                    【正解③】

                                                    ①予防的管理と順応的管理の両方からのアプローチが重要です。
                                                    ②拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方です。
                                                    ④枠組規制的手法とは、直接的に具体的行為の禁止、制限や義務付けを行わず、到達目標や一定の手順や手続を踏むことを義務付けることなどによって規制の目的を達成しようとする手法です。 この手法は、規制を受ける者の創意工夫を活かしながら、効果的に予防的あるいは先行的な措置を行い得るという特徴を有しています。
                                                    ⑤経済的手法は、税や補助金を用い市場メカニズムを活用して、対象とする主体の費用と便益に影響を与え、その行動を環境保全的なものに導くという政策手段です。

                                                    I-1-36 仮想評価法

                                                    仮想評価法(Contingent Valuation Method)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお仮想評価法は仮想的市場評価法と、また受入補償額は受け入れ意思額や受取意志額と、支払意思額は支払意志額と呼ばれることもある。

                                                    ① 仮想評価法はアンケート調査を用いて便益を計測する手法であり、利用者の行動の変化や地価の変化に基づく分析に適する手法である。
                                                    ② 二項選択方式は、提示された価格に対して購入の可否を決める人びとの実際の購買行動に類似していることから、金額の回答方式として用いることが多い。
                                                    ③ インターネットアンケートによる方法は、郵送調査法や面接調査法に比べ調査期間が短い上に比較的標本数確保が容易であるため、調査手法として用いることが望ましい。
                                                    ④ 受入補償額は、支払意思額に比べ回答者が答えやすく、さらに評価額の過大推計を避けることができる。
                                                    ⑤ 調査対象を明確にするため、事前調査に先立ってアンケート草案を作成したうえでプレテストを行う必要がある。

                                                    正解と解説

                                                    【正解④】

                                                    ①:振動の環境基準はない。環境基準が定められているのは、それ以外の5つ。

                                                    ②:硫化水素、鉛は定められていない。二酸化硫黄 (SO2)、二酸化窒素(NO2)、微小粒子状物質(PM2.5、H21年追加)が抜けている。まとめると、大気汚染に関する環境基準は、SO2, CO, SPM, Ox, NOx, PM2.5の6物質について定められている(令和3年10月7日)

                                                    ③:騒音に係る環境基準について、次のように定められている。
                                                    「著しい騒音を発生する工場及び事業場建設作業の場所飛行場並びに鉄道の敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。」

                                                    航空機は「航空機騒音に係る環境基」で、新幹線は「新幹線鉄道騒音に係る環境基」で定められている。鉄道騒音に関して基準は定めれ有れていないが、「在来鉄道の新設又大規模改良に際しての騒音対策の指針」を環境庁が発出している。

                                                    ⑤:原材料の堆積場、廃棄物の埋立地規制物質の利用又は処分を目的として集積している施設は適用されない。

                                                    顕示選好法と表明選好法

                                                     概要手法
                                                    顕示選好法環境が消費行動に及ぼす影響を観察することで間接的に環境の価値を推定する方法で、利用価値が対象代替法 トラベルコスト法 ヘドニック法 
                                                    表明選好法人々に直接尋ねることで環境の価値を評価する手法で、利用価値だけでなく非利用価値も対象仮想評価法【CVM】 コンジョイント分析

                                                    代表的な経済的価値の評価手法の概要と特徴

                                                    評価手法顕示選好表明選好
                                                    代替法トラベルコスト法ヘドニック法CVMコンジョイント分析
                                                    内容環境財を市場財で置換するときの費用をもとに評価対象地までの旅行費用をもとに評価環境資源の存在地代や賃金に与える影響をもとに評価環境変化に対する支払意思額や受入補償額を尋ねることで評価複数の代替案を回答者に示して、その好ましさを尋ねることで評価
                                                    適用範囲利用価値 水源保全、国土保全、水質などに限定利用価値 レクリエーション、景観などに限定利用価値 地域アメニティ、大気汚染、騒音などに限定利用価値および
                                                    非利用価値 レクリエーション 、景観、野生生物、生物多様性、生態系など幅広く適用可能
                                                    利用価値および
                                                    非利用価値 レクリエーション 、景観、野生生物、生物多様性、生態系など幅広く適用可能
                                                    利点必要な情報が少ない 置換する市場財の価格のみ必要な情報が少ない 旅行費用と訪問率などのみ情報の入手コストが小さい 地代、賃金などの市場データから得られる適用範囲が広い 存在価値やオプション価値などの非利用価値も評価可能適用範囲が広い 存在価値やオプション価値などの非利用価値も評価可能
                                                    特定の環境対策以外に複数の代替案を比較して評価可能
                                                    欠点環境財に相当する市場財が存在しないと評価できない適用範囲がレクリエーションに関係するものに限定適用範囲が地域的なものに限定アンケート調査の必要があり、情報入手コストが大きい
                                                    バイアスの影響を受けやすい
                                                    アンケート調査の必要があり、情報入手コストが大きい
                                                    バイアスの影響を受けやすい
                                                    研究蓄積が少なく、信頼性が不明

                                                    I-1-37 外来生物法

                                                    いわゆる外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)とその運用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① 特定外来生物とは、生態系、人の生命や身体、農林水産業に被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるとして定められた外来生物の、生きている個体(卵、種子等を含む。)及びその器官をいう。
                                                    ② 個体としての識別が容易な大きさと形態を有するものに限らず、細菌類やウイルス等の微生物のなかにも、特定外来生物として選定されているものがある。
                                                    ③ 特定外来生物の国内での飼養等は、災害時において緊急に対処すべき場合などを除き、目的、施設、方法等の要件を満たし、主務大臣による許可を得た者に限り認められる。
                                                    ④ 特定外来生物の野外への放出は、特定外来生物の防除の推進に資する学術研究が目的の場合、主務大臣の許可を受けて行うことができる。
                                                    ⑤ 輸入通関時の検査等において、輸入品に特定外来生物の付着又は混入が確認された場合には、主務大臣は当該輸入品の所有者や管理者に消毒又は廃棄を命ずることができる。

                                                    正解と解説

                                                    【正解②】

                                                    環境省により、「菌類、細菌類ウイルス等微生物は当分の間対象としない。」とされています。

                                                    I-1-38 環境影響評価法

                                                    環境影響評価法に基づく事業者の行為に関する次の(ア)~(オ)について、環境影響評価法の内容や趣旨に照らして、適切なものと不適切なものの組合せとして最も適切なものはどれか。

                                                    (ア)第二種事業の事業者が、事業の位置等が決まる前の段階で環境保全のために配慮すべき事項について検討を行い、その結果に基づき配慮書を作成し、公表することとした。
                                                    (イ)第一種事業の事業者が、方法書の作成の前に、スクリーニング手続として、当該事業の概要等を、当該事業の許認可等権者に届け出ることとした。
                                                    (ウ)第二種事業の事業者が、準備書について、関係地域内での縦覧を省略し、これに代えてインターネットを利用した、いわゆる電子縦覧を行うこととした。
                                                    (エ)第一種事業の事業者が、方法書や準備書を作成した段階ではそれぞれ内容を周知させるための説明会を行ったが、評価書を作成した段階では説明会を行わなかった。
                                                    (オ)第二種事業の事業者が、環境影響評価の手続を行い、事業着手後の環境保全措置等の実施状況について報告書を作成し、公表することとした。

                                                    適切適切不適切不適切適切
                                                    適切適切適切不適切不適切
                                                    不適切不適切不適切適切適切
                                                    不適切適切適切適切不適切
                                                    適切不適切不適切適切適切
                                                    正解と解説

                                                    【正解⑤】

                                                    環境影響評価法に基づく事業者の行為について、それぞれの記述(ア)~(オ)が適切か不適切かを検討します。

                                                    各記述の検討

                                                    (ア)第二種事業の事業者が、事業の位置等が決まる前の段階で環境保全のために配慮すべき事項について検討を行い、その結果に基づき配慮書を作成し、公表することとした。

                                                    適切。第二種事業では、事業の位置が決まる前に環境への配慮が求められます。

                                                    (イ)第一種事業の事業者が、方法書の作成の前に、スクリーニング手続として、当該事業の概要等を、当該事業の許認可等権者に届け出ることとした。

                                                    不適切。第一種事業では、スクリーニング手続きは一般に方法書作成前に行う必要がないため、これは誤りです。

                                                    (ウ)第二種事業の事業者が、準備書について、関係地域内での縦覧を省略し、これに代えてインターネットを利用した、いわゆる電子縦覧を行うこととした。

                                                    不適切。第二種事業の場合、通常は関係地域内での縦覧が必要であり、電子縦覧のみでは不十分です。

                                                    (エ)第一種事業の事業者が、方法書や準備書を作成した段階ではそれぞれ内容を周知させるための説明会を行ったが、評価書を作成した段階では説明会を行わなかった。

                                                    不適切。第一種事業では、評価書作成時にも周知のための説明会を行うことが望ましいため、この記述は不適切です。

                                                    (オ)第二種事業の事業者が、環境影響評価の手続を行い、事業着手後の環境保全措置等の実施状況について報告書を作成し、公表することとした。

                                                    環境評価法の手続きの流れは次の通りです。

                                                    I-1-39 微小粒子状物質(PM2.5)

                                                    微小粒子状物質(PM2.5)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

                                                    ① PM2. 5 については、その発生メカニズムや人の健康への影響等について未解明な部分が多く、環境基準は定められていない。
                                                    ② PM2. 5 については、光化学オキシダントと同様、注意報や警報を発令すべき濃度が法令により定められている。
                                                    ③ PM2. 5 の濃度については、例年夏季から秋季にかけて変動が大きく、上昇する傾向が見られ、冬季から春季にかけては比較的安定した値が観測されている。
                                                    ④ PM2. 5 には、物の燃焼などによって直接排出されるものや土壌など自然由来のもののほか、硫黄酸化物や窒素酸化物等のガス状物質が大気中で光やオゾンと反応して生成されるものもある。
                                                    ⑤ PM2. 5 の年平均濃度に対する中国や朝鮮半島からの越境汚染の寄与割合は、全国的にほぼ一定であり、地域的な差はほとんどないと推計されている。

                                                    正解と解説

                                                    【正解④】

                                                    ①環境基本法第16条第1項に、1年平均値 15μg/m3以下 かつ 1日平均値 35μg/m3以下と定められています。
                                                    ②注意喚起のための暫定的な指針が示されていますが、法令ではありません。
                                                    ③冬季から春季にかけては PM2.5 濃度の変動が大きく、上昇する傾向があります。夏季から秋季にかけては比較的低い濃度が観測されています。
                                                    黄砂の中でも2.5μm以下の細かい粒はPM2.5にカウントされます。中国に近いほど黄砂の影響が出やすいため、地域差はあります。

                                                    I-1-40 暑さ対策と熱中症

                                                    暑さ対策や熱中症に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

                                                    ① ヒートアイランド現象の原因としては、人工排熱の増加、地表面の人工化、都市形態の高密度化が挙げられ、これらの原因や地域の状況等に応じた対策を講じることが重要である。
                                                    ② 環境省は熱中症予防のため、気象庁の数値予報データをもとに、夏場に国内各地について暑さ指数の予測値を提供している。
                                                    ③ 熱中症は、気温や湿度などの周辺環境だけではなく、栄養状態や寝不足等の体調、労働や運動の内容によっても発症リスクが変わる。
                                                    ④ 平成28 年においては、国内の熱中症による死亡者の約半数を未成年者が占めている。
                                                    ⑤ めまい、頭痛、筋肉痛等の熱中症を疑わせる症状が出た場合は、涼しい場所へ移り、水や塩分を補給するとよい。

                                                    正解と解説

                                                    【正解④】

                                                    熱中症による死亡者は高齢者が多くを占めます。「未成年者」は誤りです。

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