総監キーワード|人的資源管理(1/4) 人の行動と組織

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組織開発

組織開発とは、企業、事業部、部、課などの職場や組織または構成メンバー全体を対象として組織をよくする手法です。価値や考え方が対立する場合、一方を優先して他方を無視するのではなく、それらの同時最適解を探ることと、決まったt陸身を当てはめるのではなく、実施する取り組みを現状に合わせてカスタマイズすることが重要です。
組織開発の代表的手法に、診断型組織開発対話型組織開発の2つがあります。

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診断型組織開発

組織開発コンサルタントといった第三者が組織の状態を客観的に観察・診断して課題を発見・改善する手法で、職場改善診断、OJT診断などが代表的な手法です。

対話型組織開発

メンバー自らの対話を通じて、自らの組織の課題の発見や改善に取り組む手法で、基本となる概念に「コンテント」と「プロセス」があります。

コンテント

会話の内容として、仕事、課題、結果などの対話そのものを指し、「何が話されているか」「何が取り組まれているか」というWhatの側面を対象にしています。

プロセス

対話している当事者間の人の気持ちや考え方、価値観、感情の流れなどのお互いの関係的過程を重視し、「どのように対話しているか」「どのように仕事が進められているか」というHowの側面を対象にしています。

動機付け

動機付け (Motivation : やる気、意欲、動機)は「モチベーション」とも呼び、人が目的や目標によって行動を起こし、目標達成まで持続させる「心理的・内的過程」のことです。

インセンティブ

インセンティブ(Incentive)とは、行動を促す「刺激・動機・励み・誘因」を意味する言葉です。インセンティブは主に5種類に分けられます。

  • 物質的インセンティブ 【お金・モノ】
  • 評価的インセンティブ【考課・昇進】
  • 人的インセンティブ【上司や先輩との人間関係】
  • 理念的インセンティブ【価値観・企業理念】
  • 自己実現的インセンティブ【夢・希望】

外発的動機付け

職場や上司などの外部から受ける強制的な要因を動機として行動を起こすのが特徴です。
金銭的、物質的な報酬や、罰を避けることによる動機付けがあります。

内発的動機付け

人の内面で、自発的な意欲 (興味や関心)をきっかけとして行動を起こします。外発的動機付けに比べて、持続しやすい動機付けです。

組織コミットメント

組織コミットメントとは、個人が所属する組織に対して持つ帰属意識やその概念のことです。 個人と組織の関係性を表す言葉のひとつです。 組織コミットメントは、企業組織においては従業員が持つ会社に対する帰属意識のことを指します。従業員が会社に対して抱く愛着や「会社に貢献したい」と思う気持ちを表す言葉です。

組織文化

組織文化は、企業文化、組織風土、社風ともいわれ、組織・構成員が共通するものの見方、考え方、感じ方です。したがって組織文化は、思考様式の均質化と自己保存本能をもたらすというデメリットがあります。

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心理的安全性

心理的安全性(psychological safety)とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。

心理的安全性が高い状況であれば、質問やアイデアを提案しても受け止めてもらえると信じることができ、思いついたアイデアや考えを率直に発言することができます。
例えば、旧来の手法への提言や革新的なアイデアについてオープンに話し合える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いといえます。

ウェルビーイング

ウェルビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念です。

人の行動モデル

組織やプロジェクトの管理において、人をある程度単純化した行動モデルとして捉え、分類、管理することで、円滑で業務を進める助けにします。

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マクレガーのX理論とY理論

心理学者であり経営学者であるダグラス・マクレガーが1960年に出版した「企業の人間的側面」において、「人間は本来怠け者であり、強制されなければ仕事をしない」とするX理論と、「人間は生まれつき仕事が嫌いという訳では無く、条件次第では自ら進んで働く」とするY理論の二つの行動モデルを提唱しました。

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マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説は、アメリカの心理学者アブラハム・マズロー(1908~1970)によって1943年に提唱された、「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されている」とする心理学理論です。(注: マズローの著書にはピラミッド階層の記述はない)

人間の欲求には「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5つがピラミッドのように構成されていて、低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになるという理論です。

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ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)は、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが1959年に提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論で、「仕事に対して満足感を感じる動機づけ要因と不満を引き起こす衛生要因は分けて考えるべき」という考え方です。

仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなくて、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものです。

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アッシュ研究

アッシュの同調実験とも呼ばれ、自分一人で考えるときは正確な判断ができても、集団のなかにいるときは、集団に合わせて誤った判断をしてしまう傾向が明らかになった研究です。

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リーダーシップ

リーダーシップとは「指導力・統率力」などと表現され、ある一定の目標達成のために個人やチームに対して行動を促す能力のことです。

PM理論

PM理論は1966年に社会心理学者の三隅 二不二(みすみ じゅうじ)が考案したリーダーシップ理論です。
リーダーに必要な行動は集団の目的達成や課題解決に関する行動P(Performance function)と人間関係を良好に保ち集団の維持を目的とする行動M(Maintenance function)の二要素で構成されます。
目標設定や計画立案、メンバーへの指示などにより目標を達成する能力(P)と、メンバー間の人間関係を良好に保ち、集団のまとまりを維持する能力(M)の2つの能力の大小によって、4つのリーダーシップタイプ(PM型、Pm型、pM型、pm型)に分類する考え方です。

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SL理論

シチュエーショナルリーダーシップ理論(SL理論)とは、1977年にハーシーとブランチャードが考案したリーダーシップ理論です。「チーム内の多様な人材(部下)に対して一律に指導するのではなく、部下の成熟度によってリーダーが取るべき行動は異なる」という考え方です。
部下の習熟度を、縦軸を人間関係指向、横軸を仕事指向とし、高低によって4つに区分し、それぞれの状況でとるべきリーダーシップスタイルを提示しました。

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サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップとは「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えのもとに生まれた支援型リーダーシップのことで、部下の能力を肯定し、お互いの利益になる信頼関係を築くといったスタイルのリーダーシップです。

フォロワーシップ

フォロワーシップとは、フォロワー(組織やチームを率いるリーダーのもとで業務を遂行する社員)が組織やチーム、リーダーのために主体的に考えて行動することを意味します。具体的には、リーダーと異なる意見を持った際に正確に伝えて議論を促す、仕事を積極的に引き受けるなど、自身のポジションでできる積極的な行動です。

組織構造

組織構造(または組織構成)とは、社内の組織の作りや仕組みを表したもので、その企業の経営目標を達成するために存在する業務や職務、指揮系統の体系のことです。次の要素を明確にする必要があります。

  • 分業関係
  • 部門分化
  • 権限関係
  • 伝達・協調関係
  • 公式ルール化

職能別組織

職能的な専門ごとの部門に構成員を配置する組織

事業部制組織

事業に関わる構成員を、営業部門から研究部門まですべて1つの部門にまとめた組織

マトリクス組織

職能別と事業部制を合わせた組織で、職能と事業の二元的な組織編制

フラット組織

管理階層ができるだけ少ない「平らな」組織

ネットワーク組織

インターネットやグループウェアなどを利用して、組織の壁を越えて情報を伝達・共有する組織
強力な権限を持つリーダーがいないフラットな組織

ピラミッド組織

最上位社員から最下位社員への命令指示系統が確立している組織で、ピラミッド型に形成した組織。ヒエラルキー型組織とも呼ばれる。トップ主導型組織であり、トップダウンで意思決定されるため、素早い決定がなされます。

ティール組織

従来型組織で行われている組織構造、慣例、文化のすべてを撤廃して、意思決定に関する権限や責任を管理職から個々の従業員に譲渡して、組織や人材の革新的向上を目指す次世代型組織モデルです。

達成型組織

組織として目標達成を最優先の目的とするマネジメント方式で、組織や個人が疲弊しやすい欠点があります。

メイヨ-のホーソン実験

テイラーの科学的管理法が主流の時代、「職場の外的環境ではなく人間関係が生産性に影響する」という結論を導き出した実験です。人間関係に焦点を置き科学的なアプローチを用いて、働く人間の感情に配慮する管理方法が注目されるきっかけとなりました。

テイラーの科学的管理法

科学的管理法とは経営学者のフレデリック・ウィンズロー・テイラーによって提唱された、労働者管理の方法論の一つです。標準作業時間の測定、出来高による賃金の差別支払制度など、管理についての客観的な基準を作る事で、出費を最低限に抑えながら、最高の生産性をあげるための人的管理手法です。

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