メイヨーのホーソン実験

テイラーの科学的管理法が主流の時代、「職場の外的環境ではなく人間関係が生産性に影響する」という結論を導き出した実験です。人間関係に焦点を置き科学的なアプローチを用いて、働く人間の感情に配慮する管理方法が注目されるきっかけとなりました。
以下に示した実験を順番に行うことで、この結論を導き出しました。

1.照明実験: 照明と生産性の関係を観察するために実施された実験⇒相関関係なし

2.組み立て実験: 疲労と能率の関係を調べるために行われた実験。休憩時間や就業時間を変更し、部屋の温度から賃金などの労働条件を変更しながら生産性と作業能率を記録した。⇒相関関係なし

実験を通じて仲間意識が強いグループや選ばれたことへの誇りが仕事のモチベーションに影響したという仮説が立てられた。

3.面接実験: 賃金制度や就業時間よりも、管理の質の良さ(人間関係の有効性)が作業能率に影響を与えることを確かめるために実施された実験。生産性と職場環境の関連性は小さく、逆に従業員の労働意欲が人間関係に左右されると指摘。

4.パンク配線作業実験: 現場作業員たちが、集団的にどのような機能を持ち形成されるかを解明するために行われた。「現場に小さなグループがあり、それが社会統制機能を果たしている」と仮説がたてられ、非公式な組織の集団が発見された。集団をマネジメントする監督者とメンバーは防衛と共存の関係にあり、個人間の関係性が生産性・作業能率・品質と相関していると指摘。

この一連の実験から導かれた結論は、次の3点です。

1.生産性向上に物理定な労働条件はあまり関係ないと推定される。

2.生産性向上に関与する要因は、職場の人間関係やその人達・仕事への想いなど感情によるものが大きい。

3.職場の良好な人間関係を築けている方が成果を発揮できる。

  • チーム間のコミュニケーションを活発にする: 業務を円滑に進めるのに必要な情報提供が、同僚間でなされていることが大切である。
  • 仕事以外の場での親交を深める:休憩スペースを設置する。ランチ、朝会ミーティング、雑談
  • 相談役となる良きリーダーを配置する:リーダーが緩衝材および促進剤となること。

人の作業効率に大きな影響を及ぼすものは、物理的、生理的、経済的な条件ではなく、感情や雰囲気、集団規範であることを示し、人間関係管理の重要性を広めるきっかけとなりました。

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