パートタイム・有期雇用労働法

パートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)は、パートタイム労働者や有期契約労働者が、正社員(無期契約でフルタイム勤務する労働者)と比べて不合理な待遇差を受けないようにするための法律です。この法律は、2012年に制定され、その後「働き方改革」の一環として2020年に改正されました。法律の主な目的は、非正規労働者の待遇改善と雇用の安定化を図ることです。

目次

対象労働者

  • パートタイム労働者: 所定労働時間がフルタイム労働者より短い労働者(例:1日4時間勤務の従業員)。
  • 有期雇用労働者: 一定の期間を定めて雇用契約を結んでいる労働者(例:契約社員や派遣社員)。

この法律では、フルタイムの無期契約労働者(正社員)と比べて、これらの労働者に対して不合理な待遇差を設けないよう求めています。

不合理な待遇差の禁止

同一労働同一賃金の原則に基づき、正社員とパートタイム労働者や有期契約労働者との間に不合理な待遇差がないようにするため、以下の点が重要となります。

  • 基本給や手当: 仕事の内容や責任、成果、能力、経験などが正社員と同じである場合、パートタイムや有期契約の労働者にも同等の基本給や手当を支払う必要があります。
  • 賞与や福利厚生: 賞与や通勤手当、食堂利用などの福利厚生も、正社員と同等の待遇を受けるべきです。例えば、交通費や住宅手当、家族手当なども、仕事内容や働き方に不合理な差がない限り、同等の水準で支給されなければなりません。

具体例

  • 例えば、正社員が同じ仕事内容をしている場合には、パートタイム労働者にも同様の賞与や福利厚生が提供されるべきです。
  • 逆に、仕事内容や責任が大きく異なる場合には、正社員と非正規社員の待遇差は許容されます。

説明義務

企業は、パートタイム労働者や有期契約労働者からの要求があった場合、以下の内容を説明する義務があります:

  • 賃金や待遇に関する説明: 自分の待遇がどのような基準で決定されているのか、具体的に説明する義務があります。これには、賃金、手当、福利厚生、教育訓練などが含まれます。
  • 正社員との待遇差の理由説明: 労働者が希望した場合、正社員と自分との待遇の違いがどのような理由で生じているのか、企業は説明しなければなりません。

教育訓練やキャリアアップの支援

パートタイムや有期雇用の労働者にも、正社員と同様の教育訓練やキャリアアップの機会が提供されるよう、企業は配慮する義務があります。具体的には、以下の取り組みが求められます:

  • 能力開発機会の提供: 仕事に必要な技能や知識を身に着けるための教育訓練が行われ、パートや有期労働者も参加できるようにする。
  • 正社員への転換制度: パートタイムや有期雇用の労働者が正社員への転換を希望する場合、企業はその機会を提供し、転換のための手続きや条件を明確にしておくことが求められます。

裁判・紛争解決手段

もしも企業が法律に違反して、不合理な待遇差を設けたり、説明を怠ったりした場合、労働者は裁判所や労働局を通じて紛争を解決する手段を取ることができます。また、行政のあっせんや労働審判制度も利用可能です。

有期雇用労働者の無期転換ルール

無期転換ルールは、同一の企業で5年を超えて有期雇用で働いた場合、労働者が申請すれば無期契約に転換できる制度です。これは、長期間にわたって有期雇用で働く労働者の雇用安定を図るために導入されました。


この法律の目的は、パートタイムや有期雇用労働者に対する不合理な差別や待遇差を防ぎ、働く人全員が公平で公正な待遇を受けることを保障することです。企業にとっては、これに違反する場合、罰則が科される可能性があるため、労働者の雇用管理に対する適切な対応が求められます。

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